俳句の鑑賞:「早春」・「春浅し」

      

春浅し命の限り句を口に

        (薫風士)

  

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塩見三省氏の本に感動し、口遊みました。

   

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剪定す不死鳥形に杉垣根

 

 早春の朝日に鴉光り翔ぶ

 

舞ひ上がる鴉の声音春浅し

 

早春の柔らかき丘愛犬と

 

春浅き夕日に想ふ子の未来

 

早春の梢の入日愛でにけり

       

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掲句は「早春」を詠んだチュヌの主人薫風士」の前座句です。

チュヌは2018年10月16日に永眠しました

      

歳時記(俳誌のSalon)から気の向くままに「早春」の例句を抜粋・引用させて頂きます。

      

早春1

早春の雨に落着く一日かな 

         (稲畑汀子

   

早春の土の匂いぞ庭仕事  

        延川五十昭)

  

早春2

早春の湖に近江の逆さ冨士 

        (吉江潤二)

 

早春や波引くあとを砂が追ふ 

       (太田佳代子)

  

早春3

早春の夜の雨音に独り言   

        (上田明子)

   

早春や波静かなる由比ヶ浜  

        (中村則夫)

  

早春4

早春の見えぬ水音雑木山   

       (乙坂きみ子)

  

早春やリハビリ室のビバルディー 

       (波田美智子)

  

早春5

水際打つ波が奏でる早春譜 

        (藤岡紫水)

  

早春の夜明けの池の水鏡  

        (沼田巴字)

   

春浅し1

杉山へつづく轍や春浅し  

        (穴澤光江)

  

浅春や水あをあをと和紙の里 

        (平田安生)

  

春浅し2

人力車客未だつかず春浅し  

         (岡本直子)

 

工房に木屑の匂春浅し    

        (川瀬さとゑ)

  

春浅し3

春浅き麒麟の空の飛行雲   

         (三好達治)

  

浅春の忍冬亭の跡に佇つ   

         (林いづみ)

  

春浅し4

春浅き水を渉るや鷺一つ 

        (河東碧梧桐

 

木曽駒のせせらぎに居て春浅し 

         (大橋晄)

  

春浅し5

浅春の相手に合はす白ワイン 

        (宮内とし子)

  

春浅き四万十川の投網舟   

         (高谷栄一)

  

春浅し6

うそ泣きを覚えたる孫春浅き 

         (河田孝子)

 

裸木の梢くれなゐ浅き春   

        (佐々木永子)

   

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