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2019年5月21日 (火)

俳句の文法《助詞「や」と「か」》

     

ほろほろと山吹ちるか瀧の音 

           (芭蕉

  

この俳句の解説をインターネットで検索すると、目についた限り全て「山吹が散っている情景を見て詠んだ俳句」として解説しています。

芭蕉は、山吹が散るのを見て詠んだのであれば、「ほろほろと山吹ちるや滝の音」と、「切れ字」ではなく「強調・詠嘆」の「や」を用いたのではないでしょうか? 

しかし、「山吹ちるか」と「か」(疑問を表す助詞)を用いています。

従って、滝の轟く音を聞いて、「山吹も滝の響きで散ることだろう」と瀧音の強さを詠嘆した俳句であると解釈すべきではないでしょうか? 

  

この句は、従来の俳諧が「滝・清流に山吹」など、絵画や和歌の題材として視覚的に親しまれていたものを音に焦点を当て新しい感覚で俳句に詠んだものでしょう。

  

芭蕉の俳句といえば、「古池や蛙飛びこむ水の音」が有名ですが、従来の俳諧では「清流の蛙(かじか)の鳴き声と山吹の取り合わせ」などが重んじられたのに対して、「古池と蛙の水音の取り合わせ」を詠んだ蕉風俳諧に通じるものがあると思います。

  

歳時記によると、「山吹」は春の季語、「滝」は夏の季語です。一般に、季語が二つあるのは良くないとされていますが、俳句の内容次第で効果があれば良いと思っています

  

寺田虎彦が「俳諧の本質的概論」で俳句における「てにをは」の重要性を強調しています。

  

我田引水ですが、助詞「や」の有無で高浜虚子の俳句「初空や大悪人虚子の頭上に」の句意も異なるとして新解釈を試みました。

  

興味があれば、「俳句談義(3):虚子の句「初空や」の新解釈《大悪人は誰か?》をご覧下さい。

 

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俳句は、個性を発揮する芸術の一つであり、好き好きです。プレバトのような一方的な査定やランク付けはしないで教育すべきでしょう。
大人のための俳句の面白さの啓蒙の一助になれば幸いですが、
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新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して、2月の節分から「コロナ俳句」をブログ「俳句HAIKU」に書いてきました。
コロナ感染拡大の第三波が大きく、遂に全国的に「Go Toトラベル」のキャンペーンが年末年始は中止されることになりました。

来年のコロナ禍の経済対策としては、
「Go Toトラベル」や「Go Toイート」を中止して、
「新型コロナウイルス感染防止の対策マニュアル」を整備し、
適合するホテルやレストラン、居酒屋、喫茶店などを認定し、
認定基準適合の準備に要したコストの一部を補助し、
「コロナ対策三ツ星店」とか、「三密防止対策三ツ星店」など、
適切な呼称でコロナ対策を奨励する方が良いでしょう。

「認定基準」は一般に公表し、店の客が自然にチェックしてくれるように工夫するとか、公式のチェック体制も整備すると、
ごまかす店も無くなり、真面目に営業している店が繁盛することになり、経済効果も上がるでしょう。

この思いを皆さんがシェアして、
政府や自治体の関係者を動かしてくれるとありがたいです。

ちなみに、「ミシュランの三つ星」を獲得したスペインの著名なレストランがコロナの影響で廃業に追い込まれたそうです。

(薫風士)

9月19日は正岡子規の忌日「獺祭忌」です。
「芭蕉・子規・虚子の俳句、まんぽ写真・俳句などを楽しもう!(WEB特集)」
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「俳句の面白さ・奥の深さ」が分かりますよ。

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