俳句と川柳(スウェーデン大使館開催の俳句・川柳コンペティションに入選)
スウェーデン大使館開催の俳句・川柳コンペティションに入選した。
募集の条件ではスウェーデンに関連した英語の5-7-5の音節を踏襲した俳句か川柳で、季語があれば俳句、季語が無ければ川柳として扱われるとのことであった。5-7-5の音節にするために最初から英語の単語を頭に置いて俳句を考えたところ、音節と季語を両立させるのが非常に困難で、俳句は1句、川柳4句として応募した。その結果、下記の1句のみ入選した。
A Swedish log house
on my way to the station,
fragrance of coffee.
6月6日に発表された審査結果によると、応募句は数百句(several hundreds)だったとのことであるが、5-7-5の音節を考慮しない句も含め27句入選していた。その後発表された再審査結果では、音節が考慮されたので10句しか入選していなかった。5-7-5の音節にまとめて俳句を作ることがいかに難しいかを示す結果となっている。
家内は俳句(小生の英訳)を4句応募したが、下記の2句が入選した。彼女はスウェーデンに行ったことはないが、想像力が豊かなので句材の選択がよく、筆者の名訳(意訳)のお蔭で英語のHAIKUとして成功したのだろう。日本語の俳句をそのまま英訳したのでは5-7-5のシラブルの英語の俳句(HAIKU)に出来ないので、大幅な意訳をせざるを得なかったのである。
・A green breeze in woods
waymarks led to Uppsala
in my peaceful dream.
(注:上記の句は故ハマ-ショルド国連事務総長がスウェーデンUppsala出身で、遺稿集が「道しるべ(Waymarks)」として発行されたことに因んで詠んだものである。)
・The Baltic Sea wakes
from a deep sleep, waves of May
washing the seashore.
因みに、上記の 5-7-5 syllable の英語の拙句は「通勤路珈琲薫るログハウス」などと一応5-7-5の句に意訳できるが、俳句らしく季語を入れて意訳してみると、下記の例の如く原句の要素の何かを割愛せざるを得ないし、俳句としても拙いものになる。
・爽やかな珈琲の香やログハウス
・薫風に珈琲の香や通勤路
・若葉風スウェーデン風ログハウス
また、原句に忠実に和訳すると、「通勤路珈琲薫るスウェーデン風ログハウス」と5-7-5にならず、俳句の体をなさない。このように、HAIKU(英語俳句)をそのまま忠実に和訳したのでは俳句として様にならないことが多い。英語は英語、日本語は日本語として、それぞれに合った俳句を作らざるを得ない。外国人に俳句の良さを真に理解してもらうためには日本語を理解して貰うしかないだろう。
入選句詳細に興味のある方は下記のURLをクリックしてご覧下さい。
(最初の審査結果)http://blog.swedenabroad.se/tokyo/2014/06/06/results-of-the-haiku-and-senryu-competition/
(再審査結果) http://blog.swedenabroad.se/tokyo/2014/06/10/through-the-alleys-of-stockholm/
(小生の句は、名前をローマ字で書くのをうっかり忘れて投句したので、選者が漢字を読み間違えて、「written by Kinoshita Hajime」となっているが、正しい名前は「Kinoshita Satoshi」である。)