破蓮や二千年経し大賀ハス(綾部の蓮池吟行)
2020年10月13日に句友と綾部市の岩王寺や若宮神社、長福寺、極楽寺の蓮池など、吟行向きの観光スポットを巡りました。
(青色文字をクリックすると綾部市観光ガイドの解説など、関連の記事や例句をご覧になれます。)
(神宮山)岩王寺は「茅葺の寺」とも呼ばれるように山門も御堂も茅葺のユニークな屋根ですが、「しゃくおうじ」という呼称は、「寺の奥から産出した石で作った硯を嵯峨天皇が愛用されたこと」に由来しているそうです。
参道の石段は苔むして、山門の素朴な仁王像は片手が折れたり朱色が剥げたりし、御堂の屋根に小さな雑木が生え薄黄葉になっているなど、寺の歴史を感じました。
朱の剥げし阿吽の仁王秋の声
秋深む苔むす磴の硯石
薄紅葉御堂の屋根に小木生え
若宮神社は龍の彫刻がユニークですが、それを小さな狛犬が恰も見上げているように感じました。
狛犬の見上げる龍や宮の秋
長福寺の観音堂は観音菩薩像が33体も安置されており、屋根の構造などもユニークです。
絵馬堂の旧りし扁額秋の風
観音のもたらす奇遇秋麗
句心を繋ぐ観音秋深む
敗荷に耽る感慨極楽寺
タイトル俳句の「大賀ハス」については冒頭の写真をタップ拡大して解説をご覧になれます。
蓮は実も枯葉も蓮根と同じ空洞があり、泥に生まれて美しい花を咲かせることで釈迦の説法に用いられていますが、釈迦如来像の台座の形状にも蓮の花が取り入れられたことに、今更ながら認識を新たにしました。
「破蓮」は、「敗荷」と同じ秋の季語で、「やれはす」とか「やぶれはす」と、俳句のリズムを整えて読みますが、俳句では散文のように「破れ蓮」と書かないで、「送り仮名」の「れ」を省略して簡潔にするのが普通です。
秋水の行方見違ひ一議論
丹波路の流れも愛でて秋の句座
吟行に丹波の秋を惜しみけり
地元の句友の丁寧な案内で秋の吟行をエンジョイすることが出来ました。
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