(写真は「プレバト」TV画面の一部分です。)
・遠雷の夜汽車カカオの奴隷史
横尾渉(Kis-My-Ft2)さんの「遠雷」の俳句について、夏井先生は次のような句評をし、「名人5段に1ランク昇格」の査定をしました。
夜汽車に乗っている人物が本を読むに違いないと読み手が想像できる。
1音足して17音にするのは簡単。前半で「よ」の詠嘆か、後半に「は」で余韻を残す方法がある。言葉を1つ入れると全体のバランスが崩れ、16音でいく2つのバランスで押し出すことで、最初の季語が主役として読み手の心に残るのではないかと作者が判断した。
かつての「奴隷史」を今年句に詠む意味も、若い作者が詠む意味も、心の中に深く受け止められる。これこそ直すとダメ。
上記の如く、夏井先生は「作者が判断した」・「直すとダメ」と字足らずの原句をそのまま是認していますが、この査定に「さすが夏井先生だ」と、納得しましたか?
この俳句を定型にするのに助詞の「よ」とか「は」を足すのは、仮にエンタメ俳句番組の為にするにしても、論外の文法音痴・リズム音痴な添削です。
このような添削の前置きで視聴者の「目くらまし」をして、寸足らずの16音の俳句に対して、「勇気がある決断」と持ち上げ、「昇格」の査定をするのは、「プレバト俳句の名人レベル」のエンターテインメントにせよ、如何なものでしょうか? 納得できません。
夏井先生は、「夜汽車に乗っている人物が本を読むに違いないと読み手が想像できる。」と断定していますが、「カカオ奴隷史」という有名な本があるわけではありませんから、「夜汽車」を「奴隷の移送」に関連付ける解釈も可能です。
(注)
米国における蒸気機関車の鉄道運行は1830年代に始まっていますが 、リンカーンが「奴隷解放宣言」をしたのは1862年です。
プレバト番組では作者が句意を解説しているから視聴者には「読書」と分かりますが、一般の人々がこの句を解説無しに初めて読んだ場合には、上記のとおり句意が不明瞭でしょう。
俳句は「なぞなぞ」ではありません。「軽み」が俳句の特徴の一つです。
あなたには、原句の句意が直ぐに分かりましたか?
次のように添削すると、作者の「素晴らしい発想」を生かして、その句意を反映するまともな伝統的俳句に修正出来るのではないでしょうか?
(A) 遠雷やカカオ奴隷史読む夜汽車
(B) 遠雷やカカオ奴隷史手に夜汽車
(C) 遠雷の夜汽車に読むやカカオ奴隷史
(D)遠雷の夜汽車に読みしカカオ奴隷史
(E)遠雷の夜汽車に読まんカカオ奴隷史
最近は、インターネットの絵文字や漫画、Twitterなどの便利さの影響で言葉を上手に使うことが下手になったのか、「人目を惹く奇抜さ」を狙っているのか、「舌足らずの稚拙な小児的表現」や「奇抜などぎつい表現」・「日本語の美しさや豊かさを疎かにする表現」が多くなっているような気がしています。
プレバト俳句もそのような影響を受けているのでしょうか?
それとも、「自由律俳句」の師系の影響を受けているのでしょうか?
正岡子規は彼の世でこのような傾向をどのように思っているでしょうか?
いずれにせよ、上記の定型俳句(A)や(B)では「インパクトが無い」と、ご不満でしょうか?
「カカオ奴隷史」を強調するには、(C)や(D)のように字余りの俳句にするのも一案です。
(C)は夜汽車で現に読んでいる状態、(D)は夜汽車で読んだ「カカオ奴隷史」を読み返しているか、思い出している状態を詠んだものと言えるでしょう。
しかし、説明的・散文的に「下五」が重く響き、気に入りません。
(E)のようにすると、「カカオ奴隷史」を「今から夜汽車で読もうとする作者の意気ごみ」が感じられますが、題材に比して力が入りすぎた大げさな感じがします。
俳句は好き好きですが、薫風士の好みとしては、読んでいる状態なら(A)、これから読もうとしているなら(B)が良いと思います。
貴方なら、どのように添削しますか?
余談ですが、アメリカのトランプ大統領やその支持者の意識は黒人を奴隷にしていた西部劇時代から変わらぬ「白人優先」・「黒人蔑視」のようですね。
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安倍晋三総理大臣が潰瘍性大腸炎の再発で突然辞任することを8月28日午後に表明されました。
「お疲れさま!」、お大事に治療に専念されることを祈ります。
「お疲れさん」は医者や医療関係者の挨拶のようです。
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