« 「百日紅」の俳句と写真(特集) | メイン | 自治会の秋の草取り遊歩道 »

2020年9月13日 (日)

俳句の定型とリズム

     

蟷螂の今はの際か庭履きに

蟷螂や今はの際も保護色に

蟷螂や吾庭の何処(どこ)に消え逝きし

いぼむしり何処(いずこ)に逝きし消えにけり

 

この蟷螂はごみ袋にいたカマキリが別れの挨拶に薫風士の庭履きに来ていたのかも知れないと、ふと思いました、

 

20241122_114600_3

20241122_114728_2

20241122_114854

20241122_115223

9dsc_2182

   

  

  

  

このカレンダーの写真は、日本伝統俳句協会9月のカレンダーの一部分です。

       

9月2日は旧暦7月15日「盆の月」です

空を仰ぐと、満月が雨催いの雲に翳んでいました。

  

父がつけしわが名立子や月を仰ぐ

        (星野立子)

  

この句は6-7-6音の破調です。 

つけしわが名立子や月仰ぐ」のように助詞を省略して定型5-7-5にすると、原句の「深い趣」が無くなります。

    

俳句雑感(7) 金子兜太の『炎天』の俳句についてに於いて述べたように、俳句の内容によっては、「定型」より「字余り」を優先すべきでしょう。

  

芭蕉も「5-9-5」の破調で烏の飛び行く様子を表現しています。

  

かれ朶に烏のとまりけり秋の暮

          (芭蕉)

  

ゴミ出しの袋持つ手にいぼむしり 

        (薫風士)

     

Dsc_2184

(写真)

路上に飛び降りた蟷螂

  

いぼむしり」は「蟷螂」の別称ですが、「螳螂」は「とうろう」と読み、カマキリのことです。

   

今朝、塵を出そうと庭に置いていたゴミ袋を手にすると、カマキリが手に触れました。

       

原句の「いぼむしり」を用いないで、「ゴミ出しの袋持つ手に蟷螂」とすると、「下五」が「字足らず」となり、「螳螂」の前に「切れ」を入れて読んでも、寸足らず・消化不良の響きになります。

この俳句で、「蟷螂やゴミ出し袋つかむ手に」とか、「ゴミ出しの袋持つ手に蟷螂よ」などのように5-7-5の定型にすると、原句の即興句の面白さがなく、「や」の場合は意味が不明瞭になり、「よ」の場合は説明的に響きます。  

古い言葉も使い方次第で現代の句作に生かすことが出来ますね。

   

漢字の読み方を変えて定型にし、リズムを整えることがあります。

ご存じでしょうが、たとえば、「小さき」は「ちいさき」と「ちさき」、」は「ひな」と「ひいな」、「入梅」は「にゅうばい」と「ついり」、百日紅」は「さるすべり」と「ひゃくじつこう」、「秋麗」は「あきうらら」と「しゅうれい」、etc. 読み方を変えて5・7・5のリズムにします。

「音」は「おと」か「ね」と読み、「女」は「おんな」・「じょ」・「め」などの読み方があり、「眼」は「め」・「がん」・「まなこ」などと読みます。

また、「コスモス」を「秋桜」と表記して「あきざくら」と読むとか、「湖」を「うみ」と詠むこともあります。

  

ちなみに、尾崎放哉の自由律俳句の代表作「咳をしても一人」は有名ですが、究極の短詩としての歴史的価値しかなく、俳句のお手本にはなりません。

この俳句(?)の真似をして自由律俳句にチャレンジしても、散文の断片にしかならず、作句は徒労に終わるでしょう

    

(青色の文字をクリックすると関連の記事をご覧になれます。)  

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。  

   

コメント

2024.11.22 更新

《白鳥》(俳句の比喩)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/haiku/

をご覧下さい。 (薫風士)

「新年・正月」の俳句特集
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2015/12/post-8611.html

をご覧下さい。 (薫風士)

俳句《暮早し・短日・日短・日の短か》
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/11/post-4fc3.html

をご覧下さい。 (薫風士)

四季の雲(写真・俳句)《早春・春の雲》
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/02/post-06b7.html


 
コロナ禍のストレス社会夏に入る(夏の俳句特集)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/02/post-bdba.html
  
をご覧下さい。 (木下さとし)
 

「年越やオミクロン株蔓延りて(医療の在り方)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/01/post-ed54.html

「大晦日」「大年」の俳句(岸田内閣に望むこと)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/12/post-1143.html

「(冬の俳句特集)不意打ちのオミクロン株冬の雷」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/12/post-89b4.html

などをご一読下さい。 

既成の医療体制の見直しや「デジタル田園都市国家構想」の実現を期待しています。

(薫風士)

・長き夜や俳句ブログに思い込め

(俳句と川柳) <衆院選> 第101代総理大臣への期待 (「吾亦紅」と「夜長」に思うこと)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/10/10-d078.html
をご覧下さい。 

(薫風士)

「俳句と川柳の鑑賞 <吾亦紅と総裁選>」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/09/post-e881.html

「俳句と川柳 <新総裁へのエール> (「夜長」の思い)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/10/post-8c7c.html
をご覧下さい。

(薫風士)

<提言>「平和の俳句」月間(「俳句の日」から「子規忌」)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/09/post-153d.html
をご覧下さい。

(薫風士)

海の日や遊び心を如何にせむ
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/07/post-6bf7.html
をご覧下さい。

(薫風士)

コロナ禍の花鳥諷詠梅雨晴れ間
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-ae0d.html
をご覧下さい。

(薫風士)

俳句の鑑賞:「初夏」 《コロナ禍に思うこと》
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/05/post-072b.html

コロナ禍の俳句鑑賞: 「青葉」・「青葉風」・「青葉潮」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/05/post-662c.html
をご覧下さい。

(薫風士)

「プレバト夏井先生の添削を添削する」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/purebato.html

「春」の俳句特集:薫風士のブログ「俳句HAIKU」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/02/haiku-f2f4.html

をご覧下さい。「俳句の面白さ・奥の深さ」が分かるでしょう。

(薫風士)

 
「俳句の面白さ・奥の深さ」が分かります。
「芭蕉・子規・虚子の俳句、まんぽ写真・俳句などを楽しもう!(WEB特集)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/09/web-1bc9.html
をご一読下さい。

(薫風士)

コメントを投稿