俳句の鑑賞 《小春・小春日》

 

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昼小春胃の無き労苦甘受して

  

バスの窓小春日和の姫路城

  

書写山の小春日和や円教寺

  

小春日や幼相手の碁に興ず

  

縁小春手ほどきの碁を幼子と

  

汁蕎麦を食みつ居眠り縁小春

  

縁先の日本列島小春

  

煌めくや小春日和の散歩道

 

そろり行く老ひの小春の杖の音

 

小春日や乳母車には買物も

  

街小春引越し近き花時計 

        薫風士  

  

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合本現代俳句歳時記(角川春樹編)「小春」の解説(抜粋) 

  

小春は「小六月」ともいい、陰暦十月の異称ともなっている。立冬を過ぎて …中略… 「小春日」というとその中の一日のことをいい、またその日ざしの意ともなる。小春風・小春空・小春凪などと使う。寒さに向かう中でほんのひととき迎える暖かい日々を、春のようだというので小春と可憐に呼んだものと思われる。

  

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歳時記(俳誌のサロン)から「小春」の俳句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。詳細は青色文字の季語「小春」をクリックしてご覧下さい。

  

小春1

小春日や日曜画家も景のうち 

        (鷹羽狩行)

  

小春日や遊び心の雲浮ぶ   

        (斎藤道子)

  

小春2

野良猫の好みの場所の小春かな 

       (竹川美佐子)

 

小春日の水切り五つ跳ねにけり

        (北吉裕子)

    

小春3

小春日の庫裡に笛吹きケトル鳴る

        (渡辺周子)

  

小春日やピサの蒼天比類なき

        (久保晴子)

   

小春4

肩書がとれて身軽の小春かな  

        (君塚敦二)

  

物干しに男一人の小春かな   

        (廣瀬義一)

    

小春5

小児科医院でれば漂ふ小春の陽 

         (鴨下昭)

  

小春日や医師も機嫌の良き術後 

       (木村茂登子)

   

小春6

小春日や淺間のゆれ上る   

        (正岡子規)

  

浜に出て小春の砂の踏みごこち 

        (清海信子)

   

小春7

縁側の父と母との小春かな   

       (德田千鶴子)

  

島の猫人なつこくて小春かな  

       (あさなが捷)

  

小春8

小春日や老人ホーム見学会   

        (安居正浩)

   

牛窓のエーゲ海めき瀬戸小春

         (和田一)

  

小春9

小春日の猫にもの言ふひとりもの

       (竹貫示虹)

   

小春日の山河哀しや汚染の地

      (大島みよし)

  

小春10

糸垂れて暮るる小春の小川かな

       (宮崎靖夫)

   

晴れをとこは俺だ己よと小春かな

       (石田きよし) 

   

小春11

小春日や亀の甲羅の数珠繋ぎ

       (松橋輝子)

 

小春日の窓際猫の定位置に

       (柳田美代子)

  

この俳句は、「猫の定位置に」を「猫も定位置に」と「助詞」を変えると、実態はともかくとして、「作者も猫も」小春を楽しんでいることになり面白さが出ると思います。

  

小春12

小春日やたまごサンドのあふれやう

        (稗田寿明)

 

服を着る犬を見てゐる小春

        (千原叡子)

  

小春13

小春日や名のみ残りし富士見坂

       (德田千鶴子)

 

北国を忘れさせたる小春かな

        (坂下成紘)

  

小春14

小春日や小枝の箸のおままごと

       (斉藤マキ子)

 

一茶忌の小春に遊ぶ雀かな

       (池乗恵美子)

  

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