教育・Education Feed

2021年3月31日 (水)

プレバト「春の俳句タイトル戦」について、「学問のすすめ」

   

Dsc_4031_2

プレバト春の俳句タイトル戦(お題:「じゃんけん」)で横尾渉(Kis-My-Ft2)さんが「浜風光るスクイズの土埃」と季語「風光る」を巧みに使ったユニークな発想の俳句で1位を獲得しました。

  

夏井先生の裁定は「添削なし」ですが、原句は散文の断片のような俳句なので、5・7・5の定型を重んじる伝統俳句の観点からすると、

スクイズや浜風光る土埃と表現したいところです。

     

この俳句とは無関係でしょうが、横尾さん等の俳句が「21年度中学国語の教科書副教材(明治図書出版、一般購入不可)に掲載される」とのこと。   

 

どのような俳句が、どのような解説で掲載されるか知りませんが、「俳句とは何か、生徒が誤解をしないように、俳句の歴史と現状を正しく教える内容であってほしい」と思うのは薫風士だけではないでしょう。

      

この記事は「文芸批評」であり、「添削」ではありませんが、タイトルだけを読んで批判した方なのか、薫風士に謂れのない悪態を吐き、「他人の俳句を無断で添削するものではない」と、「俳句HAIKU」の記事「プレバト 夏井先生の添削を添削する」について、削除を要求されましたが、そのような不当な要求に応ずる気はありません。

   

夏井先生と同じように、薫風士は「奥の深い俳句の敷居を低くして、初心者に俳句の面白さを知ってほしい」との熱い思いでこのささやかな俳句ブログ「俳句HAIKU」を書いているからです。

  

このような不当な要求をされた方が「いつき組」の方なら、コロナ禍の鬱積を発散するのに悪態を吐きたくなるのは分からないではありませんが、やみくもに悪態を吐くのはお勧めできません。

   

俳句は好き好きですが、悪態」は俳句にならず川柳になりがちでしょう。

 

山口誓子の俳句「学問のさびしさに耐へ炭をつぐ」の良さは、暖房など生活環境の違う現在の若者には理解し難いでしょうが、お勧めしたいのは、「学問のすすめ」です。  

  

とは言っても、蕪村の俳句(俳諧)に「学問は 尻から抜ける ほたる哉」とあります。

 

「何事も踏み込んでよく考えよ!」ということでしょうね。

  

ほうたるや耳学問の老の日々

       (薫風士)

    

どうぞ「組長の夏井先生」によろしくお伝え下さい。

  

薫風士の俳句ブログに俳句愛好家のご理解とご支援を頂ければ嬉しいですが、コメントなどもご投稿頂けると有難いです。

 

詳細は、ここをクリックして、「お手本のリズム音痴や熱帯夜」のコメント欄を、スマホでご覧の場合は、その開いた記事の最後の小さな文字の「コメント(・・・)」をタップして、ご覧下さい。)

    

Dsc_4033_2

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

   

2021年1月28日 (木)

大寒の俳句(コロナ禍の緊急事態宣言・国際同盟に思うこと)

  

Photo_2

トランプ米国大統領の「アメリカファースト」(実は「ミーファースト」か?)の政権がようやく終ることになりホットしています。

しかし、次期大統領が余程しっかりした政治をしなければ、4年後が更に恐ろしいことになるでしょう。

   

大寒やコロナ禍憂ふポピュリズム 

 非常事態には強力な指導力が必要ですが、権力欲塊の独裁者が出現しないことを祈っています。

   

大寒や老は家居にコロナ避け 

リモートワークが不可能な現役世代は止むを得ないでしょうが、引退した高齢者は「家居」(「ステイホーム」)で自衛しましょう。

    

大寒や老は順縁諾ひて

医療崩壊の危機が迫っています。「逆縁」を起こさないように、高齢者は近場の散歩で「まんぽ俳句」を口遊みながらコロナフレイルとコロナ感染を防ぎつつ、家居に撤しましょう。   

  

究極のLOVEの哲学冬籠

「応急処置」と「長期的対処法」を考え、適切に対処しましょう。 

   

いつの世も砦は皆の良心よ 

「科学技術」など、あらゆる分野で高度化・専門化した現代社会では人々の良心が最後の頼りです。そして、自由に物が言える民主主義を堅持し、人々が発言すると同時に他者の声に耳を傾けることが非常に大切です。

    

(上記の5句は薫風士の俳句と川柳です。青色の文字をクリックして記事をご一読下さい。)

   

菅首相は、「GoToトラベル」の年末年始の全国的一時的停止に関連して、「私も素人。専門家の提言に基づいて決めている」と説明したとのことですが、

「学術会議」のメンバー選定については、素人でなく、科学的ないし専門的知識・能力があるということでしょうか?

「まやかしの発言」は安倍政権から引き継がないで、「透明性」と「言葉の重み」を尊重して下さい。

   

菅首相は「限定的」「集中的」に「緊急事態宣言」の実施・飲食店の休業・営業自粛を要請しましたが、ワクチンや治療薬の普及には未だ未だ日時を要するでしょうから、下記のような対策を講じない限り、新型コロナウイルス拡散防止の効果も経済効果も一時的なものとなり、「緊急事態宣言」を一旦解除しても再宣言をする度に感染の拡大規模が大きくなるでしょう。

「緊急事態宣言」の順守を徹底するために政府は罰金などの罰則規定を検討しているようですが、現在の宣言内容で従わない者に対する安易な「罰則規定」をすることには反対です。

正直者が馬鹿を見ることのないように、「Go Toトラベル」が再開された時に安心して利用できるように、永続的な効果のあるコロナ対策を次のように実施してほしいものです。

   

「新型コロナウイルス感染防止の対策マニュアル」を整備し、

適合するホテルやレストラン、居酒屋、喫茶店などを認定し、

認定基準適合の準備に要したコストの一部を補助し、

「コロナ対策Bグルメ店」とか、「コロナ対策三ツ星店」とか、「三密防止対策認定店」など、

実態に応じ適切な呼称でコロナ対策を奨励する。

   

「認定基準」は「一律に5人以下」などとせず、「店ごとの定員」や「部屋ごとの定員」などを規定して、

一般に公表するとともに、店の来客が自然にチェック出来るように店頭に公示することを義務化し、

公式のパトロールなどのチェック体制も整備する。

認定基準を順守しなかった店や補助金需給申請に偽りがあった場合の罰則等をしっかり規定する。

  

このような新型コロナウイルス対策をすると、

「安いから行くのではなく、安心できるから行く」という客が増えて、

真面目に営業している店が繁盛することになり、経済効果も上がるでしょう。

  

具体策は、与党政治家や専門家会議のメンバーのみならず、レジャー・旅行・飲食店などの関連の専門学者や経済学者などが協議して、一般市民の声も取り入れ、きめ細かく検討して決定し、将来に備えてしっかりした法制化をしてほしいものです。

    

野党は与党批判に終わることなく、国民のための政策提案を積極的に推進しなければ、支持率は低迷のままで推移するでしょう。自分たちの支持率の低迷を棚上げにして、菅政権の支持率の低下を喜んでいるようでは話になりません。

  

ここをクリックして薫風士のコロナに対する思い「俳句・川柳特集2020」をご覧下さい

  

Dsc_3511a2021011319_2Dsc_3526Nhkdsc_3518Dsc_3521

   

    

  

   

     

写真は、NHKなどTV画面の一部です。

写真はタップ・拡大してご覧になれます。

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

  

同窓会・クラス会の俳句と川柳(改定版)

   

思い出の写真俳句を作ろう!  

まんぽ俳句を楽しもう

  

(2025.3.27 更新)

20250326_115351_2

ここをクリック(タップ)して、「俳句《卒業・卒園・卒業式》」をご覧下さい

  

流星や待ちし友来ぬクラス会

折鶴を広めし友や流れ星

スペインの夏の星なり逝きし友

       (薫風士)

  

冒頭の俳句は、大学のクラス会などを詠んだ拙句です。

 

20250326_123235

_054344_2

これらの写真は丹波の福田屋で開催した小学校同級会のバナーや神戸で開催した高校の阪神地区同窓会の案内パンフレット(一部分)などですが、薫風士が世話人の「まん歩ネット俳句会」の参加者を募るなど、歓談しました。

  

 (俳句)  

残菊や先ず黙祷の同期会

待春同窓会の友忍ぶ

     

(川柳)

同窓会あれ誰だっけ開始時

同窓会馴染の顔で中締めに

     

掲句は薫風士俳句と川柳です。

俳句《代田・植田・青田》」や「丹波路の森のひととき水遊び(俳句と写真)」、俳句《花は葉に》OB会」、「俳句 HAIKU: 大寒の俳句(コロナ禍・国際同盟に思うこと)」などをご覧下さい。

(青色の文字をクリックすると記事をご覧になれます。)

  

(2021.1.28 の記事)

新型コロナウイルス発生の数年前に開催したクラス会のブログ記事がWEB検索結果のトップにリストされていたので驚いて、コロナ禍の宴会自粛が要請されている時節柄、旧聞でも誤解されてはいけないので、念のために下記の通り「チュヌの便り」を「俳句HAIKU」(現在のブログタイトル)に改訂して、再掲載することにしました。

  

5月26日に杉本さんの幹事で神戸元町の東栄酒家で開催されたクラス会は9人が出席し、在学当時のことや卒業後の出来事など思い出話に2時間が瞬く間に過ぎました。

二次会でも話は尽きず、次回は秋田さんの幹事で来年9月9日頃に岡山方面でしようということになりました。

出席者の元気な姿を携帯カメラで寫したので掲載します。

      

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

    

Sn3u0678

Sn3u0679

Sn3u0681

Sn3u0683

Sn3u0684

Sn3u0692

Sn3u0693

Sn3u0695

 

2020年10月19日 (月)

破蓮や二千年経し大賀ハス(綾部の蓮池吟行)

    

20201013

2020年10月13日に句友と綾部市の岩王寺や若宮神社、長福寺、極楽寺の蓮池など、吟行向きの観光スポットを巡りました。

(青色文字をクリックすると綾部市観光ガイドの解説など、関連の記事や例句をご覧になれます。)

(神宮山)岩王寺は「茅葺の寺」とも呼ばれるように山門も御堂も茅葺のユニークな屋根ですが、「しゃくおうじ」という呼称は、「寺の奥から産出した石で作った硯を嵯峨天皇が愛用されたこと」に由来しているそうです。  

参道の石段は苔むして、山門の素朴な仁王像は片手が折れたり朱色が剥げたりし、御堂の屋根に小さな雑木が生え薄黄葉になっているなど、寺の歴史を感じました。

   

朱の剥げし阿吽の仁王秋の声

  

秋深む苔むす磴の硯石

  

薄紅葉御堂の屋根に小木生え

  

若宮神社は龍の彫刻がユニークですが、それを小さな狛犬が恰も見上げているように感じました。

 

狛犬の見上げる龍や宮の

     

長福寺の観音堂は観音菩薩像が33体も安置されており、屋根の構造などもユニークです。

  

絵馬堂の旧りし扁額秋の風

  

観音のもたらす奇遇秋麗

  

句心を繋ぐ観音秋深む

 

敗荷に耽る感慨極楽寺

    

  タイトル俳句の「大賀ハス」については冒頭の写真をタップ拡大して解説をご覧になれます。

蓮は実も枯葉も蓮根と同じ空洞があり、泥に生まれて美しい花を咲かせることで釈迦の説法に用いられていますが、釈迦如来像の台座の形状にも蓮の花が取り入れられたことに、今更ながら認識を新たにしました。

破蓮」は、「敗荷」と同じ秋の季語で、「やれはす」とか「やぶれはす」と、俳句のリズムを整えて読みますが、俳句では散文のように「破れ蓮」と書かないで、「送り仮名」の「れ」を省略して簡潔にするのが普通です。

     

由良川の流れざるごと秋の雲

  

秋水の行方見違ひ一議論

  

金風「ゆらり弁当」食み句会

  

丹波路の流れも愛でて秋の句座

   

吟行に丹波の秋を惜しみけり

     

地元の句友の丁寧な案内で秋の吟行をエンジョイすることが出来ました。

  

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事のタイトルが表示され、この「俳句HAIKU」をタップすると最新の全ての記事のタイトルが表示されます。タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。

  

Dsc_2718Dsc_2721Dsc_2722Dsc_2734Dsc_2744Dsc_2765Dsc_2778Dsc_2760Dsc_2804Dsc_2796Dsc_2798Dsc_2810Dsc_2826Dsc_2813

 

      

2020年9月30日 (水)

(秋彼岸の俳句)夏井いつき先生の添削を添削する(特集)

     

(P.S. 2022.10.17)

お題「大谷翔平」を詠んだ昇吉さんの俳句「白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち」の推敲記事を書きました。

プレバト『金秋戦2022』の俳句を考える」をご覧下さい。

   

2122_2

(写真)

4ch.TVの一画面

         
2022年9月22日のプレバトは、「プレバト俳句 47都道府県 ふるさと王争奪戦」とかいう新企画の「写真俳句」番組でしたが、夏井先生の査定や添削も納得できる興味深い番組でした。

    

「俳句HAIKU」の写真俳句は、「吟行地を紹介し、読者が写真を自然に見立てて疑似吟行をする参考になること」を意図していますので、プレバトの写真俳句と趣旨が異なります。

誤解されないように念のために急遽このP.S.を追加しました。

       

(2020.9.30)

Dsc_2459_2

(写真)4ch.TV画面の一部分   

  

   

WEBで「俳句の先生」や「プレバト」などを検索すると、夏井いつき先生を持ち上げる記事ばかりなので、最近は熱さましの記事を書いてバランスをとることも必要だろうと思いながら「プレバト俳句」を視聴しています。

プレバト梅沢富美男永世名人の俳句「秋彼岸」の夏井先生の添削が実務派薫風士の目にもイマイチという感じがしましたので、僭越ながら次の通り再添削を提案することにしました。

「エンタメ番組の俳句に素人が向きになるとは、馬鹿な奴だな」と、冷笑されそうですが、俳句愛好家から何らかのコメントを頂ければ望外の喜びです。

   

(永世名人の原句)

口立てのカセットの声秋彼岸

  

(夏井先生の添削)

カセットに父の口立て秋彼岸

  

「口立て」とは、広辞苑によると、「定まった脚本が無く、俳優同士の簡単な申し合わせで、台詞その他その場の思いつきで演ずる芝居」のことです。

   

夏井先生は「秋彼岸」と言えば、「死んだ父のことだとわかるだろう」と断定していますが、広辞苑によると、「秋彼岸」は、「秋の彼岸会」、「秋分の前後1週間」のことですから、断定はできないでしょう。

   

プレバトの視聴者は、永世名人の解説を聞いていますから、夏井先生のこの添削句の意味が分かるでしょうが、視聴者でない一般の読者には、この俳句は「秋彼岸に父がカセットに口立てを吹き込んだ」ことを詠んだものと解釈する可能性もあります。

   

次のように語順を変えると、「亡父の口立てがカセットにある」ことが明瞭になり、誤解の余地がなくなるでしょう。

  

(薫風士の添削)

カセットに口立ての父秋彼岸

   

詩心のある読者なら、「カセットに父がいるなんて、馬鹿な!」などという文字通りの解釈はせず、「父とは亡父の声の比喩である」と理解するでしょう。

俳句の語順が大切なことの例句になるのではないでしょうか?

   

この他に、プレバト俳句の夏井いつき先生の添削について次のとおり記事を書いています。

青色文字のタイトルをクリックしてご覧下さい。

    

俳句の鑑賞  <老鶯・夏鶯・残鶯・乱鶯>

   

プレバト Kis-My-Ft2 さんの『遠雷』の俳句を考える

 

お手本のリズム音痴や熱帯夜

    

プレバト「炎帝戦」・「ポイントカード」の俳句を考える

 

添削は「作者の思い」を大切に!(プレバト視聴者の感想)

 

俳句の添削  <作者の「思い」を生かしてほしい>

  

プレバトの俳句「鏡」「も」と「を」 

  

プレバト俳句の「運動会・秋声」について一言

  

俳句:「こいのぼり」・「鯉のぼり」・「鯉幟」

    

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

 

   

2020年8月30日 (日)

Haiku about rings made by water-striders (See pictures.)

    

・水黽の水輪をちこち映ゆる空

 (amembo-no mizuwa-ochikochi hayuru-sora)

     

 rings made by water striders

 here and there

 on the reflected sky

   

・水黽の水輪をちこち空映ゆる

  (amembo-no mizuwa-ochikochi sora-hayuru)

  

  the clear sky reflected,

  here and there

  rings made by water-striders

      

Appreciate the diferrences in the meaning according to the difference in the word order of the Japanese haiku. 

   

Click and enlarge the pictures to find the rings made by water-striders. 

20200828

Dsc_1933

Dsc_2057

  

    

      

  

  

   

   

Click the following URL to see "Bashō's haiku in Japanese and English by L. P. Lovee":

http://www.haiku-hia.com/about_haiku/basho300_en/archives/300-01_en.html#preface_en

  

2020年8月29日 (土)

プレバト Kis-My-Ft2 さんの「遠雷」の俳句を考える

    

Dsc_1918_2

Dsc_1917

    

 

  

   

(写真は「プレバト」TV画面の一部分です。)

            

・遠雷の夜汽車カカオの奴隷史 

  
横尾渉(Kis-My-Ft2)さんの「遠雷」の俳句について、夏井先生は次のような句評をし、「名人5段に1ランク昇格」の査定をしました。

夜汽車に乗っている人物が本を読むに違いないと読み手が想像できる。

1音足して17音にするのは簡単。前半で「よ」の詠嘆か、後半に「は」で余韻を残す方法がある。言葉を1つ入れると全体のバランスが崩れ、16音でいく2つのバランスで押し出すことで、最初の季語が主役として読み手の心に残るのではないかと作者が判断した。

かつての「奴隷史」を今年句に詠む意味も、若い作者が詠む意味も、心の中に深く受け止められる。これこそ直すとダメ。

  

上記の如く、夏井先生は「作者が判断した」・「直すとダメ」と字足らずの原句をそのまま是認していますが、この査定に「さすが夏井先生だ」と、納得しましたか?  

 

この俳句を定型にするのに助詞の「よ」とか「は」を足すのは、仮にエンタメ俳句番組の為にするにしても、論外の文法音痴・リズム音痴な添削です。

  

このような添削の前置きで視聴者の「目くらまし」をして、寸足らずの16音の俳句に対して、「勇気がある決断」と持ち上げ、「昇格」の査定をするのは、「プレバト俳句の名人レベル」のエンターテインメントにせよ、如何なものでしょうか? 納得できません。

  

夏井先生は、「夜汽車に乗っている人物が本を読むに違いないと読み手が想像できる。」と断定していますが、「カカオ奴隷史」という有名な本があるわけではありませんから、「夜汽車」を「奴隷の移送」に関連付ける解釈も可能です。

  

(注)

米国における蒸気機関車の鉄道運行は1830年代に始まっていますが 、リンカーンが「奴隷解放宣言」をしたのは1862年です。

  

プレバト番組では作者が句意を解説しているから視聴者には「読書」と分かりますが、一般の人々がこの句を解説無しに初めて読んだ場合には、上記のとおり句意が不明瞭でしょう。

俳句は「なぞなぞ」ではありません。軽み」が俳句の特徴の一つです。

あなたには、原句の句意が直ぐに分かりましたか?

  

次のように添削すると、作者の「素晴らしい発想」を生かして、その句意を反映するまともな伝統的俳句に修正出来るのではないでしょうか?

    

 (A) 遠雷やカカオ奴隷史読む夜汽車 

 (B) 遠雷やカカオ奴隷史手に夜汽車 

 (C) 遠雷の夜汽車に読むやカカオ奴隷史

 (D)遠雷の夜汽車に読みしカカオ奴隷史

 (E)遠雷の夜汽車に読まんカカオ奴隷史

     

最近は、インターネットの絵文字や漫画、Twitterなどの便利さの影響で言葉を上手に使うことが下手になったのか、「人目を惹く奇抜さ」を狙っているのか、「舌足らずの稚拙な小児的表現」や「奇抜などぎつい表現」・「日本語の美しさや豊かさを疎かにする表現」が多くなっているような気がしています。

  

プレバト俳句もそのような影響を受けているのでしょうか?

 

それとも、「自由律俳句」の師系の影響を受けているのでしょうか?

 

正岡子規は彼の世でこのような傾向をどのように思っているでしょうか?

  

いずれにせよ、上記の定型俳句(A)や(B)では「インパクトが無い」と、ご不満でしょうか?

カカオ奴隷史」を強調するには、(C)や(D)のように字余りの俳句にするのも一案です。

(C)は夜汽車で現に読んでいる状態、(D)は夜汽車で読んだ「カカオ奴隷史」を読み返しているか、思い出している状態を詠んだものと言えるでしょう。

しかし、説明的・散文的に「下五」が重く響き、気に入りません。

(E)のようにすると、「カカオ奴隷史」を「今から夜汽車で読もうとする作者の意気ごみ」が感じられますが、題材に比して力が入りすぎた大げさな感じがします。

  

俳句は好き好きですが、薫風士の好みとしては、読んでいる状態なら(A)、これから読もうとしているなら(B)が良いと思います。

  

貴方なら、どのように添削しますか?

     

余談ですが、アメリカのトランプ大統領やその支持者の意識は黒人を奴隷にしていた西部劇時代から変わらぬ「白人優先」・「黒人蔑視」のようですね。

 

11月の米国大統領選挙は共和党の「トランプ」 vs 民主党の「バイデン」で実施されます。

 

安倍晋三総理大臣が潰瘍性大腸炎の再発で突然辞任することを8月28日午後に表明されました。

「お疲れさま!」、お大事に治療に専念されることを祈ります。

 

「お疲れさん」は医者や医療関係者の挨拶のようです。

 

コロナ対策で先ずして頂きたかったことは、「アベノマスク」の配布よりも、医療従事者の「働き方改革」の支援でしたね!

 

次期大統領と次期総理大臣は独裁国に牛耳られずに対話ができ、コロナ対策世界の平和・良好な日米関係を維持するのにふさわしい人物が選ばれることを切望しています。

  

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

  

2020年8月28日 (金)

五歳児の口癖「あきた」夏休み

    

(2025.3.25 更新)

成長の祖母祖父離れ夏休み

          (薫風士)

  

Dsc_2009

青色文字「歳時記」をクリックすれば、「夏休み」の俳句をご覧になれます。

     

  

今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のために「3密」を避けることや「不要不急の外出」を自粛することが要請され、春休みや夏休み以外にも幼稚園が閉園となり、孫を預かって遊び相手をする日々が多くなり、現代の「子育て」の大変さや悪戯盛りの子供の「躾」の難しさを再認識しました。

成長盛りの子供は悪戯好きですが好奇心も強く、色々なことに興味を持ち、「なんで?」と質問を繰り替えし、新しく覚えた言葉は煩いほど何度も繰り返します。

「五目並べ」を教えると、腕前も一人前になり、口真似の専門語も口にするようになり、こちらの結構な遊び相手になって呉れました。

しかし、子供は子供です。

最近は「もう飽いた」と口癖のように言って、子供用のゲームや自分で勝手に遊び方を工夫したゲームなどの方が面白いようで、こちらの誘いには乗らなくなり、結局孫の言いなりのゲームに付き合うことになりました。

  

 夏休み孫は来て良し去りて良し

        (薫風士)

          

タイトルの俳句は「てにをは」を省略していますので、「口癖」の「あきた」に括弧が無ければ、「孫の口癖に薫風士が飽きた」という意味にも解釈できます。

  

夏休み飽きた飽きたと幼孫   

夏休み終り子供ら嬉々として

   

幼稚園や小学校など、コロナ禍の休園や休校の授業の遅れを取り返すために夏休みを短縮して8月24日から2学期が始まり、休みに飽きた子供たちは喜んで登園・登校をしているようですが、コロナの感染・クラスターが発生しないことを祈るばかりです。

  

「子育て」に励んでいる方々のご尽力に敬意を新たにしています。  

ここをクリックして「本との出会い <母と子・優しさと厳しさと>」をご一読下さい。

子育て・教育関係者のご参考になればうれしいです。

  

Img_1374

(2年前に撮った写真なのでマスクをしていません。ワンちゃんも水遊びをしています。クリック・拡大してご覧下さい。)

   

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。記事のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。

  

2020年8月18日 (火)

お手本のリズム音痴や熱帯夜

       

Haiku_20200815

プレバト・永世名人の『サンダル』の俳句を考えるや「プレバト『炎帝戦』・『ポイントカード』の俳句を考えるで夏井先生の添削について批評をしましたが、プレバト俳句番組の例句が教科書に載るほど人気があり、梅沢富美男永世名人の俳句が「俳句のお手本」として句集に採用されるとなると、「俳句は好き好き」とは言え、夏井先生の添削や原句の問題点を黙って見過ごすわけにはいかず、この記事を書いています。

  

「プレバト」の関係者・視聴者、「俳句HAIKU」の読者などのご参考になれば幸いですが、何らかのコメントを頂ければ望外の喜びです。

  

(梅沢富美男永世名人の原句)

読み終へて痣の醒めゆくごと朝焼

   

(薫風士の添削案)

(A) 読み終へて朝焼に褪む肘の痣

(B) 読み終へて褪むる朝焼け肘の痣

(C) 読み終へば朝焼けのごと痣褪むる

(D) 読み終へて朝焼けのごと褪めし痣

 (E) 読み終へば褪めゆく痣のごと朝焼

    

梅沢富美男永世名人の原句は、着想が斬新で面白く、個人的に楽しむのは結構ですが、日本文化の伝統である俳句の 「お手本」にはすべきでないと思います。

  

原句は「痣がさめるように朝焼けも消えてゆく」という句意でしょうが、「三段切れ」・「字余り」の破調であり、「醒めゆく」は漢字が不適切なので、解説が無ければ意味不明瞭でしょう? 

  

添削案(A)と(B)は、「客観写生」で「痣のさめる」のと「朝焼のさめる」のが似ていることは読者の想像に委ねたつもりですが、そのような連想を期待するのは無理かもしれません。

 

(C)と(D)が原句の句意に近い添削です。

「朝焼」より「痣」を中心にしていますので作者は不満かもしれませんが、原句の上五の「読み終へて」から最後の「朝焼」の流れには文法的に無理があり、また、自然現象として「痣」より「朝焼」の方がインパクトがありますので、分かりやすくするにはやむを得ない添削です。

 

(E)は最も原句の句意に沿った添削ですが、季語「朝焼」の説明をするために「字余り」の「破調」にするのは馬鹿げています。

  

朝焼」の風景は様々ですから、人それぞれに大自然の美しさを愛でれば良いでしょう。

  

「朝焼」を「痣のごと」と矮小化するのは、面白い発想ですが、本末転倒だと思います。

  

一般論として逆転の発想の重要性を云々するとか、初心者や「凡人」の俳句に対する励ましのセリフならともかく、「新しい発見だ」とか、「新境地だ」とか言って、このような俳句を「永世名人」の「俳句のお手本」として大げさに持ち上げるのは、「プレバト」を盛り上げるためかもしれませんが、感心できません。

  

夏井先生はエンタメ俳句番組のタレント先生としては秀逸ですが、このような俳句を「俳句のお手本」として教科書掲載に推薦するとすれば、先生ご自身の俳句査定能力の査定が必要になるでしょう。

  

あなたならどのように添削しますか?

 

薫風士の添削は「平凡で面白くない」と思いますか?

  

俳句雑感(7) 金子兜太の『炎天』の俳句について」や俳句雑感(3): 俳句のリズムを考えるなどで述べたように、「字余り」や「破調」の俳句は、そうすることに表現上の必然性がなければなりません。

 

さもなければ、タイトルの「リズム音痴」とか「文法音痴」は言いすぎでしょうが、「単なる稚拙な俳句」か「奇をてらっている俳句に過ぎない」と言えるでしょう。

  

「俳句は下手だがビジネスが上手かったに過ぎない」と、高浜虚子の非難をする俳人や評論家が居るようです。

  

夏井先生もTV番組などの人気に胡坐をかいて、一方的な俳句の才能の有無査定やランク付けをしていると、その立派な初志とは裏腹に、「株式会社 夏井&カンパニー」で「タレントを集め」て「金儲けをするのが上手かっただけだ」などと、高浜虚子の「ホトトギス」どころではない、酷い非難をされることになるかも知れませんよ。

 

エンタメ俳句番組としても、若い世代の俳句教育の為にも、(自戒を含め)「初心を忘れるな」、「基本を大切にせよ」と、しっかりご指導をお願いします。

 

「三省堂」の関係者も教材に採用する俳句や添削の仕方の実例は慎重に検討して、俳句愛好者の期待を裏切らないようにして下さいね。

  

薫風士は「夏井組」の組員ではありませんが、「俳句を一般の人々が楽しめるものにしたい」という思いで、「夏井組」の応援をしているつもりです。  

 

タイトルの俳句は、このところ「猛暑日」・「熱帯夜」が続いているので、この記事をよく検索してもらえる可能性のあるキーワード「熱帯夜」を「季語」として入れたものです。

  

下窓を開けて凌ぐや熱帯夜

        (薫風士)

   

「WEBは巧みだが俳句は下手だね」などと批判されるかもしれませんが、このブログの薫風士の俳句は「俳句のお手本」ではなく、多くの方方に「俳句の面白さ・楽しさ・奥の深さ」を知ってもらうことを意図しています

  

虚子の俳句『去年今年貫く棒の如きもの』の棒とは何か?」をご覧下さい。

         

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

    

2020年8月 9日 (日)

プレバト「炎帝戦」・「ポイントカード」の俳句を考える

  

Dsc_1806

フルーツポンチ村上さんとFUJIWARA藤本さんの俳句に対する夏井先生の添削が中学3年生用の三省堂教科書「現代の国語3」に掲載されるとのことです。

     

プレバト・永世名人の『サンダル』の俳句を考えるで夏井先生の添削について批評をしましたが、プレバト俳句番組の添削が教科書に載るほど人気が高いだけに、炎帝戦の「ポイントカード」の俳句添削の問題点も黙って見過ごすわけにはいかず、僭越ながらこの記事を書くことにしました。

  

TV番組の時間的制約のせいかも知れませんが、夏井先生は忙しすぎて添削が雑になっているのではないでしょうか?

エンタメ番組にせよ、俳句の先生として手抜きをせず、しっかり添削指導をして頂きたいですね。

  

俳句は好き好き」「よみびと次第」ですが、このブログ記事が「プレバト」の視聴者や「俳句HAIKU」の読者の何等かの参考になれば幸いです。

   

(村上健志10段の原句)

・蛾の骸 ポイントカードで 掬いけり

  

(夏井先生の添削)
・蛾の骸 掬う ポイントカードの端

  

(薫風士の添削案)

・蛾の骸 ポイントカードに 掬ひけり

蛾の骸 ポイントカードに 掬ひたり

 

原句は散文的なので、助詞の「で」を「に」に替えた方が「蛾の骸」のイメージが強調されると思います。上五の後に、「切れ」を入れて読むと、中七の字余りは然程気になりません。

夏井先生の添削では中七の字余りは解消されますが、「蛾の骸」より「ポイントカードの端」が強調され、作者の思い・原句のニュアンスが損なわれる感じがします。

「けり」は過去のことの詠嘆です。「たり」にすると「現に上手く掬ったこと」を詠嘆的に表現していることになり、中七が字余りでも、作者の原句の意図が表現されて良いと思います。

5・7・5の定型を重視するか、詩的内容を重視するか、選者の拘りや俳句の出来栄え次第ですが、松尾芭蕉蕪村、高浜虚子の俳句など字余りは珍しくなく、正岡子規が「字余りの和歌俳句」で述べている如く、字余りは内容次第で問題ありません。

貴方は「形式」と「内容」のどちらを優先されますか?

なお、助詞「で」は、広辞苑によると、平安時代から用いられていますから、原句を「で」に合わせて口語表現に替える必要はありません。

旧仮名遣に統一する方が、句意の誤解を防ぎ詩的になり、良いと思います

   

(東国原英夫10段の原句)

・ポイントで もらひし蛍 なほいきる

 

(夏井先生の添削)
・ポイントで もらった蛍 なほいきる

 

(薫風士のコメント)

上記の通り、助詞「で」は平安時代から用いられていますから、原句を「で」に合わせて口語表現に替える必要はありません。

歴史的仮名遣の「もらひし」を口語表現の「もらった」に修正するなら、「なほ」も「なお」に変更して、現代仮名遣に統一すべきでしょう。

「いきる」は「生きる」と漢字で表現する方が良いと思います。

   

(梅沢富美男 永世名人の原句)

・行合の空の 御朱印めぐりかな

   

(夏井先生の添削なし)

 直しなし

 

(薫風士の添削案)

・行合の空に 御朱印めぐりかな

  

「の」を「に」に修正する方が「行合の空」が強調されて良いと思います。

    

(千原ジュニア初段の原句)

・消しゴムに 彫刻刀の 彫る花火

 

(夏井先生の添削)
 直しなし

   

(薫風士のコメント)

「消しゴム」に「彫る」のは自分であり、「彫刻刀」を使うのは当然でしょう。「彫刻刀」は擬人化しても無駄な語句であることに変わりありません。「どのような花火を彫ったのか」・「花火をどのように彫ったのか」などが分かる語句を「彫刻刀」の替りに用い、語順なども推敲すると、もっと良い俳句が出来るでしょう。

  

例えば、次のような推敲句はどうでしょうか?

・消しゴムにジャックナイフの彫る花火

  

千原ジュニアさん、「ジャックナイフ」は貴方のニックネームだったことを夏井先生が知っていると、上記の推敲句ならシード権内に入れてくれたのではないでしょうか? 

この記事は「お笑い」のネタにされるかもしれませんが、もしご希望ならマジで添削・推敲のアドバイスをしますよ   

(冒頭の写真は4Ch. TVの画面の一部分です。)

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事のタイトルが表示され、この「俳句HAIKU」をタップすると最新の全ての記事のタイトルが表示されます。タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。

  

2020年8月 8日 (土)

鎮魂の鐘殷殷と広島忌

  

(P.S. 2022.8.6)

今朝、被爆77年目の「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」が恒例の如く行われ、国連代表として参列したグテーレス事務総長の挨拶などをNHK-TVライブ放映で拝聴し、どなたの挨拶にも共感しましたが、何方も触れられなかった世界平和実現の基本問題を指摘したいと思います。

 

それは、「核廃絶」と同様に人々の意識が変わらない限り実現不可能な課題ですが、「既存の宗教を超越し、21世紀の科学に基づいた普遍的な宗教心を持つこと」です。

  

旧統一教会」・「世界平和家庭連合」と政治家の関係は卑近な例ですが、問題を矮小化せず、恒久的平和へ根本的解決をする地道な努力を世界に広げましょう

    

ままならぬ効を焦らず広島忌  

梅東風や届け世界にこの思ひ

(青色文字をタップして、リンク記事をご覧下さい。)

         

(2020.8.8)  

Let's join in the campaign: "No more Hiroshima! No more Nagasaki!".   

8月6日は被爆から75回目の「広島忌」・「広島平和記念日」です。   

     

コロナ禍の式典侘し原爆忌  

No more の叫び繋ごう Hiroshima忌

      

(掲句は薫風士のタイトル俳句擬きの即興句です。)

英語やローマ字を俳句に用いるのは一般には認められませんが、上記の俳句は平和首長会議の「No more Hiroshima!」を俳句に取り込みました。

クリックして被爆者の生の声をお聞き下さい。

 

869祈り繋ぐか原爆忌 815祈り繋がむ終戦日」は薫風士のブログのタイトル句ですが、クリックして是非内容をご一読下さい。皆さんの思いに通ずるものがあると思っています。

    

(写真)日本経済新聞電子版の記事の一部

Dsc_1805

20200806

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

       

2020年8月 6日 (木)

冷酒酌み初物愛でるミニトマト

       

Click here to see "Bashō's haiku in Japanese and English by L. P. Lovee".

   

(2024.7.14タイトルなど更新)

初物をお裾分けすやミニトマト

 

20200727

ささやかでもコロナ禍の地産地消を実践・推進しようと、2020年4月に、狭庭の菜園作りを詠んだ俳句「春耕やコロナウイルス遣り過ごし」のブログを書きました。

  

春耕の美女はマスクにコロナ避け」の女性のように、本格的な野菜作りなどを楽しんでいる方々も少なくないでしょう。

 

いずれにせよ、コロナ対策を詠んだ拙句に、定年後の「withコロナ」の新しいライフスタイルとして、共感してくれる方は沢山おられるだろうと思います。

  

地酒愛づ句友のくれし苦瓜に

  

句友は野菜作りもベテランのようですが、コロナ禍の外出自粛中の暇を活用して手作りの写真入りの句集も出版しています。

  

薫風士の菜園は畑とは言えない小さな花壇のようなものですが、お陰様でそれなりに春耕の効果があり、トマトやキュウリ、茄子、シシトウなど、毎日新鮮な野菜を食べ、食べきれないと野菜ジュースにして飲んでいます。

スイカも三つ四つなっていますのでいずれ食べれるように大きくなるだろうと、日々の成長を楽しみにしています。

  

冷酒にはシェリーグラスか江戸切子    

冷酒とてシェリーグラスの似合ふ瓶  

江戸切子美味さ一入冷し酒  

冷し酒枡のグラスを溢れをり

         (薫風士)

「冷酒」や「冷し酒」は夏の季語ですが、年中冷酒をコップで飲んでいる人も居るようです。

  

広辞苑によると、「切子」は「切籠灯籠」の略なら「秋の季語」で、「切子ガラス」の略なら「夏の季語」です。

  

結社の俳誌などに投稿する場合は、季語に拘るなど、選者の好みを知って季語の使い方を研究しておくと良いでしょう。

選者によっては「寺」を詠んだ俳句は採らないとか、「コロナ」を詠んだ俳句は採らないというような事もあるようです。

  

一般に句作を楽しむには、「歳時記」などの季語にあまり捉われず、感じたことや見たことなど、「自分の思い」を「5・7・5」で表現することにより「俳句のリズム」を身につけることが、俳句上達の早道ではないでしょうか?

俳句のリズムが身につけば、多作多捨・推敲が容易になり、そのうちに選者好みの俳句や、個性的な良い俳句が作れるようになるでしょう。

  

写真の酒は薫風士が日頃紙パックの安酒を飲んでいるのを見て、お中元に俳句に所縁のある西山酒造の枝豆入り冷酒セットを京都の親戚から贈ってくれたものです。   

(青色の文字をクリックして、「歳時記」の俳句、関連のリンク記事などをご覧下さい。)

     

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事が掲示されます。

   

20200804

20200727_2

Dsc_1769

Dsc_1621

Dsc_1625

2020年7月31日 (金)

蝉しぐれコロナコロナに明け暮れて

Dsc_1761

Click here to see "Bashō's haiku in Japanese and English by L. P. Lovee".

  

リビングの窓の外に羽化したのか、蝉がいましたが、今年初めての蝉時雨を「スポーツの日」(7月24日)に聞きました。

今年はオリンピック・パラリンピックが開催される予定で、「スポーツの日」が特例として10月でなく7月に設定されましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大が続いているために残念ながらオリンピックの開催は1年延期されました。

コロナ禍のGoTo迷走鵯巣立つ」で述べたように、ワクチンや治療薬が開発され、医療体制が整備されてパンデミックの拡大が収束しない限り、来年もオリンピック開催すべきではないでしょう。 

   

梅雨になればカビが生えるように、スペイン風邪や新型コロナウイルスのようなウイルスも一定期間潜んでいてもまた形を変えてパンデミックを引き起こすでしょう。

経済成長一辺倒でなく、医療体制は現在のコロナ対策の応急処置のみならず、長期的観点で根本的な改革をして将来に備える必要があるでしょう。

さもなければ、経済活動や産業の衰退のみならず、医療費や医療体制が逼迫すると医療崩壊が生じ、「受益と負担」の争い、「社会不安」の増大、「日本社会の崩壊」に繋がることが懸念されます。  

現役の若い世代はコロナを恐れず働かざるを得ませんが、良識を発揮してコロナとの戦いに打ち勝ってくれることを祈るばかりです。

     

梅雨明けやコロナウイルスなほ盛ん    

・若者よ耳を貸せかせ蝉しぐれ   

・若者に耳を貸せかせ蝉時雨

        

近畿地方は平年より10日遅く7月31日に梅雨明けしました。

「蝉しぐれ」といえば、「蝉の俳句を鑑賞しよう」で述べたように芭蕉高浜虚子の蝉の俳句のことを思い出します。

拙句は「何を言いたいのか?」、助詞「よ」と「に」の違い、「語句の省略」と「比喩」などについて、句意をお考え頂ければ有難いです。

  

ここをクリックして蝉しぐれをお聞きください。

下の写真はNHK-TVニュースの1画面です。)

  

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。記事のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。

 

Dsc_1769

20200731

  

 

2020年7月16日 (木)

プレバト・永世名人の「サンダル」の俳句を考える

   

20200710

(写真)

MBS-TV4chの画面の一部

 

   

夏井先生の歯切れのよいプレバト俳句の判定裁きには感心しますが、その査定が何時も的を射ているとは限りません。

お題が「コンクリートのサンダル」の梅沢富美男永世名人の俳句に対して、夏井先生は、「語順が素晴らしい」とべた褒めして、久しぶりに「掲載決定」の査定をしました。

ひょっとして、この査定は夏井先生が「添削は『作者の思い』を大切に!」や「作者の思いを生かしてほしい」を読んでくれたせいかも知れない(?!)などと、ふと馬鹿な考えが浮かびましたが、この「べた褒め」は納得できません。

  

俳句は好き好き」とか、「俳句は詠み人・読み人次第」とか、「薫風士は一言居士だね」と非難されるかも知れませんが、「プレバトの視聴者が夏井先生の人気に幻惑されて『梅沢富美男永世名人の俳句のお手本』や『夏井先生の査定』を鵜呑みにするとまずい」という老爺心から僭越ながら敢えてこの記事を書いています。

  

水玉の模様クロックスの日焼  

      (梅沢富美男)

  

日焼」は二通りの解釈が可能です。

広辞苑によると、

「日光の直射で皮膚が黒みを帯びること」と、

「畳・布などが日に当たって変色すること」という意味があります。

 

「プレバト」の視聴者には、この俳句の「日焼」は「足の日焼け」のこととわかるでしょうが、「クロックスは穴の開いたサンダルである」ことなど、背景を知らない人は「クロックスその物の日焼けを詠んだ俳句である」と解釈するでしょう。

原句は「エンタメTV俳句」として面白くても、「一般的な句集」に適するか、一考を要するでしょう。 

語順を変えて添削案のように修正すると、原句の曖昧さが払拭され、句集の掲載に適するのではないでしょうか?

 

(原句)

水玉の模様クロックスの日焼

  

(添削案)

水玉の足の日焼やクロックス

  

「水玉」には「水玉模様」という意味もあります。

貴方ならどの様な添削をされますか?

「薫風士の添削は句意が明瞭になるが、5-7-5の定型で平凡になり、面白くない」と思いますか?

この記事が何らかのご参考になれば幸いですが、「エンタメ俳句番組に水を差すのか!」と怒られないでしょうね?

    

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。

 

2020年6月22日 (月)

マイナンバー川柳 《誤解すな コロナとCOCOA 愛車にも》

        

(P.S. 2022.3.15)

確定申告書をe-Taxで作成し、申告期限内に投函してほっとしたので、ウクライナ紛争について、「已むに已まれぬ思い」を俳句に詠み、書いた記事を読んで頂きたく、この P.S.を追加しました。

 

青色文字をクリック(タップ)して、「血に染むなドニエプルてふ春の川」をご覧下さい。   

  

(2020.6.22)

タイトルの川柳に因んだ俳句を一句詠みました。 

コロナ禍のダジャレ俳句や守武忌

  

高浜虚子などの駄洒落俳句に興味があれば、ここをクリックして、「俳句談義(13):<花と鼻> 高浜虚子と芥川龍之介」をご覧下さい。    

以下に川柳を掲載します。ご笑覧下さい。

 

治に居ても乱を忘れずマイナンバー

いつの世も砦は皆の良心よ

マイナンバーコロナ回避に役立つの?

位置情報コロナ回避に役立つの?

マイナンバー主権在民有ってこそ!

マイナンバー独裁制の具は嫌よ!

マイナンバー恐怖政治にしないでよ!

独裁もコロナも怖いマイナンバー

効率とリスクは表裏マイナンバー

考えて!マイナンバーの使い方

マイナンバー脱税防ぐ立役者

給付金促進してよ!マイナンバー

脱税を防ぎ給付にマイナンバー

 

Dsc_1271

(P.S.)

ガラ携(ガラケー)を使っていた高齢者はスマホを十分使いこなせず、ガラケー並みにしかスマホを使えないのに、20ギガを最低料金に設定する体制には納得できません。

  

  

在宅でパソコンを使っている私の体験からすると、インターネットをいくら使ってもWiFiがあれば、スマホは1ギガも使わずに済みます。

コロナ禍の外出自粛が要請されている高齢化社会にスマホやマイナンバーの活用を推進するために、 「1ギガの適性な最低料金をいくらにすべきか?」

高齢者もスマホ無しには生活できない事態になっていますから、 IT関係の政治家や専門家は、現体制を消費者の目線で再検討して欲しいものです。

         (薫風士

  

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

  

2020年3月21日 (土)

愛犬の彼岸妨ぐコロナかな

   

犬連れて親子四人が春の道

彼岸会をコロナウイルス妨げり

コロナ避け近場の園の彼岸かな

悠然と彼岸の空を大烏

強風の彼岸に聖火届きけり

春嵐や五輪にならぬ飛行雲

          

NHK NEWS WEBによると、オリンピック開催について、

「『完全な形』と申し上げたが、まず、アスリートと観客にとって安全で安心できるものでなければならない。そして、規模は縮小せずに行う、かつ、観客にも一緒に感動を味わっていただきたいということだ」、「延期や中止については、一切言及はしていない。大切なことは、完全な形で、オリンピック・パラリンピックを日本で開催をすることだ。」と、

安倍総理大臣は述べています。

安倍さんは美辞麗句を並べるのが巧みですが、どのようにして【完全な形】を実現する心算なのか、具体策はあるのでしょうか? 

   

今日は「春分の日」で3連休になりますが、新型コロナウイルスの拡散を防止するために、「兵庫ー大阪間の不要不急の往来自粛」を大阪府・兵庫県の両知事がそれぞれの立場で呼びかけました。

コロナウイルスの拡散が「春分」(彼岸の中日)を境にして沈静化することを期待していましたが、残念ながら裏切られました。

  

青色文字(彼岸1彼岸2彼岸3彼岸4彼岸5)をクリックして歳時記(俳誌のサロン)の例句をご覧下さい。

    

(青色文字をクリックすると関連の記事をご覧になれます。)

このブログが無聊の慰みになれば幸いです。

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事のタイトルが表示され、この「俳句HAIKU」をタップすると最新の全ての記事のタイトルが表示されます。

タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。

     

2020年3月19日 (木)

折々の俳句《春愁18句》


  

(2025.4.6 更新)

春愁や万博IT大丈夫?

春愁や国を私物化独裁者

詐欺メ-ル頻繁に来や春愁

春愁やSNSの落し穴

春愁と言ふは愚かやこのリスク

独裁の衆愚政治や春愁

     

20250406_070613

この写真は、2025年4月6日ETCシステム障害放映のNHK-TV 二ュ-スの一画面です。

 
冒頭6句の「春愁」は「しゅんしゅう」か「はるうれい」と読み、次の9句の「春愁」は
はるうれい」と読んで下さい。

 

万博のコスパは如何春憂

トランプの狂騒曲や春憂

宣教の訪問受くや春憂

大国の独善タリフ春憂

この台詞四年の我慢春憂

地に落ちたNISAの魅力春憂

政商を生むなよNISA春愁

 

NISAは一般的・長期的にはインフレ対策と節税効果で利用者の利益になりますが、個別的・短期的には株価変動により損失を被るリスクがあることをNISA利用者に周知徹底して下さい。

「NISA」は「二-サ」か「にいさ」と読んで下さい。

           

春愁なぜ増え続く不登校

   

バーチャルゲームなどの虜になっている子供が増えていますが、もっと自然に親しむ教育を推進して欲しいものです。

 

ゆとり教育を何故取止めたのでしょうか?

 

教育にまで経済的効率を重視した短絡的ミス政策の弊害が現在に影響しているのではないでしょうか?

  

多様性の進化した現代の教育方法には不適切な従来の知識・記憶中心の全体主義的画一的教育方法は止めて、自然に親しみ考える知恵を伸ばす教育を長期的観点で推進して欲しいものです。

   

ウクライナ侵略さるや春憂

 

ウクライナ戦争について、プーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、「やむにやまれぬ思い」を書きましたが、ロシア軍のウクライナ侵攻いつ解決するのでしょうか?

 

青色文字(タイトル)をクリックして、血に染むなドニエプルてふ春の川」をご覧下さい。

  

(2020年3月の記事3句)

新型コロナウイルス感染拡大を憂い詠みました。

 

春愁にコロナウイルス輪を掛ける    

春愁を吹き飛ばさむや「まん歩」の句   

春愁やコロナを避けて野に遊ぶ

  

春分の日」の前に「春愁」の「俳句」を詠むのは早すぎますが、ITを十分活用するためにはブログ「俳句HAIKU」の記事が一般に行き渡るまでのタイムラグを考慮せざるを得ません。

 

薫風士の「まん歩」コースの深田公園コロナウイルス対策・自衛の人々でこれまでに無く「週日」も「終日」賑わって(?)いました。

「まんぽ俳句」も慰みになれば幸いです。

(「終日」は、俳句では「しゅうじつ」と読まず、「ひねもす」と読むのが普通です。)

    

次の青色文字(春愁1春愁2春愁3春愁4春愁5春愁6春愁7)をクリックすると、歳時記(俳誌のサロン)2020.2~3月掲載の例句をご覧になれます。

  

Dsc_0722

(この写真はウイキペディアのコロナウイルス解説記事の写真のコピーをアレンジして掲載させて頂きました。)

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

 トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事が掲示されます。

2020年2月19日 (水)

俳句の本質とは何か 《季語と定型》

    

「運動会」の俳句《季語について》

   

体育の日」に因んで「575筆まか勢」の「運動会」の例句を季語に焦点を当てて見ると、次の俳句が目に留まりました。

   

つぎつぎの運動会や秋の行く  

        (前田普羅

    

運動会のろのろ颱風海にあり

        (百合山羽公

   

赤蜻蛉運動会の日となりぬ

  (子規句集 虚子碧梧桐選)

    

運動会の旗あちこちす春の山

         (正岡子規

      

「運動会」は「秋の季語」ですが、上記のように「台風」「赤蜻蛉」などの「秋の季語」ばかりでなく、「春の季語」と共に詠まれている俳句もあります。                                             

最近は運動会を気候の良い5月頃に開催する所もあります。立夏は5月5日(子供の日)頃ですから、運動会は「秋の季語だ!」と決めつけれれると句作に難渋することになります。

まんぽ俳句」やプレバトの「運動会」の俳句などのブログに於て述べましたが、「季語」は句作に活かすべきものであり、自由な表現を徒に束縛したり、句作の楽しみを阻害するものであってはならない、「季語のあるべき姿」は時代の変遷や自然現象の変化に合わせて柔軟に考えればよい、という思いを新たにしています。

定型(5-7-5)についても、定型では表現しきれない詩的表現や心情表現をするために必要な最小限の範囲で字余りや破調を認めるべきだろうと思っています。

この思いは芭蕉の俳句の翻訳をしていると一層強くなりましたので、昨年10月に書いた記事を補正して再掲載しました。

  

令和元年1014日は「体育の日」でしたが、台風の影響で運動会など、色々なイベントが中止されました。

台風19号の甚大な被害に遭われた方々のことを思うと胸が痛みます

  

トランプ米国大統領にはパリ協定からの離脱(温暖化防止努力を無視)について大いに反省してもらいたいとの強い思いを新にしています。

この思いを皆さんにFacebookTwitterLINEなどでシェアして頂けると望外の喜びです。

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事が掲示されます。

  

「初鏡」と「小春の鏡」(プレバト俳句の推敲)

     

(2025.1.21 更新)

初鏡スマホカメラを自撮りにす

初鏡三面鏡の連反射

          (薫風士)

  

20250122_06301320250122_063651

この写真は、薫風士が見たNHK-TV 画面の一部分です。

  

米国のトランプ新政権が発足しました。 

 

  

ここをクリック(タップ)して、NHK NEWS WEBの記事をご覧下さい

  

冒頭の掲句は、恒久的世界平和への思いを皆さんがシェアし広めてくれることを切望して、寝起きに三面鏡を見て思いついたブログ用の比喩の拙句です。

  

ここをクリック(タップ)して、「『去年今年』の俳句を集めました。をご覧下さい。

   

人気絶頂の俳句番組「プレバト」の夏井先生の添削は「上手い」と感心することが多々ありますが、「どうかな?」と思う推敲・添削も時々あります。

  

ここをクリック(タップ)して、「プレバト 夏井先生の添削を添削する (添削記事特集編)」をご覧下さい 

(青色文字をタップすると例句やリンク記事をご覧になれます。)   

  

2019年12月5日に放映された金子恵美さんの俳句の添削で、夏井先生は「小春日や夫も鏡に試着室」「夫という鏡小春の試着室」に修正していますが、  

「鏡」には「模範」という意味もあり、作者の意図からすると、夏井先生のこの添削は「どうかな?」と疑問が湧きます。

  

むしろ、助詞の「も」を「を」に替えるか、「試着室」を「試着」に替えて、次のように修正すると作者の意図していることがすっきり表現出来るばかりでなく、小春日の夫婦の円満ぶりがイメージに浮かび良いと思います。

  

小春日や夫を鏡にして試着

小春日や夫も鏡にして試着

   

前者は鏡に映して自分で判断するよりも夫の判断を大事にしているニュアンスがありますが、

後者は、鏡に映して自分で判断するばかりでなく、夫の意見も聞いている仲良し夫婦の情景が浮かびます。

  

もし、お題の「試着室」を用いなければならないのなら、

次のように修正したらどうでしょうか?

  

試着室夫を鏡にして小春

試着室夫も鏡にして小春

  

俳句は「詠み人・読み人」を映す面白い鏡だと思っていますが、

貴方なら、どう添削しますか?

  

夏井先生の揚げ足を取るつもりではなく、「俳句の裾野を広げたい」という夏井先生と同じ思いです。

  

及ばずながら、プレバト視聴者の俳句の推敲・添削の参考になれば幸いですが、俳句HAIKU の読者の作句力向上のお役に立てば望外の喜びです。

   

新年」の俳句「初鏡・初髪」や「《たんぽぽ・蒲公英・タンポポ》俳句鑑賞」などもご一読頂き、下記の記事の夏井先生の添削に対する薫風士の推敲・添削案について何らかのコメントを頂けるとありがたいです。

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧になれます。

      

(写真)

TV-4ch.プレバト画面の一部分

Img_6377Img_6378

    

   

2020年2月 9日 (日)

芭蕉の俳句・HAIKU of Bashō(51~60)

      

芭蕉の含蓄のある俳句の翻訳についてご理解を頂くために注釈を付記しました。英語俳句(HAIKU)作成の参考にも役立てば幸いです。

   

(51) 

稲雀茶の木畠や逃げどころ

(ina-suzume chanoki-batake-ya nigedokoro)

  

(A) 

rice-field sparrows_

a tea field is

their escape place

  

(B) 

sparrows in the rice-field

escaped into

a tea field

   

注)

芭蕉のこの俳句は三段切れです。「や」を「は」とか「が」にすると散文的・説明的になるのを嫌ったのかも知れませんが、「茶畠は良い隠れ場所だな」という詠嘆を「や」で表現した結果三段切れになったに過ぎないでしょう。「三段切れでも意味が分かれば構わない」という例句になります。

英語のHAIKUとしては単語を羅列するだけでは詩的でなく意味不明瞭になるので動詞を補って翻訳しましたが、(A)の方が(B)より俳句らしいでしょう。

 

    

(52) 

草の戸をしれや穂蓼に唐がらし 

(kusa-no-to-o shire-ya hotade-ni tōgarashi)

  

(A)

be aware of the grass door_

buckwheats in ear

and red peppers

  

(B)

be aware of the grass door_

water peppers in ear

and red peppers

     

(注)

この俳句は芭蕉の草庵に来る客への歓迎句です 

「蓼」の英訳には、buckwheat(そば)やjoint grass(紀州雀ひえwater pepper(柳蓼などありますが、(B)の方がred pepperとの釣合が良いかもしれません。

 

  

(53) 

牛べやに蚊の聲よはし秋の風 

(ushi-beya-ni ka-no-koe yowashi aki-no-kaze)

    

(A)

in the cow room

feeble hums of mosquitoes

autumnal wind

 

(B)

in the cow room

a feeble sound of mosquito

autumnal wind

  

(注)

この俳句は牛が小屋でなく人家の土間にある牛部屋で飼われているのを詠んだものでしょう。蚊は沢山居たでしょうから、(A)のように複数にする方が適訳だと思いますが、晩秋の残り蚊だとすると(B)の単数の方が良いでしょう。

なお、一般に、前置詞を使い過ぎると散文的になるのでなるべく省略する方が良いのですが、この句の場合は助詞「に」対応する「in」を省略すると、作者も牛部屋に居るニュアンスになり、誤訳になるでしょう。

  

 

(54) 

波の間や子貝にまじる萩の塵

(nami-no-ma-ya kogai-ni-majiru hagi-no-chiri)

    

(A)

between sea waves_

bush-clover trashes

among small shell-fishes

  

(B) 

between shore waves_

bush-clover trashes

among small shells

       

(注)

(A) は「小貝」を「生きた貝」の意味に解釈した英訳です。

(B) は「小貝」を「貝殻」と解釈し、「波が浜辺の波」であることを明瞭にし、「shore waves」と意訳して「韻」を踏んでいます。

芭蕉はそのような区別は意識せず、「貝と萩の花片との対比」に興味を抱きこの俳句を詠んだのでしょうか。

いずれにせよ、英語HAIKUとしては(B)の方が適訳でしょう。

      

      

(55) 

海士の屋は小海老にまじるいとど哉

(ama-no-ya-wa koebi-ni majiru itodo-kana)

 

a fisherman’s hut_

among shrimps

a camel cricket

 

  

(56) 

身にしみて大根からし秋の風 

(mi-ni-shimite daikon-karashi aki-no-kaze)

  

penetrating my body_

the radish bitterness,

an autumnal wind,

   

  

(57) 

芭蕉野分して盥に雨を聞夜かな

(basho-nowaki-shite tarai-ni-ame-o kiku-yo-kana)

  

(A)

the typhoon against banana trees_

rain drops into a tub,

the sound in the night

        

(B)

banana trees in the typhoon_

the sound of rain on a water tub

in the night

    

(注)

(A)では台風に重点を置き、「(昼間は眺めていたが)夜は雨音を聞いている」ことを詠んだと解釈し、(B)では、バナナの木に視点を置いて「夜によく聞こえる雨音を聞いている」と解釈し、ニュアンスを変えて翻訳しました。夜通し雨音がしている情景を詠んだとすれば、「in the night」は「(all) through the night」にすると良いでしょう。いずれにせよ、(B)の方が原句の句意に近い適訳だと思います。

      

    

(58) 

わせの香や分入右は有磯海 

(wase-no-ka-ya wakeiru-migi-wa ariso-umi)

 

(A)

the scent of early rice_

on the right side of my going way,

rough surf beach

 

(B)

the early-rice smells_

on the right side of my path

Arisoumi

 

(注)

(A)では「有磯海」を意訳し、(B)では固有名詞としてそのまま表現しました。なお、一般に、俳句ではなるべく動詞を省略する方が簡潔で良いと思いますが、この句の「わせの香」は(B)のように動詞で表現する方が生き生きして良いように思います。

ちなみに、「奥の細道」や「私の芭蕉紀行」というサイトに参考になる記事があります。青色文字をタップしてご覧下さい。

   

       

(59) 

賤のこやいね摺掛けて月をみる

(shizu-no-koya ine-surikakete tsuki-o-miru)

  

(A)

the peasant’s child_

upon beginning to hull rice,

looks up at the moon

   

(B)

the humble boy

began hulling rice, 

looked up at the moon

  

(注)

(A)は芭蕉の心象風景か、現に見ている情景か、いずれにせよ「みる」をそのまま現在形に英訳しましたが、英詩のHAIKUとして何だか嘘っぽく不安定な感じがします。

(B)は芭蕉が見た情景を詠んだものとして英訳しました。散文的になるのを避けるために、「then」とか「and」を省略しています。(A)も「upon」を省略する方がHAIKUとして適訳になるでしょうが、(B)のように過去形で表現する方が英詩として実感があり安定感があります。

「英語の俳句は現在形で表現すべきである」と誰かが言っていましたが、それは俳句に対する誤った認識でしょう。

      

       

(60) 

荒海や佐渡によこたふ天河

(araumi- ya sado-ni-yokotau ama-no-kawa)

 

(A)

the rough sea_

lying over to Sado,

the milky way

  

(B)

the wild sea

lying against Sado_

the milky way

 

(注)

この俳句は芭蕉が実際に見て詠んだものではなく、心象風景を詠んだもであると一般に言われています「よこたふ」の主体が何かについても議論の余地があるようです。

(A)は通説どおり「天河がよこたふ」と解釈した英訳であり、(B)は「荒海がよこたふ」と解釈した翻訳です。

(B)は「や」を切れ字ではなく詠嘆と捉える読み方をしたもので、三段切れの読み方でやや無理が生じます。

しかし、芭蕉は上記(51)のように「や」が詠嘆的に主体を表す三段切れの俳句を他にも作っていますので、(B)の解釈を無下に否定することは出来ないでしょう。

  

Img_5561