俳句エッセイ Feed

2019年1月20日 (日)

俳句《待春》


   

2025.1.20 更新

待春や老は甘受の根競べ

勇み足仕切り直して春を待つ

誠があれば春近し

「志誠」は、「こころざし まこと」と読んで、5-7-5のリズムにして下さい。

           

春一番おぞましきとはこの言葉

待春や命の限り夢追ひて

      (薫風士)

   

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これらの写真のとおり、2024年2月19日午前0時現在の「俳句HAIKU」へのアクセス累計は1,078,898件と、縁起の良い数字が面白い並び方をしていましたが、2025年1月4日も面白いことに、未明のアクセス累計が1,234,888、一日当たりの平均が308,88と秩序正しく八が並び、過去一週間の累計も3,979と対称的に並びした。

(写真をタップ拡大してご覧下さい。)

   

少年を枝にとまらせ春待つ木 

       (西東三鬼)

 

掲句は合本歳時記の例句です。 

   

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カラー図解日本大歳時記(写真参照)によると、

「待春」は「春近し」よりも主観的で、待ちわびる気持ちが強い(冬の季語)、「目を開いて眺めた風景というよりも、瞼のうらに思い描くとき。ことに雪深い地では、待春の情はひとしお切実なものがあろう。(飯田龍太)」

とあります。

      

「筆まか勢」から「春待つ」の例句を抜粋掲載させて頂きます。

  

我が杖も春待つものゝ一つかな

  (盲目の俳人・緒方句狂

  

時ものを解決するや春を待つ

 高浜虚子(1914年、40歳)

大正3年には第一次世界大戦など大事件が次々と起こっています。  

(例句やリンク記事は、青色文字をクリックしてご覧下さい。)

  

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに「待春」の俳句を抜粋・掲載させて頂きます。

 

待春や氷にまじるちりあくた 

       (河合智月

  

待春の心が先に歩きをり 

       (稲畑汀子)

  

待春や出窓に並ぶ植木鉢 

       (木村てる代

   

待春の伊豆の波音聞く宿り 

        (安原葉)

   

待春や日差し明るくなればなほ 

         (大橋晄)

      

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2019年1月 5日 (土)

俳句の鑑賞「初笑い」・「笑初」

    

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写真は、日本伝統俳句協会俳句カレンダー1月・51句掲載)です。

「初笑」の俳句はありませんが、写真をタップ(クリック)拡大してご覧下さい。

  

    

  

  

「歳時記」(俳誌のサロン)や「筆まか勢」より「初笑い」の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

(詳細は青色文字をクリックしてご覧下さい。)

 

歳時記

初笑され初泣となりしこと  

         (稲畑汀子)

  

句の主が判りてどつと初笑ひ 

         (山田六甲)

  

毒舌に返す毒舌初笑   

          (湯川雅)

  

歯の生えぬ口開け無垢の初笑ひ 

         (三浦澄江)

   

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・みどり児の声とはならず笑初

         (稲畑汀子)

   

ちちははの顔を覚えて初笑ひ 

        (松永西瓜)

   

笑初わけもわからず皆笑ふ  

       (井上兎径子)

   

百日の孫が主役の初笑ひ   

         (竹吉章太)

  

最後に拙句を掲載させて頂きます。  

平成の最後を惜しみ初笑ひ

本音をも冗談にして初笑ひ

帰れぬとメールの絵文字初笑ひ

トランプに勝たされ幼初笑ひ

ババ抜きに笑ひこけたる初笑

笑ひ初め幼べろ出し七並べえ

俳人もシルバー川柳初笑い

初笑い笑う門には福来る

  

上記の「平成」の俳句は言わば「記録俳句」です。

「本音をも」の俳句は、「冗談にして」を「冗談として」と助詞を変えると、句意(主・客)が異なります。俳句の良し悪しはともかく、俳句における助詞の重要性の一例になります。

「笑ひ初め」の句は幼孫がトランプの七並べをしたいと言って気を引くためか、「あかんべー」のように舌を出して言ったのが可笑しくて詠んだものです。

歌留多」や「初かるた」は「新年の季語」ですが、「トランプ」や「初遊び」は季語になっていません。「初遊び幼べろ出し七並べえ」とすると、「初遊び」は季語として認知されていないので、川柳とみなされるでしょう。

川柳擬きの俳句にしても、笑いを呼ぶには俳句は川柳に敵いません

  

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2018年12月21日 (金)

俳句雑感(2)俳句と川柳: 根本的な違いは何か?

      

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俳句と川柳はどちらも諧謔・滑稽味のある俳諧連歌から発展した文芸であり、俳句は「発句」から発展し、川柳は「付句」から発展しました。

  

「にもかかわらず、ユネスコ無形文化世界遺産登録への運動が俳句界のみなのは何故か?」

  

その理由について最近ふと思い当たりました。

  

(青色文字をクリックするとリンクされた関連の記事がご覧になれます)

   

俳句の面白さは人事を含む花鳥諷詠にあり、

諧謔・滑稽は川柳における風刺ほど強いものではありません。

 

川柳では人間の様々なありようを風刺して、

その面白さを強く表現します。

  

弱い立場のものが強い立場のものを風刺しすれば、

「憂さ晴らし」になります。

  

その逆をすると、

「風刺」は「いじめ」になります。

 

度の過ぎた風刺は風刺された者の不興を買い、

予期せぬ争いの原因にもなるでしょう。

  

しかし、「」と「節度」を尊重する日本の川柳は、

テロ事件の要因になった風刺漫画の轍は踏まないでしょう

  

最近は「詩性川柳」という呼称の川柳もあるようですが、  

「川柳」という呼称に何故固執するのでしょうか?

伝統俳句」が「季語」を重要な要素としているからでしょうか?

現代俳句には無季の句もあります。

「季語」にあまり拘る必要は無いでしょう。

  

日本は幸い四季のある自然と平和に恵まれていますが、

地域によって季節の変動の仕方が異なり、災害もあります。  

世界には、四季が無く過酷な自然と戦争に苦しんでいる国もあります。

    

俳句界のみが世界遺産登録の運動を推進するのは片手落ちだと思いますが、川柳界には川柳を俳句と共に世界遺産に登録しようという考えはないのでしょうか?

 

俳句界と川柳界が協調して、「俳諧世界遺産運動」とか「俳川世界遺産運動」とか、何か適切な呼称で登録運動を推進すれば、もっと運動が盛り上がるのではないでしょうか?

そうは言っても、世界的には俳諧の発句のような無季俳句もHAIKUで通用しています。

 

「季語」は日本語としてこそ意味がありますが、外国語に当て嵌めることは出来ませんので、国際的に認知された世界最短詩HAIKUを俳句として受け入れざるをえないでしょう。

  

「俳句と川柳は室町時代の俳諧から発展して世界の人々に現在も愛されている世界一短い短詩HAIKUである」と主張して運動を推進する方が、世界無形文化遺産としてユネスコの認定を得やすいのではないでしょうか?

  

この考えに俳句愛好者と川柳愛好者が共に賛同してくれると、

世界平和と世界遺産登録の「草の根運動の一助」になればとの思いでブログを書いている筆者として望外の喜びです。

  

高浜虚子は「俳諧に老いて好もし蕪汁」という俳句を詠んでいます。

  

拙句を最後に掲載させて頂きます。

  

去年今年世界遺産の夢を句に

初夢や世界遺産の句に興じ

川柳も俳句も同じ俳諧よ

果てしなき夢を追いつつ去年今年

去年今年八十路の夢を茶寿までも

     

皆さんは、上記の句を「俳句」と「川柳」のどちらに捉えますか?   

  

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2018年12月15日 (土)

季語「東北忌」・「3.11」に思うこと

 

血に染むなドニエプルてふ春の川

 

唐突ですが、掲句はウクライナ紛争についてプーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、「やむにやまれぬ思い」を俳句に詠み、紛争解決案を提言した記事のタイトルです。

青色文字(血に染むなドニエプルてふ春の川)をクリックして、ご一読下さい。

   

風船は命の数よ東北忌 

       (草加市 江口靖子)

    

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掲句は20HIA俳句大会現代俳句協会賞受賞句です。

 

東日本大震災死者・行方不明者は1万8千人以上です。

  

1923年9月1日に起こった関東大震災では死者・行方不明者は10万人以上に及び、9月1日は「防災の日」と定められていますが、俳句の季語として「震災忌」と呼称されることがあります。

「東北忌」は「3.11」として悼み継がれ、歴史に残るでしょう。

  

(青色文字をクリックするとリンクされた関連記事をご覧になれます)

  

震災遺構として残されている仙台市立荒浜小学校で、花の種を入れた色とりどりの風船(エコバルーン)が1000個がとばされ、名前を叫んだり、時折涙して空を見つめる人々も見受けられたが、一番目立ったのは、「笑顔」だった。HUFFPOST 2018.3.11

   

大地震や津波などの犠牲になられた方々のことを思うと胸が痛みます。

遺族の方々に謹んでお悔み申し上げます。

     

安斎さんは、関係郷土史と米国側の資料などを研究。それらを総合すると「和紙は風船爆弾の第一番の材料。その生産地となった和紙の里をねらってアメリカが報復爆撃した」のが真相ではないか?と推論しました。

 風船爆弾は44年11月から福島県勿来、茨城県大津、千葉県一宮から飛ばされました。計9300個飛ばされて偏西風にのってアメリカ大陸に到達した数は推定1000個とみられています。

 45年5月5日、オレゴン州の村で5人の子どもと、牧師の妻が風船爆弾で死亡しています。

 「オレゴンの悲劇」と言われ、上川崎村への爆撃はそれから2カ月後のことでした。

 「戦争の被害者とばかり思っていたのが知らぬ間に加害者の立場になっていたのかもしれません。戦争は二度と繰り返してはなりません」  (菅野尚夫)

   

上記は、高村光太郎忌日・連翹忌(れんぎょうき)運営委員会のブログ平和な故郷願って 福島に生きる 『風船爆弾になった和紙』冊子にまとめた 安斎克仁さん(79)からの抜粋です。

     

日本漢字能力検定協会が発表した「今年の漢字」は「」です。

   

阪神・淡路大震災の犠牲者は6,434人でしたが、南海トラフ巨大地震・津波が発生すれば死傷者の数や復興費用は東日本大震災の数倍~数十倍になることが懸念されています。

   

大地震や大津波などの自然現象は抑えることはできませんが、

戦争の発生は人為的に抑えることができるでしょう。

   

天災が人災になることは防がなければなりません。

      

世界の民衆は平和を願っているのに、

我欲・権力欲の塊のような為政者やその支持者が戦争の原因となる人種的対立や宗教的対立を煽り、膨大な軍事費による浪費を正当化していることは悲しいことです。

世界の膨大な軍事費が地球上の防災やインフラ整備・福祉のために使えるように、世界の為政者や有識者が良識を発揮率先行動してほしいものです。

  

戦争防止のために、皆さんと共に地道な活動を続けたいとの思いから、

俳句を通じて世界平和を!World peace through haiku!」をキャッチフレーズにしてささやかなブログを書いています。

  

・去年今年八十路の夢白寿まで (薫風士)

   

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今日は京都や福井にも初雪が降りました。 

初雪の俳句」をご覧下さい。

   

  

皆さんがこの思いをシェアして世界に発信してくれることを祈っています

   

  

・笑みを生む木喰仏虫集く (木下さとし)

     

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2018年11月11日 (日)

俳句の鑑賞「文化の日」

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歳時記(俳誌のサロン)の季語「文化の日」に掲載された俳句の中で次の俳句が目にとまりました。

・新しき館旗と国旗と文化の日 (島崎晃・遠嶺)

「国旗」を「こっき」と読むと「中七」が字余りとなりますが、俳句の定型に拘る読者には「国旗」を「はた」と読むことを作者は期待しているのでしょうか?

「館旗」とはどこの館旗か興味が湧き、作者の名前で検索すると、ウイキペディアに次の記載がありました。

    

島崎 晃(しまざき あきら、1941年 - )は、イギリスの元政治家。ニックネームはJack Bara Caws[1]。西ウェールズの町カーディガンで、2012年から2017年まで町議会議員を務めた。

2017年時点で、日本人として唯一、イギリスの町議会議員を務めていたことで知られる。なお、国籍は2000年以降イギリスである。

  

この島崎晃氏は、この俳句の作者なのか単なる同姓同名の方なのかわかりませんが、文字通りの日本人が外国に帰化した珍しい例でしょう。

何方か心当たりのある方からコメントを頂けると幸甚です。

   

歳時記「文化の日」には興味深い俳句が沢山ありますが、気の向くままに例句を下記の通り引用させて頂きます。

   

・円卓の末席さがし文化の日 (水谷契江)

・蒙古斑みせて這ひ這ひ文化の日 (水谷契江)

・聖戦の硝煙映す文化の日 (斉藤静枝)

・古語多き校長訓話文化の日 (乗光雅子)

・文化の日留学生の山形弁 (横内かよこ)

・カタカナが万事に多し文化の日 (遠藤実)

  

川柳の友を偲ぶや文化の日 (薫風士)

これは文化の日に川柳友達の訃報のメールを受信して詠んだ拙句です。

彼は先日の川柳句会で拙句「セクハラを恐れ冗談言えぬ世よ」を優秀句に選んでくれていました。

俳句仲間の句会で拙句「愛犬の深めし絆文化の日」について、「『愛犬の』は『愛犬と』とする方が良い」とか、「『文化の日』は取り合わせの季語として不適切でないか?」など、句友から批判的コメントがありました。

一般論としては、二つとも至極当然な批判です。しかし、この俳句は愛犬「チュヌ」の永眠を知った知人が文化の日に、愛犬の死についての新聞投稿記事を「お悔み」に送ってくれたことを文字通りの俳句にしたものです。

俳句の定型や技巧を考慮することは勿論重要ですが、作者の思いや感動を事実に基づいて表現することの大切さも無視すべきではないでしょう。

俳句も川柳も好き好きであり、所詮片言で私的なものですから、日記代わりに自分の納得できる俳句や川柳を作り楽しむのもよいと思っています。

  

  

2018年10月20日 (土)

俳句の鑑賞:「柿」(追補版)

   

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(青色文字をタップするとリンク記事をご覧になれます。)

      

(2025.1.15 更新)

奈良の柿 郷(さと)にも浦にも 茂る秋

      (石破茂)

   

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冒頭の写真は、2024.11.18のNHK-TV ニュース画面(内閣支持率等)の一部分です。

 
石破茂内閣の人気は当初から低迷していますが、「柔剛を制す」の諺どおり、「単なるポチ」にならず、「偽りの無い」・「有りの儘の素顔」で「世界の人々の信」を得て、「日本の平和」・「世界平和」の為に尽力されることを祈っています。

  

我田引水のコメントで恐縮ですが、石破茂首相の掲句の「秋」は「かな」に変えた方が、ご自身のPR効果が増すのみならず、俳句として「秋の季重なり」が解消されます。

  

もっとも、「茂」は「夏の季語」とされているので、人によってはダメ句だと貶すでしょうが、「ぺんは剣より強し」なので、「まんぽ俳句」を口遊んで、ご自身の健康管理と表現力を磨いて、地方再生の政策を推進しされる事を切望しています。

   

チンするは句友の呉れし吊るし柿

  

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「チンする」は、「愛犬の伏せ」ではなく、電子レンジで温めたことを面白く表現したものです。

  

  

俳句大会で知り合った句友が先日呉れた吊るし柿を早速食べると美味しかったのですが、試しにチンして食べると、中身が非常にジューシーになって更に美味しい気がしました。

皮がやや硬くなって噛み応えがあり、口に入れたとき気を付けて噛まないと中身を零すことになりそうでした。

    

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今日(11月15日)は、近くの句友が新鮮な柿を呉れたので、早速吾庭のトマトなどと一緒にサラダにしましたが、あっさりした甘さがあり美味しく頂きました。

   

サラダにす句友の呉れた富有柿

       

「柿」の俳句といえば、正岡子規の「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」が有名ですが、正岡子規は柿が大好きだったようで、ウイキペディアによると、「柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな」という俳句も作っています。

  

2021年11月25日に、岸田文雄首相は首相官邸で、「奈良の柿PRレディー」の広瀬麻理奈さん(25)らの表敬を受け、柿を試食して次の一句(即興句?)を披露されたとのことです。

   

柿食えば、コロナ打ち勝つ、奈良の町

  

この「柿食へば」は、助詞「ば」が条件の意味であり、子規の「柿食へば」の俳句の「ば」と異なる使い方です。

 

たとえば、「柿食えばコロナに勝てり奈良の人」とすれば、助詞「ば」が子規の俳句と同じ用法に解釈できます。

 

『柿食へば』の誤訳《俳句の力・言葉の壁》をご覧下さい。

  

2021年の暮に書いたブログ《「大晦日」・「大年」の俳句(岸田内閣に望むこと)》をご覧下さい。

   

俳句を通じて世界平和を念じている観点から、岸田首相の掲句に便乗して願望の駄句を詠みました。 

    

奈良柿を食みてコロナに打ち勝たむ

奈良の柿食みて米寿を恙無く

奈良柿も食みて祝ぎたし己が茶寿

   

   

(2018.10.20)

 

熟柿落つ愛犬目指し駆け出しぬ

  

愛犬の深めし絆柿たわわ

    

掲句はチュヌの主人がありのままに詠んだ俳句です。

  

俳誌のサロンの歳時記から柿の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

 

(青色文字「柿」をクリックすると歳時記の詳細がご覧になれます。)

   

1)

よくひびく子猫の鈴や柿日和 

        (内田雅子)

  

2)

三千の俳句を閲(けみ)し柿二つ  

        (正岡子規)

 

3)

よろよろと棹がのぼりて柿挟む 

       (高浜虚子)

  

4)

大和路や軒場に吊す柿すだれ 

       (井上輝男)

 

5)

故郷へ向かふ車窓や柿の秋 

        (篠藤江)

   

6)

境内を駆け回る子等柿日和 

      (谷野由紀子)

   

7)

柿を捥ぐ吾を烏の見てをりぬ 

      (塩田博久)

 

8)

柿日和ゴルフに和む古稀と喜寿 

      (河本利一)

 

9)

里ふりて柿の木もたぬ家もなし 

      (松尾芭蕉

         

10

斑鳩の三塔見えて柿日和 

       (山村修)

 

11

柿たわわ獲る人もなき山の里 

      (西田史郎)

 

12

白壁に柿の実映ゆる二月堂 

       (田宏之)

 

13

落日に染まる一村柿の秋 

      (宮平静子)

    

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2018年10月12日 (金)

俳句雑感(1)自他の区別について

     

白寿祝ぎゴルフコンペす天高し(A

白寿祝ぐゴルフコンペや天高し(B

白寿祝ぎゴルフコンペや天高し(C)

 

上記の俳句は会社の大先輩が白寿(99歳)を祝いゴルフコンペを開催された噂話を聞いてチュヌの主人が作った俳句です。

 

A)は「作者自身がゴルフコンペを主催している」と解釈するのが自然でしよう。

  

B)は開催されているゴルフコンペを作者が客観的に詠んだものと解釈するのが自然ですが、主催の自他の区別やゴルフコンペ参加の有無など、やや不明瞭です。

  

(C)は(A)に近いですが、(B)と同様に自他の区別や参加の有無が不明瞭です。

 

一般的には、俳句として(B)が良いとされるのではないでしょうか?

  

他人の行為を自分の行為のように詠むことは一般に許されているようですが、チュヌの主人は客観写生に基づく花鳥諷詠を重んじ、なるべく思いを素直に表現することを心掛けています。

  

あなたは、AB、C のどれが良いと思いますか?

  

高齢化社会社会保険制度健康保険制度の将来が危惧されています。

  

チュヌの主人は、次の俳句のように俳句や吟行を楽しみ、健康を維持し、健康長寿に努めたいと思っています。

   

句に興じ白寿夢見つ落葉焚く

句に興じ茶寿も祝たし新茶汲む

 

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2018年8月30日 (木)

ポーランドの旅(写真と俳句 講演のことなど)

   

祈りつつアウシュビッツの夏の野を 

   

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掲句はチュヌの主人(薫風士)が俳句講演のためにアウシュビッツを詠んだ俳句です。

   

   

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(写真はクリックすると拡大します。青色文字をクリックするとリンクした解説記事などをご覧になれます。)

   

   

講演はポーランドの「ルブリン県」の温泉町で開催された音楽祭の機会に行いました。

  

   

・晴れ渡る温泉町や白鳥来

・白鳥来平和の国を永久(とこしえ)に 

   
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講演のタイトルは「Let's enjoy haiku!」で、「World piece through haiku」をサブタイトルにし、ファン・ロンパイ前EU大統領(日本EU俳句交流友好大使)と写したツーショットを掲載させて戴くなど、工夫を凝らし好評でした。

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・晴れ渡るアウシュビッツや青葉風

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・貨車一つ鉄路の遺跡夏草に

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・青嵐ホロコーストの灰の池

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・青嵐アウシュビッツの呻き声

   

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アウシュビッツ見学の当日は好天気で平和なポーランドを象徴しているように思いましたが、時々耳に唸るように強い風が吹き、「ナチス犠牲者の霊の呻き声」ではないかなどと感じました。

  

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クラクフや古都を見下ろす塔涼し

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・聖堂の時報のラッパ夏の空

  

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・新装のショパン生家や青葉風

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庭涼しショパン生家のピアノ曲

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・聖堂に響くオルガン夏の宵 

  

・コンサートホールを出でし園白夜

   

400年前のパイプオルガンのコンサートがカジミエシュ・ドルニーの教会の聖堂で開かれ、たまたま聴く機会がありました。

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ショパンの生家ではショパンコンクールに入賞したピアニストがショパンのポロネーズなどを演奏しました。

  

ちなみに、この俳句の講演をした音楽祭ではイタリアなどから来たピアニストなどが演奏しましたが、日本からは片山柊氏(2017年第41回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、併せて聴衆賞、文部科学大臣賞、スタインウェイ賞受賞)が「エチュード〜書、俳句、一つの線」(細川俊夫作曲)という興味ある曲などを演奏しました。

   

俳句でも音楽と同様に国際交流がもっと促進されることを願っていますが、俳句による人との出会いや音楽との出会いに不思議な縁を感じました。

   

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2018年6月 6日 (水)

俳句は読み人(詠み人)次第・気軽に楽しもう!

       

Img_0151先日、俳句仲間と西宮のJR甲子園口駅近辺(松山大学温山記念会館武庫川女子大学甲子園会館など)を吟行しました。

松山大学温山記念会館は新田長次郎(1857~1936)が娘婿にあたる建築家木子七郎(1884~1955) に作らせたスペイン風洋館で広大な庭園には立派な防空壕があります。

そこで、ありのままに素朴な句を詠みました。

  

万緑や庭に豪華な防空壕

真菰刈る富豪の庭の池浚ひ

枝削ぎし富豪の庭の楠若葉

  

「真菰」(まこも)は夏の季語です。俳句では「勝見」(かつみ)という異称も使われています。

  

防空壕を詠んだ俳句について、ベテラン女性から、「万緑』という季語は安易に使うものではない」と教えられたことがあるとのコメントがあり、某女史からは、「シャンデリアがあるわけではないから『豪華』は不適切な表現である」と批判されました。しかし、単に横穴を掘っただけの防空壕しか知らず、被爆体験のないチュヌの主人にはまさに豪華な防空壕でした。

当然のことながら、被爆体験を詠んだ句友の俳句が高得点を得て、主人の俳句は採られませんでした。

戦後70年平和の俳句』」というインターネット・サイトのトップに「蒸され濠(ごう)水一口に息絶えし」という俳句と句評が掲載されていますが、旧新田邸の防空壕は電灯や換気扇などを完備してありました。 

  

俳句には滑稽句ともシリアスな句とも解釈できる二面性のあるものがありますが、高浜虚子の俳句にはそのような面白味のある俳句が多いように思います。

高浜虚子の興味深い俳句100句を翻訳して辞世の俳句など句意の新解釈なども付け加えた記事を国際俳句協会のホームページに、「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」というタイトル(5回シリーズ)で掲載して頂きました。こをクリックして虚子俳句をご鑑賞下さい

  

高浜虚子は俳句は片言であること・解釈は読み手次第で異なることを認識していたからこそ戦争俳句を良しとせず、日本文学報国会俳句部会長として戦争を賛美することなく花鳥諷詠の文学を堅持し、時代の流れに掉さすことも流されることもなく、文芸家・俳人としての良心を貫いたと思います(「俳句談義(5)」参照)

 

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

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2018年5月 5日 (土)

俳句:「こいのぼり」・「鯉のぼり」・「鯉幟」

     

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昨日のプレバト(俳句)では賑やかな司会と句評に例のごとく出演者が沸いていました。 

夏井いつきさんの添削に感心することが多いのですが、泉谷しげる氏の俳句(「学び舎の見上げる先は空の海」)の添削(「学び舎の頭上五月の空は海」)はやや腑に落ちません。

  

原句は無季なので、季語「五月」を使うのは結構ですが、「鯉」は淡水魚ですから、鯉幟の比喩に「海」を用いるのは不適切な気がします。

「学び舎の五月の空を泳ぐ鯉」と添削すると、「平凡すぎて面白くない」と言われるでしょうか?     

   

チュヌの主人は次のように親しみやすい俳句を作ることに心がけていますが、「凡人の最たるものである」と酷評されるでしょうか

    

いつの日も子等は希望よ鯉幟

来ぬ孫の恙なきをと鯉幟

来ぬ孫に写真をメール鯉のぼり

    

歳時記(俳誌のSalon)から親しみやすい俳句を掲載させて頂きます。 

(歳時記の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。)

    

鯉のぼり

鯉のぼりあげる祖父の手節くれて 

        (熊谷みどり)

 

六甲の風に育つ子鯉のぼり

         (山田弘子

 

真つ新の家に翩翻鯉のぼり  

        (田中みのる)

   

鯉幟

鯉幟影のをどつてをりにけり  

         (稲畑汀子)

 

泳ぐ日も拗ねる日もあり鯉幟

        (米山喜久子)

      

鯉幟手摺に尾びれじやれてをり

       (村田とくみ)    

   

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2018年3月 6日 (火)

俳句の鑑賞:「啓蟄」に思うこと

     

P.S.2022.3.18

ウクライナ紛争について、プーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、「やむにやまれぬ思い」を書きました。

青色文字(タイトル)をクリックして、「血に染むなドニエプルてふ春の川や「ロシアの旅(写真・俳句)Trip to RussiaPictures & Haikuをご覧下さい。

  

220305

4年前(2018年)の啓蟄には、韓国と北朝鮮の対話が始まり、民の期待を裏切らず南北対話が順調に進展することを願いつつ啓蟄の俳句を詠み、ブログ記事を書きましたが、案じた通り期待は裏切られました。

今年の啓蟄は残念ながら新型コロナ感染拡大が収束しないばかりか、ロシアがウクライナに侵攻し、世界平和が脅かされる事態になりました。

     

啓蟄やミサイル飛ばす独裁者

啓蟄やオミクロン株なほ絶えず   

啓蟄や多事多難なる現の世

啓蟄や民族闘争蘇り

啓蟄やコロナ専制疎む日々

     

啓蟄や尾曲り猫の鳴き合ひて

啓蟄や轍を行く子けんけんぱ

啓蟄や出でし言の葉おぞましき

   

掲句は、薫風士が「已むに已まれず」詠んだ「川柳擬き」の俳句です。

「已むに已まれず」は「やむにやまれず」と読みます。

貴方は、物議を醸した「誰かさん」と違い、「已みません」を読み間違いするような読みにくい「ひらがな」にしなくても「漢字」で読めるでしょう(?! 

市井の一老人に過ぎない薫風士は、ウクライナ問題が平和裏に速やかに解決されることを祈りながら駄句を口遊み、平和を訴えるしか手立てがありませんが、迎撃ミサイルが核爆発を起こさず100%防衛できるとは信じられません。

原子力発電所の安全確保も益々おぼつかなくなることは、ウクライナへのロシアの侵攻や北朝鮮のミサイル実験を見れば自明のことでしょう。

問題の解決には、覇権争いや経済制裁ではなく、共産主義圏と民主主義圏の住み分けをして、どちらが人類に幸せをもたらすか、文化やスポーツの世界で平和裏の競争をしながら見極めることでしょう。 

       

啓蟄や初金メダル北京パラ

 

村岡桃佳選手(1997.3.3 生れ)はアルペンスキー女子滑降「座って滑るクラス」と「スーパー大回転・座位」と2日連続の金メダルを獲得しました。まことにおめでとうございます。

知名度の上がったこの契機に是非ともパラリンピック・スポーツを通じて世界平和に貢献する活動をして頂きたいものですね!

  

戦争を知らない世代元総理の発言「日米核共有」を何と考えるか、あなた次第ですが、子供たちの将来の為に、世界の政治指導者が21世紀に相応しい政治哲学を持ち、「究極の愛」を発揮して賢明な政策を推進してくれることを祈るばかりです。

次の参議院選挙は棄権をせず、しっかり考えて投票しましょうね!

         

(2018年の啓蟄の記事)

啓蟄や犬はひと際嗅ぎ回り

啓蟄や南北対話動き出す

  

雨上がりの朝の散歩で愛犬チュヌが一際(ひときわ)あちこちを嗅ぎ回りました。今朝のテレビニュースによると、「3月5日に韓国政府の特使が北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長と会談した」とのことです。

 

南北対話が民の期待を裏切らず世界の平和のために順調に進展することを願いつつ、気の向くままに歳時記(俳誌のサロン)の俳句を引用させて頂きます。

(青色文字の季語をクリックし、例句の詳細をご覧下さい。)

    

啓蟄1

啓蟄や屋根くろぐろと寺の町

         (鷹羽狩行)

  

啓蟄や堆肥の匂ふ蜜柑畑   

         (大塚禎子)

  

啓蟄2

啓蟄や残らず靴を磨き上げ

       (石川のぶよし)

  

啓蟄や靴の減りぐせ父に似て

         (千田百里)

  

啓蟄3

啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる 

         (山口青邨)

  

啓蟄や汐留にビル競ひ建ち  

         (今村恵子)

  

啓蟄4

啓蟄や背伸びをすれば骨の鳴り 

         (八染藍子)

 

啓蟄の歩幅大きくなりにけり

        (寺田すず江)

  

啓蟄5

啓蟄や反抗期の子まだ寝床  

         (下山和美)

 

啓蟄や政変聞きつ厨事    

         (足利錞子)

  

啓蟄6

啓蟄や地下鉄を出て迷ひける 

         (竹内悦子)

 

啓蟄や探しあぐめる地下出口 

         (渡邉英子)

  

啓蟄7

啓蟄や小さき地震に耳立てて 

        (久津見風牛)

 

啓蟄や大地震の地よ甦れ   

         (木野裕美)

  

啓蟄8

啓蟄や要介護より抜け出せず 

         (吉村摂護)

 

啓蟄や犬の見てゐるショベルカー

        (平野みち代)

  

啓蟄9

啓蟄や仏足石の苔生して   

        (服部鹿頭矢)

  

啓蟄や杖つく足をやや高く  

         (吉村摂護)

  

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2018年3月 3日 (土)

俳句《春一番・啓蟄》(更新版)

      

啓蟄やダ-クパタ-ンの溢るる世

啓蟄や言はぬが花か?今の世に

啓蟄や二度は試さむ諦めず

啓蟄や祈りの日々の八十路行く

啓蟄や e-Taxに取り掛からむ

  

朝からの雨で庭弄りは出来ず、手つかずのe-Taxに取り掛かることにしました。

  

以下は、2018年3月に書いた記事を2022年に更新したものです。

  

血に染むなドニエプルてふ春の川

・春一番おぞましきとはこの言葉

・啓蟄や出でし言の葉おぞましき

      

 「この言葉」とは何か、この青色文字をクリック(タップ)し、ご覧下さい

 

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2022年の「春一番」は3月5日の「啓蟄」でした。

      

  

・日々愛(お)しむキノコ雲なき春の雲

・親子行くキノコ雲無く春の雲

   

掲句は、薫風士が「已むに已まれず」詠んだ「川柳擬き」の俳句です。

「已むに已まれず」は「やむにやまれず」と読みます。

貴方は、物議を醸した「誰かさん」と違い、「已みません」を読み間違いするような読みにくい「ひらがな」にしなくても「漢字」で読めるでしょう(?!

   

戦争を知らない世代元総理の発言「日米核共有」を何と考えるか、あなた次第ですが、日本が「核保有国」になることが「自衛」になるとは、到底考えられません。

 

「ぶつぎをかもす誰かさん」の「アメリカファ-ス卜」のように、科学技術の進歩した現代に中世や西部劇時代の考え方で国民や国論を分断・対立を煽る発言されるのは困りものですね。

 

子供たちの将来の為に、世界の政治指導者が「究極の愛」を発揮して賢明な政治を推進してくれることを祈っていますが、参議院選挙は棄権をせず、あなた任せにせず、しっかり考えて投票しましょうね!

   

2018年の「春一番」は昨年より12日遅い(3月1日)発生でしたが、猛威をふるいました。

 

この記事は3月3日「雛祭り」・「平和の日」に書きました

 

歳時記(俳誌のサロン)から季語が「春一番」の俳句を気の向くままに引用させて頂きます。

(青色文字の季語をクリックすると掲載された俳句の詳細がご覧になれます。) 

  

春一番(1)」

春一番武蔵野の池波あげて 

       (水原秋桜子)

  

ポリバケツ逃げまどひたる春一番

        (柿沼盟子)

  

春一番(2)」

風見鶏欣喜回転春一番    

         (山口速)

  

猫探す貼り紙吹かる春一番  

       (池田加代子)

   

春一番(3)」

改札を春一番と通りけり   

         (本節子)

  

春一番阿鼻叫喚のフェニックス

       (松崎鉄之介)

   

春一番(4)」

春一番自転車あまた薙ぎ倒し

       (芝宮須磨子)

  

春一番小学生は駈けたがる  

       (今橋眞理子)

  

春一番(5)」

よろめきて春一番と諾ひぬ  

        (村上悦子)

    

(575筆まか勢)

呼鈴は空耳なりし春一番   

        (田中湖葉)

  

松に鳴り樫に響けり春一番  

        (川村紫陽)

  

白波の浮燈台や春一番

        (岡本静子)

  

若者に古着が流行る春一番  

        (有馬朗人)

      

(「増殖する俳句歳時記」)

胸ぐらに母受けとむる春一番 

        (岸田稚魚)

この俳句は、清水哲男氏の解説に「折りからの強風によろけた母親を、作者はがっしと胸で受けとめた。」とある通りのことを詠んだものでしょう。しかし、広辞苑によると「胸倉」は「着物の左右の襟の重なり合う辺りの部分。むながらみ。」という意味ですから、作者は「母の胸倉が強風で膨らんだ」状態を詠んだ、と解釈できないこともないでしょう。作者は「胸ぐら」と表示することによって二通りの解釈を可能にしたというのは穿ち過ぎでしょうか?

          

真夜中の犬の冒険春一番

 

掲句はチュヌの主人の即興句です。春一番の強風にカーポートのシャッターが少し開き、隙間からチュヌは夜中に冒険に出かけました。チュヌの居ないのに気付いた主人やお母さんが散歩道など探しましたが見つからず、警察署に届けました。でも、チュヌは朝食前にお家に帰ったので「遺失物」の届け出はすぐ解除されました。お巡りさん、お騒がせしてすみませんでした。

   

(補追)

チュヌは2018.10.16に永遠の眠りにつきました。

『チュヌの追悼』by L.P. Lovee」をご覧頂ければ幸いです。

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

    

2018年1月14日 (日)

究極の愛・ラブを!(Ultimate LOVE!)

    

(Click here to see English version "Ultimate LOVE". 

  

20241102_124117_2Sn3u0014b子供達が健全に成長し、幸せな人生を送ることが出来るように、そのための24のキーワードをLOVEの文字に当てはめ「究極のLOVE」として集約しました(下記をご覧下さい)   

  

子供たちの道徳教育の参考になれば幸いです。

    

青色文字をクリックすると解説記事などがご覧になれます。   

    

価値観は時代とともに変化します。

 

子供たちそれぞれの個性と才能を生かす教育、多様性を受け入れる寛容の精神を養う教育が肝心です。

  

「いじめ」を防止する教育は必要ですが、「いじめ」や「登校拒否」を無くするためには「他の人の立場を理解し、多様性を認める寛容性と和の精神を教育することこそ肝心です。

   

現代の「和」の精神は戦前の「封建制度的な和」でなく、「平和憲法に基づく民主主義制度における和」が大切です。

   

戦前の全体主義的・国家主義的画一教育に逆流させてはなりません。

絶対主義的画一的教育は「いじめ」の温床になるでしょう。

そればかりか、「国のためには戦争をすべきである」というアナクロニズムに陥る恐れがあります。

  

武器・技術が進歩し、核兵器のある現代では、局地戦争が核戦争を引き起こし、人類・地球の破滅をもたらすリスクがあります。

   

道徳教育で大切なことは、児童があくまでも自発的に物事を考え、自分の考えを主張すると同時に他者の考えにも耳を傾けることを学び、自己と他者、自己と社会との関わり合いを考え、自分の能力や個性を自分のためばかりでなく、社会に役立つようにするバランス感覚、合理的な思考能力などを培うことでしょう。

  

道徳教育を教科にして、「道徳嫌い」を生む恐れのある「一方的な成績評価や序列評価をすること」には反対です。

 

小学校教育においては、評価は子供の自尊心を生かし、やる気を出させるのに効果のある個別評価、教育効果を評価するための範囲に限定すべきでしょう。

  

(本との出会い)母と子・優しさと厳しさと」をご覧下さい

  

平和な社会が維持されることを祈りつつ書いた「究極のLOVE]は下記の通りです。  

    

「L」は Love(愛する)・Learn(学ぶ)・Liberty(自由・権利)・Legality(合法性)、Laugh(笑う)・Life(生活・一生・命)です。 

      

「O」は Optimism(楽観・楽天主義)・Originality(個性・独創性)・Objective(目標・客観的)・Obligation(義務・義理)、Opportunity(機会・好機)・Organization(組織団体組織化することです。  

    

「V」は Vitality(活力・元気)・Vision(ビジョン・先見性)・Venture(冒険・思い切ってする)・Value(価値・評価)・Volunteer(ボランティア・自発性)、Viewpoint(観点視点切り口です。 

     

「E」は Effort(努力)・Enjoy(楽しむ)・Ethic(倫理・道徳)・Equity(公平・公正)・Endurance(忍耐・持続)・Each(個・個人・自己)です。

      

Love(愛)

親子の愛、男女の恋愛、夫婦の愛など人に関する愛のみならず、動物、自然、故郷、住んでいる町や国、平和、自分の仕事など全てが対象です。まず自分を愛し、自分のしていることを愛し、その結果が他者への愛、すべてのものに対する愛につながることが理想です。

      

Learn(学ぶ)

教師や反面教師として、全てのことから学ぶことが出来ます。

身近な両親、兄弟姉妹、友達、先輩・後輩、先生などから直接学ぶことが沢山あります。書物や新聞・ラジオ・テレビ、インターネットなどで地域と時代を超えて様々なことを学ぶことができます。また、自分自身や他人の失敗や成功の実例から学ぶことも大切です。   

      

Liberty(自由・権利)

基本的人権として思想・言論・信教の自由などが憲法で保障されています。しかし、自由の権利を乱用すると、自由を失う恐れがあります。常に権利と義務、個(自分自身)と全体(社会・国)、公平・公正の原則とのバランスを考慮することが肝要です。多くの若者が選挙権・参政権の行使を放棄していることは幸福を追求することを放棄していることになるのではないかと危惧しています。 

      

Legality(合法性)

誰でも自由に考えて行動すれば良いのですが、それが法律に適っていることが前提です。法律は人々の生活を守り社会の秩序を維持するためのものですから、日常生活で余り難しく考えることは無いでしょう。しかし、何か特別のことを始める時にはそれが合法的かどうかチェックすることも必要でしょう。   

      

Laugh(笑う)

笑う門には福来たる」(「Laugh and get fat.」「Fortune comes in by a merry gate.」)です。

泣きたいときには泣くとよいでしょう。でも、辛い時でも笑顔を忘れずに前向きに過ごして行けばきっと良い時も来るでしょう。 

      

Optimism(楽観主義)

人間万事塞翁が馬」(Joy and sorrow are today and tomorrow.)、「人生は山あり谷あり」、「努力をすれば何とかなる」、「人事を尽くして天命を待つ」と楽観的に考えることです。いわゆるプラス思考・ポジティブシンキング(positive thinking)を実践することです。

               

Originality(個性・独創性)

世界に一人しかいない自分という貴重な存在を活かしましょう。単なる「猿真似」や「迎合」ではなく、人それぞれに出来ること・天性・個性を生かして、学んだことを更に発展させ実践することです。現代は多様性の時代です。様々な個性が集まって全体の調和が生まれることが理想です。   

     

Objective(目標・客観的)

将来何をするか自分の目標を定める際に、それを達成することが可能か、楽観的に考えると同時に、冷静に客観的に評価しておくことも大切です。高い目標を掲げることは良いのですが、目標は高ければ高いほど成果の高望みをしないでstep-by-stepで一歩ずつ前進することです。  

     

Obligation(義務・義理)

「世の中は持ちつ持たれつ」、「お互い様」です。自己の権利を主張するばかりでなく、義務もあることを認識して他者の権利・立場も認め、自他のバランス(Give-and-take)を考えることが大切です。  

      

Opportunity (機会・好機)

好機逸すべからず」です。英語のことわざには「Now or never.」とか「Everything has its time.」などがありますが、機会をとらえTPO(時と場所と場合)を考えて適切な行動をすることが大切です。 

     

Vitality(活力・元気)

何事もやる気と元気がなければ達成出来ません。精神的にも肉体的にも健康を維持することが大切です。「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。時には無理が必要なこともあるでしょうが、頑張りすぎないで、自分の出来る範囲でやれば良いでしょう。

     

Vision(ビジョン・先見性)

「憲政の神様」と言われた尾崎行雄は「人生の本舞台は常に将来に在り」と言っています。自分は何をしてきたか、今何をすべきか、自分の将来の目標は何か、自分の人生のどの時点でも、常に過去・現在・未来という流れの中で自分自身と社会の将来を見据えて考え・行動することが理想です。

     

Venture(冒険・思い切ってする)

慎重に考えて行動することも大事ですが、難しいと思うことでも時には思い切ってやって見ることも必要でしょう。成功するか否かは自分の才能や努力のみならず運に左右されるものです。最もうまく行く場合と最悪の場合とを考え、腹を据えて思い切って行動すると良いでしょう。

     

Value(価値・評価)

価値観は人によって異なりますが、自分の価値観を充足することによって生き甲斐や幸せを感じるものです。

自分にとって何が大切か、何をしたいか、それは自分のためだけではなく、親のためや人のために役立つことになるか、と考えながら目標を立て・行動することが大切です。

     

Volunteer(ボランティア・自発性)

何事でも自分のしたいことをするときは苦労が苦労でなく、楽しくなります。最近はボランティア活動をしている若者も沢山いることはありがたいことです。自分が出来ることを自発的に行い、自分のみならず人のためにもなり、世の中に役立つことができれば最高です。

     

Effort(努力)

天賦の才に恵まれていても努力をしなければその才能を生かすことは出来ません。ささやかな才能であっても努力することによって、それを伸ばすことが出来ます。大切なことは他者との比較や序列・勝ち負けそのものではなく、それを励みとして自分自身の天分を育てる努力をしているかどうかです。 

     

Enjoy(楽しむ)

努力も色々工夫しながらすると、苦労でなく楽しみとなります。楽しみながらすると努力を続けることが出来ます。少しでも努力の成果が出ると楽しくなります。すぐに成果が表れなくても長い目で見れば必ず成果が出て来るものですから、それを楽しみに努力を続けることです。

     

Ethics(倫理・道徳)

技術が高度に発達し専門化している現代社会においては個人や組織が倫理を大切にして活動することが不可欠です。最近の世相をみると、長い間に築いた信用を倫理観の欠如から一瞬に失い、自滅するだけでなく社会に大きな弊害をもたらしている例が少なくないことは残念なことです。

     

Equity(公平・公正)

才能や努力の成果を生かすには考え方や行為が公正であることが大切です。どのような場合でも公正かどうかという観点でチェックすることが望まれます。公明正大な振舞いをすることによって明るい気持ちが維持できます。明るい気持ちは必ず幸福を呼び込むでしょう。 

      

Endurance(忍耐・持続)

豊かな現代社会においては何でも簡単に出来、手に入るので誘惑が多く、我慢することが難しくなっています。

ITやSNSが発達し便利になっていますが、スマホによるゲームの氾濫や不適切な交流サイトなど、子供の教育や十代の若者の新たな社会問題になっています。  

「三つ子の魂百まで」、「継続は力なり」です。大きくなってから抑えることは難しくなりますので物心が付き始めた幼い時から我慢することのしつけもしておくと良いでしょう。 

   

上記のことは、ご存知のことばかりでしょうが、それをLOVEという親しみやすく大切な一語に集約して覚えやすくしたのが味噌です。LOVEを実践する人々が増え、住みよい社会が日本から世界に広がることがチュヌの主人の念願です。

 

幸せな一生を過ごすには、一個人としての「自分」と「組織」の一員としての「自分」とのバランス、「個」と「全体」の「関わり合い」を考え、「過去」をベースに「未来」を見据え、「現在」に「視点」を置いて、よく考え、行動することが大切です。そして、視点を「自己→家族→市民→国民→地球人」など、様々な視座に置いて相対的に考えることです。

   

「自分一人ぐらい・・・」とあきらめるのではなく、「自分一人でも・・・」と前向きに考え行動することです。「一人一人の思いや行動」が組織・社会・国を動かしていくのですから。 

         

「究極のLOVEを実践しよう!」の抄訳英語版はココをクリックしてご覧下さい。

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

                  

2017年12月17日 (日)

亀鳴くや声なき声を聞けよとて

      

(2025.2.6 更新)

ここの青色文字(記事のタイトル)をクリック(タップ)して、「梅雨の亀の呟き《政界の若返りを!》」や「EXPO 2025《大阪・関西万博21句」》」をご一読下さい。

  

亀鳴くや政治刷新鬨の声

亀鳴くや海神の声聴けよとて

亀鳴くや無理をするなと帰路の闇 

亀鳴くや無理ムリとは言いづらく

亀鳴くやパワハラ嫌と言えなくて

亀鳴くや餓鬼大将にいびられて

亀鳴くや我が身になって考へよ

亀鳴くや主人諫めよポチとても

亀鳴くや仏心の嘘をつき

亀鳴くや仏の嘘は民の為

亀鳴くやドニプル川を血に染むな

       (薫風士)

 

2022年3月18日に、ウクライナ紛争についてプーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して「已むに已まれぬ思い」を俳句に詠んだ記事血に染むなドニエプルてふ春の川」をご覧頂いと思いますが、貴方にとって「声なき声」とは何でしょうか?

  

掲句の比喩に込めた思いをシェアして頂けると幸いです。

    

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Cimg5461_2タイトルの俳句「亀鳴くや」は2017年12月1日に国際俳句協会主催で開催された第19回HIA俳句大会の稲畑汀子選の特選になったチュヌの主人(木下さとし▪︎ 薫風士)の投句です。

  

この句は、「亀鳴くや皆愚かなる村のもの」という句を作った高浜虚子の孫に当たる稲畑汀さん(当時、日本伝統俳句協会会長)の目に留まり、特選になったのでしょう。

  

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写真は、カラ-図説日本大歳時記の「亀鳴く」などの解説頁の一部分です。

  

亀鳴く」は「春の季語」です。

写真や青色の文字をタップして、解説と例句をご覧下さい。

  

虚子は「亀鳴く」という季語を用い、「愚か者」と言わず、「愚かなる村」の「もの」と「ひらがな」表示にすることによって何かを比喩的に表現しようとしたのではないでしょうか?

    

俳句談義(15):『昭和の日』・『憲法記念日』と俳句」において述べたように、いろいろな解釈が可能です。

   

「愚かなる村のもの」の「もの」とは何か? 「者」か?「物」か?

  

「皆」とは「亀」のことか? 

  

それとも、「人は皆愚か者」と嘆いているのだろうか?

 

「村」とはどこの村か? 

  

「政治家や日本人の村社会意識」の比喩ではないか?

等々、あなたも面白い解釈をしてみて下さい。

 

(青色文字をクリックすると解説記事をご覧になれます。)

 

「声なき声」は英語ではサイレント・マジョリティ(silent majority)です。

  

「ベトナム戦争」についてのニクソン大統領の発言や、「安保闘争」についての岸信介総理大臣の発言など、色々な使い方がされています。

  

あなたにとって「声なき声」とは何でしょうか?

   

2017年の流行語大賞は「忖度」(そんたく)が選ばれました。

 

広辞苑によると「忖度」は「他人の心中をおしはかること」ですから、「おもてなし」の心に通ずる言葉でしょう。

  

「空気を読む」とか「阿吽の呼吸」とかいう言葉がありますが、肝心なことは「何について忖度するのか、忖度して何をするのか」です。

  

政治問題や国際問題には国民を納得させる透明性が必要でしょう。

  

「利敵行為・利敵発言」などのレッテル貼を恐れて発言しない「声なき声」、すなわち「トランプ大統領」や「安倍総理」などが声高に推進している北朝鮮に対する強硬政策について危惧しながら発言しない「声なき声」の真意は何か、日本が戦前に経済制裁などによって追い込まれ、「真珠湾攻撃」をしたこと、「天皇を現人神」として独裁的軍部が無謀な戦争を推進したこと等を考えれば、答えは自明ではないでしょうか?

   

「今年の漢字」に「北」が選ばれました。

 

国や人々が互いに背を向けて離反するのではなく、向かい合って対話する政治を推進してほしいものです。

 

愛する日本の将来のために、また世界平和のためにも、「人道とは何か」を政治家が真摯によく考え、叡智をもって政策を推進することを願っています。

   

あすなろう民の祈りの大聖樹

       (薫風士)

     

この俳句は神戸メリケンパークのクリスマスツリーを詠んだチュヌの主人の俳句です。

  

宗教と科学の融合」をご一読下さい。

冒頭の写真は先日チュヌの主人が神戸市の布引ハーブ園で寫した「愛の像」(Statue of Mother and Child) の写真です。

 

本との出会い <母と子・優しさと厳しさと>  や聖夜」・「クリスマス」(歳時記)の俳句など、青色文字をクリックしてご覧下さい。)

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「和文俳句」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

     

2017年12月10日 (日)

俳句上達のコツ《見たこと・感じたことを5・7・5で口ずさむ》

    

「口ずさむ」は「口遊む」と書きます。

 

俳句上達のポイントは、ともかく何でも見たこと・感じたことを「5・7・5」で口ずさみ、言葉遊びを楽しみながら「5・7・5のリズム」を身に付けることにあるでしょう。

 

俳句のリズムが身につけば、多作多捨をして推敲することが容易になり、そのうちに良い句が作れるでしょう。

 

良い句とは、作者の思いが「5・7・5」に無駄なく凝縮して表現された俳句だと思っています。

 

「あれもこれも表現したい」と思うときは、題材・テーマを一つに絞って、複数の俳句に表現すると良いでしょう。

 

ここをクリックして、「俳句の作り方 <5つのポイント>」をご覧下さい。

 

俳句に興味のある方はここをクリックして「俳句を楽しもう!(フラワータウンカレッジ講演の要旨)」をご一読下さい。

 

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2017年11月28日 (火)

本との出会い《母と子・優しさと厳しさと》

        

春浅し命の限り『句』を口に (本との出会い)

    歌うように伝えたい」をご一読下さい。コロナ禍の励ましになるでしょう。

   

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ブログ「チュヌの便り・虚子の俳句『去年今年貫く棒の如きもの』の棒とは何か?」を契機に知った宗内敦(臨床心理学者)の近著「エッセイで読み解く 教育・指導のエッセンス」に共感することが多々あるのでここに紹介させて頂きます。

教育関係者のみならずチュヌの便りの読者など一般の人々に是非読んで頂きたい好著です。

(青色文字をクリックすると解説記事などがご覧になれます。) 

     

「いじめ」や「不登校」などの問題は教育者のみならず、広く一般の人々が他人事としないで関心を持ってほしい問題ですが、このような問題を無くするためには「思いやりを持って他人の立場を理解し、多様性を認める寛容性を基本にした和の精神を教育することが何よりも肝心である」とチュヌの主人は思っています。

この「和」の精神は戦前の「封建的な和」でなく、「民主主義制度における和」です。戦前の全体主義的・国家主義画一教育は「いじめ」の解消にならないでしょう。

道徳教育で大切なことは、児童があくまでも自発的に物事を考え、自分の考えを主張すると同時に他者の考えにも耳を傾けることを学び、自己と他者、自己と社会との関わり合いを考え、自分の能力や個性を自分のためばかりでなく、社会に役立つようにするバランス感覚、合理的な思考能力などを培うことでしょう。

「権力」にもとづく教育でなく、「権威」に基づく教育をすることが肝心でしょう。(宗内敦著「教師の権威と指導力」参照。)

 

道徳教育を教科にして、「道徳嫌い」を生む恐れのある「一方的な成績評価や序列評価をすること」には反対です。道徳教育においては、評価は子供の自尊心を生かし、やる気を出させるのに効果のある個別評価、教育効果を評価するための範囲に限定すべきでしょう。

子供たちが将来幸せな一生を過ごすことができるようにするには、「自分を知り、『一個人としての自分』と『組織の一員としての自分』とのバランス、『個と全体の関わり合い』を考え、『過去をベースに未来を見据え、現在に視点を置いて、よく考え、行動すること』、『自己→家族→市民→国民→地球人』など、様々な視点で相対的に考える教育をすることが大切です。   

      

子供の教育のためのみならず、住みよい平和な社会が維持されることを祈りつつチュヌの主人が書いた「究極のLOVEを実践しよう!」の「究極のLOVE]は下記の通りです。 是非、ご一読下さい。

   

・「L」

Love(愛する)・Learn(学ぶ)・Liberty(自由・権利)・Legality(合法性)、Laugh(笑う)・Life(生活・一生・)です。 

     

・「O」

Optimism(楽観・楽天主義)・Originality(個性・独創性)・Objective(目標・客観的)・Obligation(義務・義理)、Opportunity(機会・好機)・Organization(組織・団体・組織化すること)です。  

  

「V」

Vitality(活力・元気)・Vision(ビジョン・先見性)・Venture(冒険・思い切ってする)・Value(価値・評価)・Volunteer(ボランティア・自発性)、Viewpoint(観点・視点・切り口)です。 

    

・「E」

Effort(努力)・Enjoy(楽しむ)・Ethic(倫理・道徳)・Equity(公平・公正)・Endurance(忍耐・持続)・Each(個人・自己)です。  

  

・Love(愛)

親子の愛、男女の恋愛、夫婦の愛など人に関する愛のみならず、動物、自然、故郷、住んでいる町や国、平和、自分の仕事など全てが対象です。まず自分を愛し、自分のしていることを愛し、その結果が他者への愛、すべてのものに対する愛につながることが理想です。  

  

・Learn(学ぶ)

教師や反面教師として、全てのことから学ぶことが出来ます。

身近な両親、兄弟姉妹、友達、先輩・後輩、先生などから直接学ぶことが沢山あります。書物や新聞・ラジオ・テレビ、インターネットなどで地域と時代を超えて様々なことを学ぶことができます。また、自分自身や他人の失敗や成功の実例から学ぶことも大切です。   

  

・Liberty(自由・権利)

基本的人権として思想・言論・信教の自由などが憲法で保障されています。しかし、自由の権利を乱用すると、自由を失う恐れがあります。常に権利と義務、個(自分自身)と全体(社会・国)、公平・公正の原則とのバランスを考慮することが肝要です。多くの若者が選挙権参政権の行使を放棄していることは幸福を追求することを放棄していることになるのではないかと危惧しています。  

  

・Legality(合法性)

誰でも自由に考えて行動すれば良いのですが、それが法律に適っていることが前提です。法律は人々の生活を守り社会の秩序を維持するためのものですから、日常生活で余り難しく考えることは無いでしょう。しかし、何か特別のことを始める時にはそれが合法的かどうかチェックすることも必要でしょう。   

  

・Laugh(笑う)

笑う門には福来たる」(「Laugh and get fat.」「Fortune comes in by a merry gate.」)です。

泣きたいときには泣くとよいでしょう。でも、辛い時でも笑顔を忘れずに前向きに過ごして行けばきっと良い時も来るでしょう。  

  

・Optimism(楽観主義)

人間万事塞翁が馬」(Joy and sorrow are today and tomorrow.)、「人生は山あり谷あり」、「努力をすれば何とかなる」、「人事を尽くして天命を待つ」と楽観的に考えることです。いわゆるプラス思考・ポジティブシンキング(positive thinking)を実践することです。 

        

・Originality(個性・独創性)

世界に一人しかいない自分という貴重な存在を活かしましょう。単なる「猿真似」や「迎合」ではなく、人それぞれに出来ること・天性・個性を生かして、学んだことを更に発展させ実践することです。現代は多様性の時代です。様々な個性が集まって全体の調和が生まれることが理想です。

      

・Objective(目標・客観的)

将来何をするか自分の目標を定める際に、それを達成することが可能か、楽観的に考えると同時に、冷静に客観的に評価しておくことも大切です。高い目標を掲げることは良いのですが、目標は高ければ高いほど成果の高望みをしないでstep-by-stepで一歩ずつ前進することです。  

   

・Obligation(義務・義理)

「世の中は持ちつ持たれつ」、「お互い様」です。自己の権利を主張するばかりでなく、義務もあることを認識して他者の権利・立場も認め、自他のバランス(Give-and-take)を考えることが大切です。 

    

・Opportunity (機会・好機)

好機逸すべからず」です。英語のことわざには「Now or never.」とか「Everything has its time.」などがありますが、機会をとらえTPO(時と場所と場合)を考えて適切な行動をすることが大切です。 

  

・Vitality(活力・元気)

何事もやる気と元気がなければ達成出来ません。精神的にも肉体的にも健康を維持することが大切です。「過ぎたるは及ばざるがごとし」です。時には無理が必要なこともあるでしょうが、頑張りすぎないで、自分の出来る範囲でやれば良いでしょう。

   

・Vision(ビジョン・先見性)

「憲政の神様」と言われた尾崎行雄は「人生の本舞台は常に将来に在り」と言っています。自分は何をしてきたか、今何をすべきか、自分の将来の目標は何か、自分の人生のどの時点でも、常に過去・現在・未来という流れの中で自分自身と社会の将来を見据えて考え・行動することが理想です。

  

・Venture(冒険・思い切ってする)

慎重に考えて行動することも大事ですが、難しいと思うことでも時には思い切ってやって見ることも必要でしょう。成功するか否かは自分の才能や努力のみならず運に左右されるものです。最もうまく行く場合と最悪の場合とを考え、腹を据えて思い切って行動すると良いでしょう。

   

Value(価値・評価)

価値観は人によって異なりますが、自分にとって何が大切か、何をしたいか、それは自分のためだけではなく、親のためや人のために役立つことになるか、と考えながら目標を立て・行動することが大切です。

  

・Volunteer(ボランティア・自発性)  

何事でも自分のしたいことをするときは苦労が苦労でなく、楽しくなります。最近はボランティア活動をしている若者も沢山いることはありがたいことです。自分が出来ることを自発的に行い、自分のみならず人のためにもなり、世の中に役立つことができれば最高です。

  

・Effort(努力)

天賦の才に恵まれていても努力をしなければその才能を生かすことは出来ません。ささやかな才能であっても努力することによって、それを伸ばすことが出来ます。大切なことは他者との比較や序列・勝ち負けそのものではなく、それを励みとして自分自身の天分を育てる努力をしているかどうかです。 

  

・Enjoy(楽しむ)

努力も色々工夫しながらすると、苦労でなく楽しみとなります。楽しみながらすると努力を続けることが出来ます。少しでも努力の成果が出ると楽しくなります。すぐに成果が表れなくても長い目で見れば必ず成果が出て来るものですから、それを楽しみに努力を続けることです。

  

・Ethics(倫理・道徳)

技術が高度に発達し専門化している現代社会においては個人や組織が倫理を大切にして活動することが不可欠です。最近の世相をみると、長い間に築いた信用を倫理観の欠如から一瞬に失い、自滅するだけでなく社会に大きな弊害をもたらしている例が少なくないことは残念なことです。

   

・Equity(公平・公正)

才能や努力の成果を生かすには考え方や行為が公正であることが大切です。どのような場合でも公正かどうかという観点でチェックすることが望まれます。公明正大な振舞いをすることによって明るい気持ちが維持できます。明るい気持ちは必ず幸福を呼び込むでしょう。 

      

・Endurance(忍耐・持続)

豊かな現代社会においては何でも簡単に出来、手に入るので誘惑が多く、我慢することが難しくなっています。

ITSNSが発達し便利になっていますが、スマホによるゲームの氾濫や不適切な交流サイトなど、子供の教育や十代の若者の新たな社会問題になっています。  

三つ子の魂百まで」、「継続は力なり」です。大きくなってから抑えることは難しくなりますので物心が付き始めた幼い時から我慢することのしつけもしておくと良いでしょう。 

上記のことは、ご存知のことばかりでしょうが、それをLOVEという親しみやすく大切な一語に集約して覚えやすくしたのが味噌です。LOVEを実践する人々が増え、住みよい社会が日本から世界に広がることがチュヌの主人の念願です。

          

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2017年11月24日 (金)

芭蕉や虚子の面白い俳句をまとめました

           

チュヌの便りの「俳句談義」や「俳句エッセイ」などから「面白い俳句」の記事をまとめました。

青色文字(記事のタイトル等)をクリックしてご笑覧下さい。

   

(1)松尾芭蕉の俳句「やがて死ぬけしきは見えず蝉の声」

 

この俳句の句意は二通りの解釈が可能ですが、何と何か、当てて下さい。

答えは「蝉の俳句を鑑賞しよう」にあります。 

 

高浜虚子の俳句「春の山屍を埋めて空しかり」の「空しかり」を貴方は何と読みますか?「むなしかり」と読みますか?「くうしかり」と読みますか? 俳句談義(1)虚子辞世句の解釈」をご覧下さい。

       

(2)与謝蕪村の俳句「薫風やともしたてかねついつくしま」

  

この俳句の面白さは句意が少なくとも4通りに解釈できることにあります。

「いつくしま」は宮島のことです。「厳島神社」は世界遺産に登録されていますね。俳句鑑賞 <蕪村の俳句「薫風や」は面白い>を読んで、「宮島」を詠んだ与謝蕪村の遊び心を共有して下さい。

    

(3)高浜虚子の俳句「神にませばまこと美はし那智の滝」

この俳句は虚子が那智の滝の美しさを讃えて詠んだものですが、俳句の隠喩について面白い解釈が可能です。那智の滝」も世界遺産に登録されています。若者が自然に対する素朴な畏敬の念を失わず、人間本来の生命力を失わず、少子高齢化の日本の未来を救ってくれることを祈っています。「高浜虚子の俳句 <「去年今年」と「神にませば」>の面白い解釈」を読み、チュヌの主人の思いをご理解頂ければ嬉しいですね。

  

(4)高浜虚子の俳句「花疲れ眠れる人に凭(よ)り眠る」

この俳句の面白さや俳句の翻訳の難しさを取り上げた記事「俳句談義(13):<『花』と『鼻』> 高浜虚子と芥川龍之介や「バイリンガル俳句鑑賞 <花疲れ眠れる人に凭り眠る(高浜虚子)>をご覧下さい。

ちなみに、正岡子規は俳句本来の面白さを辞世の俳句などに残してくれています。「『敬老の日』の『糸瓜忌』に思うこと」をご覧下さい。

  

(5)高浜虚子の俳句『大寒の埃の如く人死ぬる』

俳句の面白さの一端はその短所とも言うべき片言性が解釈の二面性(滑稽とシリアス)を可能にしていることにあります。「俳句談義(4):高浜虚子の句『大寒の埃の如く人死ぬる』とは、『平和』を考える」をご覧下さい。

安倍政権やトランプ政権が暴走せず賢明な政策を推進して世界の平和を維持するように、識者が働きかけることを祈っています。恒久的世界平和の確立をはかない夢に終わらせないために、皆さんが声なき声を上げてくれることを願っています。

「俳句談義(1)~(18)通読版」に興味があれば、ここをクリックしてご覧下さい。

   

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2017年10月25日 (水)

高浜虚子の俳句 「神にませば」の面白い解釈

     

神にませばまこと美はし那智の滝

  

高浜虚子(1874–1959)の代表句の一つである「去年今年貫く棒の如きもの」の解釈について、「虚子の俳句『去年今年貫く棒の如きもの』の棒とは何か?」というタイトルのブログを書きましたが、虚子は深読みすると面白い意味深な掲出句を作っています。

(青色の文字をクリックすると関連の記事をご覧になれます。)

  

「神にませば」の俳句について、坊城俊樹氏は次のように述べています(「高浜虚子の100句を読む」から抜粋)。

この句は『五百句』にもあるように、虚子の句の中でも史実を超えた代表句。特に吟行の旅における傑作といっていい。(…中略…)滝の美しさもさることながら、茶屋の娘の美しさに気を配るあたり、なかなかお忙しいが、まことに虚子らしい。とまれ、那智の滝の美しさは女性に喩えるのは当然で、あの日本一の一条の滝の姿は大日如来の再現である。」

また、滝の下にある虚子の句碑を観て詠んだ次の2句を掲載して、「本歌取りというほど高尚なものでもないが、虚子の句への尊厳を込めてというよりは、この滝の日本一の美しさと気高さにたいしての存問と思いたい。」と述べています。

  

滝にまさば神を白しと思ふかな

岩座を後背として那智の滝

   

「神にませば」の俳句を英訳するために広辞苑で調べたところ、「ます」の漢字表示には「申す」(=「言う」の謙譲語)と「在す・坐す」(=「在る」「居る」の尊敬語)があることが分かりました。

高浜虚子は意図的に漢字を用いず、「ひらがな」で「ませば」と表記したに違いありません。

前者の意味に解釈すると、神にませばまこと美はし那智の滝」の句意は、「神に申し上げますが、那智の滝は真に美しいですね」と、「神の創造した自然を賛美している」ことになります。

また、後者の意味に解釈すると、「神にある那智の滝は真にうるわしい」という意味になりますが、どうも合点が行きません。

インターネットで解説記事や写真などをあれこれ検索した結果、「神に在るもの」とは「滝そのもの」ではなく「滝が象徴するもの」を指している比喩であることに気付きました。

古来から生命の源泉を崇拝して豊穣を祈願する素朴な信仰、殖器崇拝の概念がありますが、「那智滝」の信仰にもそのような一面があるに違いありません。

熊野那智大社のホ-ムページをご参照下さい。 

    

高浜虚子の俳句には座興に作ったのか、人を食ったような俳句もあります。「那智の滝」は大日如来の再現であるとも言えるでしょうが、この俳句では「観音様」(=「女陰」)の隠語も暗示している隠喩の効果も意図していると思います。

滝の落下水量、滝の見える場所、季節などの条件次第で、那智の滝は様々な姿を見せてきたのではないでしょうか?

那智の滝の画像集をご覧になると、「それ」らしく見える写真があるでしょう。

「神にませば」の俳句と「去年今年」の俳句を合わせて考えると、冒頭のブログにおいて触れた中年婦人の感想(「この句を知ったとき、顔が火照り、胸がときめき、しばらくは止まらなかった」)に納得できないこともない気がします。

高浜虚子の「遊び心」「自由奔放さ」に感嘆しましたが、「不謹慎な下司の勘繰りである」と非難・一蹴されるでしょうか?

「高浜虚子の俳句の奥の深さを良く理解している」と評価して呉れるでしょうか?

この俳句を卑しい人が読めば「卑しい俳句」として貶すでしょうし、自然を愛し自然の摂理を理解・尊敬している人が読めば、「素晴らしい俳句」と思うのではないでしょうか。

「何事も両面あるので良く考えることが大切だ」と痛感しています。

            

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2017年10月16日 (月)

高浜虚子の俳句と「護憲運動」のことなど


   

(2025.7.20 更新)

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この写真は、NHK-TV 画面の一部分ですが、10月27日の衆議院選挙投票促進の広報車などです。

 

まやかしの無い公明正大な良識ある候補者を見極めて、投票しましょう。

  

時雨るるや叉もまやかし懲りもせず

    (薫風士)

  

候補者が政治家として国民の信頼を裏切らないことを切望しています

   

(2017.10.16の記事)

高浜虚子(1874–1959)の俳句に「年を以て巨人としたり歩み去る」とか「亀鳴くや皆愚かなる村のもの」という風変わりな俳句があります。

  

10月10日、衆議院選挙が公示されました。この高浜虚子の奇妙な俳句は「衆議院選挙」とか「護憲運動」などとは何ら関係ありませんが、「踏み込んでよく考えよう!」と、読者に謎を掛けているような気がします。

 

高浜虚子は「去年今年貫く棒の如きもの」という俳句も作っていますが、今年の年末年始はどんな感慨をもって過ごすことになるでしょうか。

 

目下、衆議院選挙の投票日(10月22日)に向けて各政党の代表者や候補者が支援を求めて運動に駆け回っていますが、将来に悔いを残さないように目先のことに捉われず、皆さんが投票してほしいものです。

(青色の文字をクリックすると関連の解説記事などをご覧になれます。)

  

チュヌの主人は「俳句を通じて世界平和を!」をモットーにして、ささやかなブログを書いていますが、その一環として、「高浜虚子の100句を読む(坊城俊樹著)に掲載された虚子の100句を第1回から順次英訳して「チュヌの便り」に掲載中です

 

(第26回)高浜虚子の100句を読む」を見ると、掲句「年を以て」の作成が「大正十二年十二月二十一日」と記載されています。

「大正12年」(1923年)には関東大震災が発生しているので、そのことを俳句に詠んだものかと思いましたが、実際の作成年は大正2年(1913年)なので関東大震災とは無関係であることがわかりました。

ウイキペディアの大正2年の「できごと」を見ると、

2月に「尾崎行雄が政府弾劾演説を行う(第一次護憲運動)」「第3次桂内閣総辞職(大正政変)」、3月に「ウッドロウ・ウィルソンが第28代米大統領に就任」、「6月29日 - 第2次バルカン戦争勃発」、「11月22日-史上最後の征夷大将軍、徳川慶喜が、午前4時10分に、感冒にて死去。享年77(76歳0ヶ月25日)。」など、さまざまな出来事があります。

   

俳句においては主語がよく省略されますが、高浜虚子の上記の俳句「年を以て巨人としたり歩み去る」では「巨人としたり」や「歩み去る」の主体(主語)が省略されている、すなわち、「時の流れ」が省略されている、と解釈するのが良いと思います。

 

高浜虚子は、芭蕉の「奥の細道」の冒頭の言葉「月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり」を踏まえてこの俳句を詠んだものでしょう。

    

「虚子にとっての大正二年は激動の一年であった。」と坊城俊樹氏が「高浜虚子の100句を読む」において述べているように、虚子はその年の暮の感慨を俳句に詠んだのでしょう。しかし、単に俳句のことや自分のことだけを念頭に詠んだのではなく、様々な出来事を念頭において、「大宇宙の運行」「時の流れ」「その年の出来事」などを読者に考えてほしいという思いから、このような大げさな表現にしたのかも知れません。

 

このような解釈をすると、「年を以て巨人としたり歩み去る」は次のように意訳することができます。

having made

a giant of year,

the time passes away

  

または、

  

having made the year

a giant,

the time passes away

 

さらに、次のように「歩み去る」を直訳すれば、原句の表現の面白さを生かせるでしょう。

having made the year

a giant,

the time walks away

   

なお、Terebess Asia Online (TAO)に掲句の英訳として次の翻訳が掲載されていますが、誤訳です。

Considering the years gone by

To be a giant

I walk away

上記の英訳では、「歩み去る」の主語は「I」、すなわち、「高浜虚子」自身であると解釈していますが、この俳句は虚子39歳の作ですからこの解釈は当てはまらず、見当違いの誤訳になるでしょう。

 

このような誤訳に基づいて外国の俳人や俳句に関心のある人々に高浜虚子の俳句の評価を云々されては困りますね。高浜虚子はあの世でさぞかし嘆いているのではないでしょうか?

   

俳句政治問題に限らず、「何事においても、古い既成の権威に盲従することなく、一歩立ち止まり、自分でさらに踏み込んでよく考える必要がある」ということを痛感しています。

 

俳句談義(14):俳句の片言性と二面性(改訂版)のコメント欄で触れた埼玉県の女性の俳句(「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」)の「公民館だより」への掲載拒否問題について「さいたま地裁」の判決が出ました。

   

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2017年9月 9日 (土)

俳句の鑑賞《爽やか・薄紅葉》(御嶽山「播州清水寺」詣で)

 

(2025.2.28 コメント整理)

(2017.9.9 の記事)

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チュヌは主人のお供をして2017年9月5日に御嶽山「播州清水寺」(西国三十三観音第25番札所)に行きました。

登山道は薄紅葉で桜紅葉もあり爽やかでした。

清水寺には「月見亭」があり、江戸時代(?)の地元出身の俳人の俳句「名月やどの山見ても皆低し」の句碑がありました。

「月見亭」は8月26日の大法会二十六夜月待の最適所とのことです。

  

9月5日は「盆の月」ですが、生憎の小雨で月を愛でることは出来ませんでした。

     

俳誌のsalonの歳時記「爽やか」・「さはやか」や「薄紅葉」から寺や月を詠んだ俳句を抜粋・掲載させて頂きます。

  

「爽やか」を平仮名で表現する場合、伝統俳句では旧仮名遣いで「さはやか」とし、現代俳句では「さわやか」としていますが、日常的には「さはやか」という表現をしないので、漢字で「爽やか」とする方が感覚的に抵抗感が無くて良いと思います。

いずれにせよ、俳句は好き好きでしょう。

  

(青色文字の季語をクリックすると俳句の詳細がご覧になれます。) 

  

爽やか

爽やかや登りきったる立石寺

      (高木典子)

 

遣水のさはやかにして毛越寺

      (青木政江)

  

薄紅葉

峰寺へ近づきし道薄紅葉

      (安原葉)

 

森閑と寺の風鐸薄紅葉

    (芦川まり)

  

薄紅葉して曝涼の大徳寺

     (大竹淑子)

 

牧水の泊まりし寺や薄紅葉

     (鈴木阿久) 

    

「まーちゃんの山歩き」というサイトに御嶽山「播州清水寺」の詳しい紹介がありました。興味があればここをクリックしてご覧下さい。

   

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