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2017年5月10日 (水)

俳句の鑑賞 《薫風・風薫る》

  

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「チュヌ」はサモエド犬なので真白な長い毛がふさふさとしています。行き交う人は「これから暑くなって大変ですね」と声を掛けてくれます。

老犬を手押し車に乗せて買い物や散歩をしている老女を見かけますが、チュヌの主人は元気にチュヌの散歩をして、天寿を全うすることを願っています。

   

・薫風や労りの声愛犬に

  

・犬の乗る手押し車や風薫る

   

愛犬と見下ろす街や風薫る

   

・漫歩して腰痛予防風薫る

  

・薫風や歯科医の窓へ子等の声

   

・賽銭の五円の音や風薫る

 「五円」は「御縁」の連想・掛詞のつもりです。

      

掲句はチュヌの主人(薫風士)の前座的俳句です。

季語が「薫風」と「風薫る」の俳句をインターネットの歳時記(俳誌のサロン)からランダムに抜粋・掲載させて頂きます。   

青色の文字をクリックすると例句の詳細や解説などご覧になれます。

   

薫風1

薫風やともし立てかねついつくしま 

            (与謝蕪村

・薫風を連れ虚子館の扉押す   

            (山田弘子

  

薫風2

・薫風や遠くに牛と白い雲   

           (小島とよ子)

・薫風や軸に蕪村の翁像    

            (曷川克)

  

薫風3

・薫風や犬の鼻先よく動く   

            (柴田久子)

・薫風に押し戻されてナイス・オン 

            (鷹羽狩行

  

薫風4

・薫風の窓辺よろこぶ赤子かな 

           (本杉千保子)

・薫風や子の号令の朝ごはん  

           (太田佳代子)

  

薫風5

・薫風や仮設の村に一輪車  

            (松嶋一洋)

・薫風や母が支へて父の腕  

           (德田千鶴子)

   

風薫る1

・踏みならす橘橋や風かをる 

            (正岡子規

・弾みたるボール追ふ犬風薫る 

            (多田節子)

  

風薫る2

・歌ひつつ音符書く子や風かをる 

            (大上武)

・島に建つ仮設住宅風薫る   

            (元永高美)

  

風薫る3

・風薫る献血の旗ひるがへり  

            (高木武人)

・風薫るみすゞの詩集読みたき日 

            (松山正江)

  

風薫る4

・モルダウの橋より橋へ風薫る 

            (白川敏彦)

・風薫る曾良の菩提の正願寺  

            (小澤克己

  

風薫る5

百歳の余生すこやか風薫る  

            (岡久枝)

・半世紀住み古りし街風薫る  

            (大橋晄

   

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「薫風やともし立てかねついつくしま」は、正岡子規の「俳人蕪村」(青空文庫)においては、「薫風やともしたてかねつ厳島」とありますが、蕪村の原句はどちらでしょうか?
正岡子規は次の通り述べています。
「『風薫る』とは俳句の普通に用いるところなれどしか言いては『薫る』の意強くなりて句を成しがたし。ただ夏の風というくらいの意に用いるものなれば『薫風』とつづけて一種の風の名となすにしかず。けだし蕪村の慧眼は早くこれに注意したるものなるべし。」
一般に、現代の俳句では中七の字余りは良しとせず、上五の字余りは認められています。
蕪村は他の俳句には漢字をよく用いていますが、「俳人蕪村」では、上五は「薫風や」とあり、中七はすべて「ひらがな」で、しかも字余りです。
蕪村は何らかの意図を持ってこの俳句を作ったに違いありません。掛詞の面白さを狙ったものではないでしょうか?
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