(P.S.2022.10.15)
お題「大谷翔平」を詠んだ梅沢富美男さんや春風亭昇吉さんの俳句の推敲
をご覧下さい。
(写真)
TV-4ch.プレバト画面の一部分
今朝、ベアーマウスさんからのコメントを拝見して、この記事を書くことにしました。皆さんのご参考になれば幸いです。
白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち
(春風亭昇吉)
昇吉さんは綺麗な季語「白秋」を使い、中々工夫されていますが、この俳句は「字余り」であり、「穿つ」(うがつ)を「穿ぐ」(うぐ)と読むのも抵抗を感じます。
夏井先生は「撃つ」とか「裂く」などの代案を例示していますが、次のように添削すると良いと思います。
右投げの秋雲穿つ左打
(薫風士の添削案)
「穿つ」は「うがつ」と読んで下さい。
「右投げを秋雲穿つ左打」とすると、右投げ投手と左打の打者が対峙していることになりますが、添削した「右投げの」は「大谷翔平の右投げ左打ち」を意味していることが明瞭でしょう。
助詞「の」と「を」の違いで句意が異なり、助詞の大切さの一例です。
「秋雲を穿つ右投げ左打ち」とすると、「大谷翔平」を意味しますが、
「右投げの秋雲穿つ左打」とすると、「大谷翔平のホームラン」を意味することになります。
これは語順の違いにより句意が異なる例句として、語順の重要性を示すのに使えるでしょう。
昇吉さんの原句の「右投げ左打ち」という表現は上記の点が不明瞭です。
3位の査定は仕方がないでしょう。
とは言っても、俳句は好き好きです。
藤本敏史さんの次の俳句(1位)や夏井先生の添削句がそれ程よい俳句とは思えません。
(敏史さんの原句)
大きく振りかぶって秋爽の只中に
(夏井先生の添削句)
大きく振りかぶって秋爽の只中
上記の薫風士添削句の「秋雲」は平凡な表現ですが、「5・7・5」のリズムに収め内容を充実して凝縮するための妥協です。
夏井先生は梅沢富美男さんの俳句を7位に査定し、次のように添削しました。
(梅沢さんの原句)
ポケットにゴミ爽涼のユニフォーム
(夏井先生の添削句)
マウンドのゴミ爽涼のポケットへ
大谷翔平が塵を拾いポケットに入れることは話題になったので夏井先生の添削も納得できますが、「爽涼」と「ポケット」という季語の取り合せにはやや抵抗を感じます。
梅沢さんの「爽涼のユニフォーム」は上手い表現であり、「ポケットにゴミ」ということとの取合せの面白さもあります。
夏井先生の査定に梅沢さんが剝れたのはもっともだと思います。
次のようにすると平凡ですが、誰にでも分かる俳句になるでしょう。
爽涼や塵ポケットへ二刀流
夏井先生は「二刀流」を誰も俳句に使わなかったことを高く評価していましたが、「軽み」や「わかり易さ」のある俳句がもっと評価されるべきだと思います。
薫風士の添削は、「大谷翔平のさりげない行為」に「投打の二刀流」のみならず、大谷選手の「野球人と社会人としての二刀流」に感銘を受けて、大谷選手の行為や人間性に「爽涼」を感じたことを表現したつもりです。
いずれにせよ、「俳句は好き好き」です。
自分の思いを口遊み、俳句を楽しみましょう。
以上、ご参考になれば幸いです。
(2022.9.23)
キスマイ横尾さんの「檸檬」の俳句について
(写真)
4ch.TV画面の一部分
夏井先生はキスマイ横尾さんの次の俳句について、「文句なしの素晴らしい一句」として、「金秋戦2022」Cブロックの2位に査定をしました。
丸善の古書フェア檸檬ケーキの香
この俳句は丸善のPRやエンタメ番組の俳句としては成功していますが、「5・5・8」の破調であり、一般的な俳句の例句としてはお勧めできません。
夏井先生は、この俳句から「横井基次郎の作品『檸檬』を否応なく連想する」とか言っていますが、ごく限られた人しかこの小説を知らないのではないでしょうか?
次のように「5・7・5」の定型にすると平凡でしょうか?
古書フェア檸檬ケーキの香りして
一般的な読者は、「古書フェアに檸檬ケーキの香りがしたという意外性を詠んだ俳句」と解釈して納得するのではないでしょうか?
「丸善」と言えば、現在では東京丸の内の丸善本店を連想しますが、学生時代には神戸丸善、サラリーマン時代には大阪丸善、ともかく丸善に行く時間があれば洋書コーナーで新刊のベストセラーや日本文化紹介の英訳ものなどを買うことを楽しみにしていました。
故有馬明人氏が国際俳句交流協会会長当時に提唱された「俳句を通じて世界平和」をモットーにして、高浜虚子の俳句や松尾芭蕉の俳句の英訳をして国際俳句協会のホームページに掲載して頂いています。
ご一読頂ければ幸いです。
(写真)
4ch.TV画面の一部分
「季語《東北忌・3.11》に思うこと」をご覧下さい。福島の復興を祈っています。
9月22日のプレバトを見ると、「プレバト俳句 47都道府県 ふるさと王争奪戦」という新企画の「写真俳句」番組でした。
夏井先生の査定や添削も納得できる興味深い番組で、お勧めですが、「俳句HAIKU」の写真俳句は、写真と俳句をセットして観光案内用ポスターにするプレバトの「写真俳句」とは趣旨が異なり、「吟行地を紹介し、読者が写真を自然に見立てて疑似吟行をするのに参考になること」を意図しています。
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