Haiku of Bashō (190/300)《墓参》
家はみな杖にしら髪の墓参
(ie-wa-mina tsue-ni-shiraga-no hakamairi)
the whole family_
visiting the grave,
with sticks and grey-haired
家はみな杖にしら髪の墓参
(ie-wa-mina tsue-ni-shiraga-no hakamairi)
the whole family_
visiting the grave,
with sticks and grey-haired
玉祭りけふも焼場のけぶり哉
(tamamatsuri kyo-mo-yakiba-no keburi-kana)
today too_
the crematory
smoking
蕣や是も又我が友ならず
(asagao-ya koremo-mata waga-tomo-narazu)
morning glories_
neither they
my companions
田一枚植て立去る柳かな
(ta-ichimai uete-tachisaru yanagi-kana)
upon planting rice
in a lot of paddy field,
there left a willow
青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事のタイトルが表示され、この「俳句HAIKU」をタップすると最新の全ての記事のタイトルが表示されます。
タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。
五月雨や色紙へぎたる壁の跡
(samidare-ya shikishi-hegi-taru kabe-no-ato)
the early summer rain_
a trace on the wall:
peeled-off poetry-card
子ども等よ昼顔咲きぬ瓜むかん
(kodomo-ra-yo hirugao-saki-nu uri-mukan)
Children!
Bindweeds are in bloom_
I’ll peel cucumbers for you.
五月雨や桶の輪切る夜の声
(samidare-ya oke-no-wa-kiruru yoru-no-koe)
the early summer rain_
the tub’s hoop break:
the voice of night
(注)
この俳句をWEB検索すると、「桶の輪切る」を「箍が切れた」と解釈していますが、「桶の輪切れし」とか「桶の輪切れたる」という表現でないので、そのような解釈は誤りでしょう。
「夜の音」といわず「夜の声」と擬人的表現をして、「桶の箍が切れるほど強い五月雨に桶の水が溢れている音がする」のを比喩的に詠んだ俳句と解釈して、「切る」を「break」と不定詞(動詞の現在形の「s」を付けない原形)にして、仮定法現在で訳出しました。
ちなみに、「575訳」も次のとおり翻訳していますが、誤訳と言えるでしょう。
in the summer rain
the hoop of the pail has split,
a sound of the night
「575訳」とは何か、ここをクリックして、国際俳句協会HPの「英語でわかる芭蕉の俳句」をご参照下さい。
伊藤園「新俳句大賞」「英語俳句とは・・・」というサイトに、「英語俳句は英語の現在形で自由に創る三行詩です。」という記載がありましたが、「英語の現在形」という限定をしている理由を教えて頂けると幸いです。
しばしまもまつやほととぎす千年
(shibashima-mo matsu-ya hototogisu sen-nen)
awaiting a cry of a little cuckoo,
for a short time_
as if for a thousand years
(注)
この俳句は「5-8-4」の破調です。
「松は千年竹は万年」という諺に因んで、「まつや」を「待つや」と「松や」の掛詞にしています。
雲雀鳴く中の拍子や雉の声
(hibari-naku naka-no-hyōshi-ya kiji-no-koe)
cries of pheasants,
making rhythmical beats
among chirps of skylarks
降る音や耳も酸うなる梅の雨
(huru-oto-ya mimi-mo-suunaru ume-no-ame)
the sounds of rain,
falling on plum-trees,
make my ears sour.
うぐいすを魂にねむるか嬌柳
(uguisu-wo tama-ni-nemuru-ka taoyanagi)
graceful willow-trees
seem to sleep, dreaming of them
as bush warblers
物好や匂はぬ草にとまる蝶
(monozuki-ya niowanu-kusa-ni tomaru-chou)
whims!
butterflies staying on
scentless grasses
山吹や宇治の焙炉の匂ふ時
(yamabuki-ya uji-no-hoiro-no niou-toki)
Japanese rose blossoms_
the time for driers of tea-leaves
to scent at Uji
起きよ起きよ我友にせんぬる胡蝶
(okiyo-okiyo waga-tomo-ni-sen nuru-kochou)
wake up! wake up!
make friends with me_
sleeping butterfly
(注)
命令形ですが、俳句は散文ではないので文頭を大文字にせず、感嘆符を用いて句意を明瞭にしています。
青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップすると、それぞれ最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事のタイトルが表示され、この「俳句HAIKU」をタップすると最新の全ての記事のタイトルが表示されます。
タイトルをタップしてその記事をご覧頂ければ幸いです。
旅がらす古巣はむめに成りにけり
(tabigarasu furusu-wa mume-ni-narinikeri)
(試訳A)
a wandering crow_
its old nest has turned into
plum blossoms
(試訳B)
a wanderer_
his old hermitage has turned into
plum blossoms
(試訳C)
upon returning from a trip,
I found plum blossoms
around my old hermitage
(注)
試訳Aは原句を文字通りに英訳し、試訳Bは「旅烏」を人の意味に解釈して英訳し、試訳Cは句意の比喩を英語で理解できるように翻訳しました。
春の夜は桜に明けて仕廻けり
(haru-no-yo-wa sakura-ni-akete shimaikeri)
the spring night
has turned to dawn,
while viewing the cherry-blossoms
(注)
この俳句は「一句一章」の形式ですが、散文ではないので文頭を大文字にしていません。
観音のいらかみやりつ花の雲
kannon-no iraka-miyaritsu hana-no-kumo
the cloud-like cherry blossoms
seen around
the tiled roof of the kannon-temple
月ぞしるべこなたへ入せ旅の宿
(tsuki-zo-shirube konatae-irase tabinoyado)
the moon is your guide_
come here
for an inn on your journey
(注)昨年の試訳を見直しました。
(写真)
(ロンパイ夫妻の鎌倉訪問の「俳写」の一部。)
「Beigian」とあるのは「Belgian」のミスタイプで、酷い誤訳になります。
俳句の英訳を紹介するサイトが最近増えており、知人がメールしてくれたような翻訳というよりデザイン性を高めた「俳写」と称する写真英語俳句などもあるようです。
ロシア侵攻によるウクライナ戦争に思いを馳せて元EU大統領ファン・ロンパイさんが詠んだ次の俳句と翻訳が、句友が知人からもらった新聞記事に、ありました。
新聞の写真をタップ拡大してご覧下さい。
Cannons thunder
砲音に太陽真上日の盛り
(星野高士訳)
俳句は様々な解釈が出来ます。 夏最中 轟く大砲 勝つ太陽 これまでに書いた記事は次の通りです。
星野さんの翻訳は伝統俳句的名訳でしょうが、その翻訳からロンパイさんの句に込めた思いを理解するのは難しいのではないでしょうか?
翻訳する場合は作者の意図を汲んで原句の意味を忠実に訳出する方が望ましいと思っています。
ロンパイさんはイソップ寓話「北風と太陽」を念頭に、「太陽が勝つ」という表現をしたのではないでしょうか?
上記の翻訳にはそのような原句のニュアンスが無いので、原句の句意を尊重して、次のように試訳しました。
さまざまなタイプの誤訳がありますので、誤訳に関する記事を特集しました。
青色文字のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。
青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。
トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。
記事のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。
子規の有名な俳句の誤訳を訂正して下さい。
松尾芭蕉や高浜虚子の俳句を英訳して、国際俳句協会のホームページに投稿している関係で、「英語俳句」をGoogle検索して、「英語で俳句!?詠んでみましょう!Haiku!」を読んでいると、正岡子規の俳句「柿食へば」の英訳に誤訳があるのに気付きました。
(写真をタップ拡大してご参照下さい。)
NativeCampさん
英語が巧でも日本語をよく理解しなければ俳句の英訳は出来ませんよ!
どうぞ、「英語で俳句!?」の記事を速やかに見直して、
柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺
この俳句の「柿くへば」の助詞「ば」は「仮定」ではなく、「したところ」という意味で、「柿を食った時に丁度」という意味です。
(「俳句を楽しもう! フラワータウンカレッジ講演の要旨」参照。)
先日、「俳句HAIKU」の記事「言葉の力《俳句の力『癒し』》」を書きましたが、国際俳句協会HPの「英語でわかる芭蕉の俳句」や「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」を読んで頂き、「俳句の奥深さ・面白さ」や「翻訳の難しさ」をご理解頂けると幸いです。
国際紛争の原因の一つは「言葉の壁」です。
ロシアがウクライナ侵攻を止め、「血に染むなドニエプルてふ春の川」で述べた如く、ウクライナに春が来ることを祈っています。
政治家も言葉を大切にして欲しいものですが、世界の人々が「言葉の壁と力」を理解して、俳句を通じて世界平和を実現する地道な努力をしてくれることを切望しています。
この思いをSNSでシェアーして頂けると望外の喜びです。
青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。
トップ欄か、この「俳句HAIKU」をタップすると、最新の全ての記事(タイトル)が表示されます。記事のタイトルをタップ(クリック)して、ご覧下さい。