先日、俳句仲間と西宮のJR甲子園口駅近辺(松山大学温山記念会館や武庫川女子大学甲子園会館など)を吟行しました。
松山大学温山記念会館は新田長次郎(1857~1936)が娘婿にあたる建築家木子七郎(1884~1955) に作らせたスペイン風洋館で広大な庭園には立派な防空壕があります。
そこで、ありのままに素朴な句を詠みました。
万緑や庭に豪華な防空壕
真菰刈る富豪の庭の池浚ひ
枝削ぎし富豪の庭の楠若葉
「真菰」(まこも)は夏の季語です。俳句では「勝見」(かつみ)という異称も使われています。
「まこも」や「かつみ」を詠んだ俳句は「575筆まか勢」でご鑑賞下さい。
防空壕を詠んだ俳句について、ベテラン女性から、「『万緑』という季語は安易に使うものではない」と教えられたことがあるとのコメントがあり、某女史からは、「シャンデリアがあるわけではないから『豪華』は不適切な表現である」と批判されました。しかし、単に横穴を掘っただけの防空壕しか知らず、被爆体験のないチュヌの主人にはまさに豪華な防空壕でした。
当然のことながら、被爆体験を詠んだ句友の俳句が高得点を得て、主人の俳句は採られませんでした。
「戦後70年『平和の俳句』」というインターネット・サイトのトップに「蒸され濠(ごう)水一口に息絶えし」という俳句と句評が掲載されていますが、旧新田邸の防空壕は電灯や換気扇などを完備してありました。
俳句には滑稽句ともシリアスな句とも解釈できる二面性のあるものがありますが、高浜虚子の俳句にはそのような面白味のある俳句が多いように思います。
高浜虚子の興味深い俳句100句を翻訳して辞世の俳句など句意の新解釈なども付け加えた記事を国際俳句協会のホームページに、「高浜虚子の俳句をバイリンガルで楽しもう!」というタイトル(5回シリーズ)で掲載して頂きました。こをクリックして虚子俳句をご鑑賞下さい。
高浜虚子は俳句は片言であること・解釈は読み手次第で異なることを認識していたからこそ戦争俳句を良しとせず、日本文学報国会の俳句部会長として戦争を賛美することなく花鳥諷詠の文学を堅持し、時代の流れに掉さすことも流されることもなく、文芸家・俳人としての良心を貫いたと思います。(「俳句談義(5)」参照)
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