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2019年1月

2019年1月28日 (月)

大相撲「初場所」の俳句

 

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・大寒や天覧相撲熱気満つ

初場所に柔和な笑顔ご天覧

・初場所や一人横綱仁王立ち

  

  

1月20日は大寒平成最後の初場所も中日となり、天覧試合をテレビで見ながら掲句を口ずさみました。

 

歳時記(俳誌のサロン)から「初場所」の俳句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

    

初場所や赤子のごとく投げられし (今瀬剛一

初場所の蒙古襲来治まらず (大橋晄

初場所や巨漢ころりと土俵下 (新実貞子 

   

 歳時記の詳細はここをクリックしてご覧下さい。)

     

怪我で休場が多く異例の「激励」をされていた横綱稀勢の里は3連敗して引退に追い込まれ、天覧相撲に出場できずさぞ無念だったでしょう。鶴龍も怪我で欠場、白鵬圧倒的な強さで10連勝していましたが怪我の再発で3連敗し休場、横綱全員休場する異例の千秋楽になりました。

関脇の玉鷲貴景勝の優勝争いが注目されましたが、貴景勝が大関豪栄道に敗れ、玉鷲が念願の初優勝を達成しました。

  

2年前の秋場所では日馬富士が一人横綱で頑張りましたが、同年11月に暴力問題不祥事で引退に追い込まれました。

関取の怪我が多いのは関取自身の稽古不足や技の未熟さもあるでしょうが、そればかりではないと思います。

相撲界の事情は知りませんが、伝統を重んじつつ組織の在り方や会場設備(土俵の高さ)などの近代化を図る必要があるのではないでしょうか?

社会全般に「働き方改革」が検討されていますが、相撲界も若者がもっと相撲に魅力を感じるように改善をしなければ相撲の将来が懸念されます。関係者が改善・改革を前向きに検討することを相撲ファンとして期待しています。

元横綱「稀勢の里」には新親方「荒磯」として、このようなファンの期待に是非応えてほしいと思っています。

       

(青色文字をクリックするとリンクされた関連の記事をご覧になれます。)

  

2019年1月27日 (日)

俳句の鑑賞 <冬の日・冬日・冬日向>

  

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掲載の写真はカラー図解日本大歳時記(講談社)の季語「冬の日」の解説です。

  

気象庁のHPによると、「冬日」は「最低気温が0℃未満の日」のことです。

  

俳誌のサロンの歳時記「冬日1」の冒頭には高浜虚子の下記の俳句が掲載されています。

    

・旗のごとなびく冬日をふと見たり

    

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この俳句を詠んだ時、高浜虚子万葉集の和歌

わだつみの豊旗雲に入り日さし今宵の月夜さやけかりこそ」

を意識していたかもしれませんが、その思いは何だったでしょうか?

虚子の「旗のごと」の句について、「六四三の俳諧覚書」には次の記載があります。

  
多くの鑑賞者が弱々しい純色の冬日を連想します。ところが虚子は、大きな旗、大きな光の豊旗雲、光の溶鉱炉、と自解で述べています。冬の嵐の向こうに、赤く力強い太陽を見い出したのでしょう。昭和十三年、六十四歳。」

     

高浜虚子は、上記の自解によると下記「冬日9」の「雲突と」の句のように、夕日ではなく真昼の空の雲が切れて見えた太陽か朝日を見て日章旗を連想し句にしたのかもしれません。 

  

昭和12年には日中戦争が始まり、昭和13年には国家総動員法が施行されています。

  

平成最後の冬の夕日を眺めていると、平和を祈らずにはおれません

日章旗が新元号の下に平和国家のシンボルとして人々に愛でられる日が来ることを祈っています

          

(WEB検索をすると次々と興味の湧く記事があります。興味のある方は青色文字をクリックして、リンクされた記事をご覧下さい。) 

   

歳時記から「冬日」の俳句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

   

(詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。)

   

冬日2

・やはらかき餅の如くに冬日かな 

           (高浜虚子)

  

冬日3

・高層の冬日をはじくの皿  

           (狩野朝子)

  

冬日4

・冬日射す母病床の誕生日  

           (徳田正樹)

 

冬日5

・句碑の文字冬日なぞつてゆきにけり 

          (稲畑廣太郎)

  

冬日6

・山門を染め上げてゆく冬日かな  

          (稲畑廣太郎)

 

冬日7

・交番の一輪挿や冬日さす

           (山荘慶子)

 

冬日8

・愛犬の癒しのポーズ冬日向 

           (森下康子)

  

冬日9

・雲突と切れて射しくる冬日かな 

           (服部珠子)

  

冬日10

花時計冬日を廻しゐたりけり

          (箕輪カオル)

  

  

2019年1月20日 (日)

俳句を楽しもう! 「寒」「冬晴れ」の俳句

   

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鴉鳴く庭に出ればヒヨ飛びぬ 

     

寒の鳥青に煌めく機影かな 

   

寒の青機影煌めき行き交ひぬ

  

掲句はふと口ずさんだ即興句をこのブログ用に推敲したものです。朝食後「寒」の俳句のブログを書こうとしていたところ、鴉が鳴くので「寒烏」の句材になるかと思って庭に出ました。鴉は声のみで姿は無く、ヒヨが黐の木から飛び立ちました。冬晴の空を見上げていると微かな音の飛行機が2機小さく煌めき行き交いました。

  

今日は平成最後の「成人の日」です。

若者には「初心を忘れずそれぞれが自分を活かすべく頑張ってほしい」と期待していますが、為政者には与野党対立一点張りでなく足らざるを補完し合い「未来を背負う若者が希望を持って飛び立てる政治」を推進してほしものです。

 

働き方改革」が検討されています。現役の人々が俳句を作ってみる気になれるような労働環境・働き方改革にしてほしいものです。

老いの身は俳句を楽しみながら健康維持に努め、四月に発表される新元号も平和国家を象徴する年号となり世界平和が維持されることを祈るばかりです。

      

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに「寒」の俳句を抜粋・掲載させて頂きます。

(詳細は青色文字をクリックしてご覧下さい。)

   

(1)

さはぐ鳥羽の田面や寒の雨

         (松尾芭蕉 

 

(寒2)

寒晴や転居先にも富士見坂 

         (高木嘉久)

    

(寒3)

寒日和見上ぐる程の子と歩く 

      (小野田敏子)

  

(寒4)

寒の夜の風呂が沸いたと電子音 

         (北島上巳) 

 

(寒5)

浅草に老いて芸なす寒の猿 

          (有働亨

  

(寒6)

寒三日生きる証の雨戸繰る 

        (森山のりこ) 

  

(寒7)

鎮魂の竹灯籠や寒の朝 

         (西垣順子) 

  

(寒8)

スカイツリーその寒影の長きかな 

        (小林美登里) 

    

(寒9)

入るにも出るにも気合寒の風呂

         (府川昭子)

   

(10)

寒晴れや木の香の満つる木工所  

           (城戸緑) 

  

(11)

点滴を引きずつて行く寒厠 

         (吉田耕人)

    

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俳句《待春》


   

2024.2.19 更新

勇み足仕切り直して春を待つ

誠があれば春近し

「志誠」は、「こころざし まこと」と読んで、5-7-5のリズムにして下さい。

           

春一番おぞましきとはこの言葉

待春や命の限り夢追ひて

      (薫風士)

   

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この写真のとおり、2024年2月19日午前0時現在の「俳句HAIKU」へのアクセス累計は1,078,898件と、縁起の良い数字が面白い並び方をしています。

(写真をタップ拡大してご覧下さい。)

      

少年を枝にとまらせ春待つ木 

       (西東三鬼

 

掲句は合本歳時記の例句です。 

   

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カラー図解日本大歳時記(写真参照)によると、

「待春」は「春近し」よりも主観的で、待ちわびる気持ちが強い(冬の季語)、「目を開いて眺めた風景というよりも、瞼のうらに思い描くとき。ことに雪深い地では、待春の情はひとしお切実なものがあろう。(飯田龍太)」

とあります。

      

筆まか勢」から「春待つ」の例句を抜粋掲載させて頂きます。

  

我が杖も春待つものゝ一つかな

  (盲目の俳人・緒方句狂

  

時ものを解決するや春を待つ

  高浜虚子1914年、40歳)

大正3年には第一次世界大戦など大事件が次々と起こっています。  

(例句やリンク記事は、青色文字をクリックしてご覧下さい。)

  

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに「待春」の俳句を抜粋・掲載させて頂きます。

 

待春や氷にまじるちりあくた 

      (河合智月

  

待春の心が先に歩きをり 

       (稲畑汀子

  

待春や出窓に並ぶ植木鉢 

      (木村てる代

   

待春の伊豆の波音聞く宿り 

         (安原葉)

   

待春や日差し明るくなればなほ 

         (大橋晄

      

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2019年1月13日 (日)

俳句の国際化 《嵐雪の辞世句について》

   

(P.S. 2022.12.2)

HIA 「国際俳句交流協会」の名称が「国際俳句協会」に変更されました。

   

   

(2019.1.13の記事)

   

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芭蕉の高弟である服部嵐雪の辞世句とされる下記俳句のドイツ語訳について不審に思ったドイツの「俳句メル友」から、新年早々に、この俳句の解釈について問い合わせのメールを受信しました。

      

  

・一葉散る咄ひとはちる風の上

    

この俳句のドイツ語訳は次のとおり英訳してありました。

  

A single leaf falling
sheer lunacy!

A single leaf drifting away with the wind

  

 

そして、句友の英訳は次のとおりドイツ人らしい合理的な翻訳です。

     

Loosen from the tree
the helpless leaf
is drifting away on snowflakes

   

 

sheer lunacy」は「愚行」とか「まったく馬鹿げたこと」と言うような意味です。研究社大英和辞典

 

「咄」は「叱る声」や「事の意外さに驚き怪しむ声」です。(広辞苑参照)

  

そこで、「」は座禅に使われる「」と同じような一種の擬音であること、この俳句の「葉」は「人間」の比喩と捉えるのが良いと思う旨説明し、次のとおり筆者独自の大胆な意訳を連絡したところ、「amazing!」と感嘆した旨の返信が来ました。

   

 

man dies as a leaf falls_

Basho has passed away,

now, me too.

   

  

因みに、R. H. Blyth 氏は A History of Haiku (Volume One) において、「この辞世句は美しいが、何か nerveless である」と付記して、次のように文字どおり英訳しています。

  

A leaf falls,

Totsu! Another leaf falls,

Carried by the wind.

  

nerveless」は研究社大英和辞典によると「弱弱しい」とか「冷静な」という意味ですが、Blyth はどちらの意味を指しているのでしょうか?

   

  

Stephen Addiss 氏は The Art of Haiku において、「『咄』は禅の叫び声である」と付記して、次のとおり英訳しています。

  

a leaf falls

Totsu! a leaf falls_

riding the wind

  

上記2氏の英訳は「風に運ばれる」とか「風に乗る」と英訳していますが、嵐雪は「風の上」と表現して「昇天」を暗示したのではないでしょうか?

さらに、「咄」と擬音で注意を喚起して、「ひとはちる」と「ひらがな」を用いて「人は散る」と読ませることを意図していたのではないでしょうか?

  

穿ちすぎでしょうが、高浜虚子は嵐雪の辞世句が潜在意識にあって「春の山屍を埋めて空しかり」に同じように「ひらがな」を用いる手法を使ったのかもしれません。

  

英語は論理的な言葉ですから日本語ほど連想を伴いません。比喩的な俳句は文字通りの英訳と意図された比喩の意訳を併用すると日本語の原句にある暗喩のニュアンスが理解されやすいと思っています。

   

国際俳句交流協会HP掲載の「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」をご覧下さい。

  

俳句の翻訳に興味があれば、「俳聖の偉蹟を尋ね秋の伊賀(俳句と写真)」や俳句の国際化 <言葉の壁を破るチャレンジ>」をご覧下さい。

  

   

(青色の文字をタップするとリンクされた記事をご覧になれます。)

  

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2019年1月 7日 (月)

《七草・七種・七種粥・七日粥》

 

 (2024.1.7 更新) 

「七日粥」(なぬかがゆ)は「なのかがゆ」とも読みますが、旧暦の正月7日「辰の刻」(午前8時頃)に食べる風習があったようです。

ここをクリック(タップ)して、ウイキペディアの面白い「七草がゆ」の解説をご覧下さい

  

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(写真)
「俳句HAIKU」のアクセス
累計  

 2023年1月8日13時30分現在 872,439件 

   

(2019.1.7の記事)

七草粥食み負けるまじオミクロン

年越やオミクロン株蔓延りて(医療の在り方)」をご一読下さい。

   

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歳時記(俳誌のサロン) から気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

青色文字をタップすると例句やリンク記事をご覧になれます。

      

七草やまこと飢ゑたる日の記憶 

        (諏訪悠生子

  

七種を祝ふ一人の膳につく 

         (稲畑汀子

  

七種粥一日遅らせ子等を待つ 

         (清水かつ)

  

七草やあまれどたらぬものも有り 

         (千代女

  

七種の総ての揃ふ村に住む 

       (水谷文謝子)

   

チュヌの主人(L.P. Lovee)の七日粥の俳句を最後に掲載します。

家族とて犬も一椀七日粥

       (薫風士)

   

チュヌは平成最後(2018年)の1016日に天寿を全うしました。

ここをタップして「チュヌの追悼句」をご覧下さい

   

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2019年1月 5日 (土)

俳句の鑑賞「初笑い」・「笑初」

    

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(写真)

日本伝統俳句協会俳句カレンダー1月・51句掲載)です。

「初笑」の俳句はありませんが、写真をタップ(クリック)拡大してご覧下さい。

 

  

「歳時記」(俳誌のサロン)や「筆まか勢」より「初笑い」の俳句を気の向くままに抜粋させて頂きます。

(詳細は青色文字をクリックしてご覧下さい。)

 

歳時記

・初笑され初泣となりしこと  

         (稲畑汀子

  

・句の主が判りてどつと初笑ひ 

         (山田六甲)

  

・毒舌に返す毒舌初笑   

          (湯川雅)

  

・歯の生えぬ口開け無垢の初笑ひ 

         (三浦澄江)

   

575筆まか勢

・みどり児の声とはならず笑初

         (稲畑汀子)

   

・ちちははの顔を覚えて初笑ひ 

        (松永西瓜)

   

・笑初わけもわからず皆笑ふ  

        (井上兎径子)

   

・百日の孫が主役の初笑ひ   

         (竹吉章太)

  

最後に拙句を掲載させて頂きます。  

平成の最後を惜しみ初笑ひ

本音をも冗談にして初笑ひ

帰れぬとメールの絵文字初笑ひ

・トランプに勝たされ幼初笑ひ

ババ抜きに笑ひこけたる初笑

・笑ひ初め幼べろ出し七並べえ

俳人もシルバー川柳初笑い

・初笑い笑う門には福来る

  

上記の「平成」の俳句は言わば「記録俳句」です。

本音をも」の俳句は、「冗談にして」を「冗談として」と助詞を変えると、句意(主・客)が異なります。俳句の良し悪しはともかく、俳句における助詞の重要性の一例になります。

「笑ひ初め」の句は幼孫がトランプの七並べをしたいと言って気を引くためか、「あかんべー」のように舌を出して言ったのが可笑しくて詠んだものです。

歌留多」や「初かるた」は「新年の季語」ですが、「トランプ」や「初遊び」は季語になっていません。「初遊び幼べろ出し七並べえ」とすると、「初遊び」は季語として認知されていないので、川柳とみなされるでしょう。

川柳擬きの俳句にしても、笑いを呼ぶには俳句は川柳に敵いません

  

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2019年1月 3日 (木)

初日・初日の出

 

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いつものように朝起きて2階のシャッターを上げると、ちょうど初日の出が輝いており、平成の最後の年が平穏無事であることを祈りました

  

ここをクリックして、「俳句・HAIKU by L. P. Lovee (3)<正月・New year>」をご覧下さい

    

晴れ男雨戸を繰れば初日の出

平成の最後の初日祈りけり

   

上記の2句は前座の拙句です。「初日」の俳句は「575筆まか勢」に無数にあります。ここもクリックしてご覧下さい

  

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