« 「雪」の俳句(特集) | メイン | 丹波路の花片栗と雛祭り(俳句と写真) »

2022年1月27日 (木)

「夢は枯野を」《芭蕉辞世句》 ドナルド・キーン訳を考える

  

5561_2

(2022年12月に、「国際俳句交流協会」の名称は「国際俳句協会」に変更されました。)

  

芭蕉の辞世句「枯野」のドナルド・キーン訳が「芭蕉終焉の地 <御堂筋>」にありました。 

  

旅に病で夢は枯野をかけ廻る 

 

Stricken on a journey,
My dreams go wandering round
Withered fields.

  

キーンさんの英訳はさすが巧ですが、「旅に病んで」と「上五」を「字余り」で表現した芭蕉の思いを反映するには、「stricken」を「ill in bed」に修正し、次のように英訳すると良いと思います。

 

この推敲案についてキーンさんのご意見を伺いたいところですが、もはや叶いません。

  

ill in bed on a journey,

my dreams wander around

withered fields

  

HIA 国際俳句交流協会のHPに掲載中の「英語で分かる芭蕉の俳句」で紹介した John White 氏は、「5-7-5音」を踏まえて次のように英訳し、5・7・5 シラブルの英訳に成功しています。

  

ill on a journey,

my dreams are wandering round

on a withered moor

  

(青色文字をタップすると、リンクした参考記事をご覧になれます。)

  

芭蕉は「平生すなわち辞世なり」と言っています。

この俳句は、前詞に「病中吟」とあり、旅の途中で病気になり、偶々この俳句が文字通り最後の辞世句になったのではないでしょうか。「笈日記」参照

    

薫風士も及ばずながら、新型コロナ・オミクロン株感染急拡大の中、「芭蕉と同じ思い」で、俳句の国際化の草の根運動をライフワークとして、ささやかな俳句ブログ「俳句HAIKU」を書いているつもりです。

 

英語俳句はまだ確立した形式がなく、作者や翻訳者がそれぞれ自由に3行で表現していますが、俳句は散文ではないので、文頭や行頭を大文字にせず、固有名詞以外は小文字で表現するのが分かりやすくて良いと思っています。

   

歳時記「枯野」の例句はここをクリック(タップ)して、ご覧になれますが、

芭蕉の俳句など、俳句の英訳に興味のある方は、ここをクリック(タップ)して、「俳句・文芸翻訳」をご覧下さい

    

20210309


写真はタップ・拡大してご覧になれます。

 

蝸牛角振り分けよ須磨明石 

  (須磨浦公園の芭蕉句碑)

  

5095

(写真)

ポーランドに於ける薫風士の俳句講演風景

   

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

    

コメント

2024.11.26 更新

「梅東風や届け世界にこの思ひ」をご覧下さい。
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/03/post-4fd0.html

・冬帝やアナクロ専制如何にせむ
      (薫風士)

《芭蕉記念館・俳句の散歩道》真夏の吟行俳句と写真
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/08/post-46a7.html

をご覧下さい。 (薫風士)

「春一番この発言はおぞましき」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/03/post-1a05.html
をご覧下さい。 (薫風士)

既成の医療体制の見直しや「デジタル田園都市国家構想」の実現を期待しています。

「年越やオミクロン株蔓延りて(医療の在り方)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/01/post-ed54.html

「大晦日」「大年」の俳句(岸田内閣に望むこと)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/12/post-1143.html

「(冬の俳句特集)不意打ちのオミクロン株冬の雷」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/12/post-89b4.html

などをご一読下さい。 

(薫風士)

「四季の雲 (折々の写真俳句)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/02/post-06b7.html
をご覧下さい。

(薫風士)

コメントを投稿