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2020年6月 5日 (金)

俳句の添削《作者の「思い」を生かしてほしい》

 

Dsc_1248俳句のTV番組を見ていると、原句を推敲して良い俳句にするためとはいえ、選者が作者の意図と違う句意に添削するのは如何なものかと疑問に思うことがあります。

  

俳句も自己実現する芸術の一つですから、俳句の選者は作者の個性を尊重して、添削の手助けをするように配慮してほしいものです。

 

最近の一例を挙げると、毎日TVの人気俳句番組「プレバト」で、梅沢富男永世名人夏芝居を詠んだ俳句を夏井先生が歯切れよく添削して原句を「ボツ」にしました。

 

(原句)

・おひねりや 子役の見得に 夏芝居

 

(添削後)

・おひねりの 飴よ硬貨よ 夏芝居

  

梅沢さんは「子役」の演技が上手なので観客が感動して子役の「見得」に「おひねり」を投げたことを俳句に詠んでいるのですが、

添削後の俳句ではその原句の句意が不明瞭です。

 

夏井先生は、「飴よ硬貨よ」と表現すると子役に「おひねり」を投げているのは明瞭だと言っていますが、「飴」は子役に投げるものという習慣でもあったのでしょうか?   

実態を知らない読者は、添削後の俳句は「おひねり」の面白さを詠んだ俳句と解釈するでしょう?  

原句の「や」は切字ではなく詠嘆として使っているのでしょうが、この俳句の場合は不適切です。 

俳句に助詞「は」を用いるのは良くないと一般的に言われますが、この句の場合は「や」を「は」に変えて、次のように添削すれば原句の句意が明瞭になるのではないでしょうか?

 

・おひねりは 子役の見得に 夏芝居

      

プレバトはエンタテイメント性があるので、夏井先生は大衆受けを狙って大幅な添削をしているのでしょうか?

それとも、助詞「は」を用いることを嫌ったのでしょうか?

  

助詞「は」を用いることによって、「や」を用いている原句より「子役の見得」が強調され、読者は子役の演じた芝居の「演目」や「子役の見得」をあれこれ想像するのではないでしょうか?

 

いずれにせよ、

俳句は詠み人次第・読み人次第」です。

俳句は好き好きです

楽しむことが先決でしょう

  

プレバト俳句に出演のタレントの方々は夏井先生が「絶対」でも「神様」でも「仏様」でもないことを承知のことでしょうが、「幸運の女神」に祈る気持ちなのか、「判定」を待つ皆さんのジェスチャーは一様です。

この「祈るジェスチャー」も「感嘆の声」も番組を盛り上げるための「やらせ」なのでしょうか?

    

この記事が「俳句HAIKU」の読者やプレバト視聴者など、俳句に関心のある方々の何らかの参考になれば幸いです。

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20200531

写真はTV-4chのプレバト画面の一部を掲載させて頂きました。

  

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コメント

トマトの俳句(ウクライナ応援句)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/05/post-f1ef.html
をご覧下さい。 (薫風士)

8月19日は「俳句の日」とされています。
正岡子規の命日は9月19日ですから、8月19日からの1か月を「俳句月間」として俳句・教育関係者により俳句を通じて子供たちに日本文化の啓蒙活動をして頂いたら如何でしょうか?
俳句の教育はもう既に実践されているのでしょうが、コロナ禍の自粛生活で子供たちが無意味なwebゲームに夢中になっているのは親泣かせです。
俳句は、個性を発揮する芸術の一つであり、好き好きです。プレバトのような一方的な査定やランク付けはしないで教育すべきでしょう。
大人のための俳句の面白さの啓蒙の一助になれば幸いですが、
8月15日の終戦記念日の俳句を特集しましたので
俳句ブログ:終戦記念日 <「戦争と平和」特集>
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/08/post-452c.html
をご一読下さい。

(薫風士)

プレバトは梅沢さんや志らくさんや村上さんが大好きで初めてみた時からのファンですが、夏井さんには最近ウンザリさせられる事が多いです、最初の頃は村上さんに顔が嫌い!とか気持ち悪いとか、ひどいコメントが多くて、悲しかったですし、志らくさんの俳句も、言葉の歴史とか、心のありかたに感慨が浅くて、それをさも、わかってそうに添削して、悦にいってるのが、なんか聞いていて??先日の梅沢さんの花火のお題で(纏)をひらがなの(まとい)に変えたのも納得いかなくて、
あの句は(纏)でしょう、それでこそ歴史上の花火や火消しの心いきが生きてくる句ではなかったか、と、いい加減に夏井さんの独断と偏見の昇格やボツはやめたらどうかしら?何といってもプレバトは浜田さんと梅沢さんで、もってる事を夏井さんもわかったほうが良いと思うし、夏井さんももっと色々学んだほうが良いと思う、。最近は俳句より他のアートの方が平等な評価で面白い。

コロナ禍の花鳥諷詠梅雨晴れ間
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-ae0d.html

コロナ禍の俳句鑑賞:「蛙」「雨蛙」「青蛙」「牛蛙」「土蛙」「殿様蛙」「蟇」「河鹿」「かえる」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-4470.html
をご覧下さい。

(薫風士)

NHK「俳句さく咲く」の田中要次さんの俳句
「湯気向かふ浴室の窓辺秋の声」に対する
櫂未知子先生の居残り授業における添削は
作者の俳句に詠んだ思いを反映しない改作で納得しかねます。
薫風士の添削案に対する田中要次さんの率直なご感想を伺いたいものです。

「子規の忌や俳句HAIKUに明け暮れて」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/09/haiku-d844.html
をご一読下さい。

(薫風士)

「プレバト俳句 夏井先生の添削を添削する」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/09/post-f4d8.html
をご覧下さい。

「俳句の面白さ・奥行きの深さ」がわかりますよ。

(薫風士)

「夏井先生の査定」の是非を査定する必要があります。

「お手本のリズム音痴や熱帯夜」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/08/post-6f6a.html

「プレバト Kis-My-Ft2 さんの『遠雷』の俳句を考える」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/08/kis-my-ft2-9bc5.html
をご覧下さい。

(薫風士)

上記の「梅沢富男永世名人」は文字化けです。
「梅沢富美男永世名人」に訂正させて頂きます。
(薫風士)

「おひねりや」の「や」を「を」に替えて、
「おひねりを子役の見得に夏芝居」とすることも一案ですが、
平凡になります。
やはり「や」を「は」に替える方が句意が明瞭で迫力がありますね。

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