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2018年5月

2018年5月20日 (日)

俳句:「卯の花腐し」

    

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「卯の花腐し」(うのはなくだし)とは梅雨に先立って降る長雨のことで、夏の季語です。今朝(2018.5.8)のNHKニュースによると、沖縄は梅雨入りしました。

 

    

庭手入れ卯の花腐し来る前に 

 

疲れ目を卯の花腐し癒しけり

  

草を抜く卯の花腐し止みし芝

  

 

掲句はチュヌの主人(薫風士)の前座俳句です。

  

歳時記(俳誌のSalon)から親しみやすい俳句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

  

犬倦みて今日も卯の花腐しかな 

           (稲畑汀子

 

休養をとれと卯の花腐しかな  

            (安原葉)

 

電話よく鳴る日卯の花腐しかな 

          (七田文子)

  

青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。

トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事が掲示されます。

 

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2018年5月16日 (水)

俳句鑑賞:「梅雨に入る」「入梅」「梅雨」

      

昨日(2018.5.8)のNHKニュースによると、沖縄は梅雨入りしました。

歳時記(俳誌のSalon)などから「梅雨」を詠んだ親しみやすい俳句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

(歳時記の俳句の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。)

  

梅雨に入る(1)

病む友のまた一人増え梅雨に入る

          (松崎鉄之介)

  

屋根持たぬマンションぐらし梅雨に入る 

          (岡本眸)

   

梅雨に入る(2)

二度聞きが癖となる耳梅雨に入る 

          (柴野静)

  

山鳩の声のくぐもり梅雨に入る 

         (宮平静子)

  

梅雨(1)

背伸びして声出て梅雨も峠かな 

          (岡本眸)

 

削らるる丘を見てゐし梅雨の駅 

         (高村洋子)

   

梅雨(2)

・宇佐の宮梅雨空ずしとのし掛かり 

           (大橋晄)

  

神宮の森の暗さや梅雨鴉   

          (暮目良雨)

 

梅雨(3)

目をそらし受ける点滴梅雨じめり 

           (長山野菊)

  

荒梅雨やごうごうと鳴る神田川 

         (宮原みさを)

 

梅雨(4)

梅雨の雷昨日も今日も人逝きぬ 

         (高橋作之助)

  

落柿舎の投句用紙の梅雨じめり 

          (岸本敬子)

  

梅雨(5)

せせらぎの風の軽さや梅雨あくる 

          (川村政枝)

   

山の彩戻して去りし梅雨の霧 

          (吉村玲子)

  

梅雨(6)

梅雨兆す武庫の川波ややあらし 

         (志水千代子)

   

ベランダの干し物を訪ふ梅雨の蝶 

          (沼口蓬風)

  

梅雨(7)

歌舞伎座は華やいでゐる梅雨の夜 

           (芝尚子)

 

センサーの付きしともしび点る梅雨 

           (鈴木實)

  

梅雨(8)

駅に待つゲリラ梅雨とふ降りやうに 

           (久保晴子)

 

梅雨の蝶犬猫墓地をさまよへり 

           (岡光子)

  

梅雨(9)

鐘の音の一打に梅雨の明けてゆく 

           (坊城俊樹)

  

インターホンとれば激しき梅雨の音 

          (小嶋洋子)

  

梅雨(10)

被災地へ着けず仕舞や梅雨滂沱 

         (田中つや子)

  

ただならぬ災害ニュース梅雨滂沱 

           (木村幸)

 

梅雨(11)

友の訃や梅雨のひと日を歩いてる 

           (鴨下昭)

  

ヘリコプター人を吊り上ぐ梅雨出水 

          (大矢雅子)

  

梅雨(12)

いつくしま静かに寄する梅雨の波 

         (水田壽子)

  

暗渠より水をどり噴く梅雨出水 

         (鈴木伸一)

 

梅雨(13)

梅雨のけふ車内放送とめどなし 

          (秋田建三)

 

付悪き蛍光灯や梅雨の夜 

          (岩谷丁字)

 

梅雨(14)

梅雨の雷オルセー展の上走る

          (有賀昌子)

  

はやぶさの快挙に消ゆる梅雨の憂さ

          (稲畑汀子)

 

梅雨(15)

そばにゐるだけの看取や梅雨の月

         (阪上多恵子)

 

梅雨出水車道に泥鰌跳ねてをり

          (秋千晴) 

 

梅雨(16)

空ラ梅雨や女ばかりの食事会

         (中山純子)

 

床に聞く人の訃や梅雨荒るる

        (玉置かよ子)

  

梅雨(17)

梅雨憂しとせぬ明るさの家路とす

          (稲畑汀子)

  

・拾ひ読みの何時か没頭梅雨深し

          (西村操)

  

梅雨(18

やや鬱と自嘲してをり梅雨長し

          (中原敏雄)

  

計画は着々梅雨も明くる頃

         (稲畑汀子)

    

575筆まか勢

入梅や墓さむげなる竹のつゆ

         (飯田蛇笏)

  

入梅や蟹かけ歩く大座敷 

         (小林一茶)
   

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2018年5月15日 (火)

先輩の川柳 (2018)

   

前川淳氏の川柳久しぶりに掲載させて頂きます。   

(1)人はみな自分色したパンを焼く

(2)男から野心が消えて国痩せる

(3)夢中でたぐる青春のメモワール

(4)浮雲が乱調の美を見せている

(5)乾涸びた棚田に月は浮かばない

(6)消しゴムのカスはまことを知っている

(7)馬車馬のように走ってきたもんだ

   

今回は下記のとおり川柳を詠んだ心を敢えて書いて頂きました。

1)「人はみな・・・・・」

 人はだれしも自分に合った、自分好みのパンを焼くように、生活信条、スタイル、思考様式,性格、どれをとっても、良きにつけ悪しきにつけ皆違うもの。それでこそ、世間は変化に富み面白いというもの。

(2)「男から・・・」

 男と言っても特に若者だが、今の社会、暴力、戦争、年金、国の借金その他諸々、将来に対する明るい設計図が書けない。

どうしても無力になり、一部の例外を除き、覇気や野心がなくなっている。これでは国が弱体化するのみである。

(3)「夢中で・・・・」

 人生も老年期に達すると、体が弱り思考力も衰えてくる。それでいきおい、若く活気に溢れた青春を思い出しその回廊に浸ることも多く、それを必死に手繰ろうとするのだがなんと思い出すのに苦労のかかることよ。

(4)「浮雲が・・・」

 いつの世も、どこでも浮雲の形は一様ではない、乱れて浮いている雲の形のなんと美しいことよ。

5)「乾涸びた・・・」

 棚田の田ごとに美しい月が浮かんでいるという趣旨の有名な句があるが、今年は空梅雨で棚田も干上がってしまった。もちろん減収で農家は困るわけだが、楽しみにしていた美しい月も見られなくてわびしいことよ。

(6)「消しゴムの・・・」

 何にしろ、最初は真実を吐露すべく書き始める。ところが途中でこんなことを書くとまずいなと邪な気になり、消しゴムの出番となる。というわけで、消しゴムのカスこそ真、真実を知っているのである。

(7)「馬車馬の・・・」

 特に現役時代は、自分のため、家族のため、会社のため、はたまた社会のためがむしゃらにまさに馬車馬のように働いてきたもんだ。それが定年後の今、満足感に耽るとともに果たしてこれで良かったのかと、ふと、そんな感慨に浸ることもある。

 

チュヌの主人のパソコンが壊れたり、高浜虚子の俳句(100句)の英訳を国際俳句交流協会のHPに5回シリーズで投稿するなど、バタバタしている間に投稿のメールを頂いていたのに気がつかず、掲載が大変遅れて失礼してしまいました。

 

2018年5月 8日 (火)

「若楓」・「青楓」の俳句

       

鴉二羽もつれ落下す若楓

手作りの庭整ひて若葉風  

    

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掲句は薫風士の前座俳句です。 

575筆まか勢」から著名な俳人の若楓」や「青楓」を詠んだ俳句をいくつか抜粋掲載させて頂きます。    

(青色文字をクリックすると俳句や作者の解説など詳細がご覧になれます。)

   

ふらここや雨に濡れたる若楓 

          (正岡子規

   

子を産みに子が来てゐるや若楓

           (安住敦

  

広きかげ水面に拡げ若楓  

           (高浜年尾

 

若楓あるひは既に青楓    

          (清崎敏郎

   

飛泉あり打ちてしぶける若楓

         (水原秋櫻子

    

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2018年5月 6日 (日)

俳句《立夏・夏に入る・夏来る》

  

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(P.S. 2022.5.6)

ここをクリック(タップ)して、「コロナ禍のストレス社会夏に入る(夏の俳句特集)」 をご覧下さい。

   

・夏に入る欲しきものとは剛健ぞ

    

P.S. 2022.3.13

ウクライナ紛争について、「已むに已まれぬ思い」を俳句に詠み、書いた記事を読んで頂きたく、「北京2022 パラリンピック閉会式を見ながらこの P.S.を追加しました。

ブログタイトル用俳句(青色文字)をクリック(タップ)して、「ウクライナ・ドナウへ流る春の川」や「春一番この発言はおぞましき」をご覧下さい。

   

 

(2018.5.6 の記事)  

Cimg6195_2今日は「こどもの日」です。「立夏」です。   

今朝のNHKニュースによると、トランプ大統領キム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長との米朝会談開催が決定されたとのこと、喜ばしいことですが、チュヌの主人は即興句を口遊みながら、「糠喜びに終わり、悪夢になることのないように」と、祈っています。

   

両首脳には、「民族の期待」と「世界の人々の平和の祈り」を裏切らないようにしてほしいものです。

    

・愛犬は北国生まれ夏来る

夏来る幼のピアノ高らかに

夏立つや幼孫にも反抗期

・米朝の会談如何夏に入る

・まやかしをしない政治をこどもの日

  

歳時記(俳誌のSalon)から気の向くままに抜粋させて頂きます。

例句の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。

  

立夏                           

・胎内の水音聴いてゐる立夏 

          (中村苑子)

  

・花活けて立夏の卓を飾りけり 

          (稲畑汀子)

 

・朝刊を大きくひろぐ立夏なり 

          (荒木治代)

 

・立夏かな「和を以て貴しと為す」 

          (雨宮桂子)

 

・外つ国の人も迎へて園立夏  

         (稲畑廣太郎)

    

(青色文字の季語をクリックすると、歳時記の例句の詳細をご覧になれます。)  

夏立つ」・「夏に入る」・「夏来たる」・「夏めく

  

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2018年5月 5日 (土)

俳句:「こいのぼり」・「鯉のぼり」・「鯉幟」

     

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昨日のプレバト(俳句)では賑やかな司会と句評に例のごとく出演者が沸いていました。 

夏井いつきさんの添削に感心することが多いのですが、泉谷しげる氏の俳句(「学び舎の見上げる先は空の海」)の添削(「学び舎の頭上五月の空は海」)はやや腑に落ちません。

  

原句は無季なので、季語「五月」を使うのは結構ですが、「鯉」は淡水魚ですから、鯉幟の比喩に「海」を用いるのは不適切な気がします。

「学び舎の五月の空を泳ぐ鯉」と添削すると、「平凡すぎて面白くない」と言われるでしょうか?     

ちなみにここをタップすると、泉谷しげる氏の「春夏秋冬」をお聴きになれます

   

チュヌの主人は次のように親しみやすい俳句を作ることに心がけていますが、「凡人の最たるものである」と酷評されるでしょうか

   

・いつの日も子等は希望よ鯉幟

・来ぬ孫の恙なきをと鯉幟

・来ぬ孫に写真をメール鯉のぼり

    

歳時記(俳誌のSalon)から親しみやすい俳句を掲載させて頂きます。 

(歳時記の詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。)

    

鯉のぼり

・鯉のぼりあげる祖父の手節くれて 

           (熊谷みどり)

・六甲の風に育つ子鯉のぼり    

            (山田弘子

・真つ新の家に翩翻鯉のぼり   

           (田中みのる)

   

鯉幟

・鯉幟影のをどつてをりにけり  

            (稲畑汀子

・泳ぐ日も拗ねる日もあり鯉幟  

           (米山喜久子)

・鯉幟手摺に尾びれじやれてをり 

           (村田とくみ)    

   

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