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2021年5月

2021年5月27日 (木)

俳句の推敲 《老鶯・夏鶯・残鶯・乱鶯》

     

旅の思い出に写真俳句を作ろう! 

「まんぽ俳句」を漫歩・万歩に楽しもう

      

2023.6.2更新

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(写真)

今朝(2023.6.2)、カ-テンを開けると、手入れ中の梅雨雨の庭の小さな梅の木に梅の木の葉に似た鶯が見えました。

写真をタップ拡大してご覧下さい。

 

「老鶯」は夏の季語です。

2021年5月27日TV4ch.放映のプレバトで、筒井真理子さんの次の俳句が「直しなし」のワンランク昇格になりました。

 

老鶯や墓前の莨(たばこ)と缶コーラ

 

夏井先生は特待生4級のレベルとして査定したのでしょうね? (「プレバト 夏井先生の添削を添削する」をご覧下さい。

筒井さんは自分が墓前に供えたことを詠んでいるのですが、原句ではそのことが不明瞭で、慰霊碑などに誰かが供えた情景を詠んだ俳句と誤解されるでしょう。 

「たばこ」と言えば、「恩賜の煙草」や「GHQマッカーサー元帥が日本に進駐した時の煙草姿」のことを思い出しますが、煙草を自分が供えたのなら、自分の行為であることをなるべく明瞭にするために助詞「の」を「へ」に替えて、次のように修正したいところです。

老鶯や墓前へ莨と缶コーラ

次のように、思い切って助詞を省略して字余りを無くし、5・7・5の定型にするのも良いと思います。

老鶯や墓前へ莨缶コーラ

   

自分のしたことを他人がしたように詠んだり、他人がしていることを自分がしたかの如く詠む人もいます。

俳句は好き好きですそれぞれの思いで楽しめばよいでしょう。

投句する場合には季語や定型などに対する選者や主宰の拘りや好みを考慮して、推敲すると良い結果が得られると思います

  

ここをクリック(タップ)して、夏の俳句特集《コロナ禍のストレスを発散しよう!》」をご覧下さい。

   

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

青色文字(季語等)をタップして、他の例句や解説記事などもご覧下さい。

  

老鶯1  

老鶯や火入れの済みし登り窯

        (布谷洋子)

   

老鶯2

老鶯や大パノラマの阿蘇五岳

        (沼口蓬風)

  

老鶯3

老鶯や雨の降り込む露天風呂

        (松田泰子)

   

老鶯4

老鶯に耳を貸しゐる調律師  

        (森岡正作)

  

夏鶯

山雨止み夏鶯の谷渡り     

        (赤座典子)

   

残鶯

残鶯や一灯点る虚子の墓

        (大越義雄)

   

乱鶯

酔ひ痴れて乱鶯声の休みなく

        (櫛橋直子)

   

575筆まか勢

老鴬のあとの梅雨冷えまさるなり

        (石川桂郎)

  

一生のしばらくが冴え夏鶯 

        (清水径子)

  

老鶯やうやうやしくも酒こぼす  

        (岡田史乃)

    

(薫風士の「まんぽ俳句」

老鶯の清々しきは朝の声

乱鶯や目覚めの指呼に谷渡り

コロナ禍や家居を癒す夏鶯の音                         

「夏鶯」は「なつうぐいす」と読むのが普通ですが、「夏鶯の音」はリズムを整えるために、「かおうのね」と読んで頂ければ幸いです。 

    

昨年ごろから、コロナ禍の憂さを払うために客観写生一辺倒では飽き足らず、「ダメ句」と言われる「俳諧的俳句」・「川柳もどきの俳句」を詠むことが多くなりました。  

コロナ禍に胃の無い老躯を労わり、健康管理の月一ゴルフを文字通り「腹が膨れる思い」で詠んだ拙句(日記俳句コロナ俳句)をご笑覧下さい。

   

老鶯やゴルフに飛ばすコロナ鬱 

乱鶯を指呼にショットのナイスオン

コロナ禍や冷酒拒まれ黙食す

冷酒無くノンアルコール飲み切れず

老鶯にノンアルコール腹膨る

乱鶯やゴルフのランチそそくさと

残鶯や変異ウイルス増え止まず

  

トップの欄・「俳句HAIKU」、または、ここをタップ(クリック)すると、最新の全ての記事が掲示されます。記事のタイトルをタップしてご覧下さい。

  

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2021年5月26日 (水)

「牡丹」の俳句鑑賞


「牡丹」の俳句といえば、加藤楸邨の俳句「火の奥に牡丹崩るるさまを見つ」のことを思います。(「俳句談義(15):『昭和の日』・『憲法記念日』と俳句」をご参照下さい。)



「歳時記」や「575筆まか勢」の例句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

青色文字(季語)をタップして、他の例句もご鑑賞下さい。
お慰みになれば、幸いです。
   

(牡丹1)

誕生日の牡丹一輪切りにけり

          (加藤真起子)



   
牡丹2

両の手に余る牡丹を卓上に

          (岡田芳子)


 
牡丹3

先駆けて薬師寺に見る牡丹かな

          (渡辺玄子)



   
牡丹4

接木せし十年の牡丹咲きにけり

           (横田初美)



 
牡丹5

回覧板とどけ牡丹の客となる

           (平野伸子)



 
牡丹6

鐘楼を囲む百花の牡丹かな

          (岡野里子)



  
牡丹7

記念樹の牡丹一輪咲きにけり

         (亀卦川菊枝)


  
   
575筆まか勢
  

天平のこがねの蘂の白牡丹

          (有馬朗人)


   

園遊会日和となりし牡丹かな

         (西村和子)


   

一人居の母を見舞ひぬ夕牡丹

         (高木晴子)


      
      
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2021年5月22日 (土)

俳句鑑賞:「苺」「イチゴ」「いちご」

   

手作りの庭の味覚や苺採る

   

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掲句は庭の初物の赤い苺をナメクジに食われた無念さや手作りのケーキなどに苺を愛でたこと詠んだ薫風士の俳句です。

    

  

        

コロナ禍や苺の花に小さき夢

初物の赤き苺の裏は穴

大粒はナメクジ食みし庭苺

虫除けに小枝の支へ苺成る

手作りのケーキのトップ庭苺

今朝のパン狭庭の苺ジャムにして

    

「歳時記」(俳誌のサロン)や「575筆まか勢」から気の向くままに「苺」の俳句を抜粋掲載させて頂きます。

青色文字をタップすると例句や記事をご覧になれます。

 

歳時記」(俳誌のサロン

  

苺買ひ牛乳(ちち)忘れたる迂闊かな 

       (能村登四郎)

 

二坪の菜園孫とイチゴ狩り  

        (贄田俊之)

  

誰もゐぬ母の故郷蛇苺   

        (湯浅夏以)

   

諦めの悪き男がいちご食ふ 

        (秋千晴)

   

575筆まか勢

  

団欒は紅き苺をつぶすとき

       (五十嵐播水)

  

ただ苺つぶし食べあふそれでよし

        (中村汀女

  

和解とは苺ミルクを潰すのみ

        (河野多希女)

 

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冒頭の写真のように、つつじの枝を苺の支えにして、ナメクジに苺が食われないように工夫しました。

 

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2021年5月16日 (日)

須磨離宮公園・バラと噴水(吟行の俳句と写真)

 

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Dsc_4611 「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が5月末まで延長されましたが、更なる延長も有りうるので梅雨入り前の貴重な一日の好天を活かすべく、須磨離宮公園までドライブして家族吟行をしました。 「コロナ禍の俳句鑑賞 <青葉・青葉風・青葉潮>」にも、この吟行で詠んだ俳句などがあります。合わせてご覧頂ければ有難いです。

 

梅雨入り前一日を惜しむ須磨離宮 

青葉風カフェは久しく閉ざされて 

あの音はドクターヘリか薔薇の苑 

噴水や青葉の丘のレストラン 

大噴水黙食の窓煌めかせ 

噴水の煌めく窓を鳥の影 

噴水やポセイドンと自撮りして 

後ろ手の幼の見入る薔薇手入れ 

目高群る離宮の池やモネ偲ぶ 

馬へたるドン・キホーテや風薫る 

楠若葉巨幹の枝の交はりて

展望を求め踏み行く夏落葉

梅雨入り前満喫したる須磨吟行 

 

「梅雨入り前」は5・7・5のリズムを整えるために「ついりまえ」と読んで下さい。青色文字の季語をタップすると「歳時記」(俳誌のサロン)や「575筆まか勢」の俳句などをご覧になれます。写真はタップ・拡大すれば、鳥やヘリ、目高などがご覧になれます。コロナ禍の気分転換・もやもやの解消に役立てば幸いです。

 

Dsc_4564 Dsc_4577 Dsc_4606 Dsc_4661 Dsc_4582 Dsc_4599 Dsc_4620 Dsc_4679 Dsc_4633 Dsc_4711 Dsc_4722_a 青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。 トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事が掲示されます。  

コロナ禍の俳句鑑賞:「青葉」・「青葉風」・「青葉潮」

 

Dsc_4611 緊急事態宣言は5月末まで延長され、更に9都道府県に拡大され、まん延防止等重点措置も10県に拡大されました。

 

侮れぬ変異ウイルス青葉風 

コロナ禍や青葉のカフェは閉ざされて 

酒無しの青葉の丘のレストラン 

コロナ禍の黙食迫る青葉風 

コロナ禍や青葉風にもマスクして 

青葉晴飛び交ふ鳥の増ゆる丘 

須磨の丘彼方は茅渟の青葉潮 

・コロナ禍にクルーズ船や青葉潮 

クルーズの明石海峡青葉潮

 

掲句はコロナ禍の「春の俳句特集」や「初夏」に続く「まんぽ俳句」ですが、須磨離宮公園で詠んだ拙句です。

ワクチン接種が医療従事者や高齢者から順次開始されましたが、全ての人々への接種が完了しない限り、新型コロナ変異ウイルスの感染拡大は収まらないでしょう。

関係者は苦慮されているでしょうが、何故IOCバッハ会長にオリンピック開催延期を要請しないのでしょうか?

全く納得できません。

ここをクリックして「俳句の鑑賞:初夏 《コロナ禍に思うこと》」をご一読頂ければ幸いです

 

コロナとは無関係に詠まれた俳句でしょうが、共感できる俳句を歳時記(俳誌のサロン)から抜粋掲載させて頂きます。気分転換にご鑑賞下さい。憤懣やる方ない思いの解消に役立てば幸いです。

青色文字の季語をクリックすると歳時記の他の例句をご覧になれます。

   

青葉1

・脳へゆく酸素は如何に青葉の夜 

         (池田澄子)

  

  

青葉2

青葉風湧けり柳生の武家屋敷 

         (小林成子)

  

 

青葉3

湯の滝を浴びて青葉の夜の外湯 

         (櫻井幹郎)

  

 

青葉4

ホスピスの窓少し開く青葉風 

         (竹内美智代)

  

 

青葉5

青葉風麻酔の為の深呼吸 

         (宮崎高根)

  

 

青葉6

・ひと粒の薬に頼る青葉の夜 

         (篠田純子)

 

青葉7

人群るる路上ライブや青葉晴 

         (室谷幸子)

  

 

青葉8

一服のシフォンケーキと青葉風 

         (澤藍)

  

 

青葉9

梵鐘の余韻をのせて青葉風 

         (大川暉美)

  

  

青葉潮

時は魔物のように過ぎゆく青葉潮 

         金子兜太

  

 

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2021年5月 8日 (土)

俳句の鑑賞:「初夏」《コロナ禍の思い》

新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、2023年5月8日、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行し、3年余り続いたコロナ禍の行動自粛が漸く解除されました。
「まんぽ」をノーマスクで楽しみましょう!
《たんぽぽ・蒲公英・タンポポ》俳句鑑賞」をご覧下さい。

  

・こゑあげてゐる一本の夜の新樹

  

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冒頭の俳句は日本伝統俳句協会の5月の俳句カレンダー(写真)にある岩岡中正氏の短冊句です。

新樹の声は何かの比喩でしょうか?

(写真をタップ・拡大して掲載句をご鑑賞下さい。)

       

夏初め打ちひしがれし旅心

掲句は薫風士のやるせないコロナ俳句です。

2月に、「春めくもコロナに殺がる旅心」と駄句を口遊み、「コロナ禍の俳句鑑賞:春めく(俳句と写真)」という記事をかきましたが、また「打ちひしがれた旅心」を記事にする羽目になりました。

「旅心」の俳句と言えば、芭蕉の辞世句「旅に病んで夢は枯野を駆け廻る」に思いを馳せる人が多いでしょう。「駆け廻る」は「かけめぐる」と読むのが普通ですが、インターネトで検索した大阪市にある史蹟「芭蕉翁句碑」の写真を見ると、「かけまはる」と記載されています

松尾芭蕉の俳句を英訳しているので、昨年、大垣市の「奥の細道むすびの地記念館」や伊賀市の「芭蕉翁記念館」を見学し、今年は花見がてら江東区芭蕉記念館を訪ねようと思っていましたが、新型コロナウイルス変異株の感染拡大防止のための3度目の緊急事態宣言の実施で上京できなくなりました。

 

このようなコロナ禍の非常事態に何故オリンピック開催を推進しているのでしょうか? 

何故、新型コロナ変異ウイルスの感染拡大が完全に沈静化するまで延期出来ないのでしょうか?

事情は全く違いますが、発言の自由を奪われて誰も太平洋戦争を止める声を上げることが出来なかった当時のことを想起せざるを得ません。

オリンピック開催推進派の指導者の配下の渦中の人々には自由に物が言えないとか、客観的に判断できなくなっている方が多いのでしょうか?

「新型コロナウイルスの発生」は自然現象として甘受せざるを得ませんが、「感染の拡大を抑えること」は人の出来ること、医療技術・体制の問題であり、政治の問題です。    

庭手入れ朧になりし飛行雲 (コロナ禍不急の五輪開催の是非)をご一読下さい。

   

・初夏や庭の手入れに気を晴らし

  

5月5日は「立夏」・「こどもの日」ですが、旅行は断念し近場の散歩で「まんぽ俳句」を詠んだり、春耕庭の手入れをしながら、自衛に撤しています。 

  

「まんぽ俳句」のみ掲載しては読者に申し訳ないので、新型コロナウイルス発生以前に詠まれた俳句なのでコロナ禍とは無関係ですが、心情的に多くの方々が共感するのではないかと思われる俳句を「歳時記(俳誌のサロン)」や「575筆まか勢」から、気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

  

初夏1

・消息の届けば安堵初夏の旅 

           (稲畑汀子)

  

初夏2

・初夏の昼わがワールドの六畳間 

           (北上良一)

  

初夏3

・まだ捨てぬ渡佛の夢や初夏の風 

           (能勢栄子)

  

初夏4

・歩かうよ初夏の太陽浴びながら 

           (稲畑汀子)

  

初夏5

・受診待つ窓初夏のちぎれ雲 

           (岡井マスミ)

  

575筆まか勢

・たまさかは夜の街見たし夏初め 

           (富田木歩)

  

   

この記事を書いていると、テーブルの隣で妻が孫の為に自慢のチーズケーキを作り始めました。ケーキは「夏の俳句」として不適切だと思われるかも知れませんが、薫風士の即興句を掲載します。 

  

・初夏や妻手作りのケーキの香 

 

ここまで記事を書き終えて受信メールをチェックしたところ、高浜虚子の「去年今年」の俳句に因んだ曲を作曲したロクリアン正岡氏から新曲を作曲したとのメールが届いていました。 ロクリアンバッハ「甘き死よ、来たれ!」という4分25秒の甘美な曲です。 死神に取りつかれず、コロナ禍の癒し・慰みになれば幸いです。ここをクリックしてお聞き下さい。 

   

・初夏や癒しの曲にケーキ愛で

  

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2021年5月 6日 (木)

俳句の鑑賞《祭り》

 

(2023.8.6 更新)
夏祭り底が割れたるその台詞
いさぎよき台詞危ふし夏祭
コロナ禍の自粛解けたる夏祭

    (薫風士)

 


(P.S. 2022.9.1)

「TOKYO 2020」の開催をワクチンの開発・普及が進み新型コロナウイルスの感染拡大の収束が期待されるまで2年間延期していたら、暗殺による安部晋三元総理大臣の不慮の死も起こらず、世界の歴史は変わっていたかもしれません。
ゴルフ談義政治談議も「あれが無かったら」と愚痴や反省がしきりです。

 

女房は下町育ち祭好き 

        (高浜年尾)

 

コロナ禍や祭りは自粛五輪とて

         (薫風士)

   

 高浜年尾の掲句について、清水哲男氏は「増殖する俳句歳時記」において次のように述べています(抜粋)。

「なんとも挨拶に困ってしまう句だ。作者が虚子の息子だからというのではない。下町育ちは祭好き。……か、どうかは一概にいえないから困るのである。…(中略)… この句のように『そうなんだから、そうなんだ』という類の句は、見回してみるとけっこう多い。(以下省略)」  

しかし、「そう決めつけられては困るよ。」と作者(高浜年尾)はあの世で言っているかも知れません。作者は妻が祭り好きなことを理屈抜きで俳句に詠んだに過ぎないでしょう。
俳句は散文と異なり所詮片言ですから、読み手次第で解釈が異なることが多いですね。

(青色文字をクリックして作者の紹介記事や俳句の詳細をご覧下さい。)

  

合本現代俳句歳時記(角川春樹編)の季語「祭」の項には傍題が次のとおり12あります。
夏祭」「祭礼」「宵祭」「夜宮」「神輿」「山車」「祭囃子」「祭太鼓」「祭笛」「祭衣」「祭提灯」「祭髪」

 

インターネット歳時記(「俳誌のsalon」)の「祭」の各ページから気の向くままに2句抜粋させて頂きます。

  

祭1

復興の町に景気の祭山車   

       (稲畑汀子

 

子が手綱引いてやさしき祭馬 

       (野沢しの武)

  

祭2

賀茂祭馬耐へがたく尿放つ

     (西田もとつぐ)

 

父の手を振り切つてはや祭の子

        (品川鈴子)

  

祭3

故郷の祭を恋ひて母逝きぬ   

       (藤村美津子)

 

点滴のベッドへ遠き祭笛   

       (辰巳比呂史)

  

祭4

この村が好きで老いたり祭笛

        (梅原富子)

 

教え子の祭化粧を見つめおり 

       (小林玲子)

 

祭5

水打つて祭日和となりにけり 

        (柴田英彰)

 

ふるさとに海の幸あり祭鮨 

        (斉藤静枝)

 

祭6

祭ある地球によくぞ生まれける 

        (鷹羽狩行

 

落語家の芸賑々し祭船    

        (名取袿子)

 

祭7

町並に古色戻りぬ祭あと   

        (小泉三枝)

 

獅子の尾を振る役たまふ祭かな 

        (浅田光代)

  

祭8

神田川祭の中をながれけり  

       (久保田万太郎)

 

阪神の帽子神田祭の子  

       (大久保白村

  

祭9

下町に祭気分の漲(みなぎ)れり 

       (稲畑廣太郎

 

てのひらを味見の皿に夏祭  

       (小城綾子)

  

祭10

祭くる百八歳の大往生   

       (大坪景章)

 

軽トラに稚児乗せ団地祭かな 

       (中川すみ子)

  

祭11

駅を出て神田祭に揉まれけり 

       (内藤静)

 

抜路地を流れ遠音の祭笛   

       (中野さき江)

  

祭12

星空に鼓動の余韻夏祭   

       (宮崎薫風)

 

祭ずし嫁へ言ひつぐかくし味 

      (白神知恵子)

 

祭13

祭太鼓腹にひびくや總踊り  

       (井沢ミサ子)

 

背伸びして募金する児の祭髪 

       (石田きよし)

 

祭14

働きし手を見せ合うて祭かな 

       (小嶋恵美)

 

祭牛を宥めすかして御田掻く 

       (大橋晄

  

祭15

昔の名坂に残りて祭町   

       (今井千鶴子

 

人違ひしたりされたり鉾祭  

       (山野美賛子)

   

俳句祭り」を開催して町の活性化を図っている地方自治体が増えているようです。
俳句を世界無形文化遺産に登録しようという運動も推進されています。
コーラスゲートボールなど様々な趣味がありますが、俳句は楽しくて健康に良いばかりでなく、前EU大統領の言のごとく、人心を世界平和へ導くことにも貢献できそうです。それにしても、言葉の壁・言語の壁を破り「俳句」の国際化を促進して俳句の世界無形文化遺産登録を実現することは至難でしょうね。

 

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2021年5月 4日 (火)

「みどりの日」 <「まんぽ俳句」と写真>

  

5年ほど前に「みどりの日」の俳句を読んで思うことをブログに書きましたが、今日は「まんぽ俳句」と写真を掲載します。

コロナ禍の外出自粛の慰みになれば幸いです。

ここをクリックすると、「575筆まか勢」の「みどりの日」の俳句をご覧になれます。

  

・「みどりの日」小犬と散歩マスクして

  

・みどりの日玻璃を鏡に太極拳

  

・新緑の円形広場ミニ野球

  

・緑陰のブラスバンドにマスクの子

  

・春陰の玻璃を鏡にチアダンス

  

・ボール蹴りコロナの春の憂ひ蹴り

  

・今日も又ドクターヘリかみどりの日

  

・蜜蜂は散歩の我に纏ひ付き

  

・吾の視界すり抜け燕電線に

   

・巣作りの相手呼ぶかに初燕

  

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俳句と写真《石鹸玉・しゃぼん玉》

  

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「シャボン玉」は、俳句では「しゃぼん玉」と平仮名にするか、「石鹸玉」と漢字で表現するのが普通です。

季語は「春」です。

   

「歳時記」(俳誌のサロン)の例句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

  

しゃぼん玉1

しやぼん玉とぶ七彩に光りつつ 

         (中川濱子)

  

しゃぼん玉2

母と子のはしやぎの中のしやぼん玉 

        (亀ヶ谷照子)

  

しゃぼん玉3

しやぼん玉中をゆるゆる乳母車 

         (浮田胤子)

 

しゃぼん玉4

浮雲に届けとばかりシャボン玉 

          (林生子)

  

しゃぼん玉5

しやぼん玉オパール色に輝けり 

         (楠原幹子)

  

コロナ禍の自粛を強いられた若者や家族連れが深田公園で思い思いに遊んでいたのを詠んだ薫風士の「まんぽ俳句」とその情景の写真を最後に掲載します。

写真をタップして拡大して、空高く上がるシャボン玉をご覧下さい。コロナ禍の慰みになれば嬉しいです。

   

旅心つのらせ上がる石鹸玉

  

しゃぼん玉こんなに遠く飛んで来て

  

しゃぼん玉弾け儚しホロンピア

この俳句は「5-10-3」のリズムで詠んで頂ければ幸いです。

   

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2021年5月 3日 (月)

コロナ禍の八十八夜旅自粛

   

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冒頭の写真にあるように、今年の八十八夜は5月1日に当たります。 

写真(日本伝統俳句協会俳句カレンダー5月の一部分)をタップ・拡大して掲載された俳句をご覧下さい。

  

重患か八十八夜のヘリの音

  

タイトルや掲句は、新型コロナ変異ウイルスの感染拡大で旅心を抑えている薫風士のやるせないコロナ俳句です。

コロナ禍の心情に通ずる俳句を「歳時記」(俳誌のサロン)や「575筆まか勢」から抜粋・掲載させて頂きます。

(青色文字をクリックすると俳句や記事の詳細をご覧になれます。)

  

八十八夜1

・吉報のありて八十八夜の茶  

           (田渕葉陽)

  

八十八夜2 

・呑まず過ぐ八十八夜の歌舞伎町 

           (淵脇護)

  

八十八夜3  

・八十八夜疼き出したる旅ごころ 

           (佐々木永子)

 

575筆まか勢

・八十八夜都にこころやすからず

           (鈴木六林男)

    

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