「菊」の俳句
「菊」は「桜」とともに日本人が格別の思いを寄せる花です。
「菊の御紋」は皇室の紋章ですが、日本の国章として表示され、靖国神社の門には「菊の紋章」があります。
高浜虚子は文化勲章を受けた際に次のとおり、喜びの俳句を詠んでいます。(「高浜虚子の100句を読む」坊城俊樹著参照。)
我のみの菊日和とはゆめ思はじ
この虚子の句は下五が字余り(5・7・6)です。
一般に、「下五の字余りはダメ」と言われますが、上五の字余りは認められます(下記「菊7」参照)。
虚子は俳句の定型を重視しましたが、この句のように格別の内容を表現する場合は許されるべきであると考えたのでしょう。
俳誌のサロンの歳時記から「菊」の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。
(青色文字をクリックすると、歳時記の詳細や解説記事をご覧になれます。)
今生は愉しかりしと菊に逝く
(山田弘子)
暮れて着く菊の香著きわが家かな
(稲畑汀子)
犬がゐて小菊よく咲く駐在所
(阿部ひろし)
野路菊や風が遊んでゐるばかり
(近藤公子)
(西野通代子)
新たなる母の一歩や菊日和
(与川やよい)
野路菊国体孫優勝を逸しけり
(河本利一)
犬嫌ひに犬も身構へ菊花展
(泉田秋硯)
残るてふこと美しき黄菊かな
(鷹羽狩行)
菊日和名馬の訃報一面に
(松井洋子)
手を繋ぐ卒寿の夫婦菊日和
(福島松子)
手話の子の手のひらひらと菊花展
(松本三千夫)
玉砂利に足音絶えぬ菊日和
(石川叔子)
余談ですが、「平成」は今年が最後です。
来年の年号は何になるのでしょうか?
永遠の平和を象徴する元号を決めてほしいものです。
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