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2018年10月 5日 (金)

先輩の川柳(改定通読版)

    

(2018.5.15掲載分)

(1)人はみな自分色したパンを焼く

(2)男から野心が消えて国痩せる

(3)夢中でたぐる青春のメモワール

(4)浮雲が乱調の美を見せている

(5)乾涸びた棚田に月は浮かばない

(6)消しゴムのカスはまことを知っている

(7)馬車馬のように走ってきたもんだ

  

(2017.3.1掲載分)  

① 雷鳴に呼び覚まされた能天気

② 鉄人の涙もろさを垣間見た

③ 世界地図どこを開けてもきな臭い

④ もう二度と降らせてならぬ黒い雨

⑤ 温もりを育み合った木の校舎

⑥ 国言葉一色になる同期会

⑦ 春めいて悲しい色が遠ざかる

  

(2016.9.20掲載分)

・野仏がひっそりと立つ炎天下

・ほどほどの暮らし平和な水の音

・自分史のところどころにシミがある

傷心のほころび縫ってくれた星

・公園にたむろするレイオフの群れ

・素知らぬ顔で光陰が滑り去る

・重箱の隅に潜んでいるヒント

   

(2016.5.15掲載分)

・都会の泥に泳ぎあぐねているどじょう

・背信の森で仏とすれ違う

・不即不離 黄金則で生きている

・どんぐりの列が突然乱れだす

・人間と共存したくない地球

・落日に向かって自問自答する

・縦横に伸びている母の配線

・究極の卒業式は葬だろう

  

(2015.9.1投句)

1)女性の惚れた靖国神社

2)貴殿の脚は百万ボルト

3)追想の衣に重ね着して生きる

4)横顔にわが背徳が透けて見え

5)落陽に祈るあしたの風のこと

6)サボってはいませんスローライフです

7)敗北の背中に過去が突き刺さる

8)遺言を書いておまけを生きている

9)鋭角に三日月懸かる冬の夜

10)はつらつと生きる人生二毛作

  

(2015.2.16投句)

色即是空 雑踏の真ん中で

・難敵だ弱火でそろり煮詰めよう

無位無冠 集まる群れの輪は丸い

・古傷が埋められている回り道

・まだ涸れぬ脳にせっせと種を蒔く

終章の淡い種火に点火する 

・踏まれると逞しくなる麦である

ストレスを食べる胃袋持っている

・氷原で聴く五線譜のラブレター

・流行のごとく繋がる事件事故

                

(2014.7.18投句)

・高尚な方と一緒の飯の味

・プロの打つ釘の頭は潰れない

・大法螺の口の綻び縫うている

・詩心湧く終着駅の町の色

・浮世離れの首が浮いてる露天風呂

・少しゆがんだぞモナリザ微笑

・無くせない戦を思う葉月来る

      

(2014.3.1投句)

・逞しい歩幅老け込む気配なし

・おばさんを舞姫にするコスチューム

・もう抜けぬ8020残さねば

リストラで辞めてゆくのは屋台骨

・力まずに勤め上げたと亀の自負

・風切った肩も次第に丸くなる

・虫眼鏡使って覗く利子の欄

        

コメント

新葉館出版から、川柳作家ベストコレクション「前川淳」が出版されました。
本の帯には、「光陰と歩む いつか輝く 陽を抱いて」、
「短詩文芸誌に燦然と輝く、
第一線川柳作家によるシリーズ全200巻。
前川淳の柳言と秀句集」 とあります。
この本には、「先輩の川柳」(改定通読版)に掲載の川柳も
幾つかあります。
前川淳氏(兵庫県川柳協会常任理事)の川柳への思いは、
高浜虚子の「去年今年貫く棒のごときもの」における俳句への思いや、
チュヌの主人の俳句への思いに通ずるものがあります。

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