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2018年12月

2018年12月29日 (土)

俳句鑑賞《年の瀬・年の暮》

      

年の瀬や玻璃戸拭きつつ偲ぶ貌

       (薫風士)

   

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チュヌが庭とリビングを行き来できるようにしていたので、外から窓を覗いていた可愛いチュヌの顔を思い出しながら大掃除の窓拭きをしました。   

愛犬チュヌは 2018.10.16 に永眠しました。

青色文字をクリックして、「愛犬『チュヌ』の追悼句と鉦叩」や「チュヌの追悼 by L.P. Lovee」をご覧下さい。

     

年の瀬や胸に秘めたる我が思ひ 

         (薫風士

  

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(新年度には俳句HAIKUのアクセス累計が100万を超える見込みです。)

  

歳時記(俳誌のサロン)の季語「年の瀬」や「年の暮」の俳句を見ると、人それぞれの過ごし方や思いがありますが、気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

(例句の詳細は青色文字の季語「年の瀬」や「年の暮」をクリックしてご覧下さい)

  

年の瀬と思ふことより励みけり 

人生を語るも年の暮らしく

        (稲畑汀子

   

年の瀬の声騒がしき灯油売り 

        (志方桜子)

  

年の瀬や教師の仕事また増えて 

       (保坂加津夫)

  

年の瀬や十大ニュース数へ立て 

        (庄中健吉)

  

年の瀬や買はず終ひの宝籤

       (森山のりこ)

    

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧になれます。

       

2018年12月24日 (月)

天皇誕生日の俳句

     

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・同じ日に生まれ天皇誕生日 (伊藤ふみ)

   

柚子一つ浮かべ長湯や誕生日 (薫風士)

   

今日は平成最後の天皇誕生日でした。一般参賀には8万2800人余りが訪れたとのことです。

陛下の記者会見のテレビニュースやWEBニュース「平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵(あんど)」とのご発言に陛下の思いと平和のありがたさに思いをはせて、つい感慨にふけって長湯をしてしまい、駄句を口ずさみました。

今日の記者会見からも陛下が「象徴天皇」に重きを置かれていることがうかがわれ、八月の俳句に思うこと」に述べた思いを新たにしました

(青色文字をクリックすると関連の記事がご覧になれます)

 

2018年12月21日 (金)

俳句雑感(2)俳句と川柳: 根本的な違いは何か?

      

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俳句と川柳はどちらも諧謔・滑稽味のある俳諧連歌から発展した文芸であり、俳句は「発句」から発展し、川柳は「付句」から発展しました。

  

「にもかかわらず、ユネスコ無形文化世界遺産登録への運動が俳句界のみなのは何故か?」

  

その理由について最近ふと思い当たりました。

  

(青色文字をクリックするとリンクされた関連の記事がご覧になれます)

   

俳句の面白さは人事を含む花鳥諷詠にあり、

諧謔・滑稽は川柳における風刺ほど強いものではありません。

 

川柳では人間の様々なありようを風刺して、

その面白さを強く表現します。

  

弱い立場のものが強い立場のものを風刺しすれば、

「憂さ晴らし」になります。

  

その逆をすると、

「風刺」は「いじめ」になります。

 

度の過ぎた風刺は風刺された者の不興を買い、

予期せぬ争いの原因にもなるでしょう。

  

しかし、「」と「節度」を尊重する日本の川柳は、

テロ事件の要因になった風刺漫画の轍は踏まないでしょう

  

最近は「詩性川柳」という呼称の川柳もあるようですが、  

「川柳」という呼称に何故固執するのでしょうか?

伝統俳句」が「季語」を重要な要素としているからでしょうか?

現代俳句には無季の句もあります。

「季語」にあまり拘る必要は無いでしょう。

  

日本は幸い四季のある自然と平和に恵まれていますが、

地域によって季節の変動の仕方が異なり、災害もあります。  

世界には、四季が無く過酷な自然と戦争に苦しんでいる国もあります。

    

俳句界のみが世界遺産登録の運動を推進するのは片手落ちだと思いますが、川柳界には川柳を俳句と共に世界遺産に登録しようという考えはないのでしょうか?

 

俳句界と川柳界が協調して、「俳諧世界遺産運動」とか「俳川世界遺産運動」とか、何か適切な呼称で登録運動を推進すれば、もっと運動が盛り上がるのではないでしょうか?

そうは言っても、世界的には俳諧の発句のような無季俳句もHAIKUで通用しています。

 

「季語」は日本語としてこそ意味がありますが、外国語に当て嵌めることは出来ませんので、国際的に認知された世界最短詩HAIKUを俳句として受け入れざるをえないでしょう。

  

「俳句と川柳は室町時代の俳諧から発展して世界の人々に現在も愛されている世界一短い短詩HAIKUである」と主張して運動を推進する方が、世界無形文化遺産としてユネスコの認定を得やすいのではないでしょうか?

  

この考えに俳句愛好者と川柳愛好者が共に賛同してくれると、

世界平和と世界遺産登録の「草の根運動の一助」になればとの思いでブログを書いている筆者として望外の喜びです。

  

高浜虚子は「俳諧に老いて好もし蕪汁」という俳句を詠んでいます。

  

拙句を最後に掲載させて頂きます。

  

去年今年世界遺産の夢を句に

初夢や世界遺産の句に興じ

川柳も俳句も同じ俳諧よ

果てしなき夢を追いつつ去年今年

去年今年八十路の夢を茶寿までも

     

皆さんは、上記の句を「俳句」と「川柳」のどちらに捉えますか?   

  

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2018年12月15日 (土)

季語「東北忌」・「3.11」に思うこと

 

血に染むなドニエプルてふ春の川

 

唐突ですが、掲句はウクライナ紛争についてプーチン大統領や世界の指導者が賢明な決断をしてくれることを切望して、「やむにやまれぬ思い」を俳句に詠み、紛争解決案を提言した記事のタイトルです。

青色文字(血に染むなドニエプルてふ春の川)をクリックして、ご一読下さい。

   

風船は命の数よ東北忌 

       (草加市 江口靖子)

    

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掲句は20HIA俳句大会現代俳句協会賞受賞句です。

 

東日本大震災死者・行方不明者は1万8千人以上です。

  

1923年9月1日に起こった関東大震災では死者・行方不明者は10万人以上に及び、9月1日は「防災の日」と定められていますが、俳句の季語として「震災忌」と呼称されることがあります。

「東北忌」は「3.11」として悼み継がれ、歴史に残るでしょう。

  

(青色文字をクリックするとリンクされた関連記事をご覧になれます)

  

震災遺構として残されている仙台市立荒浜小学校で、花の種を入れた色とりどりの風船(エコバルーン)が1000個がとばされ、名前を叫んだり、時折涙して空を見つめる人々も見受けられたが、一番目立ったのは、「笑顔」だった。HUFFPOST 2018.3.11

   

大地震や津波などの犠牲になられた方々のことを思うと胸が痛みます。

遺族の方々に謹んでお悔み申し上げます。

     

安斎さんは、関係郷土史と米国側の資料などを研究。それらを総合すると「和紙は風船爆弾の第一番の材料。その生産地となった和紙の里をねらってアメリカが報復爆撃した」のが真相ではないか?と推論しました。

 風船爆弾は44年11月から福島県勿来、茨城県大津、千葉県一宮から飛ばされました。計9300個飛ばされて偏西風にのってアメリカ大陸に到達した数は推定1000個とみられています。

 45年5月5日、オレゴン州の村で5人の子どもと、牧師の妻が風船爆弾で死亡しています。

 「オレゴンの悲劇」と言われ、上川崎村への爆撃はそれから2カ月後のことでした。

 「戦争の被害者とばかり思っていたのが知らぬ間に加害者の立場になっていたのかもしれません。戦争は二度と繰り返してはなりません」  (菅野尚夫)

   

上記は、高村光太郎忌日・連翹忌(れんぎょうき)運営委員会のブログ平和な故郷願って 福島に生きる 『風船爆弾になった和紙』冊子にまとめた 安斎克仁さん(79)からの抜粋です。

     

日本漢字能力検定協会が発表した「今年の漢字」は「」です。

   

阪神・淡路大震災の犠牲者は6,434人でしたが、南海トラフ巨大地震・津波が発生すれば死傷者の数や復興費用は東日本大震災の数倍~数十倍になることが懸念されています。

   

大地震や大津波などの自然現象は抑えることはできませんが、

戦争の発生は人為的に抑えることができるでしょう。

   

天災が人災になることは防がなければなりません。

      

世界の民衆は平和を願っているのに、

我欲・権力欲の塊のような為政者やその支持者が戦争の原因となる人種的対立や宗教的対立を煽り、膨大な軍事費による浪費を正当化していることは悲しいことです。

世界の膨大な軍事費が地球上の防災やインフラ整備・福祉のために使えるように、世界の為政者や有識者が良識を発揮率先行動してほしいものです。

  

戦争防止のために、皆さんと共に地道な活動を続けたいとの思いから、

俳句を通じて世界平和を!World peace through haiku!」をキャッチフレーズにしてささやかなブログを書いています。

  

・去年今年八十路の夢白寿まで (薫風士)

   

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今日は京都や福井にも初雪が降りました。 

初雪の俳句」をご覧下さい。

   

  

皆さんがこの思いをシェアして世界に発信してくれることを祈っています

   

  

・笑みを生む木喰仏虫集く (木下さとし)

     

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2018年12月 8日 (土)

愛犬「チュヌ」の追悼句

   

Click here to enjoy Chunu’s haiku in English.

  

 ・秋の夜の抱く愛犬目に泪

   

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愛犬「チュヌ」は天寿を全うして、動物霊園で合同葬にして頂きました。

天国から皆様のお幸せを見守っています。

  

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愛犬の弔ひに鳴く鉦叩き

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・愛犬の永遠の眠りやちちろ鳴く

 

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愛犬の七七日紅葉

綿虫や愛犬のゐし庭の隅

・吾もまた犬馬鹿となり師走かな

・哀悼の便り届くや時雨晴れ

・愛犬の伏しゐし庭や冬木の芽

     

    

チュヌは心臓発作・てんかん発作・膵炎などの持病を患っていましたが、医療の進歩のお陰で12歳8ヶ月(人間の寿命なら90歳前後?)の天寿を全うすることができました。

お世話になった動物病院のスタッフの方から「チュヌの最後の頑張りに感動した」とのお悔み状を頂きました。チュヌの主人は、サモエド・スマイルの安らかな最期を看取ることができて慰められました。チュヌの思い出を糧に俳句を慰み・癒しにして、健康長寿を実現したいと思っています。

 

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2018年12月 3日 (月)

俳句の鑑賞 《小春・小春日》

 

Click here to enjoy bilingual haiku in English.

  

バスの窓小春日和の姫路城

  

書写山の小春日和や円教寺

  

小春日や幼相手の碁に興ず

  

縁小春手ほどきの碁を幼子と

  

汁蕎麦を食みつ居眠り縁小春

  

縁先の日本列島小春

  

煌めくや小春日和の散歩道

 

そろり行く老ひの小春の杖の音

 

小春日や道乳母車には買物も

  

街小春引越し近き花時計 

        薫風士  

  

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合本現代俳句歳時記(角川春樹編)「小春」の解説(抜粋) 

  

小春は「小六月」ともいい、陰暦十月の異称ともなっている。立冬を過ぎて …中略… 「小春日」というとその中の一日のことをいい、またその日ざしの意ともなる。小春風・小春空・小春凪などと使う。寒さに向かう中でほんのひととき迎える暖かい日々を、春のようだというので小春と可憐に呼んだものと思われる。

  

青色文字をタップしてリンク記事をご覧下さい。     

歳時記(俳誌のサロン)から「小春」の俳句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。詳細は青色文字の季語「小春」をクリックしてご覧下さい。

  

小春1

小春日や日曜画家も景のうち 

        (鷹羽狩行)

  

小春日や遊び心の雲浮ぶ   

        (斎藤道子)

  

小春2

野良猫の好みの場所の小春かな 

       (竹川美佐子)

 

小春日の水切り五つ跳ねにけり

        (北吉裕子)

    

小春3

小春日の庫裡に笛吹きケトル鳴る

        (渡辺周子)

  

小春日やピサの蒼天比類なき

        (久保晴子)

   

小春4

肩書がとれて身軽の小春かな  

        (君塚敦二)

  

物干しに男一人の小春かな   

        (廣瀬義一)

    

小春5

小児科医院でれば漂ふ小春の陽 

         (鴨下昭)

  

小春日や医師も機嫌の良き術後 

       (木村茂登子)

   

小春6

小春日や淺間のゆれ上る   

        (正岡子規)

  

浜に出て小春の砂の踏みごこち 

        (清海信子)

   

小春7

縁側の父と母との小春かな   

       (德田千鶴子)

  

島の猫人なつこくて小春かな  

       (あさなが捷)

  

小春8

小春日や老人ホーム見学会   

        (安居正浩)

   

牛窓のエーゲ海めき瀬戸小春

         (和田一)

  

小春9

小春日の猫にもの言ふひとりもの

       (竹貫示虹)

   

小春日の山河哀しや汚染の地

      (大島みよし)

  

小春10

糸垂れて暮るる小春の小川かな

       (宮崎靖夫)

   

晴れをとこは俺だ己よと小春かな

       (石田きよし) 

   

小春11

小春日や亀の甲羅の数珠繋ぎ

       (松橋輝子)

 

小春日の窓際猫の定位置に

       (柳田美代子)

  

この俳句は、「猫の定位置に」を「猫も定位置に」と「助詞」を変えると、実態はともかくとして、「作者も猫も」小春を楽しんでいることになり面白さが出ると思います。

  

小春12

小春日やたまごサンドのあふれやう

        (稗田寿明)

 

服を着る犬を見てゐる小春

        (千原叡子)

  

小春13

小春日や名のみ残りし富士見坂

       (德田千鶴子)

 

北国を忘れさせたる小春かな

        (坂下成紘)

  

小春14

小春日や小枝の箸のおままごと

       (斉藤マキ子)

 

一茶忌の小春に遊ぶ雀かな

       (池乗恵美子)

  

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2018年12月 2日 (日)

俳句の鑑賞 <12月>

    

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早くも平成最後の12月を迎えました。

伝統俳句協会の俳句カレンダー12月に、高浜虚子俳句「俳諧に老いて好もし蕪汁」の短冊が掲載されていますが、「年を以て巨人としたり歩み去る」という虚子の俳句のように、今年も様々な出来事がありました。

 

  

   

    

  

極月や翻訳したる虚子百句 

       (薫風士)

  

今年は高浜虚子の100句を英訳して国際俳句交流協会のホームページに掲載して頂き、念願を果たすことが出来ました。  

このブログ「俳句 HAIKU」に「歳時記」などの「師走」の俳句を集めています。ここをクリックしてご鑑賞下さい

  

愛犬チュヌは10月16日に天寿を全うして永遠の眠りにつきました。「チュヌの便り」の総集編ご高覧頂けると幸甚です。 

  

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