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2015年6月

2015年6月30日 (火)

2015年6月の主な更新記事

    

< タイトルなどの青色文字をクリックしてご覧下さい。>

       

政治談議(5): 

「安保法制関連法案」「お題目」の踏み込んだ議論を!

   

政治談議(4):

安保法制の「抑止力」を「誘発力」にしてはならない!

  

政治談議(3): 

安保法制関連法案と党議拘束

  

政治談議(2): 

<政治家の「字面」軽視=外交音痴>               

   

政治談議(1): 

「安保法制」を改悪するために投票したのではない!

              

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花鳥」「伝統俳句協会」「国際俳句交流協会

現代俳句協会俳句界」「俳句

       

2015年6月27日 (土)

政治談議4:                    安保法制の「抑止力」を「誘発力」にしてはならない!

       

安倍総理は、安保法制関連法案について、「議論が尽くされたと判断されれば、決める時には決めると述べ、今の国会で法案を確実に成立させたいという考えを示している。

しかし、国会の審議で相変わらず質問に真面に答えず、「お題目」のように抽象的な同じ説明を繰り返している。

この調子では、総理が「議論は尽くされた」と言っても、国民の目線では議論が尽くされたとは到底言えず、会期延長は強行採決の口実にする欺瞞に過ぎない。

       

安倍総理は「錦の御旗」の如く「砂川事件の最高裁判決に言及しているが、ポツダム宣言と同様に、判決文を「つまびらかに読んでいない」ということだろうか?

最高裁の判決の理由の説明文に下記の記述がある。

「そこで、右のような憲法九条の趣旨に即して同条二項の法意を考えてみるに、同条項において戦力の不保持を規定したのは、わが国がいわゆる戦力を保持し、自らその主体となつてこれに指揮権、管理権を行使することにより、同条一項において永久に放棄することを定めたいわゆる侵略戦争を引き起こすがごときことのないようにするためであると解するを相当とする。従つて同条二項がいわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として、同条項がその保持を禁止した戦力とは、わが国がその主体となつてこれに指揮権、管理権を行使し得る戦力をいうものであり、結局わが国自体の戦力を指し、外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、ここにいう戦力には該当しないと解すべきである。」

憲法9条2項について、「いわゆる自衛のための戦力の保持をも禁じたものであるか否かは別として」として言っている。すなわち、「自衛のための戦力の保持」の合憲性を明確に判示していないのである。

更に、「同条項がその保持を禁止した戦力とは、わが国がその主体となつてこれに指揮権、管理権を行使し得る戦力をいうものであり」と定義している。

ところが、新安保法制下では、米国軍隊との共同作戦を意図しているから、この点からも砂川事件の最高裁判決を「錦の旗」にするのは的外れであり、新安保法制の違憲性は明確である。

そのことが明確でないというなら、新安保法制の法律条文に『明確に』とか『明瞭に』、『必要最少限に』などと規定し、与党議員がその点をいくら強調しても信用できない。

政府・与党議員は「最高裁が違憲性を判断する」と言っているのだから、新安保法制について最高裁の判断を仰ぐべきである。

それをしないなら、少なくとも世論調査の結果を踏まえ、最終決断をするのが民主主義憲法下の国会議員のなすべきことだろう。

    

安倍総理は「60年安保も反対があったが、安保が抑止力になった」という趣旨のことを言っている。

だが、「60年安保に対して国民の大きな反対があり、米国も無理強い出来なかったのだ。それ故、日本はイラク戦争やテロに巻き込まれなかったのだ。」

政府の意図している新安保法制ではその抑止力が失われる。

「安保法制関連法案」が政府の判断で会期末までに強行採決されれば、「抑止力」として機能した「平和憲法」と「安保法制」が機能せず、「戦争誘発力」や「テロ誘発力」になる恐れがある。

         

なお、新安保法制について国民の理解を得るためには、法律条文そのものを読みやすい形式にすべきである。

戦前・戦中の「よらしむべし、しらしむべからず」の治政下においては、法律は難しいのが当然であった。現在でも、難しい条文は権威があると錯覚している人がいる。しかし、国民の知識レベルも高い、主権在民の現在では、法律条文も読みやすくしなければならい。

旧態依然とした、新旧の条文を対比しなければ分からないような読み替え規定は、法律を作る側・官僚には便利だろうが、法律を適用する関係者や国民には読みにくい。

読み替え・修正個所を新しい条文に織り込み、全文通読すればわかる法律条文にすべきである。

そして、憲法の範囲内の規定であることが概念的に理解できるように規定した上で、その法律を適用する場合の具体的な事例を附則などでクローズドリストにすべきである。

そういう新しい法律条文に基づいて合憲性を国会で審議すれば、国民の理解が促進されるのだ。

一般の市民の目線で「平和憲法の規範内の自衛権の規定である」と理解されるようにすれば、国際的な理解も得られる。  

政府与党議員の猛反省・「痛切な反省」を促したい。

      

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2015年6月25日 (木)

政治談議(3): 安保法制関連法案と党議拘束

              

自民党の村上誠一郎議員が安保法制関連法案について党議拘束を外すべきだと言っている。この尤もな発言に同感である。

    

安保法制関連法案が昨年の衆院選挙自民党の公約(マニフェスト)として明確に掲げられていたのなら党議拘束があっても不当とは言えない。

しかし、実際には安保法制関連法案の明確なマニフェストはなかったのであるから、国民は安保法制関連法案の成立を期待して投票したわけではない。

したがって、党議拘束は不当である。

しかも、政治談議(1)で述べたように、

TV Asahiの世論調査によると、安全保障関連法案について「反対45%、わからない31%、賛成24%」である。

「反対」と「わからない」の合計は「憲法改正」や「法律案の衆議院優越可決権」に必要な比率:「3分の2」を上回る76%である。

このような状態で党議拘束をすることは国民の意思を無視した独裁的横暴である。

 

外国では党議拘束がどうなっているか、参考までにウイキペディアの解説を抜粋させて頂く。詳細はここをクリックしてご覧下さい。

     

イギリス

原則として予算案の議決には下院与党の党議拘束がかけられ、非常に党派性のつよい二大政党制が実施されている。これはマニフェスト選挙とともにイギリスの半代表制議会制度を象徴しており、国民有権者の投票の結果としての契約(マニフェスト)に対して忠実であるべき下院の伝統とされている。一方で議員の自由委任に関わる反論も根強く、若手議員(バックベンチャー)を中心とした造反がしばしばみられる。(以下省略)

     

アメリカ

アメリカ合衆国議会では法案に対してほとんど党議拘束がかけられていないため、議案ごとに個々の与野党議員が是々非々で交差投票(クロスボーティング)を行う。委員長選出などの議事運営上での選任投票など党派色の強い案件を除き、党議拘束は緩く法案ごとに同調する議員をまとめている[10]。これは大統領を頂点とする行政府に権力を付与するために議会において党議拘束が求められる必要がないということが大きい。(以下省略)

     

フランス

フランスの議会では政党による造反議員への制裁が少なく比較的寛容である。

    

NHKTV-Asahiなどのマスメディアで是非とも「昨年の衆院選に投票した目的」と「安保法制関連法案の成立」との関連について国民意識のアンケート調査をして呉れると有難いと思っている。

チュヌの主人が一人ではマスコミが動かないかだろうから、このブログにお気づきの方はチュヌの主人が政治談議や俳句談義で吐露している切ない思いをシェアして、自民党の暴走を抑えるべく、日本の将来のために積極的に発言し、活動して頂きたい。

    

   

2015年6月23日 (火)

政治談議(2):                 <政治家の「字面」軽視=外交音痴>

                                 

安倍首相は、「昭和47年政府見解では、集団的自衛権必要最小限度を超えると考えられたが、大きく国際状況が変わっているなかで、国民の安全を守るために突き詰めて考える責任がある」と述べ、「国際情勢にも目をつぶって従来の(憲法)解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」と述べている

政府・政治家が国際状況の変化に対応することを考えなければならないことは当然である。だが、そのことと憲法の解釈論とは別問題であり、安倍首相の発言には論理のすり替え・飛躍がある。

「大きく国際状況が変わっている」というが、その具体的な例を挙げて、それに対処するには昭和47年当時の解釈論では対応できないということであれば、その検証過程・結果を明らかにすべきである。たんなる抽象的観念論で重要な憲法解釈の変更をされては困る。

憲法の解釈は純粋に法律的に行うべきものである。憲法の条文および法理から許される自衛権国際情勢に照らし不十分であると政府が判断するなら、必要な法律的手続きに従って憲法を改正するのが筋である。そんな基本的なことが分からない総理大臣の下では国民が不幸になる。

    

国際情勢に疎い憲法学者もいるかもしれないが、大部分の学者は国際情勢を考慮するが故に憲法解釈を大事にしているのだ。       

安倍総理はポツダム宣言を「つまびらかに読んでいない」と国会で答弁しているが、そんなことでは、安倍総理自身が「国際情勢に眼をつぶっている」と言われても仕方がないのではないか?

安倍総理の公式ホームページを開けると、冒頭に現れる写真の中で、安倍さんは農婦人(?)に丁寧にお辞儀をしている。そして、「・・・未来を切り拓くために語り合おうではありませんか」と説明文で言っている。

安倍さんは「『今の憲法解釈のままで国民の命と暮らしを守り抜くことができるかどうか、という問題に向き合わないのは、内閣総理大臣として不誠実だ。』 私はそう考えます。」とも言っている。

安倍さんの言葉は立派である。しかし、肝心なことは「問題に対する向き合い方」である。

安倍さんは美辞麗句を並べるのが非常に巧みだが、その言葉が軽く、空疎な感じがする。安全保障関連法案の安倍さんや取巻きの最近の国会における審理の進め方や答弁の仕方を見ていると、「美辞麗句の裏に何かあるのではないか?」などと、不信感を抱かざるを得なくなってきている。         

      

高村正彦自民党副総裁など与党議員が、「憲法学者の言う通りにしていたら今の自衛隊はなく、日本の平和と安全は絶対守れない」「学者は(憲法条文の)字面に拘泥している」などと暴論を吐いている。

そういう政治家は、論理的思考能力に欠けるか、国民をバカにしているか、分かっていながらごまかす狡賢さに長けているか、詮索する暇はないが、いずれにせよ、「憲法解釈の変更に反対する世論を抑えるための『字面』」や『はぐらかすための字面』」にしているように見える。

「現在の国民はバカではないですよ!」と叫びたいが、そう言いきれない現状である。非論理的に導かれた結論であっても、その結論だけが「政治家弁護士」に正論らしく情緒的に喧伝されるとそれに乗せられる人が多い。

インターネットを見ると、様々なデマやヘイトスピーチがある。      

全く情けないことである。我田引水だが、「亀鳴くや皆愚かなる村のもの」と俳句を詠んだ高浜虚子心境が分かる気がする。

各人が、一歩踏み込んでしっかり考えるようにしてほしいものである。

            

外交交渉の場では当然のことであるが、儀礼的対談の場合であっても、政治家はもっと外交交渉の言葉の字面に拘泥すべきだ。

    

(青色の文字やアンダーラインをクリックすると、詳細・関連記事がご覧になれます。)

    

たまたま、週プレNEWS「過熱する沖縄県知事選直前! 元総理大臣・鳩山友紀夫の弁明」という記事を見ると、記者の質問に答えた鳩山発言の中に気になる箇所があった。その一部を次に抜粋する。

「そのことは当時の米国国務省のアーミテージさんと議論したことがあります。当然、かなりの論争になりましたが、最後には「わかった。鳩山が言っていることはよく理解できた、しかし、その言葉を『常駐なき駐留』ではなく『条件付き駐留』ではだめなのか?」とおっしゃっていました。つまり、「常駐なき駐留」はアメリカが受け入れられないものではなかったと私は理解をしています。」

   

常駐なき駐留』と『条件付き駐留』には明らかに違いがある。人の良い鳩山さんは、「条件」の中身が不明なのに拘泥せず、「何とかなる」という大きな判断ミスをしたのではないか? 言葉に拘泥しなかったミスが民主党を自滅させる結果になったのではないか?

     

政治談議(1)にも書いたが、国民の理解を得ないで安全保障関連法案を強行採決すれば、安倍さの主導する「積極的平和外交」の「平和」とは見せかけのものだとして国際的にも理解されず、米国にも歓迎されないことになるだろう。

安倍・オバマ会談でどんな突っ込んだ話がなされたか知らないが、「国民が納得しない安保法制関連法案を『夏までに』強引に成立せることはオバマさんは決して望んでいないだろう。

    

自民党の谷垣幹事長には、野党との政治的駆け引きでなく、ご自身の良心に掛けて野党の意見にも耳を傾け、文字通り誠心誠意、国民のためになる国会審議が実現されるように腐心して頂きたい。

                   

ジャパン・アズ・ナンバーワン」の著者エズラ・ヴォーゲルの「外交では事実認識が大事という記事が日経ビジネスにある。

安倍首相の「戦後70年談話」における「歴史認識」についての発言は、「国際情勢に目をつぶらず」、国民の平和の願いが通ずるように多様な意見を踏まえた上で、メンツに拘らず、「字面に拘泥して」十分吟味し、真に国民のためになる談話にしてほしい。これまでの安倍発言などを聞いていると、安倍さんの思いとは裏腹に「国民を不幸にすることになりはしないか」と老爺心ながら懸念している。

上記の鳩山さんの判断ミスの例に限らず、麻生さんの失言など、参考にすべき「他山の石」は数多ある。名実ともに「名談話」として歴史に残る「戦後70年談話」にしてほしい。

決して「迷談話」にしてはならない!

                 

マスコミの記事はニュースとして断片的に報道されるので、問題点を全体的・論理的に捉え難い。そこで、自分の頭の整理・備忘録と読者の資料収集・思考のお役にも立ち、私見を述べることが出来れば「一石三鳥」であると思って書いている。

ひょっとして、このブログや「俳句談義」と「政治談議」が安倍総理大臣の取巻きの目にとまり、総理大臣に伝わることがあれば望外の喜びである。

              

2015年6月22日 (月)

政治談議(1)                「安保法制」を改悪するために投票したのではない!

                           

先日NHK日曜討論安全保障関連法案について」を視聴し、自民党高村副総裁の発言などを聞いて、いたたまれない気になって「政治談議」を書き始めた。

(青色文字をクリックして関連記事や解説をご参照下さい。)

衆院憲法審査会で憲法学者三氏(長谷部恭男笹田栄司小林節安全保障関連法案を『違憲』と指摘したことに関し、高村氏は次のような発言をしている。

「学者の言うことを聞いていたら日米安全保障自衛隊もない。日本の平和と安全はなかった」

しかし、高村氏の発言「学者の言うとおりなら平和なかったは的を射ない暴論である。日米安全保障や自衛隊の存在も抑止力になったであろう。だが、何よりも大きな抑止力は「平和憲法を堅持して武力を行使しない日本を外国が攻撃したり日本人を殺害することには大義がなく、国際的な支持を得られない」ということだと思う。

現在の「平和憲法」の下で、国際貿易や文化交流を続け、相互理解と相互依存性を深めることこそ抑止力になるだろう。

    

高村氏は「憲法の番人は最高裁判所であり、憲法学者ではない」「現在国会で審議をしている平和安全法制における集団的自衛権の行使容認は合憲である」と主張している。

その主張の根拠として砂川事件最高裁判決の法理に言及しているが、それは法理の曲解で的を射ていない。

最高裁は「砂川事件の判決」をしたのであって、「安全保障関連法案」の合憲性を審理したわけではない。高村氏を尊敬していたが、こんな単純な法理のイロハが分からないか、或は、分かっていながら敢えて強辯する政治家だ、と知って非常に落胆している。

法理そのものは単純でも、確認のためには砂川事件の最高裁判決の全文を参照して詳細な説明を要する。煩雑になるからこの本文では触れない。

下記の青色文字をクリックしてそのサイトの記事をご参照下さい。

憲法学者が見た審査会浦田一郎・明大教授、駒村圭吾・慶大教授)

集団的自衛権と憲法の関係は_27歳の弁護士がわかりやすく解説」 

伊藤健弁護士

安保関連法案の撤回を求める長谷部氏と小林氏の発言詳報

    

高村氏は、「実際の政策は、憲法の番人たる最高裁判所の判決で示した法理のもと、内閣と国会に委ねられている」、「『新安保法制』は合憲であり、国会の多数を占める与党が決定できる」という論理を展開している。

しかし、昨年の衆議院選挙で与党が多数を獲得したのは、現在国会で審議中の「安全保障関連法案」が今国会で成立することを国民が期待したからではない。

そうであるなら高村氏の主張も一理あるが、事実はそうでない。

デフレ脱却・景気回復の経済政策を期待して、「道半ば」と言われたアベノミクスの成り行きを見ようと、大部分の選挙民が政権の安定性を求めて衆院選の投票をしたのだと思う。

昨年の選挙運動で、「衆議院選挙の大義は『消費税再増税の先送り』について国民の信を問うことにある」という趣旨のことを安倍さんが盛んに言っていたことが印象に残っている。

国民の大多数がそういう印象を持っているのではなかろうか?

安倍総理はじめ与党政治家が衆院選の選挙運動で言っていたことに照らし、騙されたような釈然としない気持ちを抱いている国民が多いのではなかろうか?

この際、このような国民意識を確認することは極めて重要である。

NHKや新聞社などマスメディアで世論調査をして、昨年の衆議院選挙で投票者が何を期待して投票したのか、「新安保法制の確立を期待して投票したのか?」意識調査をしてほしいものである。

TV Asahiの世論調査によると、安全保障関連法案について「反対45%、わからない31%、賛成24%」である。

「反対」と「わからない」の合計は「憲法改正」や「法律案の衆議院優越可決権」に必要な比率:「3分の2」を上回る76%である。

    

憲法改正について、憲法96条に次の規定がある。

「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

  

また、憲法59条2項には「衆議院の優越」について次の規定がある。

「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。」

     

 安全保障関連法案を合憲とする学者の名前が産経新聞記事に公表されているが、曖昧な言葉を使って正論らしく発言している政治家の発言もある。合憲と判断している学者の論拠も是非公表して頂きたい。

賛成・反対それぞれの立場の学者の公開討論をしてもらえると、非常に面白いと思うが、それが無理なら、論文の紹介をしてほしいものでる。

      

産経新聞の独占インタビュー記事を見ると、安倍総理は誰も反対しないような良いことを言っている。

だが、安全保障関連法案の違憲性が問題になっている現状で、そのまま強行採決すると、「良い結果」にならないだろう。

安倍さんには是非そのことを気づいてほしい。安倍さんは取巻き連中に裸の王様にされて気付かないのだろうか? 

安全保障関連法案を強行採決すれば国民の理解を得られず、外国の理解も得ることが出来ないだろう。特に、アジア諸国の理解を得ることができなければ、中国や韓国などの世論を無視することが出来ない米国の理解も得ることが難しくなるのではないか。

米国はイラク戦争9.11多発テロのように、複雑な宗教・人種がらみの中東問題に手を焼いている。日本が米国の紛争やテロに巻き込まれたら大変である。後藤健二さんなどの殺害でも明らかだが、テロリストには正論は通じない。日本にテロが及ぶ場合の対策を準備しておくことこそ先決ではないか?

安全保障関連法案を国民の理解を得ず強行採決することは決して国民の願っている平和に寄与することにならないだろう。

このことはいくら強調しても強調しきれない。

安全保障関連法案に反対している政党や学者などに対して、論理的根拠も示さずに「国益に反する」というようなブログ記事があるが、戦前・戦中よく使われた「非国民」というレッテル、或はそれに対抗する「レッテル貼り」を政治家がすることは厳に慎んでもらいたい

賛成・反対いずれの立場にせよ、意見の違う者に対して「国益に反する発言」だとか、「国益に反する者」「売国奴」など、相手の発言を封じ込めるためのレッテル貼をしてはならない。「和を大切に」し、「空気を読むことを良し」とし、「発言を遠慮する」など、礼儀正しい国民性がマイナスに機能し、戦前と同じような過ちを繰り返すことになるのではないか、と心配している。

ここまで書いたところで、「安保関連法案:長谷部と小林両氏、政府・与党を厳しく批判」という毎日新聞記事を見た。

「6月4日の衆院憲法審査会で、自民党が推薦した長谷部恭男・早稲田大大学院教授ら憲法学者3人が集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案を『憲法違反』と明言した。その後、自民党幹部からは『憲法学者はどうしても(憲法)9条2項の字面に拘泥する』『学者の言う通りにしていたら、自衛隊も日米安全保障条約もない。平和と安全が保たれたか極めて疑わしい』といった発言が飛び出し、安保法案を巡る議論は加熱している。憲法審査会で参考人として意見を述べた長谷部氏と小林節・慶応大名誉教授が15日、日本記者クラブで会見を開いた。「違憲」を主張する両氏は果たして「現実を知らない」学者なのか。その発言の真意に迫った。【石戸諭/デジタル報道センター】(詳細はここをクリックしてご覧下さい。)

   

6月15日の毎日新聞記事によると、

「衆院平和安全法制特別委員会は15日、一般質疑を行った。中谷元(げん)防衛相は、1959年の最高裁の砂川事件判決が集団的自衛権の行使容認を合憲だと判断する根拠になるかどうかについて『直接の根拠としているわけではない』と明言した。自民党の高村正彦副総裁は11日の衆院憲法審査会で『最高裁が下した判決こそ、よって立つべき法理』と述べており、野党は政府・与党内の発言の食い違いを追及する構えだ。」

とある。

     

俳句談義18「政治家と俳句」で述べたように、「真の安全保障は何か」、「自衛力は備えても使用せずに済む戦略は何か」、与党議員、特に安全保障関連法案の強行採決を意図している議員、にはしっかり考えるようお願いしたい。

安倍さん! 安全保障関連法案を夏までに成立させなくても賢明なオバマさんは理解してくれますよ!

少なくとも、「安全保障関連法案に賛成すべきか、反対すべきか、分からない」と言っている国民によく考える期間を与えてほしい。

愛する日本の首相を裸の王様にして、国民が不幸になってはたまらない」との思いでこのブログを書いている。

政府が公約をどのように実行しているか、情報をシェアーして、皆でしっかりフォローしよう!

            

        

2015年6月16日 (火)

俳句談義18:政治家と俳句              <俳句を通して世界の平和を!>

            

(P.S. 2022.7.16)

2022年7月8日、安倍晋三元総理大臣が暗殺されました

言葉の力《俳句は癒し》や「俳句《涼し》死の話をご覧下さい。

      

  

(P.S. 2015.6.16)

国際俳句交流協会の総会・懇親会が6月1日に駐日EU代表部で開催され、ヘルマン・ファン・ロンパイ前EU大統領の講演「俳句を通して世界の平和を」を拝聴した。

講演の基本的内容はHIAのホームページ「ヘルマン・ヴァンロンプイEU大統領基調講演」「国際俳句交流協会創立25周年記念シンポジウム開催に寄せて」とほぼ同じだった。

     

ファン・ロンパイさんは政治家であるが、俳句を通じて日欧親善・文化交流を推進しておられる。そのせいか、6月2日に岸田文雄外務大臣から「日EU俳句交流大使」を委嘱された。

外務省のホームページを見ると、次の記述がある。  

岸田外務大臣からは『日欧の 親交ひろむ 薫風や』、

ファン=ロンパイ議長からは『詩人らは 生と自然を- 和の願い』及び『山々の 森明暗に 俳句満つ』の二句を詠みました。」

      

ファン・ロンパイさんの人柄を知る参考までに、同氏の句集から次の3句を掲載させて頂く。

神、善と愛 授受こそが 畢生(ひっせい)の生き甲斐

(God, goodness and love, both received and given  give meaning to life.)

肌の色言葉神々違えど我に我の道

(Different colours, tongues, towers and gods. I search my way.)

・ノーベル氏の 宿願果たし 平和の世

 (After war came peace. Fulfilling the oldest wish: Nobel’s dream comes true.)

最後の句には「ノーベル平和賞受賞式を記念して」と注記がある。

同氏のfacebookホームページ(英文)に興味があればここをクリックしてご覧下さい。

             

オバマ大統領安倍首相歓迎晩餐会において次の俳句を披露している俳句談義15参照)

春緑 日米友好 和やかに

 Spring, green and friendship/United States and Japan/Nagoyaka ni.」

    

オバマさんもノーベル平和賞を受賞したのだから、それに相応しい平和外交を推進して、「ノーベルの宿願果たし平和かな」と俳句を詠めるようにしてほしいものである。

    

安倍総理の次の俳句が最近話題になった。

 「賃上げの花が舞い散る春の風

この俳句は「誰かがアベノミクスを揶揄して作った川柳か?」と思ったが、そうではない。

真実を探すブログの記事を読むと、安倍さんがこの自作の俳句を披露している動画があった。「景気回復7分咲き」と言っているが、「賃上げの花」は満開にも程遠い状態でもう散っているとすれば悲しい。

「俳句談義」で何度も言っているように、俳句の解釈は創作である。安倍さんの意図した句意と異なる解釈になっていてもヘイトスピーチではないので誤解しないでほしい。

安倍さんの国会審議における応答を見ていると、ヘイトスピーチをするブログなどが増えるのも仕方がないように思う。しかし、ヘイトスピーチで憂さ晴らしをして物事が解決するわけではない。国会議員や有識者に任せるばかりでなく、我々一人一人が冷静に考え、議論し、発言することが大切である。

安倍さんの国会審議における辻元清美議員の質問に対する応答ぶり(ここをクリックしてご覧下さい)は相手をバカにしている。「国会を軽視し、国民をバカにしている」と思われても仕方のない答弁の仕方である。

安倍さんがこのような答弁をして、「真面目に答弁し」、「丁寧に説明している」と思っているなら、そのセンスを疑わざるを得ない。「痛切な反省」をしてほしい。さもなければ、安倍談話でいくら立派なことを言われても信用できない。温厚なチュヌの主人も怒りを抑えるのに苦労しています。

           

俳句談義16:『こどもの日』と『母の日』に思うこと」において、有馬朗人氏の俳句「母の日が母の日傘のなかにある」の「日傘」とは「『日米安保条約による核の傘』の比喩ではないか?」と我田引水の解釈をした。

戦後70年間維持してきた平和が、安倍総理が主導する「平和安全法制」によって破綻し、日本が招かざる戦争に巻き込まれることになってはならない。

安倍さんの俳句のように、解釈が如何様にでもできる法律にしてはならない。その思いが強く、ここで俳句談義から政治談議に変えざるをえない。

平和安全法制」を制定するとすれば、「平和憲法に基づいて、平和を維持し、国民の安全を守るための法律であること」を明確にする必要がある。「最低限度」といっても何が最低限度か明確な定義が無い限り様々な解釈ができ、歯止めが無くなる。

存立危機事態」の想定される事態をリストアップし、そのリストの妥当性を国会で十分審議して、国民の声が反映されるようにしてほしい。

自衛隊の責任者が派遣された現場で「平和憲法に基づく自衛権の行使になるか否か」を判断することは不可能である。安倍さんは綺麗ごとばかり言って、戦争の悲劇の責任は「自己責任だ」と現場の兵士の責任に押し付けるつもりだろうか?

平時にこそ「存立危機事態」や3要件の具体的な事例を想定し、その判断マニュアルを明確に規定し、十分国会で審議する必要がある。

どんな事態にも「切れ目なく対応できるように」と称して、歯止めのないオープンリストにしてはならない。総理大臣として、本当に国民の安全を願っているのなら、「存立危機事態」の抽象的定義のみならず、具体的な事例を限定的なクローズドリストで定義を明確にし、国民の信を改めて確認すべきだろう。

憲法の根幹を揺るがす決定を閣議決定で実施してはならない。      

「いじめ」の問題を理由にして、「道徳の教科化をしたり、「国家機密の漏洩防止のため」と称して「特定秘密保護法」を制定したりする一連の法改正の動きを見ると不安になる。

国民が自由にものを言えなかった戦前の時代に逆行させてはならない。

    

政治家の俳句に興味が湧き、インターネットを検索していると、

「佐高信の政経外科」中曽根康弘の「海軍魂」に「竹槍」一本で立ち向かった美輪明宏の「肝っ玉」というサイトがあった。興味のある方はここをクリックしてご覧下さい。

      

このブログを書いている時に、NHK大河ドラマ花燃ゆ」の吉田松陰を演じた伊勢谷友介さんが「現代の松下村塾」を始めたことを放送していた。

選挙権を18歳以上に拡大することが検討されている時に若い人たちがこのような活動を始めたことは頼もしい。

若者はその日その日の仕事や生活に追われて余裕がないだろうが、是非とも政治に関心を持ち平和な日本を維持する努力を惜しまないでほしい。

さもなければ、かって若者が太平洋戦争の犠牲になったように、いずれ現代の若者も無用なテロ犠牲戦争の犠牲に巻き込まれることになるだろう。

かって政権を葬った安倍さんの頑張りぶりを応援をしていたチュヌの主人も、現在の安倍さんの暴走ぶりに我慢できなくなって、微力ながらこのブログを懸命に書き、マスコミに働きかけ、政治に反映させようと思って老骨に鞭を打っています。

  

民主党など野党の皆さんも、安倍さんの挑発的態度に乗せられて国会審議を放棄することのないようにしてほしい。民主党は千載一遇の政権を獲得しながら自滅したことを反省し、次期選挙で国民の信任を得て政権を獲得できるように臥薪嘗胆してほしい。国会審議をボイコットするのではなく、もっと知恵を働かして国民のためになる議論をしてほしいものです。

         

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2015年6月 8日 (月)

石清水八幡宮と松花堂庭園(京都の旅)

 

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2015年6月に京都の石清水八幡宮と松花堂庭園を吟行した仲間の俳句と写真を披露します。

   

(写真:律子さん撮影)

     

写真はクリックすると拡大されます。

   

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元気な仲間は男山の展望台まで行きました。

  

生憎の夏霞や竹藪などに邪魔をされ三川合流のスポットは見ることが出来ませんでした。 

  

松花堂庭園には亀甲竹四方竹など珍しい竹が色々ありました。

吉兆松花堂弁当で昼食を済ませて、すぐに句会をしました。

    

(仲間の俳句)

(平成27年6月2日吟行)

(順不同)

    

江戸硝子に揺るる日の斑夏座敷   

       (知子)

  

朝涼の吾が影揺らぐ江戸硝子    

       (順子)

 

竹皮を脱ぐ草庵の静けさに      

       (美娜)

  

万緑に映ゆ朱の社殿石清水      

       (栄治)

  

竹落葉乗せ親しげに鯉寄れり     

       (文子)

  

ご神木に力瘤あり青葉風       

       (寧伸)

  

泳ぐあさざの黄色震はせて     

      (眞知子)

  

生まれながらに亀甲模様今年竹    

       (かず)

 

エジソン碑の空に戦ぎし今年竹    

       (美娜)

 

篠の子のけなげに天を目指しをり   

        (良子)

  

三川の合流隠す今年竹        

       (さとし)

 

梔子の香を運びくる風白し      

        (輝雄)

  

水琴窟のゆかしき音色夏の園     

        (律子)

  

まのあたりに巣立ち楠大樹    

  (美津子・欠席投句)

    

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俳句談義(14): 俳句の片言性と二面性(改訂版)

     

先日、川柳仲間に「ゴルフコンペに参加しないか」と問い合わせたところ、返信メールに次の文言があった。

      

ところで、東京新聞の『平和の俳句』に投句したところ記者が選ぶ特集記事の中に選句された。

   

『焼け跡に金魚一匹生き残る』

  

今まで6-7千句の投句があったようです。

金子兜太が選をして毎日1句記載される。記載されなかった句の中から、何人かの記者が数十句を選び編集して毎月1回特集している。

     

「たいしたものではありません。ご放念ください。」とあったが、このブログで取り上げさせて頂くことにした。   

(青色文字をクリックして解説記事・詳細をご覧下さい。)

      

「焼け跡」まで読んだ一瞬、阪神淡路大震災のことかと思ったが、「金魚夏の季語である。

この句は、1945年7月4日未明に高知市が被災した大空襲のことを詠んだ句らしい。

友人の家は全焼し、屋外の水槽に金魚が一匹生きていた。そのことを思いだして詠んだとのことである。

高知の大空襲では120機のB-29が高知市上空に飛来し、死者401人、罹災家屋約12,000戸だったが、東京の大空襲の罹災者は100万人を超え、死者は10万人を超えている。

  

三橋敏雄は次の俳句を作っている(出典:「坊城俊樹の空飛ぶ俳句教室」)。

  

いっせいに柱の燃ゆる都かな 

       (昭和20年)

   

戦争と畳の上の団扇かな 

       (昭和57年)

  

前の句では、三橋敏雄は大空襲の悲惨さを感じないかのように淡々と詠んでいる。「悲惨さ」の感情でなく「悲惨な事実」のみを詠むことを良しとしたのだろうか?

後の俳句は、「戦争」と「畳の上の団扇」を並べ詠むことによって、「戦争のない幸せ」を表現したものだろう。

「団扇」は「日常的な平穏さ」を連想させる。

「畳の上」は「畳の上で死ぬ」という言葉通りの「平穏な死」と「戦争による無惨な死」の対比を連想させる。

前の句は、無季俳句であるが、大空襲は自然現象・季節と無関係な人災であるから無季俳句にするのも当然だろう。

  

インターネット・サイト「戦後70年『平和の俳句』」のトップに次の俳句が掲載されていた。

  

蒸され濠(ごう)水一口に息絶えし

    

埼玉新聞」のサイトに、「九条守れの俳句掲載拒否 俳人・金子兜太さん『文化的に貧しい』」という見出で、次の記事があった(抜粋)

  

梅雨空に『九条守れ』の女性デモ

  

さいたま市大宮区の三橋公民館が発行する公民館だよりに、俳句「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」の掲載を拒否した問題について、熊谷市在住の現代俳句を代表する俳人金子兜太さん(94)に聞いた。

金子さんは「この社会に生きている人間を詠んだ当たり前の俳句を、お役人が拡大解釈した実に野暮(やぼ)で文化的に貧しい話」と語った。

句は公民館だよりに掲載するため、公民館で活動しているサークルが選んだ。市側は「世論を二分されているテーマが詠まれている」などとして、掲載を拒否した。

   

この句は兜太さんが言うように「作者はデモには好意を持ったが、熱く共感したわけではない」のかもしれない。

「梅雨もうっとうしいが、デモも不愉快だ」と解釈出来ないこともない。

公民館だより」が上記の句を掲載しなかった背景・経緯の詳細は知らないが、「この句一句のみを掲載することの要請」が拒否されたということなら公民館関係者の配慮も理解できる。

複数の俳句を載せる場合にこの句の掲載のみが拒否されたのなら問題にすべきことかもしれないが、俳句は片言の域を出ず、読者の好き好きの解釈が出来るので、一句だけ載せることは読者の誤解を招くことにもなりかねないから配慮が必要である。

一般に、新聞などで俳句の欄を設ける場合には選者を複数にするとか、交代にするとかの配慮をしている。   

問題の対象になった句は「平和の俳句」として選者が毎日一句だけ選んでいる一つのようである。

この特集に関連して、東京新聞」のWEBサイトに「戦前の空気に抗って」というタイトルの金子兜太・いとうせいこう両氏の対談記事があった。     

    

俳句本来の話題に戻る。

  

たとふれば独楽のはぢける如くなり

 

河東碧梧桐の死に高浜虚子が詠んだ弔句であるが、片言といえないこともない。文字通りの意味は分かるが、虚子と碧梧桐の関係を知らなければ、その背景にある句意は全く分からない。

竹馬の友とか「刎頸の友とかいう言葉があるが、虚子や碧梧桐のことを知って初めて「名句だな」と納得できる。  

坊城俊樹氏の「高浜虚子の100句を読むを読むと、この句の背景などもよくわかる。    

     

赤い椿白い椿と落ちにけり 

       (河東碧梧桐

  

椿が好きだった虚子の命日は「椿寿忌」といわれるが、この句は「門人達が虚子から去っていくことを比喩的に詠んだものでないか?」と、ふと思ったが、それは穿ち過ぎで全く関係がない。

         

愕然として昼寝覚めたる一人かな 

      (碧梧桐)

    

昼寝する我と逆さに蝿叩 

         (虚子)

  

夜半亭のブログに面白い記事がある(抜粋)

      

「掲出の虚子の句、『昼寝する我と逆さに蝿叩』と何とも人を食ったような句であるが、この『蠅叩』を、碧梧桐に置き換えて見ると面白い。『昼寝をしようと決め込んだら、蠅叩きが逆さ向きで気にかかる。それは丁度反対の方に行こうとする碧梧桐のようで、昼寝どころでなくなった。俳句は少々休んで小説の方と思ったが、碧梧桐流の俳句のやり方には我慢できないので、その向きを変えようと、その蠅叩の向きを変えて、碧梧桐一派の蠅共も叩きつぶしてやる』というように詠めなくもない。

むろん、この句はそんなことは意図はしていないが、こと俳句に関しては、「新傾向俳句の革新派」碧梧桐に対して「伝統俳句守旧派」虚子という図式化にすると、何とも面白い詠みもあるのではないかということである。」

   

高浜虚子と河東碧梧桐との句風の違いが面白い。     

     

「虚子は自分が日本文学報国会俳句部会長として戦争を賛美することなく花鳥諷詠の文学を堅持し、時代の流れに掉さすことも流されることもなく、文芸家・俳人としての良心貫いたのだと思う。」と俳句談義(5)」に書いたが、虚子は俳句の片言性を認識していたからこそ戦争俳句を良しとしなかったに違いない。

俳句談義(4)で述べたように、俳句には滑稽句ともシリアスな句とも解釈できる二面性のあるものが多い。

俳句は句材について考えるきっかけを作ることは出来ても、何か思想的な内容を表現するには片言過ぎる。

イデオロギーや政治的な主張など内容の深いものは散文で明確に表現するのが望ましい。

       

次回は「昭和の日」(4月29日)に因んだ俳句談義を書きたい。  

          

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2015年5月の主な更新記事

           

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俳句談義17: 

高浜虚子の俳句「敵といふもの」の「敵」とは何か? <俳句談義と政治談議>

              

俳句談義16:

「こどもの日」・「母の日」に思うこと。

    

俳句談義(15):

 「昭和の日」・「憲法記念日」と俳句

                

第36回36会川柳句会(テーマ:「山」)の選句結果

       

< 写真はクリックすると拡大されます。>                

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(外部リンク)

花鳥」「伝統俳句協会」「国際俳句交流協会

現代俳句協会俳句界」「俳句

       

2015年6月 7日 (日)

チュヌの便り <更新情報> Message from Chunu <What's up?>

     

(2022.9.11)

秋暑し9.11のクリーンデー」や著名俳人の季重なり俳句集」をご覧下さい。

   

2015年4月の更新記事 

俳句談義(14): 

俳句の片言性と二面性(改訂版)

     

俳句談義(13):

<「花」と「鼻」> 高浜虚子と芥川龍之介

  

俳句談義(12):

「椿寿忌」の俳句と高浜虚子

   

2015年3月の更新記事

俳句談義(11):

「甘納豆」と「おでん」と「俳句」

この記事には高浜虚子の「俳句の作りよう」や「俳句への道」の全文が掲載されたサイトをリンクしています。

       

俳句談義(10):

高浜虚子の「雛」の句を鑑賞する

       

俳句談義(9): 

「雛祭り」の俳句を集めました

                    

2015年2月の更新記事

俳句談義(8):

高浜虚子の俳句「初蝶来何色と問ふ黄と答ふ」

<虚子の対話の相手は誰か?>

     

俳句談義(7):

高浜虚子の句「爛々と昼の星」の星とは何か?(続編)    

   

俳句談義(6):

高浜虚子の句「昼の星燦々と見え菌生え」の「星」や「菌」は何か?

      

先輩の川柳(続2)

「昭和や」の酔客のエッセイ:

素粒子論と般若心経と高浜虚子の俳句

     

俳句談義(5):

戦時中の高浜虚子・文芸家としての良心

    

俳句仲間のエッセイ: 「俳句と川柳」

        

後藤健二さんの死無にするな!

政治家やマスコミの言わないことを言う。

              

2015年1月の更新記事 

俳句談義(4)

高浜虚子の句「大寒の埃の如く人死ぬる」とは、平和を考える

         

本との出会い(7): 

「俳句の力学」と虚子の句「去年今年」

       

(三田深田公園にて)    

ホロンピア館は、昭和63年に開催された21世紀公園都市博覧会のシンボルとして建設。

建築家・丹下健三氏が設計した深田大橋をビルにしたもの。平成4年秋に「人と自然の博物館」となりました。

「三田八景」の解説より引用)

    

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(俳句)

稚児走る初凧這ひてくるくると

  

七転び八起き幼の上がる 

   

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淑気映ゆホロンピア館玻璃の壁

(「玻璃の壁」をクリックすると、「我が街『三田』」をご覧になれます。)

  

初空童の好きな丘の街

  

(川柳)

三田から地方創生子等元気

          

・初雪にサモエド勇み飛び出せり    

・初雪や己が天下とサモエド犬   

  

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(チュヌの写真)

    

      

   

俳句・フォトアルバム(トルコの旅)

Pictures & Haiku (Trip to Turkey)  (英訳追加版)

         

本との出会い(6):

「虚子俳句問答(下)」と「大悪人虚子」        

   

俳句談義(3): 

虚子の句「初空や」の新解釈:大悪人は誰か?     

         

2014年

2014.12.25 

虚子の俳句「去年今年貫く棒の如きもの」の棒とは何か?

 (この記事に夏目漱石の「草枕」がリンクされています。)

    

 14.12.20

 本との出会い(5):

「俳句の宇宙」と「大悪人虚子」

(「虚子俳話(序文)」や「俳談」がリンクされています。)

エッセー
 14.12.10  奈良吟行の俳句アルバム  俳句
 14.12.09

 本との出会い(4):

「悪党芭蕉」と「大悪人虚子」(その2)

 エッセー
 14.12.08

 本との出会い(3):

「悪党芭蕉」と「大悪人虚子」(その1)

 エッセー

    

      2014年11月の主要記事
 俳句談義(2) 虚子辞世句の新解釈について
 俳句談義(1) 虚子辞世句の解釈
「本との出会い」(2) 尾曲がり猫と擦り猫と」を読んで選挙を考える。
「本との出会い」(1) あの海にもう一度逢いたい
 お友達のエッセー 忘れ得ぬ最高の思い出
 吟行俳句 奈良公園・柳生の里(俳句と写真・俳句アルバム
        2014年10月の主要記事
 俳句仲間

アカネヤの酔客のエッセー(3)「絵を描く」

可愛い猫の画や写真が驚くほど沢山ご覧になれます。

 俳句仲間 アカネヤの酔客のエッセー(2)「近況報告VI」
 俳句仲間 アカネヤの酔客のエッセー(1)「ラジオを録音して聞く話」
                        2014年3月~9月の主要記事
 教育・エッセー

「LOVE」を実践しよう!

Let's practice "LOVE"!

 俳句

花鳥6百号記念全国俳句大会に参加 (俳句と写真)

 俳句の英訳と

 Haikuの和訳

芭蕉の句「古池や」の英訳を考える

言語の壁を破るチャレンジ(1)(14)

 投稿川柳の紹介 先輩の川柳・お友達の川柳

 俳句と川柳の英訳

(エッセー)

スウェーデン大使館開催の俳句・川柳コンペティション入選

 俳句・HAIKU

(エッセー)

国際俳句交流協会総会に参加~

「日本人らしさの発見」・・・

 吟行の俳句と写真 南禅寺 ・ 住吉大社 ・ 満願寺 ・ 平安神宮

俳句・フォトアルバム (HAIKU Photoalbum): 

  「イタリアの旅・Trip to Italy」

  「東欧の旅・Trip to E. Europe」

  「ロシアの旅・Trip to Russia」

   

チュヌの俳句:「四季・Four seasons

    

「平和」について考える宗教と科学の融合

     

2014.5.25 オープンーデン・ミニ・チャリティコンサート

               

       

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 インターネットは凄いね!

「ちゅぬ」の北海道時代のお友達のブログを主人が見つけてくれたよ。

北海道時代は若くて元気だったから楽しかったよ!

懐かしいね!

   

ややコロ日記

(ちゅぬ君とコロちゃん)

http://yayakoro.exblog.jp/m2008-06-01/

         

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