2022年7月11日に、鎌倉八幡宮の「直会殿(なおらいでん)」で開催されたヘルマン・ファン・ロンパイEU名誉大統領と高野ムツオ日本現代詩歌文学館館長(「小熊座」主宰)の講演(俳句ユネスコ登録推進協議会と国際俳句協会の共催)を拝聴しました。
この講演会は、「言葉の力」がテーマでしたが、両氏のお話から「俳句は癒しになる」という印象を受けました。
ロンパイ氏は次の自句を引用し、「自然を観察して俳句を詠むことによって、人は謙虚になる」と言われました。
ロンパイさんのお考えに共感し、俳句を世界に普及する一助となればとの思いで、2017年頃から草の根運動の記事を「俳句HAIKU」に書いています。
An old dog faithfully
plodding at his master’s side,
Growing old together.
忠犬や主人に沿ひて相老ひて
(訳:薫風士)
犬や猫などペットを飼っている人は沢山いますから、ロンパイさんはそのことを詠まれたのでしょうが、ひょっとして愛犬「チュヌ」をスポークス・ドッグにした「チュヌの便り」のことも小耳に挟まれたかもしれないなどと、我田引水の解釈をしています。(お笑)
「ポーランドの旅(写真と俳句・講演のことなど)」をご覧下さい。
ロンパイ氏が東京新聞に投稿された俳句の試訳をしました。
A sunny wheat field
Strewn with senseless death
Hungry for peace
陽に煌めく麦畑
遠近(おちこち)に意味なき死
平和に飢ゑつ
上記の和訳は、5・7・5の定型に捉われず原句のニュアンスを訳出した薫風士の試訳です。
原句は「5・5・4」音節ですから、「俳句」と言えるでしょうが、この試訳は「10・10・7」のリズムですから「俳句」というより「三行詩」というべき翻訳です。
俳句は省略の文芸ですから、悪く言えば片言であり、その解釈は読者次第です。
英語などの俳句を翻訳する場合は、日本語としての俳句の形式より、作者が原句に込めた思い・句意を訳出することが大切だと思います。
高野氏は東日本大震災に遭い、自宅へ徒歩で帰る途次にも自然に俳句が浮かび力づけられたと、「俳人の『俳』は人に非ずと書く」と冗談気味に言われたのが印象的でしたが、この言葉と津波を詠んだ次の俳句と関連付けて深読みすると、この俳句の面白さ・深さがわかるでしょう。
車にも仰臥(ぎょうが)という死春の月
(高野ムツオ)
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大人びた言葉口真似夏休み
(薫風士)
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