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2015年3月19日 (木)

俳句談義(10):高浜虚子の「雛」の句を鑑賞する。

    

俳句談義(9)で「雛祭り」の俳句を集めたが、その中の高浜虚子の俳句について考える。

   

もたれ合ひて倒れずにある雛かな

掲句について、稲畑汀子さんの「虚子百句」には次の記述がある。

明治30年、虚子24歳の作。・・・(省略)・・・虚子の気に入りの俳句であった。

子規の唱える絵画的写生の影響の見られる俳句であるが、『もたれあひて』という上五の字余りで何とも言えぬやわらかみと情緒を醸し出している。・・・(省略)・・・そこはかとない哀れの中に漂う雅に何とも言えぬ風情がある。

・・・(省略)・・・

同じ明治30年1月、碧梧桐は天然痘にかかり入院を余儀なくされる。幸い病状は軽く、一か月で退院するが、しかしその間に碧梧桐の婚約者であった下宿先高田屋の娘いとの心が虚子に傾いていたのである。

・・・(省略)・・・

虚子は6月にいとと結婚する。若い頃から能楽の素養を積んでいた虚子の心中は恐らく『恋の重荷』に押し潰されんばかりであったろう。いととの愛にかろうじて支えられていたのではなかろうか。」

   

雛よりも御仏よりも可愛らし

掲句について、坊城俊樹さんの「虚子の100句を読む」には次の記載がある(抜粋)。

「昭和四年三月五日。三女宵子の長女恭子生後八十日にして夭折。其初七日。

痛切な思いがにじみ出ている。ちょうど雛祭りのころであるから、その調度を前にしての哀しみは想像にあまりある。

・・・(省略)・・・

それはともかくとして、虚子のすごさは掲句のような哀憐の句の翌週には、このような客観写生の到達点たる句を作ること。その感情の量の変幻自在のすごさ。
 『ろく』の時の冷徹な虚子、掲句の情感あふれる虚子、この句の客観写生の虚子、はたして同一人物の感情なのか、まことに不可解なのである。」

     

            

残念ながら、虚子が「雛より小さき嫁を貰ひけり」を詠んだ背景はまだわからないままである。上記のように、虚子の俳句にかぎらず、深みがある俳句ほどその句が詠まれた「場」を知らなければ正しい解釈をすることができない。それが俳句の限界である。しかし、仮に誤解であるにしても、自分なりにあれこれ想像して解釈できるのも俳句の面白さである。

     

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俳句談義(10):高浜虚子の「雛」の句を鑑賞する。を参照しているブログ:

コメント

虚子の俳句を100句英訳して、
・「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」
・「Enjoy bilingual haiku of Kyoshi Takahama!」
というタイトルで国際俳句交流協会のホームページに掲載して頂いています。

http://www.haiku-hia.com/about_haiku/takahama_kyoshi/
をクリックしてご覧下さい。

虚子俳句の一端の面白さを知り、
英語学習のご参考になれば幸いです。

国際俳句交流協会俳句大会における
チュヌの主人の入選句(稲畑汀子選特選)
「亀鳴くや声なき声を聞けよとて」
に因んだエッセーをご一読下さい。
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2017/12/post-e4bd.html

高浜虚子の俳句の英訳を始めました。
「高浜虚子の100句(100 HAIKUs of TAKAHAMA Kyoshi)(1~5)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2017/09/100100-haikus-o-f1d3.html
をご覧下さい。

高浜虚子(高濱虚子)の俳句「花疲れ眠れる人に凭り眠る」を英訳しました。
この俳句は様々な解釈が可能です。
バイリンガル俳句鑑賞 <花疲れ眠れる人に凭り眠る(高浜虚子)>
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2017/04/post-3565.html
をご覧下さい。

坊城俊樹さんは上記の通り、
「『ろく』の時の冷徹な虚子、掲句の情感あふれる虚子、この句の客観写生の虚子、はたして同一人物の感情なのか、まことに不可解なのである。」
と述べているが、
俳句談議(1)で述べたように、高浜虚子は「色即是空」を潜在意識にして、「人間も自然界の一つの存在である」とし、人間や人事を「客観写生」し、「花鳥諷詠」の俳句を詠んだのだろう。

偶々見かけた<”のぶ”のフォト俳句>「雛祭」というサイト
http://nobu-haiku.cocolog-nifty.com/sinnpenn/cat6727884/index.html
に大きな雛の写真があった。
虚子はこのような雛を見て「雛より小さき嫁」の句を作ったのかも知れない。

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