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2014年7月26日 (土)

芭蕉の俳句「古池や」の英訳を考える

    

芭蕉の有名な俳句:

古池や蛙飛び込む水の音

の英訳をインターネット検索すると、

Frog Poem」というサイト(http://en.wikisource.org/wiki/Frog_Poem)に41の英訳例が掲載されていたが、どの英訳も通説に基づくものであり、長谷川櫂氏が「俳句的生活」(中公新書)で次のように述べている解釈を反映していない。

  

_091837

古池に蛙が飛び込む水の音が聞こえる」という一般的な解釈は切字「や」の働きを見落としている。この句は「どこからともなく聞こえて来る蛙が飛び込む水の音を聞いているうちに心の中に古池の面影が浮かび上がった」といっているのである。ここで切字の「や」は現実の世界で起きている「蛙飛び込む水の音」とは切り離された心の中に現実ならざる古池を浮かび上がらせる働きをしている。この心の中の古池こそが閑寂境にほかならない。(写真参照)

    

Frog Poem」の冒頭にある英訳は、

The old pond;

A frog jumps in —

The sound of the water.    

(Robert Aitken)

である。

この英訳では、1行目を「The old pond;」とし、2行目にA frog jumps in」と言って、3行目を「The sound of the water」としているから、古池を目の前にして蛙が飛び込むのを見て、その水音に感動していることになるのではないか?

 

語順などを変えて、

A sound of a frog

jumping into water -

the old pond

とすれば、A sound of a frog」を聞いて、「the old pond」を思い浮かべていることになり、櫂さんの解釈を反映する英訳になるではないか?

 

俳句を理解している外国人(native speaker)の意見を伺いたいものである。コメントが頂けると幸いです。

  

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コメント

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このブログを皆さんとシェアして頂けるとありがたいです。

4月8日は高浜虚子の忌日です。
虚子の俳句を100句英訳して、
・「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」
・「Enjoy bilingual haiku of Kyoshi Takahama!」
というタイトルで国際俳句交流協会のホームページに掲載して頂いています。

http://www.haiku-hia.com/about_haiku/takahama_kyoshi/
をクリックしてご覧下さい。

虚子俳句の一端の面白さを知り、
英語学習のご参考になれば幸いです。

The Art of Haiku by Stephen Addissには
芭蕉が「古池を眼前にして詠んだ俳句」ではなく、
「観念的に古池を思い浮かべて詠んだ俳句」である、
と解釈して翻訳したと思われる次の英訳があります。
old pond_
a frog jumps in
the sound of water

高浜虚子の俳句の英訳を始めました。
英語の俳句に興味があれば下記の記事をご覧下さい。
「HAIKU(バイリンガル英語俳句)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/haiku-in-english/
「政治家と俳句」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2015/06/18-2f5b.html

無料翻訳ソフトの開発が進んでいます。
一つ一つの単語の正しい発音をしてくれるのは素晴らしい。
だが、まだ英文として使える状態ではない。
Google検索で、
「古池や蛙飛び込む水の音 英訳」
と入力したところ、瞬時に次の英訳が表示された。
「The sound of the old pond and frog jump into water」
別のソフトでは次の英訳が表示された。
「The sound of the water pond frog jumps.」
まだ、チュヌの主人も翻訳家として活躍できる余地は十分ありますね。

長谷川櫂さんの解釈によると、芭蕉は「蛙が飛び込む水の音を聞いているうちに心の中に『古池の面影』が浮かび」句にしたとのことであるが、池や川に蛙や魚を見かけるのが少なくなった現代の感覚で解釈すると、芭蕉は「古池を見て、ふと、『蛙が飛び込む水の音』を思い浮かべ」句にしたと解釈できないこともない。
この解釈によると、たとえば、次のようなHAIKU(英語俳句)に翻訳できるだろう。
the old pond reminds me_
the sound of a frog
jumping into water

芭蕉の俳句「古池や」の英訳をインターネットで見ると、「蛙は1匹である」と一般に解釈されている。
だが、高浜虚子の解釈では「複数の蛙」である。
(Ted's Coffeehouse 2: 「芭蕉の『古池や』の蛙の数) 参照。
http://ideaisaac2.blogspot.jp/2012/10/number-of-frogs-in-bashos-haiku-poem.html


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