芭蕉の俳句・Haiku of Bashō:「蛙」(15/300)
冒頭の写真はカラー図説日本大歳時記の「蛙」の解説ページです。写真はクリックすると拡大します。
・古池や蛙飛びこむ水の音
(furuike-ya kawazu-tobikomu mizuno-oto)
(A)
by an ancient pond
a frog leaping into it
the sound of water
(B)
The old pond;
A frog jumps in_
The sound of the water.
(C)
a sound of a frog
jumping into water_
the old pond
(A) は「575訳」ですが、5-7-5の音節に拘り、説明的な翻訳になって俳句の簡潔さが損なわれています。
(B)はRobert Aitken訳、(C)はL.P. Lovee訳です。
いずれも「芭蕉の俳句『古池や』の英訳を考える」で紹介したものですが、両者の翻訳の違いは、芭蕉がこの俳句を作った背景の解釈の違いによるものです。すなわち、(B)は一般的な解釈(古池の傍で蛙を見て詠んだもの)により妥当な翻訳ですが、(C)は「蛙の飛び込む水音を聞いて詠んだもの」と解釈した試訳です。いずれにせよ、この俳句は芭蕉が古池の心象を詠んだ創作俳句であり、実際の写生句ではないかもしれません。
なお、この俳句の英訳は無数にあり、複数の蛙が飛び込んだ音と解釈した英訳もありますが、静けさの中に一匹の蛙が「チャポン」と飛び込み、また静けさが戻った情景を想像して翻訳した方が良いと思っています。
あなたなら、どのように翻訳しますか?
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