「山笑う」について飯田龍太はカラー図説日本大歳時記(講談社版)において次の通り解説しています。
「出典は中国宋代のころの禅宗の画家郭煕『春山淡冶にして笑ふが如く』にあるという。『冬山惨淡として眠るが如し』に対比される形容で、絶妙の喩である。褐色の生毛に蔽われたような早春の山々の木々が、次第に潤みを帯び、春の日に照らされて山そのものが笑みを浮かべているようだという。峻険な山にこの感じはないが、1000メートル程度までの低い山姿はまさしくこんな印象。それを素早く季題とした俳人の感度もなかなかのものと讃えたい。」
インターネット歳時記には「山笑う」の俳句は800句余りあります。次にランダムに抜粋させて頂きます。
青色文字の季語「山笑ふ」をクリックするとそのページの俳句の詳細が表示されます。
(山笑ふ1)
故郷やどちらを見ても山笑ふ
(正岡子規)
落伍せしゴルフレッスン山笑ふ
(山田弘子)
(山笑ふ2)
余生とは歩くことらし山笑ふ
(清水甚吉)
母と妻口論佳境山笑ふ
(保田英太郎)
名刹はべからずづくめ山笑ふ
(江国滋酔郎)
山笑ふ共に忘るる齢となり
(高倉恵美子)
山笑ふ胎動ときにへその裏
山笑ふ仏の顔の湯治客
(小林朱夏)
山笑ふその先高き甲斐の富士
(小俣剛哉)
山笑ふ裸のつきあひ露天風呂
(藤野寿子)
磨崖仏胎に蔵して山笑ふ
(上谷昌憲)
噛み合はぬ夫婦の会話山笑ふ
(水原春郎)
(山笑ふ7)
古希すぎて描く未来図山笑ふ
(岡真紗子)
リハビリの発声練習山笑ふ
(加藤千春)
「山笑う」という面白い季語のせいか、インターネット歳時記でも川柳まがいの俳句がありますが、チュヌの主人も「山笑ふ」の俳句を詠んでみました。
微睡て富士を見落とし山笑ふ
山笑ふ車窓の彼方富士の嶺
上京する際の新幹線ではいつも富士山の雄姿を見るのを楽しみにしていますが、ついうとうとして見落とすことがあります。
スコアを気にせず専ら健康管理のためのゴルフを楽しんでいます。
眠りから覚めたる山の笑ひをり
丹波路や山穏やかな笑ひ顔
故郷へ車を駆る度に丹波路の四季折々の穏やかな山並みに心が和みます。
ドナルドとシンゾウ談義山笑ふ
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外交は相手のあることですから、拙速主義で取り返しのつかないことにならないように、じっくり対策を練って進めて下さいね!
山笑ふ旅の不安や忘れもの
なじり合ひまたかばひ合ひ山笑ふ
最近は何かにつけてよく物忘れをするようになり夫婦二人で一人前のスローライフです。
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