俳句 (Haiku) Feed

2017年7月29日 (土)

俳句 《溽暑(じょくしょ)・蒸し暑し》

     

(2024.10.24 更新) 

時雨るるや又もまやかし懲りもせず

       薫風士

  

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写真は、NHK-TV のニュース画面の一部分です。

 

政治活動にせよ、企業活動にせよ、透明性を維持してテロ対策などを如何にするか、大きな課題ですが、専制的な長期政権は、腐敗しますね。

  
唐突ですが、やむにやまれぬ思いの拙句を掲載しました。
 

 

ここをクリック(タップ)して、「句談義16:『こどもの日』・『母の日』に思うこと。」の記事をご覧下さい。

  

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写真は、NHK-TVのニュース画面の一部分(衆議院選挙の投票を促す広報車など)です。

  

(2022.7.10の記事)

政治家の言動卑怯秋暑し

空蝉の縋る白百合風涼し

   

2012

掲句はブログ検索のキーワードとして「夏の季語」を3個用いるなど、俳句擬き・川柳擬きの拙句です。

    

青色文字をタップすると、リンク記事をご覧頂けます。

  

愛犬チュヌが生前に好んで寝転んでいた裏庭の軒下白百合が咲き、よく見ると空蝉が葉に付いていました

(写真の右下をご覧下さい。)

  

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8月25日は、「川柳(発祥)の日」です。

1757年(宝暦7年)の8月25日に、柄井川柳が最初の「月並万句合」を行ったことに由来しているとのことです。

  

俳句HAIKU」の「川柳」をご覧下さい

        

2022_7安倍晋三元総理大臣の暗殺事件と選挙にちなんで書いた「俳句《涼し》」をご覧下さい。 

   

文月や本音を言へば失言に

   

「文月」は「陰暦の7月」の呼称で、新暦の7月下旬~9月上旬に当たります。

俳句で新暦の7月にも便宜的に適用されることがありますが、慣習的な行事や実際の季節感と季語の間に齟齬が生じています。

  

(2017.7.29の記事)   

7月に入って梅雨の蒸し暑さが続いています。

季語「溽暑」を森澄雄は次の通り解説しています(「カラー図説日本大歳時記」より抜粋)  

「湿度の高い蒸し暑さをいう。梅雨の終わり頃の、じっとしていても脂汗のにじむような蒸し暑さ、また土用の曇り日などの蒸し暑さも耐え難い。夏の季節風が南海上の高温多湿の空気を運んでくるのである。不快指数の高い不愉快な暑さである。」

(青色文字をクリックして解説記事などをご覧下さい。

   

賑やかな俳句バトルや溽暑の夜

新記録更新ならず溽暑の夜

目を見張る開票結果溽暑の夜

正論も一蹴さるる溽暑かな

都議選の演説騒然街溽暑

垣根越し白百合溢る街溽暑

まやかしに官僚腐敗溽暑かな

政治家のまやかし憂ふ溽暑かな

     

上記の「溽暑」の俳句はチュヌの主人(薫風士)の川柳もどきの即興句です。

このような即興句だけでは申し訳ないので、本格的俳句をインターネット歳時記溽暑」から下記の通り気の向くままに引用させて頂きます。 

      

採血の腕逆撫でらるる溽暑かな  

       (内田しんじ)

 

度の合はぬ眼鏡のずれし溽暑かな

        (當麻幸子)

 

思考力雲散霧消溽暑かな

        (大橋敦子

  

溽暑来ることあげもせず拉致家族 

         (角直指)

  

暗がりの戦争動く溽暑かな 

        (中林晴雄)

    

「(新版)季寄せ」(角川書店編)を見ると、富田木歩の次の俳句が一句のみ掲載されていました。

女したしう夜半を訪ひ寄る蒸暑さ

   

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

  

2017年7月23日 (日)

「星」の俳句を鑑賞しよう!

     

(2025.4.14 更)

哲学とは 考へること七つ星    

万緑の山並暮れて七つ星

七夕や希望の星は14歳 

           (薫風士)

     

(青色文字をクリックすると俳句や作者の解説などがご覧になれます。)

   

爛々と昼の星見え菌生え

          (高浜虚子)

この俳句について、「『星』や『菌(きのこ)』とは何か?比喩ではないか?」と、「チュヌの便り」の「俳句談義」でさまざまな解釈を試みました。 

虚子は一俳人の話に感興を動かされて、いや感興などという生易しいものではなく、インスピレーションを得て一気に頭の中で壮大な宇宙を作り上げたのではないだろうか。」と稲畑汀子さんが述べていますが、高浜虚子は「太陽」を「昼の星」と表現して「菌(きのこ)」と対比することによって悠久の大自然の営みを俳句にしたものと思います。    

   

「575筆まか勢」の「星の俳句」から目についた俳句を気の向くままに抜粋し、コメントさせて頂きます。   

  

むささびや杉にともれる梅雨の星

         (水原櫻子)

鼯鼠(むささび)は冬の季語です。ウイキペディアの解説によると、「長い前足と後足との間に飛膜と呼ばれる膜があり、飛膜を広げることでグライダーのように滑空し、樹から樹へと飛び移ることができる。」また、冬と初夏の年2回発情期を迎える」とのことです。この俳句は秋桜子がムササビや梅雨の星を実際に見て詠んだものではなく、印象的な風景を空想して詠んだ俳句ではないでしょうか?季語が2つ(「ムササビ」と「梅雨」)ありますが、実際に梅雨の星と杉の木に飛ぶムササビを見たとすればものすごくラッキーなことであり、詩的な映像が印象的で「季重なり」は論外の秀句です。

  

夏星に海も日暮れの音展く

          (飯田龍太)

「展く」は「ひらく」と読むのでしょうが、昼間は海水浴客の声で賑やかだった海の音は、夕暮れになると海本来の波音が拡がることを詠んだものでしょう。

「海の日」は7月の第3月曜日ですが、「海の日」に「海開き」をする海水浴場もありますね。

  

旱星(ひでりぼし)われを罵るすなはち妻

          (西東三鬼)

西東三鬼は何を妻にののしられたのでしょう?

  

旱星流木は山忘れざる

         (大庭紫逢)

最近は温暖化の影響か局地的気象変動・豪雨が酷くなり、九州北部の大洪水など流木の影響で被害が増大しています。温暖化防止の努力を無視するようなひどい大統領に失望しています。

  

旱星食器を鳴らす犬と石

        (秋元不死男)

かんかん照りの日が沈み、星空の下で甲高い器の音をたてながら犬がガツガツ餌を食べている情景が浮かびますね。

  

星涼し遊歩甲板の籐椅子に

         (岸風三楼)

豪華客船のクルーズで満天の星を愛でたいものです。

  

父祖の地に入りて微塵の星涼し

          (橋本榮治)

  

面舵(おもかじ)に船傾きて星涼し

         (高浜虚子)

 

夏の星 補遺

夕雲にちらりと涼し一つ星

         (正岡子規)

   

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2017年7月10日 (月)

俳句鑑賞《花火》

         

(2025.8.18 更新)

AIに潜むリスクや揚花火

揚花火急いては事を仕損ずる

揚花火代理戦争お断り

  

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ここをクリック(タップ)して

「つかの間の最後飾るや揚げ花火」をご覧下さい。

  

   

(2017.7.10の記事)

今日は七夕ですが、NHKニュースによると九州北部は局地豪雨の洪水・地滑りなど被害甚大でなので、星祭や句作などしているのは呑気なようで申し訳ない気がします。

   

七夕豪雨よ去れと祈りけり   

掲句は、切字が「や」と「けり」二つあり、ダメ句と言われるでしょうが、被災者の方々へのお見舞いの強い思いを一句にして、笹飾りに吊るしたものと甘受して頂ければ幸いです

   

ここをクリックすると、気象庁の梅雨明け情報(速報値)などご覧になれます。)

  

梅雨が明けると本格的な夏です。   

家族で花火をしたり、花火見物に出かけたりする方が多いでしょう。

神戸港開港150周年記念に当たる今年メリケンパーク沖の海上花火大会では1万5000発の花火を打ち上げるそうですが、綺麗に見えるといいですね。

ここをクリックすると、「花火カレンダー・全国花火大会」のサイトで各地の花火大会の情報がご覧になれます。)

   

「歳時記」(俳誌のサロン)から「花火」の例句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

青色文字(季語など)をクリックすると、例句の詳細や解説記事をご覧になれます。  

  

花火1

花火やむあとは露けき夜也けり

     (正岡子規)

 

髪の根の乾かぬままの初花火 

       (浦山輝代)

   

花火2

空に伸ぶ花火の途の曲りつゝ 

        (高浜虚子)

 

花火の中へ花火打ち込む流れ雲 

       (松崎鉄之介)

  

花火3

喚声のあとの喚声大花火   

       (沼口蓬風)

 

花火果つ天に一つの星もなし 

       (渡辺喜久子)

   

花火4

一輪の花となりたる揚花火 

       (山口誓子)

 

暗がりに肩を叩かれ花火の夜 

      (伊藤トキノ)

  

花火5

追ひ追はれ鼠花火と幼き子 

        (緑川啓子)

 

花火の夜病院の人和みあふ 

       (大西八洲雄)

 

花火6

満天を砕く打ち止め花火かな 

        (山田六甲)

 

ぢぢばばとちちははとやや庭花火 

       (野沢しの武)

  

花火7

鑑真の着きたる浜の大花火 

        (川端俊雄)

 

おひらきは線香花火やいとこ会 

       (德田千鶴子)

   

花火8

花火終へ星空と海ありにけり 

        (嶋田一歩)

  

鎮魂の花火につづく闇の黙 

        (安原葉)

  

遠花火1

死にし人別れし人や遠花火 

       (鈴木真砂女)

  

湯浴みして髪梳く夜の遠花火 

       (倉本美代子)

  

遠花火2

別のこと考へてゐる遠花火 

        (黛まどか)

 

子のこころ読めぬとまどひ遠花火 

        (白井剛夫)

  

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2017年6月28日 (水)

「明易」・「短夜」の俳句を楽しもう!

       

(2025.6.18 更新) 

糟糠は古語となりしか明易し

         (薫風士)

  

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これらの写真は、NHK-TV ニュース画面の一部分です。

    

    

      

完全は幻想なりや明易し

明易や止めよ独裁挑発を

短夜や長き独裁腐敗する

明易の生きてる証ブログ書く

明易の疲れ眼休め微睡みて

明易や直ぐ旧聞にブログ記事

   

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1446

コロナ禍の外出自粛規制が繰り返され、お互いに気遣いすることが多く、緊急事態宣言などの解除後も幼孫の口癖は「大丈夫?」でした。

     

明易や「仕舞ひ忘れ」の探し物

明けやすやハイクで俳句口遊み

明易や漫歩に俳句口にして

明易やまんぽ俳句に明け暮れて

動かざる園の時計や明易し

明易の目覚まし時計孫セット

明易や孫の口癖「大丈夫?」

大丈夫?大丈夫だよ!明け易し

腰痛を防ぐ漫歩や明易し

憂さ晴らす朝の散歩や明易し  

    

掲句は、薫風士の「まんぽ俳句」です。

 

(2017.6.28の記事) 

6月21日は「夏至」です。

 

夏至といえば、「明易」や「短夜」の俳句、殊に高濱虚子の風変わりな俳句「明易や花鳥諷詠南無阿弥陀」のことを思い出しますが、この俳句の解釈には「高濱虚子の100句を読む」(坊城俊樹著)などの解説が参考になります。

(青色文字をクリックして俳句の詳細や解説記事などをご覧下さい。)

  

季語「短夜(みじかよ)明易(あけやす)し・明急ぐ・明早し」について、山本健吉が次のように解説しています(カラー図説日本大歳時記から抜粋)。  

「春分の日から夜は昼よりも短くなり、夏至(げし)に至ってもっとも短くなる。俳句では日永は春、短夜は夏、夜長は秋、短日は冬と定めているが、これはその感じを主にして言うのである。短夜の語は万葉以来である。(以下省略)

    

ここをクリック(タップ)すると、「夏の俳句特集《コロナ禍のストレスを発散しよう!》」 をご覧頂けます。  

   

チュヌの主人(薫風士)の下記の即興句もご笑覧下さい。 

  

愛犬の促す散歩明易し

明易や犬の確かな腹時計

明易のカーテン(よぎ)る蝶の影

明易や時の流れは止められず

明易の徹夜国会生みし法 

短夜のニュースに響くデモの声

何事も運用次第明易し

明易や人の噂も何とやら

明易や昭和は遠くなりにけり

短夜や睡眠負債なき吾が身

明易のパソコン疲れうたた寝す

短夜の風呂のうたたね夢数多

恙なき白寿を夢に明易し

明易やパンダの赤子すくすくと

      

インターネット歳時記の「明易」から目についた俳句を気の向くままに次の通り掲載させて頂きます。

   

明易

松島を見よとて湾の明易き   

        (鷹羽狩行)

  

明易2

すぐ来いといふ子規の夢明易き 

        (高浜虚子)

 

明易3

宿坊に井戸使ふ音明易し   

        (代田青鳥)

 

明易4

サッカーの深夜観戦明易き  

        (高谷栄一)

 

短夜

短夜や空とわかるゝ海の色  

         (几董)

 

明早し

刷り上げしインキの匂ひ明早し 

       (梅田泰正)

  

上野動物園(東京都台東区)は16日、ジャイアントパンダの雌シンシン(11歳)が産んだ赤ちゃんについて、乳首に吸い付く1回当たりの時間が長くなっており「しっかりと母乳を飲めているようだ」と明らかにした。

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

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2017年6月21日 (水)

俳句鑑賞 《蛍・ほたる・ほうたる》

         

 大蛍()ゆらりゆらりと通りけり 

        (小林一茶)

一茶の俳句にはおおらかな句が多いですね。

   

学問は 尻から抜ける ほたる哉 

       (与謝蕪村)

 

ほうたるや耳学問の老の日々

        (薫風士)

  

(青色の文字をクリックして解説記事をご覧下さい。)

   

草の葉を落るより飛蛍哉  

       (松尾芭蕉)

    

手のうへにかなしく消る螢かな 

       (向井去来)

   

蛍火の今宵の闇の美しき   

       (高浜虚子)

   

かたまるや散るや蛍の川の上 

       (夏目漱石)

 

NPOホタルの会「ホタルと日本人・蛍狩りのサイト「蛍の文化史」に様々な俳句や短歌が紹介されています。 

   

手から手へ思ひを伝へ初蛍

掲句は蛍狩りでチュヌの主人(薫風士)が初蛍を捕らえ、仲間に順に見せその喜びを伝えたことを詠んだ俳句です。チュヌの主人にとっては蛍狩りは童心に返る楽しいものです。単に「喜び」とせず、少しロマンチックな表現にして俳句会で高得点を得た俳句です。  

蛍の鑑賞スポットをインターネットで検索すると、死ぬまでには見ておきたい!関東の美しすぎる『ほたる鑑賞』スポット7選というサイトなどがありました。 

   

インターネット歳時記には季語が「蛍・ほたる・ほうたる」の俳句が2000句余り掲載されています。気の向くままに下記に抜粋します。 

季語「蛍」などをクリックして俳句の詳細をご覧下さい。

  

蛍1

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍  

       (前田普羅) 

  

蛍2

浮島にいのち継ぐ火や姫螢  

        (岡田貞峰)

  

蛍3

かこひたる掌にふれずして舞ふ

        (赤座典子)

  

蛍4

螢火を見に來し宿で醉ひつぶれ 

        (片岡祥子)

  

蛍5

蛍の闇にふれたる手のぬくみ 

        (大森美恵)

  

蛍6

手の螢見せて匂ひぬ人の妻  

        (竹貫示虹)

   

蛍7

ゆるやかに着て人と逢ふ蛍の夜 

         (桂信子)

   

蛍8

無人駅夜は蛍火の銀座なる  

        (延江金児)

   

9

湯の町の旅の一夜や蛍狩   

        (松元末則)

   

蛍10

蛍より多きギャラリー渓の径 

       (金山藤之助)

   

蛍11

死なうかと囁かれしは蛍の夜

       (鈴木真砂女)

   

蛍12

蛍火の明滅滅の深かりき

       (細見綾子)

   

蛍13

螢獲て少年の指みどりなり

       (山口誓子)

  

蛍14) 

放たれし一夜仮設の蛍かな  

        (松本秀子)

   

蛍15

峡の湯の熱りを冷ます蛍狩  

      (升田ヤス子) 

   

ほたる

朝がきて虫となりたるほたるか

        (和田瑞子)

   

ほうたる

ほうたるの匂ひ幼き日の匂ひ  

       (細野みさを)

    

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2017年6月14日 (水)

神戸布引ハーブ園 (新緑の花の吟行)

   

万緑や夢風船てふロープウェイ 

万緑のハーブ園歩し香に酔へり 

万緑にほのかな色や煙の木 

万緑や風の丘より茅渟の海 

新緑のハーブの美味し鶏料理

    

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掲句はチュヌの主人(薫風士)の即興句です。

俳句愛好者が増えることを願って、「俳句は身近なことや自分の思いなどを詠んで気軽に作るとよい」ということを知ってほしい、との思いから掲載しました。 

青色の文字をクリックして、解説などをご覧下さい。

写真はクリックすると拡大します。 

       

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

 

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2017年6月 7日 (水)

俳句の鑑賞 《万緑》

  

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掲句はチュヌの主人(薫風士)が作ったブログ写真の説明用俳句です。

    

   

(写真はクリック or タップして、拡大してご覧下さい。)

写真はチュヌの主人が深田公園を散歩して、「ひとはく」のホロンピア館前の広場で巧みにブレイブボードをしている女の子を見て撮ったものや淡路夢舞台で開催された母校の同窓会に参加した際に淡路島国営明石海峡公園を散策して撮ったもの等、「万緑」の写真です。 

    

万緑やブレイブボード操る子

 

万緑の苑に早朝太極拳

 

万緑に聳ゆマンション朝日差す

 

万緑や光の中をペダル踏む

 

万緑の窓に一点紅の薔薇

  

万緑や吟行の友吾庭に来

  

万緑の一日淡路の夢舞台

 

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万緑の俳句といえば、中村草田男の俳句が有名ですが、インターネット歳時記には季語「万緑」の俳句は1000句余りも掲載されています。気の向くままに下記に抜粋します。

    

(青色文字をクリックして俳句の詳細や解説をご覧下さい。)

       

万緑1

萬緑の中や吾子の歯生え初むる

        (中村草田男 

  

万緑2

萬緑を顧みるべし()()(とうげ)  

         (石田波郷

  

万緑3

万緑に朴また花を消すところ  

         (皆吉爽雨

  

万緑4

万緑やわが額(ぬか)にある鉄格子  

        (橋本多佳子 

  

万緑5

里山を守る万緑でありにけり 

        (稲畑廣太郎

   

万緑6

万緑や抱へて重き子のいのち 

        (生方ふよう)

   

万緑7

万緑の山もこもことブロッコリー 

        (宮崎左智子)

   

万緑8

万緑の真ん中に居て余震なほ 

        (田山登喜子

   

万緑9

万緑にくひ入る百八やぐらかな 

         (鈴木庸子

   

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2017年5月23日 (火)

若葉の俳句を作って楽しもう!

   

風薫る5月です。

若葉の俳句を楽しみましょう!

   

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冒頭の日本伝統俳句協会5月のカレンダー(一部分)の写真の色紙の俳句「夜の新樹すくと我らに未来あり」の作者(岩岡中正氏)は日本伝統俳句協会の会長です

この俳句は、俳句界のことを念頭にして詠まれたのかも知れませんが、「我等」は「人類」を意味していると解釈しています。

  

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上記カレンダーの掲載句「波よりも風の易しとつばめ魚」の作者山田佳乃さん(円虹主宰昨年度NHK俳句番組選者)は、201752021日に三田グリーネットのオープンガーデンが開催された時だったか()、数年前に俳人仲間と吾庭を訪ねてくれたことがあります。(写真参照)

  

来年のオープンガーデンの頃までには、句友に見られても恥ずかしくないように吾庭を綺麗に整備して、俳句の題材としても事欠かないようにたいとの思いで手作りのガーデニングをエンジョイしています。

     

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駄句でも楽しみながら俳句を作り、著名な俳人の俳句を鑑賞していると、そのうちに上手くなるだろう」と、庭弄りや散歩、吟行旅行、ゴルフなど、体を使うとともに、駄句を捻って頭の活性化に努め、老後の健康管理に留意して天寿を全うすることを願っています。

上記の写真で、三角に見える部分は、手作りの吾庭の日本列島の北海道です。

(写真はクリックすると拡大します。)       

  

2017年5月21の午前中は清々しくて隣家のバラの庭のミニコンサートのマリンバのリズミカルな遠音を聞きながら手作りの庭の手入れもはかどりましたが、昼下がりには早くも真夏日になり、窓辺の柿の木越しにミニコンサート(午後の部)のシャンソンとピアノの調べが物憂げに聞こえました。 

 
チュヌの主人(薫風士)の「若葉」の俳句10句を掲載します。
 

 

マリンバの弾む遠音や若葉風    

シャンソンの愁も運ぶ若葉風 

手作りの日本列島若葉 

俳句好き吾庭に来るや若葉風

飯事(ままごと)の一人遊びに若葉風  

土団子くるむ童や柿若葉

庭弄り腰を伸ばせば若葉風  

愛犬のまどろむ芝生若葉風  

雑草の生れし速さや庭若葉  

庭いじり終へし夕餉や若葉風  

打球飛ぶ追風なりし若葉風

  

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2017年5月21日 (日)

折々の俳句《若葉・若葉雨・柿若葉》


       

断捨離や卒婚の身に若葉風

鵯が来て小雀来るや庭若葉

音高く土黒々に若葉雨

椅子傾ぐ窓にブランコ樫若葉

愛犬を偲ぶ造形庭若葉

艶やかや椿の若葉日を返し

柿若葉チラと鶯谷渡り

       (薫風士)

  

厨(台所)の窓の柿若葉に珍しく鶯が谷渡りの鳴き声をあげる姿が見えましたが、直ぐ飛び去り写真に撮ることが出来ず残念でした。

「鶯」や「ブランコ」は春の季語ですが、「若葉」や「柿若葉」は夏の季語です。

徒然に折々の実景を「季重なり」でも日記代わりに詠み、思い出にしています。

  

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冒頭の写真は、読者からの礼状です。この方は鬼籍に入られたので、追悼の意味で礼状の写真を掲載させて頂きました。

(写真は、タップ拡大してご覧下さい。)

    

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雨上がりの朝に撮った柿葉の写真には、巣箱をご覧になれます。

最初の若葉の写真は吾庭の若葉が走り梅雨に濡れ、日本列島の周りに雨水が溜まった状態ですが、手作りの庭は常に工事中(?)で未完成です。

初夏風薫る好天の朝の柿若葉の下には、紫陽花が蕾を付けています。

最後の写真をタップ拡大すると、椿の葉裏にトンボの子が潜んでいるのが見えます。

  

雨露に傾ぐ狭庭の柿若葉

雨上がり陰影深き柿若葉

   

紫陽花の蕾覆ひし柿若葉

「柿若葉」も「紫陽花」も夏の季語です。

1句に季語を二つ使うと、「季重りでダメ句とされますが、日常的に眺めているリビングの窓の裏庭の印象的な初夏の情景をブログ俳句として敢えて二つの季語を用いて詠みました

    

柿若葉朝日に著し今朝の庭

「著し」は「きわだっている」意味ですが、「しるし」と読んで下さい。

  
ブログ用の拙句を前座に掲載しましたが、季語が「若葉」・「柿若葉」の俳句を「歳時記」(俳誌のサロン)から思いつくままに抜粋・掲載させて頂きます。

(青色の文字をクリックすると例句の詳細や解説をご覧になれます。)

   

若葉1 

高窓を一つ残して蔦若葉  

        (邑橋淑子)

  

若葉2  

地下鉄の3号出口蔦若葉   

       (中原幸子)

  

若葉3 

病院に母を置きざり夕若葉  

       (八木林之助

  

若葉4 

鼓鳴る能樂堂の若葉かな   

        (正岡子規

   

若葉5

水晶の念珠に映る若葉かな  

        (川端茅舍

   

若葉6  

日を散らす風の若葉となりにけり 

        (稲畑汀子

  

若葉7  

物干して午前六時の若葉かな 

         (尾堂燁)

  

若葉8 

若葉して手のひらほどの山の寺 

        (夏目漱石)

   

若葉9  

退院は表口より若葉風    

       (松本文一郎)

  

若葉10  

をちこちに滝の音聞く若ばかな 

        (与謝蕪村)

  

若葉11   

若葉雨小樽運河の静もれり  

        (上原光代)

  

若葉12  

犬抱いてリフトに乗りし若葉山 

        (吉田悦花)

  

若葉13 

せせらぎや青葉若葉の川湯かな 

        (西田史郎)

  

若葉14  

若葉濃し日のあるうちの湯浴みかな 

        (鈴木庸子)

  

若葉15  

窓若葉新居に笑ひ声の満つ  

        (田中藤穂)

  

若葉16 

若葉して光と影の賑はしき  

       (飛高隆夫)

  

若葉17

煙突が絵になる伊万里柿若葉 

      (鈴木基之)

   

若葉18

女児ひらく手に団子虫若葉風

      (森清堯)

  

柿若葉1

今朝生れし仔牛歩めり柿若葉 

        (田中蘇水)

  

柿若葉2

雨上がり光り見えたる柿若葉 

       (山本田津子)

  

柿若葉3  

柿若葉柿の葉鮨のために摘む 

        (二瓶洋子)

  

柿若葉4  

昼月や遠目にしるき柿若葉  

        (和田慈子

   

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2017年5月10日 (水)

《薫風・風薫る》徒然に俳句を口遊もう!

   

(2025.5.31 更新)

薫風や吾庭の呼称シサクとす

末広会長寿を祝ひ風薫る

薫風や吾の誕生日祝ふ曲

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この写真は、音楽好きの娘が誕生日のお祝いに招待してくれたコンサートのプログラムの一部分です。

  

  

句を口に庭の手入れや風薫る

我が夢は吾庭の初夏のコンサート

薫風や俳句の極意極めむと

老とても見守りたいや風薫る

恙無き余生の庭や風薫る

一応の吾庭の仕上げ風薫る

牛歩して余生満喫風薫る

アナログも静止画も良し風薫る

卒婚し断捨離もせむ風薫る

薫風や聞き手の気持ち如何なる

カラオケで鍛へしリズム風薫る

薫風や音痴も楽し句を口に

風薫る同名ありきのど自慢

断捨離を知るや吾庭の風薫る

風薫る世界カメの日庭手入れ

紙風船飛ばし祈るや風薫る

風薫る吾庭の句会恙無く

薫風や俳句と言へば薫風士

薫風や来たれ吾庭に!俳句好

         (薫風士)

   
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5月23日は「世界亀の日」です。「コロナ禍や狭庭の亀の松の芯」をご覧下さい。  

      

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俳句の鑑賞にとどまらず、折々に「まんぽ俳句」を口ずさみ、俳句の楽しさを実感して頂きたく、記事やタイトルを更新しました。

   

カラー図説日本大歳時記の青嵐や薫風のページの写真をタップ拡大して、例句や解説をご覧下さい。

  

薫風や我が誕生を祝ふ庭

薫風や吾庭に来たる俳句好き

ビニール袋隅に飛ばすや青嵐

今日の風は、薫風ならぬ青嵐の強さがありました。

 

ランチにもフル-ト演奏風薫る

       (薫風士)

  

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写真は誕生祝のランチを食べたレストランのフル-ト演奏と、「三田屋本店」の庭です。

     

  

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今年のOB会は会場が大阪駅前すぐの所でしたが、受付時間に余裕があったので周辺を漫歩して「まんぽ俳句」を口遊みました。

「口遊む」は「くちずさむ」と読んで下さい。

  

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俳句HAIKUへの5月8日朝8時半のアクセス累計が「101」となり、懐かしい楽団の名称「101ストリングス」を思い出す一寸面白い数字だったので、PC画面を掲載します。

   

   

徒然に俳句の深読みをするのも俳句の楽しみ方の一つです。  

俳句鑑賞 《蕪村の俳句「薫風や」は面白い》」をご覧下さい。

   

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「チュヌ」はサモエド犬なので真白な長い毛がふさふさとしています。行き交う人は「これから暑くなって大変ですね」と声を掛けてくれます。

老犬を手押し車に乗せて買い物や散歩をしている老女を見かけますが、チュヌの主人は元気にチュヌの散歩をして、天寿を全うすることを願っています。



薫風や心のゆとり保ちたし

恙無きまんぽの日々や風薫る

薫風や労りの声愛犬に

犬の乗る手押し車や風薫る

愛犬と見下ろす街や風薫る

薫風やゴルフコンペへゴルフ駆る 

漫歩して腰痛予防風薫る

薫風や歯科医の窓へ子等の声 

薫風や電車の音も心地よく 

賽銭の五円の音や風薫る

「五円」は「御縁」の連想・掛詞のつもりです。

      

掲句はチュヌの主人(薫風士)の前座的俳句です。

季語が「薫風」と「風薫る」の俳句をインターネットの歳時記(俳誌のサロン)からランダムに抜粋・掲載させて頂きます。   

青色の文字をクリックすると例句の詳細や解説などご覧になれます。)

   

薫風1

薫風やともし立てかねついつくしま 

        (与謝蕪村)

 

薫風を連れ虚子館の扉押す   

        (山田弘子)

  

薫風2

薫風や遠くに牛と白い雲   

       (小島とよ子)

  

薫風や軸に蕪村の翁像    

         (曷川克)

  

薫風3

薫風や犬の鼻先よく動く   

        (柴田久子)

 

薫風に押し戻されてナイス・オン 

        (鷹羽狩行)

  

薫風4

薫風の窓辺よろこぶ赤子かな 

       (本杉千保子)

 

薫風や子の号令の朝ごはん  

       (太田佳代子)

  

薫風5

薫風や仮設の村に一輪車  

        (松嶋一洋)

 

薫風や母が支へて父の腕  

       (德田千鶴子)

   

風薫る1

踏みならす橘橋や風かをる 

        (正岡子規)

 

弾みたるボール追ふ犬風薫る          

        (多田節子)

  

風薫る2

歌ひつつ音符書く子や風かをる 

         (大上武)

 

島に建つ仮設住宅風薫る   

        (元永高美)

  

風薫る3

風薫る献血の旗ひるがへり  

        (高木武人)

 

風薫るみすゞの詩集読みたき日 

        (松山正江)

  

風薫る4

モルダウの橋より橋へ風薫る 

        (白川敏彦)

 

風薫る曾良の菩提の正願寺  

        (小澤克己)

  

風薫る5

百歳の余生すこやか風薫る  

         (岡久枝)

 

半世紀住み古りし街風薫る  

         (大橋晄

    

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2017年4月30日 (日)

俳句鑑賞 《蕪村の俳句「薫風や」は面白い》

   

P.S. 2022.4.5 更新

ウクライナ紛争について、プーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、「已むに已まれぬ思い」を俳句に詠み、書いた記事を読んで頂きたく、この P.S.を追加しました。

 

青色文字をクリック(タップ)して、「梅東風や届け世界にこの思ひ」や血に染むなドニエプルてふ春の川」をご覧下さい。

       

(2017.4.30)

与謝蕪村の俳句「薫風やともしたてかねついつくしま」が面白いと云うと、「何が面白いのだ」と不思議に思われる読者が多いでしょう。

 

この俳句は少なくとも4とおりの解釈が可能であるとチュヌの主人(薫風士)は考えています。 

  

正岡子規の「俳人蕪村」(青空文庫)には「薫風やともしたてかねつ(いつく)(しま)」とあり、この俳句の意味が直ぐにはわかりませんでしたが、翌朝ふと句意の解釈を思いつきました。

  

(解釈1)

「ともし」は「灯」であり、「かね」は「鐘」だろう、「薫風や灯し立て鐘つい突く島」である、と解釈できるのではないか? 

すなわち、「灯しを立てると鐘も突きたくなる宮島」を詠んだものであるという解釈です。

  

「ホットライン教育ひろしま」というサイトに次の記事があり、この解釈が可能であることが裏付けられました。

仏教では,その宗教的雰囲気を高めるための多くの鳴物が使用されるが,それら梵音具(ぼんおんぐ)と言われるものの中で最大の梵鐘に属するもので,天正15年(1587)に豊臣秀吉が,島津攻略の際に持ち返って,厳島神社に寄進したものと言われ,応永5年(1398)の銘がある。 

      

広辞苑(第6版)の「ともし②」に次の解説があります。

(「照射」と書く)猟人が夏・秋の夜、山中の木陰に篝をたき、または()(ぐし)松明(たいまつ)をともして闇の中の鹿の眼が光に反射して輝くのを目当てに、これを射たこと。また、その火。(季:夏)

  

(解釈2)

広辞苑の上記解説を「ともし」に当てはめ、「薫風や照射(ともし)立てかねつ(いつく)(しま)と読み、「鹿を射ちかねている」ことを詠んだ俳句であると解釈することも可能でしょう。

 

(解釈3)

「薫風や灯し立てかねつ厳島」と読むと、「薫風で灯を立てかねている」句意であると解釈することも可能でしょう。

 

(解釈4)

「かねつ」に「加熱」を当てはめ、「薫風や灯し立て加熱(かねつ)厳島」と読み、「灯火が沢山立って熱くなっている」ことを詠んだものであると解釈することも可能でしょう。

  

俳句では「中七」を字余りにすることは拙いとされていますが、蕪村は意図的に「ひらがな」の「字余り」の俳句にして、「掛詞」の俳句にしたものであると思います。 

       

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2017年3月 1日 (水)

俳句の鑑賞・面白い季語「山笑ふ」

  

「山笑う」について飯田龍太はカラー図説日本大歳時記(講談社版)において次の通り解説しています。

 

「出典は中国宋代のころの禅宗の画家郭煕『春山淡冶(たんや)にして笑ふが如く』にあるという。『冬山惨淡として眠るが如し』に対比される形容で、絶妙の(たとえ)である。褐色の(うぶ)()(おお)われたような早春の山々の木々が、次第に潤みを帯び、春の日に照らされて山そのものが笑みを浮かべているようだという。峻険な山にこの感じはないが、1000メートル程度までの低い山姿はまさしくこんな印象。それを素早く季題とした俳人の感度もなかなかのものと讃えたい。」

  

インターネット歳時記には「山笑う」の俳句は800句余りあります。次にランダムに抜粋させて頂きます。  

 

青色文字の季語「山笑ふ」をクリックするとそのページの俳句の詳細が表示されます。  

   

山笑ふ1)  

故郷やどちらを見ても山笑ふ 

      (正岡子規)

  

落伍せしゴルフレッスン山笑ふ 

      (山田弘子)  

   

山笑ふ2)  

余生とは歩くことらし山笑ふ  

      (清水甚吉)

   

母と妻口論佳境山笑ふ    

     (保田英太郎)

   

山笑ふ3 

名刹はべからずづくめ山笑ふ 

     (江国滋酔郎

 

山笑ふ共に忘るる齢となり 

     (高倉恵美子)

   

山笑ふ4 

山笑ふ胎動ときにへその裏   

      (仙田洋子

 

山笑ふ仏の顔の湯治客     

    (小林朱夏)

  

山笑ふ5 

山笑ふその先高き甲斐の富士 

      (小俣剛哉)

 

山笑ふ裸のつきあひ露天風呂 

      (藤野寿子)

   

山笑ふ6 

磨崖仏胎に蔵して山笑ふ

      (上谷昌憲)

 

噛み合はぬ夫婦の会話山笑ふ  

      (水原春郎)

   

山笑ふ7  

古希すぎて描く未来図山笑ふ  

      (岡真紗子)

 

リハビリの発声練習山笑ふ   

      (加藤千春)

      

「山笑う」という面白い季語のせいか、インターネット歳時記でも川柳まがいの俳句がありますが、チュヌの主人も「山笑ふ」の俳句を詠んでみました。

  

微睡て富士を見落とし山笑ふ

山笑ふ車窓の彼方富士の嶺  

上京する際の新幹線ではいつも富士山の雄姿を見るのを楽しみにしていますが、ついうとうとして見落とすことがあります。

  

快音のボールOB山笑ふ

スコアを気にせず専ら健康管理のためのゴルフを楽しんでいます。

    

眠りから覚めたる山の笑ひをり

丹波路や山穏やかな笑ひ顔  

故郷へ車を駆る度に丹波路の四季折々の穏やかな山並みに心が和みます。

      

ドナルドとシンゾウ談義山笑ふ

ここをタップして、「蝉時雨・山眠る・山笑う(政治家の引き際)」をご覧下さい

外交は相手のあることですから、拙速主義で取り返しのつかないことにならないように、じっくり対策を練って進めて下さいね!

     

山笑ふ旅の不安や忘れもの 

なじり合ひまたかばひ合ひ山笑ふ

最近は何かにつけてよく物忘れをするようになり夫婦二人で一人前のスローライフです。

         

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2017年2月10日 (金)

俳句鑑賞《梅・梅の花・紅梅・白梅》

   

(2025.3.23 更新)

白梅の古木となりし二ュ-タウン

先立ちて枯れてしまひぬ垂れ梅

梅一輪煌めく昨夜の雨雫

        (薫風士)

   

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白梅の写真は、まんぽの街角で見かけた古木です。

紅梅の写真は、3月初旬の雨上がりの朝に撮った拙宅の庭の小さな梅ですが、冒頭の1句は毎年見るのを楽しみにしていた「まんぽ道」の大きな垂れ梅が枯れて切取られていることに気付き詠んだ拙句です。

  
日本では平和のお陰で、雛祭りや探梅・梅見を楽しんでいますが、ウクライナの人々はロシアの軍事侵攻による戦時下に苦しんでいます。

  

プーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、この 記事を更新しました。 

    

青色文字をクリック(タップ)して、梅東風や届け世界にこの思ひや「血に染むなドニエプルてふ春の川」をご覧下さい。

              

(2017.2.10)

梅咲くや古木の洞に二つ三つ

    

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インターネット歳時記には「梅」の俳句が約1800句、「紅梅」約800句、「白梅」約500句、「梅ヶ香(梅匂ふ)」約500句、「探梅」約350句、「梅咲く」約260句、「枝垂れ梅」121句、「老梅」59句、「梅の花」250句など、梅を詠んだ俳句が無数にあり興味が尽きません。

  

季語「白梅」の冒頭には、阪神・淡路大震災を詠んだ俳句「白梅や天没地没虚空没(永田耕衣)」があります。

 

歳時記には味わい深い俳句や個性的な俳句など沢山ありますが、与謝蕪村の俳句「しら梅に明くる夜ばかりとなりにけり」の新解釈(「チュヌの便り」)も、ここをクリックしてご覧下さい

  

歳時記からたまたま目についた俳句をランダムに抜粋させて頂きます。

(青色文字をクリックすると俳句や作者の解説など詳細がご覧になれます。)

    

老梅

老梅の穢き迄に花多し  

        (高浜虚子)

  

老梅の白の気品の衰へず 

        (石谷淳子)   

  

梅1

風に日に梅に忌心整ひし 

       (稲畑廣太郎)

  

色褪せて一瞥さるる梅やある 

        (大橋敦子) 

 

梅2

雪しづれして丸窓の古都の梅 

        (大西正栄)

  

廃校の母校の跡の梅に佇つ 

        (松田欽吾)

   

梅3

梅よりも空の蒼さを讃へをる 

        (落合絹代)

  

子と犬と抱き上げ夫婦梅をかぐ 

        (勝野薫)

  

梅4

梅は散り君は彼岸のみほとけに 

         ( 翔)

  

春競ふ源平梅や二条城 

        (田中呑舟) 

   

梅5

学問の神の庭園梅固し 

        (中村星児)

   

梅の下にけふ落日を見るゆとり 

        (瀧春一) 

 

梅6

人寄りて梅の素顔を見つめをり 

       (黒澤登美枝)

   

梅活けし小部屋の襖開きおく 

        (水谷ひさ江)

   

梅7

二もとの梅に遅速を愛す哉  

         (与謝蕪村)

  

梅固し憂ひは常に極秘なり 

         (荻野千枝) 

  

梅8

折り取りし梅添へ仕上ぐ節料理 

         (ことり)

  

老人の話筒抜け梅三分 

        (中島あきら) 

  

梅9

火照る(こつ)拾ひて梅の風に出づ 

         (藤井美晴)

   

妻佇ちし梅ほつほつと開きゆく 

          (大橋晄) 

  

梅10

軒端なる梅のひなたの石手水 

         (豊田都峰)

   

知らぬ間の隣人の訃や梅二輪 

         (布川孝子) 

  

梅11

梅が枝の折れんばかりや雪止まず 

        (小川玉泉)

  

梅早し遅しと虚子の誕生日 

        (稲畑汀子) 

 

梅12

毎年の梅の開花を愛でゐしに 

         (大橋晄)

  

盆梅や盆梅課ある城下町 

        (小澤菜美) 

 

梅13

道ひとつ違へ野梅につきあたる 

       (石田阿畏子)

  

家ごとに小さき橋掛け梅の里 

       (松本三千夫) 

 

梅14

廃業の老舗の名残垂れ梅 

        (宮本俊子)

  

盆梅の気品遺して逝かれけり 

       (稲畑廣太郎)

  

梅の花

正直は亡母の諭し梅の花 

        (小林鱒一)

  

一輪車上手にくぐる梅の花 

       (小菅美代子)

      

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、「俳句(和文)」や「英語俳句」の最新記事をご覧頂けます。

  

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2017年2月 3日 (金)

俳句の新解釈・鑑賞 《しら梅に明る夜ばかりとなりにけり(与謝蕪村)》

    

(2025.2.27 更新)

先立ちて枯れてしまひぬ垂れ梅

      (薫風士)

    

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2022年2月24日にプーチン大統領専制下のロシア軍がウクライナ侵攻を始め3年後も続き、沢山の犠牲者が亡くなっています。

   

時代錯誤の愚かな戦争は中止しなければなりません。

  

梅東風や届け世界にこの思ひhttp://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/03/post-4fd0.html)

を、皆さんがSNSでシェアして頂ければ幸いです。

  

梅咲いて庭中に青鮫が来ている

        (金子兜太)

       

与謝蕪村の辞世句として有名な掲句「しら梅に明る夜ばかりとなりにけり」について、新解釈をしてこの記事を書きました。 

   

外山滋比古氏は「省略の詩学―俳句のかたち」で「俳句は省略の文学である」「十人十色の受け取りができてこそ俳句はおもしろい。」と云っています。

(「俳句の新解釈・鑑賞《去年今年貫く棒の如きもの(高浜虚子)》参照。) 

   

掲句の解釈として、学研全訳古語辞典には次の解説があります(Weblio参照)。

 

[訳] 冬も終わり、ほころび始めた白梅の花が闇(やみ)からしらじらと浮かび上がる夜明けを迎えるころとなった。

 

(鑑賞)蕪村の辞世の句。没したのは十二月であるが、蕪村の心はすでに初春の明け方を向いている。季語は「白梅」で、季は春。 

   

上記の解釈は、清水哲男氏が増殖する俳句歳時記」に於いて次のように評しているように、辞世句の解釈としては安易すぎます。

(但し、清水哲男氏は「『夜』を抜く気分で読むべきだろう」と述べていますが、蕪村のような優れた俳人が無駄な言葉を使って俳句を作っているとは考えられません。) 

   

天明三年(1783)十二月二十五日未明、蕪村臨終吟三句のうち最後の作。枕頭で門人の松村月渓が書きとめた。享年六十八歳・・・(中略)・・・

単純に字面を追えば「今日よりは白梅に明ける早春の日々となった」(暉峻康隆・岩波日本古典文學大系)と取れるが、安直に過ぎる。いかに芸達者な蕪村とはいえ、死に瀕した瀬戸際で、そんなに呑気なことを思うはずはない。暉峻解釈は「ばかり」を誤読している。

「ばかり」を「……だけ」ないしは「……のみ」と読むからであって、この場合は「明る(夜)ばかり」と「夜」を抜く気分で読むべきだろう。すなわち「間もなく白梅の美しい夜明けなのに……」という口惜しい感慨こそが、句の命なのだ。・・・(以下省略)・・・  

        

学研全訳古語辞典の解説は、「冬も終わり」などを補って解釈していますが、不適切ではないでしょうか?

   

蕪村は1784年1月17日に亡くなっています。

 

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この写真は、萩原朔太郎著「郷愁の詩人 与謝蕪村」の青空文庫の「白梅」の俳句についての解説の一部分です。

   

この辞世の俳句で省略された語句は、「冬も終わり」などということではなく、「自分に残された夜」とか「自分が生きている夜」とかという主体が省略されていると解釈すべきだと思います。

「明る夜ばかり」とは、「『明けない夜は無い』というが」とか、「四季の巡りに伴い様々な夜がこれからもあるだろうが、自分に残された夜は『白梅に明る夜』のみとなった」とか、「自分が生きている夜は『この白梅に明ける夜』のみになった」と、死が間近であることを詠んだものと解釈するのが至当でしょう。

  

蕪村が大阪生まれであることを最近しりましたが、蕪村は自分が浪速生まれであることを何故か公言しなかったようです。(『から檜葉』参照。)

   

・冬鶯むかし王維が垣根哉
・うぐひすや何ごそつかす藪の中
・しら梅に明る夜ばかりとなりにけり

  

上記の3句は、過去・現在・未来を順番に詠んだ俳句だと解釈できますが、「しら梅」の句は、死後の未来を詠んだ俳句であると解釈すると、「明けない夜は無い」というが、「自分の未来(死後)の世界は『夜ばかり』である」と詠んだことになります。  

  

蕪村の臨終3句や正岡子規の辞世句3句などを読むと、高浜虚子の辞世句「春の山屍を埋めて空しかり」は、「春の山屍を埋めて(むな)しかり」と、「春の山屍を埋めて(くう)しかり」と、掛詞として読むべきであるという思いを新たにしました。俳句談義(1)参照。)  

      

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タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。

  

2017年2月 1日 (水)

季語「立春」・「春立つ」を用いた俳句

        

立春や四季折々の花吾庭

東北に春一番が立春に

立春の打ち上げに湧く種子島

立春の宇宙(そら)へ「みちびき」旅立ちぬ

立春や花を絶さぬ我が狭庭

立春や地酒を求め故郷へ

立春の句材を求め蔵元へ

   

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この写真は、2月2日H3打上げ成功を放映したNHK-TV ニュース画面の一部分です。

  

2023年2月4日には次の「まんぽ俳句」を詠みました。

 

春立ちし雲に夕日や兔の目

         (薫風士

   

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掲句は、雲が兔の形をして夕日が目の形に見えた立春の空の瞬間的面白さを詠んだ即興句です。

買い物の帰路で写真は撮れず、帰宅後に撮ろうとしましたが、残念ながら雲の形は既に変形し、掲句と乖離していました

          

(2022.2.4の記事)

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NHKニュースによると、「全国の新型コロナ新規感染者は10万人に迫る」とのことですが、Yahoo!ニュース(2月3日18:05配信)によると、「全国の新型コロナ新規感染者は10万人超え 過去最多を更新」とのことです。

 

三回目のワクチン接種を終えても、3密を避け、マスクを着けて自衛しながら漫歩・万歩をしています。

 

恙無い茶寿を夢みて、「まんぽ俳句」を口遊み、楽しみながら健康管理をしています。

  

立春やコロナ変異の蔓延りて

       (薫風士

   

新型コロナ・オミクロン株の感染拡大過去最多の状態が続いていますが、寒さも今がピークです。

   

ここをクリック(タップ)して、「写真俳句《立春・春立つ・春来る》」をご覧下さい

  

(以下、2017年2月の記事)

先日「チュヌ」と散歩していて声をかけられたとき、ふと即興句「愛犬の取り持つ縁春立ちぬ」が浮かびました。

チュヌはこの2月に12歳になる老犬ですが、「いつまでも可愛いね」と言ってくれた方がいました。

独りで散歩していると「こんにちは」と挨拶を交わすことも稀ですが、チュヌは真白な毛の大型のサモエド犬で可愛い顔をしているので色々な人が声をかけてくれます。

チュヌの主人は、相老いの愛犬と散歩をしながら俳句のことなど思いめぐらしていますが、トランプ米国新大統領の就任後の相次ぐ独善的な大統領令発令に危惧を抱き、だまっているわけにはいかないという思いがつのっています。

 

米国市民のみならず世界の良識ある政治家・市民がトランプ大統領の独善的暴走を防ぐ働きかけをすることを願っています。

   

「歳時記」(俳誌のサロン)の例句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きますします。

青色文字(季語)をタップ(クリック)、例句の詳細をご覧下さい。

   

立春1」

立春の二階へ舟が入り来る 

        (井上青穂)

  

立春の光を回す水車かな   

       (吉村玲子) 

  

立春2」

さざ波は立春の譜をひろげたり

        (渡辺水巴)

   

立春や朝日まぶしき雨雫    

       (大山妙子) 

  

立春3」

立春や木洩れ日を踏むぶな林 

       (あきの澪)

  

立春や鳥の来てゐる朝の庭

     稲畑汀子

 

立春4」

立春の空の青さよ雪の後  

      (大西裕)

  

立春の大屋根の雪万福寺  

    坪内稔典

  

立春5」

春立つや雪降る夜の隅田川

     角川春樹

  

立春の海よりの風海見えず

     桂信子

    

春立つ

春立や見古したれど筑波山

     小林一茶

   

幼な子の質問楽し春立ちぬ 

      (藤野佳津子)

      

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2017年1月23日 (月)

初雪の俳句

  

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2017年1月16日、「日EU俳句交流大使」のファン・ロンパイ初代EU常任理事会議長(俗称EU大統領)を囲む夕食会に参加しました。

  

この夕食会は、ファン・ロンパイ氏のアジアコスモポリタン賞受賞の祝賀と俳句愛好家の交流のために開催され、盛会でした。

  

俳句愛好家の集まりなので正岡子規の号「獺祭書屋」に因んで乾杯の酒に「獺祭の発泡にごり酒スパークリング」があり、ファンロンパイ氏が挨拶で俳句の世界遺産登録への運動に協力すると賛意を表明され、盛り上がりました。

 

俳句愛好家が増えて俳句の世界遺産登録が実現すると嬉しいですね。

   

当日は我が手作りの庭も銀世界となり、愛犬「チュヌ」(サモエド犬)の天国になりました。

  

朝の散歩を済ませてから新幹線で上京し、夕食会までに時間の余裕があったので、皇居周辺を散歩しました。

  

そこで、当日の雪景色などの写真(クリックすると拡大します)や拙句を掲載します。

   

手作りの日本列島雪景色

初雪のサモエド犬の白さかな

雪の丘犬とサクサク小気味よく

初雪の車窓変幻「のぞみ」かな

雪の富士瞬時の対峙デジカメと

雪景色車窓の闇に消えにけり

        (薫風士

  

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「俳句は好き好き」と、駄句を口遊んで楽しんでいますが、拙句のみでは読者に申し訳ないので、インターネット歳時記「初雪」の俳句から、目についた句を抜粋・掲載させて頂きます。

 

詳細(約360句)は季語「初雪」(青色の下線文字)をクリックしてご覧下さい。

  

初雪1

初雪のそれより白き鷺の舞ふ 

       (小野ちゑ) 

  

初雪2

初雪の一瞬の富士見のがさず 

       (稲畑汀子) 

   

初雪3

初雪や水仙の葉のたわむまで  

         (芭蕉)

  

賀に参ず初雪の富士窓に嵌め 

       (稲畑廣太郎)

   

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2017年1月 5日 (木)

趣味の俳句《作り方・楽しみ方 5つのポイント》  

   

(2023.7.26 更新)

海の日の底割れしたる台詞かな

俳句などその気になれば直ぐ出来る

 

俳句と川柳」をご覧下さい。

  

俳句は、俳誌や新聞などに投句して特選を目指す楽しみ方もありますが、私的なことを一人で口遊み、心の癒しにするのも俳句の楽しみ方の一つだと思います。

   

ここをタップして、「言葉の力・俳句の力《癒し》」をご覧下さい。

   

春風亭昇吉さんの俳句《お題「大谷翔平」》やキスマイ横尾さんの俳句《お題「檸檬」》の推敲について書きました。 

 

青色文字をタップして、「プレバト金秋戦2022』の俳句を考えるをご覧下さい。

    

思い出の写真俳句を作ろう! 

故郷を「まんぽ俳句」で元気に、未来に繋ごう

楽しい吟行・俳句の旅(四季の写真俳句特集)」をご覧下さい。

      

俳句は好き好きです

次の5つのポイントに気をつけて句作を楽しみ、コロナ鬱を発散しましょう!     

    

(1)季語・季題(季節の分かる言葉)は一つ入れます。

季語の無い俳句は川柳と同じことになりがちです。季語が分からなければ歳時で確認出来ます。歳時記を持っていない場合は、ともかく季節が分かる言葉が俳句に一つあれば良いと割り切って俳句を作れば良いのです。

季語は二つあっても、その効果があれば差支えがありません。しかし、初心者は季語を一つだけ使うのが無難です。季語が二つある「季重なり」の俳句は句意が分かりにくくなることがよくあり、選者によっては季語が二つあれば即「ボツ」とされることがあります。

    

(2)「」は一つ入れます。

「切れ」としては、「や」「かな」「けり」などの「切字」ばかりでなく、名詞や動詞の終止形なども用いることが出来ます。「切れ」は、その直後に俳句の切れ目、すなわち、「間」を作ります。この「間」によって、俳句の詠まれた背景などを読者が想像することにより味わい深い俳句になります。

「切れ」が無いと、普通の文章、いわゆる散文の断片的な一部に過ぎなくなりがちです。   

     

(3)5-7-5音のリズムを身につけることが何よりも上達の早道です。

リズムを身につけるには、「まんぽ」して、見たこと感じたことをともかく5-7-5で口ずさむことがお勧めです。

リズムが身につけば、多作多捨が可能となり、推敲が容易に出来ます

    

(4)句意が明瞭になりイメージが浮かぶように、俳句に詠む題材・季語・語句の選択や語順を工夫し、無駄な語句を省き、5・7・5のリズムで口ずさみながら推敲します。 

        

(5)文語にするか口語にするかは好み次第ですが、どちらかに統一します。

文語(旧仮名遣い)には詩的に簡潔に表現できるメリットがあり、口語には親しみやすい現代的表現が出来るメリットがあります。

   

上記の「5つのポイント」は「フラワータウンカレッジ講演の要旨」からの抜粋です。

例句など詳細は青色文字をタップ(クリック)してご覧下さい。

  

芭蕉300句: 言葉の壁を破る英訳チャレンジ(5) <ほととぎ朱>もご一読下さい。

英語俳句や俳句の翻訳に興味のある方は、ここをクリックして、「HAIKU(バイリンガル英語俳句)」をご覧下さい

俳句の面白さ・奥の深さが分かるでしょう!

   

「究極の愛・ラブを!(Ultimate LOVE!)」をご覧下さい。

「自己実現」や「世界平和実現」の指針とすべき言葉24語の頭文字を「LOVE」に当てはめています。

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

      (薫風士)

   

2016年12月31日 (土)

《初詣・初御籤・初みくじ》

   

(2025.1.2 更新)

天満宮参拝すれば初鴉

初詣一巡りして日の出かな

初詣日の出に平和祈りけり

       (薫風士)

  

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2025年(巳年)の元旦は、幸いなことに平穏でしたが、2024年(辰年)は、元旦に能登半島地震が発生し、海保機と日航機の衝突事故、北九州市小倉北区飲食店街の大火事などが起こり、ウクライナやパレスチナの戦争は止まず、天災や人災が三が日に発生して多難な年明けとなりました。

  

巳年の巳(蛇)は「幸せをもたらす」という謂れもあり、今も苦しんでおられる方々に思いを馳せて、家族のみならず世界の平穏をお祈りしました。

  

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地元の天神様にお参りして家族の健康や幸せのみならず世界平和のお祈りをしてきましたが、天災や人災の被災者にはお見舞いを、救済・支援にご尽力されている方々には敬意を、表明すことしか出来ぬ老躯ですので、せめて何らかの慰みにお役に立てば幸いだとの思いでこの記事を書いています。

    

  

初詣破魔矢の龍の眼の憂ひ

恙無き日を感謝して初詣

ウクライナの和平を祈り初詣

      (薫風士)

  

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  写真はタップ拡大して、年賀状などご覧頂ければ幸いです。

    
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2022年(令和4年)「寅年」の初詣の写真と拙句を2016年(平成28年)大晦日の記事に追加しました。

 

大晦日・大年の俳句(岸田内閣に望むこと)」をご一読下さい。

    

初みくじ虎の飛躍へ牛歩から

     

像の虎幼子乗るや初詣

   

(2016年大晦日の記事)     

今日は大晦日です。英国のEU離脱決定やトランプ次期米国大統領の選出など、今年は「まさかと思ったこと・思いがけないこと」が次々に起こりました。除夜の鐘を聞きながら今年の出来事を振り返り、新年への期待と不安を感じつつ、初詣に出かける方も多いと思います。

  

そこで、「チュヌの便り」の今年最後のブログは「初詣」の俳句をとりあげました。

   

多事多難さるとり騒ぐ初詣

ままならぬことと知りつつ初詣

砂利音に心を清め初詣

初詣くちげんかして清々と

初詣じじいに笑みし幼孫

   

上記はチュヌの主人(さとし)の初詣の即興句です。

冒頭に拙句を掲載したのは、「俳句は誰でも気軽に楽しめるものだ」ということを多くの人々に知って貰い、俳句人口を増やし、「俳句」の世界文化遺産登録への草の根運動のささやかな一助にしたいというチュヌの主人の切なる思いからです。「俳句を楽しもう!」をご覧下さい。

 

青色文字(「初詣」など)をクリックすると、インターネット歳時記「初詣」の例句などをご覧になれます。

    

初詣1」

玉砂利のやすみなき音初詣 

       (保坂加津夫)

   

初詣2」

身長を比べ合うてる初詣 

        (竹内紫翠)

   

初詣3」

株高値賽銭弾む初詣 

        (黒沢宮雄)

   

初詣4」

三世代七人揃ひ初詣 

         (大橋晄)

  

初詣5」

夫逝きてたったひとりの初詣 

         (辻香秀)

  

初詣6」

初詣出雲の国の割子蕎麦 

        (津田富司)

     

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

  

2016年12月26日 (月)

俳句《年忘れ・忘年会・新年会》

     

(2024.12.25 更新)     

ひとかどのグルメ幼の年忘

年忘れ「わかる?」頻発十歳児

胃無き我和牛一品年忘れ

年忘れ世界遺産の地酒無く

欲しきもの世界遺産の新酒かな

年忘れ平和の味を噛みしめて

年忘れ世界遺産の和食愛づ

       (薫風士)   

 

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この写真は三田屋本店でランチに食べた一品料理等の一部分です。

平和の有り難さを噛みしめながら、「日本酒の造り方」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのに、美味しい地酒を何故置いていないのだろう?と、不思議に思いながら、冒頭の拙句を詠みました。

  

年忘(としわすれ)は「忘年会」を意味する言葉ですが、「カラー図説日本大歳時記」によると、「年忘れ」は室町時代から使われているようです

 

日本大歳時記には、芭蕉の俳句「人に家を買はせて我は年忘れ」が冒頭にあり、一茶の俳句「独り身や上野歩行(あるい)とし忘れ」など多数の例句が記載されています。

  

一茶の俳句で「とし」と「ひらがな」を用いたのは、「年」と「歳」の二つのニュアンスを出すためでしょうか。

  

芭蕉の俳句やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」の「けしき」と同じような表現手法でしょう。蝉の俳句を鑑賞しよう」参照。)

   

「年忘れ」の俳句に富安風生の面白い俳句があります。

   

老いはいや死ぬこともいや年忘れ

   

この俳句は風生70歳の時に作った句です。

「年忘れ」には「自分が何歳か歳を忘れたい」というニュアンスも含ませた俳句でしょう。

   

風生は1979年(昭和54年)222日に93歳で亡くなっていますが、222日は高浜虚子の生誕の日です。

  

風生は虚子に師事しており、虚子は次の俳句を作っています。

   

風生と死の話して涼しさよ

    

運命の赤い糸」で結ばれているという言葉がありますが、虚子と風生の間に何か不思議な縁を感じます。

   

575筆まか勢」を見ると、「年忘れ」「忘年会」の俳句が無数にあります。

目についた例句をランダムに下記します。

    

せつかれて年忘れする機嫌かな

        (松尾芭蕉)

  

年忘橙剥いて酒酌まん

        (正岡子規)

  

年忘れ老は淋しく笑まひをり 

        (高浜虚子)

「笑まふ」は「にこにこ笑う」という意味ですが、「俳句鑑賞・その八 高浜虚子」には「年忘れ老は淋しく笑まひけり」とあります。

「をり」は現在微笑んでいる状態を詠んだものであり、「けり」は過去のことを思いだして詠んだことになります。

  

年忘れ最も老を忘れけり 

        (富安風生)

  

どろどろに酔うてしまひぬ年忘

        (日野草城)

   

とんとんと上る階段年忘れ

        (星野立子)

  

にぎやかに河豚食うて年忘れけり

      (森澄雄)

   

客あれば客あるで又年忘れ

       (高濱年尾)

   

深大寺蕎麦にあづかる年忘

       (上田五千石)

   

義埋もまた楽しみもまた年忘

        (稲畑汀子)

  

厨にも味見の客や年忘

       (坊城中子) 

       

「文学者掃苔録」というサイトには風生の次の俳句などが掲載されています。

(そう)(たい)」とは広辞苑によると、「墓参り、特に盂蘭盆の墓参」のことで秋の季語です。

死を怖れざりしはむかし老の春

わが老をわがいとほしむ菊の前

老木の芽をいそげるをあはれみぬ

    

忘年会や新年会などの話題になると、句友の栄治さんが作った俳句「先輩はいつも先輩花見酒」を思いだしますが、拙句を下記に掲載します。

   

席順に気苦労したる忘年会

相棒は愛犬チュヌよ年忘れ

セクハラとパワハラ憂ひ年忘れ

句に興じブログに興じ煤籠り

   

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写真は数年ぶりに家族で訪ねた三田屋本店(やすらぎの郷)レストランのフル-ト演奏や窓に見える能舞台の風景、二階の「羽衣」で開催されたコーラスグループの「大人の発表会」の情景です。

       

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2016年11月21日 (月)

鳥取砂丘と「砂の美術館」などの写真と俳句

 

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2016年11月12日に日帰りのバス旅行(三田地区まちづくり協議会主催)で浦富海岸島巡りや鳥取砂丘・「砂の美術館」「かにっこ館」などを見学しました。

神姫バスの案内嬢はまだガイド1年生の由で、テキストを見ながら生真面目に道中の観光スポットについて説明をしてくれましたが、内容は殆ど忘れてしまい、ガイドさんの笑顔だけが印象に残っています。

   

訥弁に笑顔のガイド旅小春  

短日の鳥取砂丘愛しみけり

        (薫風士)

      

砂丘の俳句をインターネットで検索すると、「鳥取砂丘文学散歩 石碑」というサイトや、高浜虚子の句碑・有島武郎の歌碑などのマップや解説のサイトがありました。

   

秋風や浜坂砂丘少しゆく  

        (高浜虚子)

虚子はこの俳句をどのような心境で詠んだのでしょうか? 

  

浜坂の遠き砂丘の中にしてさびしき我を見出でつるかも

  

 有島武郎はこの歌を詠んだ40日後に人妻と心中をしたとのことです。   

    

「きらめきを砂丘に返し露乾く」や「露を抱く砂丘朝日に応へ来し」という稲畑汀子さんの俳句が「歳時記(俳誌のSalon)・露」にありました。  

冬日差す砂丘の駱駝影長し」などと、チュヌの主人は即興句を口遊みながら写真を撮りました。

  

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駱駝の写真を撮ろうとすると、「撮影は有料です!」と言われ、ラクダの近くでは撮影をやめました。この写真でご想像ください。

  

   

NHKの今日のニュースによると、鳥取は震災で一時減っていた観光客も増えてきているとのことで、速やかな復興を祈っています。

  

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