かって、「俳句の定型とリズム」という記事を書きましたが、コロナ禍の慰みに俳句の面白さをエンジョイして頂きたく、著名な俳人の「字余り」の代表句を掲載します。
青色文字をクリック(タップ)して解説のリンク記事をご一読下さい。
(松尾芭蕉)
旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
芭蕉の辞世句として有名なこの俳句は「6・7・5」の字余りですが、辞世句には字余りの俳句が多くあり、今更付言することはありません。
「《枯野》<芭蕉の辞世句> ドナルド・キーン訳の推敲を考える」や「辞世句(俳諧・川柳・俳句)を集めました」をご覧下さい。
かれ朶に烏のとまりけり秋の暮
「中七」を「中九」の字余りにして、烏が飛んで行く行き先を見届けた時間的経過を表現していると思います。
(与謝蕪村)
しら梅に明る夜ばかりとなりにけり
「中七」を「中八」にして詠嘆することにより、辞世句としての感慨を強調しています。
蕪村は、「薫風やともしたてかねついつくしま」という破調「5・8・5」の、深読みすると面白い、俳句も作っています。
ここをクリック(タップ)して「俳句鑑賞 <蕪村の俳句『薫風や』は面白い>」をご笑覧下さい。
(小林一茶)
雀の子そこのけそこのけお馬が通る
この俳句は「5・8・7」と「中七」と「下五」が字余りですが、リズムは整っていて俳諧味があります。
(正岡子規)
この俳句は子規の辞世3句の一つですが、句意を明瞭にするためにやむを得ぬ「上五」が「上六」の字余りになっています。一般に、上五の字余りは許容されています。
(高浜虚子)
我のみの菊日和とはゆめ思はじ
この俳句は「下五」が「下六」の字余りです。句意を明瞭に強調するのにやむを得ない字余りの表現でしよう。
(星野立子)
この俳句は「上五」と「下五」が字余りの「6・7・6」の破調です。助詞「や」の詠嘆的切字と「下六」の「月を仰ぐ」とが呼応して、破調により、感慨深い句になっています。
(金子兜太)
水脈の果炎天の墓碑を置きて去る
この俳句は、「中七」を「中八」にして、句意を明瞭にするとともに感情表現を強調しています。
(写真はトラック島における金子兜太の戦争体験「酒止めようか どの本能と遊ぼうか」61頁)
夏井いつき先生の査定で、プレバト梅沢富美男永世名人の俳句「読み終へて痣の醒めゆくごと朝焼」(「5・9・4」の破調)が「俳句のお手本」とされました。
そのことに納得できず、「お手本のリズム音痴や熱帯夜」という記事をかきました。ここをクリック(タップ)してご笑覧下さい。
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