俳句 (Haiku) Feed

2018年11月11日 (日)

俳句の鑑賞「文化の日」

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歳時記(俳誌のサロン)の季語「文化の日」に掲載された俳句の中で次の俳句が目にとまりました。

・新しき館旗と国旗と文化の日 (島崎晃・遠嶺)

「国旗」を「こっき」と読むと「中七」が字余りとなりますが、俳句の定型に拘る読者には「国旗」を「はた」と読むことを作者は期待しているのでしょうか?

「館旗」とはどこの館旗か興味が湧き、作者の名前で検索すると、ウイキペディアに次の記載がありました。

    

島崎 晃(しまざき あきら、1941年 - )は、イギリスの元政治家。ニックネームはJack Bara Caws[1]。西ウェールズの町カーディガンで、2012年から2017年まで町議会議員を務めた。

2017年時点で、日本人として唯一、イギリスの町議会議員を務めていたことで知られる。なお、国籍は2000年以降イギリスである。

  

この島崎晃氏は、この俳句の作者なのか単なる同姓同名の方なのかわかりませんが、文字通りの日本人が外国に帰化した珍しい例でしょう。

何方か心当たりのある方からコメントを頂けると幸甚です。

   

歳時記「文化の日」には興味深い俳句が沢山ありますが、気の向くままに例句を下記の通り引用させて頂きます。

   

・円卓の末席さがし文化の日 (水谷契江)

・蒙古斑みせて這ひ這ひ文化の日 (水谷契江)

・聖戦の硝煙映す文化の日 (斉藤静枝)

・古語多き校長訓話文化の日 (乗光雅子)

・文化の日留学生の山形弁 (横内かよこ)

・カタカナが万事に多し文化の日 (遠藤実)

  

川柳の友を偲ぶや文化の日 (薫風士)

これは文化の日に川柳友達の訃報のメールを受信して詠んだ拙句です。

彼は先日の川柳句会で拙句「セクハラを恐れ冗談言えぬ世よ」を優秀句に選んでくれていました。

俳句仲間の句会で拙句「愛犬の深めし絆文化の日」について、「『愛犬の』は『愛犬と』とする方が良い」とか、「『文化の日』は取り合わせの季語として不適切でないか?」など、句友から批判的コメントがありました。

一般論としては、二つとも至極当然な批判です。しかし、この俳句は愛犬「チュヌ」の永眠を知った知人が文化の日に、愛犬の死についての新聞投稿記事を「お悔み」に送ってくれたことを文字通りの俳句にしたものです。

俳句の定型や技巧を考慮することは勿論重要ですが、作者の思いや感動を事実に基づいて表現することの大切さも無視すべきではないでしょう。

俳句も川柳も好き好きであり、所詮片言で私的なものですから、日記代わりに自分の納得できる俳句や川柳を作り楽しむのもよいと思っています。

  

  

2018年11月 7日 (水)

俳句の鑑賞 「露けし・露」

   

(P.S. 2022.11.5)

露けしや日々の終活ブログ書く

露けしや今年の漢字「露」(ロ)と応募

「露」は通常は「つゆ」と読みますが、かってロシアを漢字で「露国」(ろこく)と表示する場合がありました。

ロシア軍のウクライナ侵攻や安倍晋三元総理大臣の暗殺など、多くの人々が「この世の儚さ・人生の儚さ」を感じているでしょう。

     

露けしや人の葬儀も様々に

      (薫風士)

   

俳句《涼し》死の話」や終戦記念日・墓参・盆』の俳句」、言葉の力・俳句の力《癒し》をご覧下さい。

   

(2018.11.7)

俳誌のサロンの歳時記から「露けし」や「露」の俳句を気の向くままに抜粋して掲載させて頂きます。

例句の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。

             

露けし1

花火やむあとは露けき夜也けり 

      (正岡子規)

    

祝はれてをりて露けくをりにけり 

      (山田弘子)

  

露けし2

踏切のレール露けき通夜戻り 

       (恩田甲)

    

子規墓前露けき言葉交しつゝ 

      (稲畑汀子)

  

露けし3

落雷の欅露けし挙兵の地   

      (江崎成則)

   

露けしや母の逝きたる夜の白む 

     (大橋麻沙子)

  

露けし4

握手して別れしことも露けしや 

       (安原葉)

   

湯の街の更けゆくほどに露けき灯 

        (三村純也)

   

露けし5

露けしや苔を鎧ひし将の墓 

        (長谷川翠)

    

大本営跡の地下壕露けしや 

       (大久保白村)

     

露けし6

ついてくる己が足音露けしや 

        (岩岡中正)

   

露けしや不戦の城の四百年 

        (涌羅由美)

   

露1

なほ露の綺羅置く吉備の野路を行く 

        (稲畑汀子)

   

露に座す一度盗まれたる仏  

        (村越化石)

   

露2

見舞ふこと叶はず露の別れかな 

        (稲畑汀子)

   

露拭けば木椅子の木目雲の如し 

       (能村登四郎)

   

露3

芋の葉の露もて遊びては落し 

        (安西可絵)

   

芋の露こぼして泥の手を洗ふ 

         (杉良介)

   

露4

露の山鐘楼に鐘なかりけり  

        (比田誠子)

   

翁忌の露ふりこぼす朝の鳥 

       (高橋とも子)

      

露5

露深し胸毛の濡るゝ朝の鹿  

       (河東碧梧桐)

  

握手して露の別れとふと思ふ 

         (安原葉)

   

露6

石仏のあたり露濃き嵯峨野なる 

         (豊田都峰)

   

草千里露の千里となりにけり  

         (佐藤京子)  

  

露7

朝の日に露光りけり残る菊  

        (兼子栄子)

   

吊橋の揺れに露の身ゆだねけり 

       (中島知恵子)

  

露8

露濡れの身を震はせて犬帰る 

        (泉田秋硯)

   

露の世にライバルとして友として 

       (今橋眞理子)

  

露9

朝露の日の出とともに光り初む 

       (大久保白村)

   

喪の家の欅がためる露の玉  

        (坪内稔典)

  

露10

気が合へば歩幅も合へり露の坂

         (川村文英)

   

朝露の椰の記念樹奈良ホテル

         (小澤菜美)

    

露11

タイガースフアンてふ露の世の私 

       (稲畑廣太郎)

   

横川路の露踏み重ね五十年 

       (稲畑汀子)

  

露12

今日蛇笏明日は素十忌露葎 

         (岩木茂)

   

露の世や先日会ひしばかりの訃 

         (安原葉)

  

露13

一めんのきらめく露となりにけり 

      (久保田万太郎)

   

雁渡るいつもどこかで戦あり 

        (山田正子)

  

「チュヌの便り」の愛犬「チュヌ」は 2018.10.16 に永眠しました。

ここをクリックして「チュヌの俳句・四季」をご高覧下さい。

  

愛犬の姿無き庭露けしや  

愛犬を偲ぶ芝庭露光る

        (薫風士)

    

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青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

2018年10月30日 (火)

「菊」の俳句

  

Img_1699「菊」は「桜」とともに日本人が格別の思いを寄せる花です。

 

「菊の御紋」は皇室の紋章ですが、日本の国章として表示され、靖国神社の門には「菊の紋章」があります。

 

ノジギクは兵庫県の県花に指定されています。

      

   

高浜虚子は文化勲章を受けた際に次のとおり、喜びの俳句を詠んでいます。(「高浜虚子の100句を読む坊城俊樹著参照。)   

  

我のみの菊日和とはゆめ思はじ

     

   

この虚子の句は下五が字余り(5・7・6)です。

一般に、「下五の字余りはダメ」と言われますが、上五の字余りは認められます下記「菊7」参照)

 

虚子は俳句の定型を重視しましたが、この句のように格別の内容を表現する場合は許されるべきであると考えたのでしょう

 

俳誌のサロン歳時記から「菊」の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

 

(青色文字をクリックすると、歳時記の詳細や解説記事をご覧になれます。)

  

1

今生は愉しかりしと菊に逝く 

        (山田弘子

 

2

暮れて着く菊の香著きわが家かな 

        (稲畑汀子)

  

3

犬がゐて小菊よく咲く駐在所 

       (阿部ひろし)

  

4

野路菊や風が遊んでゐるばかり 

        (近藤公子)

  

5

菊日和古希の集へるクラス会 

       (西野通代子

   

6

新たなる母の一歩や菊日和 

       (与川やよい)

  

7

野路菊国体孫優勝を逸しけり 

        (河本利一)

   

8

犬嫌ひに犬も身構へ菊花展 

        (泉田秋硯)

   

9

残るてふこと美しき黄菊かな 

        (鷹羽狩行

 

10

菊日和名馬の訃報一面に 

        (松井洋子)

  

11

手を繋ぐ卒寿の夫婦菊日和 

        (福島松子)

   

12

手話の子の手のひらひらと菊花展 

       (松本三千夫)

   

13

玉砂利に足音絶えぬ菊日和 

        (石川叔子)

  

余談ですが、「平成」は今年が最後です。

来年の年号は何になるのでしょうか? 

永遠の平和を象徴する元号を決めてほしいものです。

  

最新の俳句や英語俳句の記事は、青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップしてご覧下さい。

    

2018年10月29日 (月)

「年賀状」の俳句(特集)

      

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早くも年賀状御節料理の予約販売が始まりました。

そこで、「年賀状」の俳句を「歳時記」(俳誌のサロン)等から気の向くままに抜粋させて頂きます。

詳細は青色文字をクリックしてご覧下さい。

    

年賀状 1

・独学のパソコン自在賀状刷る (山田千代)

・会いたいといつも添書年賀状 (松村美智子)

  

年賀状 2

・仔犬にも美容院より賀状来る (萬条ハマヨ)

雪すでに深しと北の賀状来る (岡本眸)

  

年賀状 3

・賀状来る世相の愚痴の多さかな  (仁平則子)

去年の問今年の賀状で返答す (伊吹之博)

  

年賀状 4

・賀状書きその翌日の訃報かな (石川元子)

古稀の思ひ密かに込めし年賀状 (佐田昭子)

  

年賀状 5

・顔浮かぶ字の美しき年賀状 (沖則文)

・幾とせも逢はず賀状でつなぐ友 (榊美壽子)

     

年賀状 6

賀状書く新たな縁こころにし (水田壽子)

・まだ賀状書ける幸せ米寿来る (高村令子)

    

(「575筆まか勢」の「賀状の俳句」より抜粋)

・読み返す当たりくじある年賀状 (歳森亨一)

・幼な文字賀状はみ出しめでたけれ (築城百々平

・旧賀状取り出し偲ぶその字面 (高澤良一

 

2018年10月26日 (金)

「チュヌの追悼」by L.P. Lovee

       

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(青色文字をクリック or タップするとリンク記事がご覧になれます。) 

   

(P.S. 2022.10.16)

10月16日は2018年に亡くなったチュヌの命日です。

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チュヌの存命中は旅行はペット同伴を認めてくれる所が少なくて満足な旅行が出来ませんでしたが、2018年7月にはポーランドを訪ね、温泉町で開催された音楽祭において俳句の講演をしました。

ここをクリック(タップ)して、「ポーランドの旅(写真と俳句・講演のことなど)」をご覧下さい。

     

ここをクリックして、「楽しい吟行・俳句の旅(四季の写真俳句特集)」をご覧下さい

      

(2018.10.26)   

秋の夜や愛犬抱けば目に泪

愛犬を看取る寝息や秋深む

愛犬を看取りし夜長母偲ぶ

愛犬を荼毘に付すちちろ鳴く

愛犬の弔ひに来し鉦叩

鉦叩テーブル巡り悼みけり

愛犬の昇天したる天高し

愛犬の深めし絆秋高し

  

チュヌの追悼に来た鉦叩の声をお聞き下さい。ここをクリックするとご覧になれます  

ペット愛好者はチュヌを弔い「ペット」(愛犬の写真)をご覧下さい。

俳句愛好家は「俳句」や「俳句談義」「俳句エッセイをご覧下さい。

川柳愛好家は「川柳」をご覧下さい。

英語俳句に関心のある方は「HAIKU バイリンガル英語俳句」をご覧下さい。

政治に関心をお持ちの方は「政治談議」をご覧下さい。   

「いじめ」の問題など、子供の教育に関心のある方は是非ともチュヌの思い「究極のラブを!」をご覧下さい。

チュヌは天国から皆さんのお幸せを見守っています!

「チュヌの便り」をご愛読ありがとうございました。

チュヌは2018.10.16に永遠の眠りにつきました。   

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

   

「秋」の俳句を鑑賞しよう!

     

『終戦記念日』と『墓参り・盆』の俳句」をご覧下さい。 

     

「秋」の俳句を歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに抜粋させて頂きます。

 

(青色文字をクリックすると歳時記の詳細や解説記事をご覧になれます。)

  

下記の「秋1」の「一行」は団体客を詠んだもので、「いっこう」と読むことは自明です。「秋6」の「一行」は作者が俳句に専念してきたことを句にしたものと解釈して、「いちぎょう」と読むべきでしょう。しかし、「いっこう」と読み、吟行に来た詩人や俳人の一行のことを詠んだものと解釈することも可能でしょう。

  

1

一行の来ては去る茶屋古都の秋 

         (稲畑汀子

 

2

逸翁の文字流麗に句碑の秋 

         (大橋敦子

  

3

石蹴つてけつて路地ゆく子等の秋 

         (長浜好子)

   

4

百歳の耳しつかりと秋を聽く 

         (中原道夫

   

5

星空に伸びる棚田や島の秋 

        (加藤あけみ)

    

6

一行の詩に徹し来て菊の秋

         (鷹羽狩行

    

7

田も納屋も黄金一色秋豊か 

         (栢森定男)

  

青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。記事のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。

        

2018年10月20日 (土)

俳句の鑑賞:「柿」(追補版)

   

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(青色文字をタップするとリンク記事をご覧になれます。)

      

(2025.1.15 更新)

奈良の柿 郷(さと)にも浦にも 茂る秋

      (石破茂)

   

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冒頭の写真は、2024.11.18のNHK-TV ニュース画面(内閣支持率等)の一部分です。

 
石破茂内閣の人気は当初から低迷していますが、「柔剛を制す」の諺どおり、「単なるポチ」にならず、「偽りの無い」・「有りの儘の素顔」で「世界の人々の信」を得て、「日本の平和」・「世界平和」の為に尽力されることを祈っています。

  

我田引水のコメントで恐縮ですが、石破茂首相の掲句の「秋」は「かな」に変えた方が、ご自身のPR効果が増すのみならず、俳句として「秋の季重なり」が解消されます。

  

もっとも、「茂」は「夏の季語」とされているので、人によってはダメ句だと貶すでしょうが、「ぺんは剣より強し」なので、「まんぽ俳句」を口遊んで、ご自身の健康管理と表現力を磨いて、地方再生の政策を推進しされる事を切望しています。

   

チンするは句友の呉れし吊るし柿

  

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「チンする」は、「愛犬の伏せ」ではなく、電子レンジで温めたことを面白く表現したものです。

  

  

俳句大会で知り合った句友が先日呉れた吊るし柿を早速食べると美味しかったのですが、試しにチンして食べると、中身が非常にジューシーになって更に美味しい気がしました。

皮がやや硬くなって噛み応えがあり、口に入れたとき気を付けて噛まないと中身を零すことになりそうでした。

    

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今日(11月15日)は、近くの句友が新鮮な柿を呉れたので、早速吾庭のトマトなどと一緒にサラダにしましたが、あっさりした甘さがあり美味しく頂きました。

   

サラダにす句友の呉れた富有柿

       

「柿」の俳句といえば、正岡子規の「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」が有名ですが、正岡子規は柿が大好きだったようで、ウイキペディアによると、「柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな」という俳句も作っています。

  

2021年11月25日に、岸田文雄首相は首相官邸で、「奈良の柿PRレディー」の広瀬麻理奈さん(25)らの表敬を受け、柿を試食して次の一句(即興句?)を披露されたとのことです。

   

柿食えば、コロナ打ち勝つ、奈良の町

  

この「柿食へば」は、助詞「ば」が条件の意味であり、子規の「柿食へば」の俳句の「ば」と異なる使い方です。

 

たとえば、「柿食えばコロナに勝てり奈良の人」とすれば、助詞「ば」が子規の俳句と同じ用法に解釈できます。

 

『柿食へば』の誤訳《俳句の力・言葉の壁》をご覧下さい。

  

2021年の暮に書いたブログ《「大晦日」・「大年」の俳句(岸田内閣に望むこと)》をご覧下さい。

   

俳句を通じて世界平和を念じている観点から、岸田首相の掲句に便乗して願望の駄句を詠みました。 

    

奈良柿を食みてコロナに打ち勝たむ

奈良の柿食みて米寿を恙無く

奈良柿も食みて祝ぎたし己が茶寿

   

   

(2018.10.20)

 

熟柿落つ愛犬目指し駆け出しぬ

  

愛犬の深めし絆柿たわわ

    

掲句はチュヌの主人がありのままに詠んだ俳句です。

  

俳誌のサロンの歳時記から柿の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

 

(青色文字「柿」をクリックすると歳時記の詳細がご覧になれます。)

   

1)

よくひびく子猫の鈴や柿日和 

        (内田雅子)

  

2)

三千の俳句を閲(けみ)し柿二つ  

        (正岡子規)

 

3)

よろよろと棹がのぼりて柿挟む 

       (高浜虚子)

  

4)

大和路や軒場に吊す柿すだれ 

       (井上輝男)

 

5)

故郷へ向かふ車窓や柿の秋 

        (篠藤江)

   

6)

境内を駆け回る子等柿日和 

      (谷野由紀子)

   

7)

柿を捥ぐ吾を烏の見てをりぬ 

      (塩田博久)

 

8)

柿日和ゴルフに和む古稀と喜寿 

      (河本利一)

 

9)

里ふりて柿の木もたぬ家もなし 

      (松尾芭蕉

         

10

斑鳩の三塔見えて柿日和 

       (山村修)

 

11

柿たわわ獲る人もなき山の里 

      (西田史郎)

 

12

白壁に柿の実映ゆる二月堂 

       (田宏之)

 

13

落日に染まる一村柿の秋 

      (宮平静子)

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

  

2018年10月16日 (火)

俳句徒然《小鳥来る・鳥渡る・渡り鳥》

   

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See "Enjoy bilingual haiku of Kyoshi Takahama" in HIA HP.

           

小鳥来るやっぽんぽんてふ甲賀の湯

         

  

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掲句はチュヌの主人が芭蕉ゆかりの伊賀上野・草津を吟行し、露天湯に浸り疲れを癒していた時に小鳥が来たのを詠み、吟行仲間の句会で高得点を得ました。

 

「小鳥来る」は取り合わせがし易いのか、人気がある「秋の季語」です。

(ちなみに、「鳥帰る」は仲春の季語です。)

  

写真は天気予報の5月8日の雲の動きのPC画面の一部分ですが、琵琶湖の形が小鳥に見えたので遊び心で掲載しました

  

歳時記(俳誌のサロン)から小鳥の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

    

小鳥来る1)

 

小鳥来る音うれしさよ板びさし 

        (与謝蕪村)

    

 

伊賀焼の芭蕉坐像に小鳥来る 

       (長谷川閑乙)

  

 

小鳥来る日の斑の遊ぶ登山道 

        (高橋瑛子)

 

 

小鳥来る何時も不在の駐在所 

       (吉永すみれ)

  

  

太陽の塔の翼に小鳥来る   

       (鷹羽狩行)

  

  

小鳥来る2)

 

小鳥来て午後の紅茶のほしきころ 

       (富安風生)

  

 

小鳥来る三時五分の花時計  

       (浅田光代)

  

  

小鳥来る3)

 

久びさに子の弾くワルツ小鳥来る 

       (三木千代)

  

 

湯の町のこけし工房小鳥来る 

        (堺昌子)

  

 

渡り鳥

 

葬列や数人仰ぐ渡り鳥   

      (山川蝉夫

  

 

渡り鳥気づけばすでに遠き空 

       (稲畑汀子)

  

 

鳥渡る1)

 

鳥渡る老人ホームのティータイム 

       (山尾玉藻)

  

  

大いなる渡良瀬川を鳥渡る  

       (小林修水)

  

   

鳥渡る2)

 

夕日負ふ芭蕉の座像鳥渡る 

      (菅野日出子)

  

  

夕映えの丹沢連峰鳥渡る  

      (安田とし子)

     

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2018年10月12日 (金)

俳句雑感(1)自他の区別について

     

白寿祝ぎゴルフコンペす天高し(A

白寿祝ぐゴルフコンペや天高し(B

白寿祝ぎゴルフコンペや天高し(C)

 

上記の俳句は会社の大先輩が白寿(99歳)を祝いゴルフコンペを開催された噂話を聞いてチュヌの主人が作った俳句です。

 

A)は「作者自身がゴルフコンペを主催している」と解釈するのが自然でしよう。

  

B)は開催されているゴルフコンペを作者が客観的に詠んだものと解釈するのが自然ですが、主催の自他の区別やゴルフコンペ参加の有無など、やや不明瞭です。

  

(C)は(A)に近いですが、(B)と同様に自他の区別や参加の有無が不明瞭です。

 

一般的には、俳句として(B)が良いとされるのではないでしょうか?

  

他人の行為を自分の行為のように詠むことは一般に許されているようですが、チュヌの主人は客観写生に基づく花鳥諷詠を重んじ、なるべく思いを素直に表現することを心掛けています。

  

あなたは、AB、C のどれが良いと思いますか?

  

高齢化社会社会保険制度健康保険制度の将来が危惧されています。

  

チュヌの主人は、次の俳句のように俳句や吟行を楽しみ、健康を維持し、健康長寿に努めたいと思っています。

   

句に興じ白寿夢見つ落葉焚く

句に興じ茶寿も祝たし新茶汲む

 

青色文字をクリックすると関連の記事をご覧になれますが、青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧になれます。

    

2018年10月11日 (木)

俳句鑑賞 《後の月》

   

(2023.10.28 更新)

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「13夜」・「後の月」は10月27日なのに午後3時過ぎから雨が降り、月見が出来るか懸念していましたが、7時ごろには晴れ間に月が見えました。

  

月を仰ぎ戦禍に思ひを馳せにけり

         (薫風士)

  

掲句はウクライナやパレスチナなどに思いを馳せて、意図的に字余りにしました

「月仰ぎ戦禍に思ひ馳せにけり」と定型にせず、字余りにした評価は如何でしょうか?

「戦果」の裏には必然的に「戦禍」が生じます。

せんか」のダジャレ俳句を詠むには戦争の犠牲はあまりにも大きく、胸が痛みます

戦争と平和(俳句と川柳:終戦記念日特集)」をご覧下さい。

    

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(写真)

2022年10月8日の「13夜」・「後の月」を見て、「まんぽ道」にあるお家の玄関先の大きな月下美人(蕾)と月をスマホで撮った写真です。

           

        

     

      

(2018.10.11の記事)

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(写真)

日本伝統俳句協会の2021年10月のカレンダーの一部。

タップ・拡大してご覧になれます。

     

  

「後の月」は、陰暦八月の「十五夜」に対して、陰暦九月の「十三夜」の月で、2021年は10月18日に当たります。

三方(さんぼう)に栗や枝豆を盛って祭る習慣から「後の月」を「栗名月」「豆名月」などと呼ぶこともあります。

歳時記(俳誌のサロン)から「後の月」の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。(詳細は青色文字「後の月」をクリックしてご覧下さい。)

    

後の月1)

後の月鴫たつあとの水の中  

        (与謝蕪村

 

療養の須磨に雲間の後の月 

       (田畑美穂女)

   

後の月2)

木曽の痩もまだなをらぬに後の月 

        (松尾芭蕉

 

芭蕉句碑照らし須磨なる後の月 

        (手島伸子)

  

後の月3)

後の月賢き人をとふ夜かな 

        (与謝蕪村

 

鐘の無き火の見やぐらや後の月 

        (宮崎高根)

   

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2018年10月10日 (水)

俳句 「時雨」・「しぐれ」

       

季語「時雨」を用いた俳句を歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに抜粋掲載させて頂きますが、ここをクリック(タップ)して、「髙源寺《黄葉の吟行》」をご覧頂けると幸いです

  

時雨1

家路とは情のあるもの夕時雨 

       (粟津松彩子)

 

時雨2

幸福論尽きず時雨るる旅の宿 

       (池田倶子)

  

時雨

朝時雨杉の秀揃ふ美山町 

      (川野喜代子)

   

時雨

ゆきずりにラーメン啜るしぐれかな 

      (木村茂登子)

  

時雨 

湯の山てふ湯宿の駅の時雨かな 

        (青木政江)

   

時雨6

小夜時雨上野を虚子の来つゝあらん 

        (正岡子規)

  

時雨

遠州の庭の石橋京時雨 

         (中村紘)

   

時雨

湯煙の大湧谷や雪時雨 

      (池谷鹿次)

  

時雨

時雨るるや長信号の交叉点 

        (吉田宏之)

   

時雨10

桟橋を巨船去りゆく初時雨 

        (善野烺)

 

時雨11

時雨虹友の訃のまた人伝に

      (中原敏雄)

 

時雨12

初時雨歯科医帰りの下り坂

       (松本鷹根)

    

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2018年8月30日 (木)

ポーランドの旅(写真と俳句 講演のことなど)

   

祈りつつアウシュビッツの夏の野を 

   

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掲句はチュヌの主人(薫風士)が俳句講演のためにアウシュビッツを詠んだ俳句です。

   

   

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(写真はクリックすると拡大します。青色文字をクリックするとリンクした解説記事などをご覧になれます。)

   

   

講演はポーランドの「ルブリン県」の温泉町で開催された音楽祭の機会に行いました。

  

   

・晴れ渡る温泉町や白鳥来

・白鳥来平和の国を永久(とこしえ)に 

   
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講演のタイトルは「Let's enjoy haiku!」で、「World piece through haiku」をサブタイトルにし、ファン・ロンパイ前EU大統領(日本EU俳句交流友好大使)と写したツーショットを掲載させて戴くなど、工夫を凝らし好評でした。

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・晴れ渡るアウシュビッツや青葉風

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・貨車一つ鉄路の遺跡夏草に

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・青嵐ホロコーストの灰の池

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・青嵐アウシュビッツの呻き声

   

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アウシュビッツ見学の当日は好天気で平和なポーランドを象徴しているように思いましたが、時々耳に唸るように強い風が吹き、「ナチス犠牲者の霊の呻き声」ではないかなどと感じました。

  

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クラクフや古都を見下ろす塔涼し

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・聖堂の時報のラッパ夏の空

  

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・新装のショパン生家や青葉風

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庭涼しショパン生家のピアノ曲

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・聖堂に響くオルガン夏の宵 

  

・コンサートホールを出でし園白夜

   

400年前のパイプオルガンのコンサートがカジミエシュ・ドルニーの教会の聖堂で開かれ、たまたま聴く機会がありました。

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ショパンの生家ではショパンコンクールに入賞したピアニストがショパンのポロネーズなどを演奏しました。

  

ちなみに、この俳句の講演をした音楽祭ではイタリアなどから来たピアニストなどが演奏しましたが、日本からは片山柊氏(2017年第41回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、併せて聴衆賞、文部科学大臣賞、スタインウェイ賞受賞)が「エチュード〜書、俳句、一つの線」(細川俊夫作曲)という興味ある曲などを演奏しました。

   

俳句でも音楽と同様に国際交流がもっと促進されることを願っていますが、俳句による人との出会いや音楽との出会いに不思議な縁を感じました。

   

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俳句の鑑賞:「夏座敷」

    

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現代では住宅事情が昔と異なり、マンションのみならず一戸立ち住宅でも日本間が少なくなり、エアコンの普及で往年の夏座敷の風情を知る人は少なくなっています。

  

冒頭の写真は生家の書院ですが、孫を連れて実家を訪ねた時のことを詠んだ拙句を掲載します。

   

 

師の色紙掲げ苦吟す夏座敷

  

父偲ぶ虚子の短冊夏座敷  

  

パンツ脱ぎ闊歩の幼夏座敷

 

下窓を開けてごろ寝や夏座敷

   

  

              

俳誌のサロンの歳時記「夏座敷」から親しみやすい俳句を気の向くままに抜粋・掲載させていただきます。

    

  

大の字になれる幸せ夏座敷  

         (国包澄子)

  

  

夏座敷父の枕が置いてあり  

        (大杉千津子)

   

   

つつぬけに川風過ぐる夏座敷 

         (東芳子)

   

   

もてなしの山風入れて夏座敷 

         (前田陽子

   

   

夏座敷隣りの猫の足の跡   

         (水野範子)

   

  

這ひ這ひの児に明け渡す夏座敷 

        (和田友季子)

  

   

嬰児を寝かしつけたる夏座敷 

        (福田みさを)

  

  

はるかより這うて来る子や夏座敷 

         (岸本尚毅)

  

   

子の声の転がり合ふや夏座敷 

        (黒澤登美枝)

   

乳飲子の万歳寝する夏座敷  

        (上林富子)

     

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2018年8月23日 (木)

野球の俳句を作って楽しもう!

    

(P.S. 2022.10.17)

お題「大谷翔平」を詠んだ昇吉さんの俳句「白秋の雲穿ぐ右投げ左打ち」の推敲記事プレバト『金秋戦2022』の俳句を考える」をご覧下さい。

俳句の面白さがわかるでしょう。

    

  

今年の全国高校野球選手権大会は第百回の記念大会で56校が甲子園で熱戦を繰り広げましたが、大阪桐蔭が優勝し史上初の2回目の春夏連覇を達成し、秋田県立金足農業高等学校が準優勝で故郷に錦を飾りました。

  

そこで、皆さんも野球の俳句など気軽に俳句を作って楽しんでほしいとの思いから、テレビ観戦をしてチュヌの主人が作った俳句を下記の通り掲載させて頂きます。

   

甲子園球児ら謳歌終戦日

球児らの百花繚乱天高し

球児らは勝ち負けを超え天高し

炎天下好打好守のユニフォーム

炎天へ白球伸びて大アーチ

炎天へガッツポーズのホームラン

熱戦や日焼け球児の歯の白き

サイレンや並ぶ球児の

処暑の空球児讃ふる校歌かな

来年を期して奮起す雲の峰

   

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2018年8月12日 (日)

盆休み孫と一日を「ひとはく」で

   

(P.S. 2023.10.10)

秋の雨・秋雨・秋時雨・秋霖

青色文字のタイトルをクリックして、ひとはくの秋雨の風情を詠んだ「まんぽ俳句」と写真をご覧下さい。

  

  

(2018.8.12 の記事)

  

夏休みで遊びに来た孫を連れて久しぶりに「ひとはく」(兵庫県立「人と自然の博物館」)に行きました。

阪神・淡路大震災を引き起こした活断層である「野島断層」の展示板の見方がよくわからなかったので係の方に質問したら丁寧に説明してくれました。

 

お昼の時間には「山の日 ひとはくサロンコンサート」で兵庫県立北摂三田高等学校吹奏楽部が「学園天国」などを演奏し、子供たちも楽しんでいました。

   

掲題の俳句はチュヌの主人がブログの見出し用に作った即興句です。

「孫を詠んだ俳句は甘くなってつまらない」とよく言われますが、「孫の成長を日記代わりに俳句に詠んで、自分の人生を心豊かにするのも俳句の楽しみ方の一つだ」と、チュヌの主人は思っています。

  

夏休み孫は来て良し去りて良し

       (薫風士)

  

歳時記(俳誌のサロン)の「盆休み」の俳句から、親しみやすい2句を下記に引用させていただきます。

  

歳時記の俳句の詳細はここをクリックしてご覧下さい。

    

盆休み身二つとなり帰り来る 

        (福間慶子)

  

旧姓で呼ばるる一と日盆休 

        (武田巨子)

    

 

『薄紅葉』の俳句と『ひとはく』ホロンピアの写真」もここをクリックしてご覧下さい。

(写真はクリックすると拡大します。)

    

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2018年6月30日 (土)

俳句と写真のサイト特集 (「チュヌの便り」より)

  

タイトル(青色文字)をクリックしてご覧下さい。

俳句の鑑賞 <万緑>

南禅寺吟行の俳句・写真(平成26年6月)

奈良公園・柳生の里の吟行(俳句と写真)

ひこにゃんの城へ吟行冬うらら(彦根城写真俳句)

吟行の写真俳句 <神戸布引ハーブ園>(改訂版)

「防災の日」の俳句鑑賞 <「震災・地震・津波」>

楽しい吟行俳句アルバム <芭蕉の足跡・加賀路>

吟行は楽しい! 俳句アルバム(若狭・小浜の旅)

俳句の鑑賞 <極暑・酷暑・炎暑>

吟行俳句)冬浅き近江八幡巡りけり

西近江路・琵琶湖周辺の吟行俳句と写真 (改訂版)

楽しい吟行の俳句アルバム(岡山城と後楽園ほか)

若葉の俳句を作って楽しもう!

紅葉の俳句と写真集(改訂版)

Lovee’s Haiku

俳句と写真(イタリア旅行) HAIKU & pictures (Trip to Italy)

HAIKU & Pictures (Trip to E. Europe)

HAIKU & Pictures (Trip to Turkey)

HAIKU & pictures (Trip to Russia)

 

2018年6月23日 (土)

(季語)「黒南風」と「白南風」

        

「南風」は、主に中国・四国・九州地方では「はえ」と呼称しているようですが、俳句では、陰鬱な雨がちの梅雨に吹く南風を「黒南風(くろはえ)」と詠み、梅雨明け後の盛夏の南東季節風を「(しら)南風(はえ)」(又は、「しろはえ」)と詠み、「夏の季語」としています。

 

「南風」は俳句のリズムを5・7・5に整えるために、「はえ」「みなみ」「なんぷう」「みなみかぜ」など、様々な読み方が可能です。

      

俳誌のサロンの歳時記から気の向くままに例句を掲載させて頂きます。

 

黒南風

 

黒南風の辻いづくにも魚匂ひ 

      (能村登四郎) 

  

黒南風や瓦のずれし地蔵堂  

       (東郷すみ江)

   

黒南風やガードレールに供花(くげ)乾く              

        (塩田博久

   

黒南風や明石海峡なまり色  

        (岡佳代子)

   

黒南風や鴉は叫び鴎舞ひ  

       (大久保白村)

   

白南風

  

気分よく来て白南風の座につきぬ 

        (小澤克己)

 

白南風や港の上を飛行船   

        (山田六甲)

 

白南風に両手さしのベマリア像                   

         (野上杳)

 

白南風や牛聞き分ける島ことば

        (曽根薫風)

 

白南風や男浪を砕く警備艇 

        (鈴木齊夫)

  

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2018年6月 6日 (水)

俳句は読み人(詠み人)次第・気軽に楽しもう!

       

Img_0151先日、俳句仲間と西宮のJR甲子園口駅近辺(松山大学温山記念会館武庫川女子大学甲子園会館など)を吟行しました。

松山大学温山記念会館は新田長次郎(1857~1936)が娘婿にあたる建築家木子七郎(1884~1955) に作らせたスペイン風洋館で広大な庭園には立派な防空壕があります。

そこで、ありのままに素朴な句を詠みました。

  

万緑や庭に豪華な防空壕

真菰刈る富豪の庭の池浚ひ

枝削ぎし富豪の庭の楠若葉

  

「真菰」(まこも)は夏の季語です。俳句では「勝見」(かつみ)という異称も使われています。

  

防空壕を詠んだ俳句について、ベテラン女性から、「万緑』という季語は安易に使うものではない」と教えられたことがあるとのコメントがあり、某女史からは、「シャンデリアがあるわけではないから『豪華』は不適切な表現である」と批判されました。しかし、単に横穴を掘っただけの防空壕しか知らず、被爆体験のないチュヌの主人にはまさに豪華な防空壕でした。

当然のことながら、被爆体験を詠んだ句友の俳句が高得点を得て、主人の俳句は採られませんでした。

戦後70年平和の俳句』」というインターネット・サイトのトップに「蒸され濠(ごう)水一口に息絶えし」という俳句と句評が掲載されていますが、旧新田邸の防空壕は電灯や換気扇などを完備してありました。 

  

俳句には滑稽句ともシリアスな句とも解釈できる二面性のあるものがありますが、高浜虚子の俳句にはそのような面白味のある俳句が多いように思います。

高浜虚子の興味深い俳句100句を翻訳して辞世の俳句など句意の新解釈なども付け加えた記事を国際俳句協会のホームページに、「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」というタイトル(5回シリーズ)で掲載して頂きました。こをクリックして虚子俳句をご鑑賞下さい

  

高浜虚子は俳句は片言であること・解釈は読み手次第で異なることを認識していたからこそ戦争俳句を良しとせず、日本文学報国会俳句部会長として戦争を賛美することなく花鳥諷詠の文学を堅持し、時代の流れに掉さすことも流されることもなく、文芸家・俳人としての良心を貫いたと思います(「俳句談義(5)」参照)

 

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2018年5月20日 (日)

俳句《卯の花腐し》

    

(2025.6.3 更新)

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冒頭の写真は、吾庭の卯の花です。

  

「卯の花腐し」(うのはなくだし)とは梅雨に先立って降る長雨のことで、夏の季語です。

  

庭手入れ卯の花腐し来る前に 

  

雨音や卯の花腐し居間の今

テレビ買ひ卯の花腐し吾を癒す

 

癒さるる卯の花腐しテレビ買ひ

  

疲れ目を卯の花腐し癒しけり

  

草を抜く卯の花腐し止みし芝 

         (薫風士)

  

歳時記(俳誌のSalon)から親しみやすい俳句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

  

犬倦みて今日も卯の花腐しかな 

        (稲畑汀子

 

休養をとれと卯の花腐しかな  

         (安原葉)

 

電話よく鳴る日卯の花腐しかな 

        (七田文子)

  

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この写真は、手作りの吾庭の日本列島です。

  

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この写真は、NHK Eテレの「クラシック音楽館」の一画面の切抜きです。

 

2018年5月16日 (水)

俳句鑑賞:「梅雨に入る」「入梅」「梅雨」

   

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冒頭の写真は、6月16日朝のNHK-TV天気予報の一部分(梅雨入りの解説画面)です。

  

老犬とまん歩の夫婦梅雨入り前

せいのう!と足場解体梅雨に入る

近畿地方夏至に梅雨入りや庭手入れ

       (薫風士)

  

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掲句と写真は、買い物をした帰路の風景です。

「梅雨入り」は、「ついり」か「つゆいり」と、俳句が定型(5-7-5)のリズムになるように読んで下さい 

 

ここをクリック(タップ)して、俳句HAIKUの記事「梅雨の俳句(梅雨入り・梅雨明け)」をご覧下さい

  

気象庁の速報記事によると、沖縄の梅雨入りは今年(令和6年)は5月21日頃でしたが、2018年の梅雨入りは5月8日でした。

  

俳句(梅雨・梅雨入り・梅雨明け)」をご覧下さい。

  

歳時記(俳誌のSalon)などから「梅雨」を詠んだ親しみやすい俳句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

(歳時記の例句の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。)

  

梅雨に入る(1)

病む友のまた一人増え梅雨に入る

        (松崎鉄之介)

  

屋根持たぬマンションぐらし梅雨に入る 

         (岡本眸)

   

梅雨に入る(2)

二度聞きが癖となる耳梅雨に入る 

         (柴野静)

  

山鳩の声のくぐもり梅雨に入る 

        (宮平静子)

  

梅雨(1)

背伸びして声出て梅雨も峠かな 

         (岡本眸)

 

削らるる丘を見てゐし梅雨の駅 

        (高村洋子)

   

梅雨(2)

宇佐の宮梅雨空ずしとのし掛かり 

         (大橋晄)

  

神宮の森の暗さや梅雨鴉   

        (暮目良雨)

 

梅雨(3)

目をそらし受ける点滴梅雨じめり 

         (長山野菊)

  

荒梅雨やごうごうと鳴る神田川 

       (宮原みさを)

 

梅雨(4)

梅雨の雷昨日も今日も人逝きぬ 

       (高橋作之助)

  

落柿舎の投句用紙の梅雨じめり 

        (岸本敬子)

  

梅雨(5)

せせらぎの風の軽さや梅雨あくる 

        (川村政枝)

   

山の彩戻して去りし梅雨の霧 

        (吉村玲子)

  

梅雨(6)

梅雨兆す武庫の川波ややあらし 

       (志水千代子)

   

ベランダの干し物を訪ふ梅雨の蝶 

        (沼口蓬風)

  

梅雨(7)

歌舞伎座は華やいでゐる梅雨の夜 

         (芝尚子)

 

センサーの付きしともしび点る梅雨 

         (鈴木實)

  

梅雨(8)

駅に待つゲリラ梅雨とふ降りやうに 

         (久保晴子)

 

梅雨の蝶犬猫墓地をさまよへり 

         (岡光子)

  

梅雨(9)

鐘の音の一打に梅雨の明けてゆく

         (坊城俊樹)

  

インターホンとれば激しき梅雨の音 

        (小嶋洋子)

  

梅雨(10)

被災地へ着けず仕舞や梅雨滂沱 

       (田中つや子)

  

ただならぬ災害ニュース梅雨滂沱 

          (木村幸)

 

梅雨(11)

友の訃や梅雨のひと日を歩いてる 

          (鴨下昭)

  

ヘリコプター人を吊り上ぐ梅雨出水 

         (大矢雅子)

  

梅雨(12)

いつくしま静かに寄する梅雨の波

        (水田壽子)

  

暗渠より水をどり噴く梅雨出水 

         (鈴木伸一)

 

梅雨(13)

梅雨のけふ車内放送とめどなし 

         (秋田建三)

 

付悪き蛍光灯や梅雨の夜 

         (岩谷丁字)

 

梅雨(14)

梅雨の雷オルセー展の上走る

         (有賀昌子)

  

はやぶさの快挙に消ゆる梅雨の憂さ

         (稲畑汀子)

 

梅雨(15)

そばにゐるだけの看取や梅雨の月

        (阪上多恵子)

 

梅雨出水車道に泥鰌跳ねてをり

         (秋千晴) 

 

梅雨(16)

空ラ梅雨や女ばかりの食事会

        (中山純子)

 

床に聞く人の訃や梅雨荒るる

       (玉置かよ子)

  

梅雨(17)

梅雨憂しとせぬ明るさの家路とす

         (稲畑汀子)

  

拾ひ読みの何時か没頭梅雨深し

         (西村操)

  

梅雨(18

やや鬱と自嘲してをり梅雨長し

         (中原敏雄)

  

計画は着々梅雨も明くる頃

        (稲畑汀子)

      

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