芭蕉の俳句「古池や」の英訳を考える

    

芭蕉の有名な俳句:

古池や蛙飛び込む水の音

の英訳にどんなものがあるかインターネット検索をして見ると、

Frog Poem」というサイト(http://en.wikisource.org/wiki/Frog_Poem)があった。

そこには、41の英訳例が掲載されていた。

しかし、どの英訳もこの俳句の一般的な解釈に基づくものであり、長谷川櫂が「俳句的生活」(中公新書)で次のように述べている解釈を反映していないと思われる。

古池に蛙が飛び込む水の音が聞こえる」という一般的な解釈は切字「や」の働きを見落としている。この句は「どこからともなく聞こえて来る蛙が飛び込む水の音を聞いているうちに心の中に古池の面影が浮かび上がった」といっているのである。ここで切字の「や」は現実の世界で起きている「蛙飛び込む水の音」とは切り離された心の中に現実ならざる古池を浮かび上がらせる働きをしている。この心の中の古池こそが閑寂境にほかならない。(上記は櫂さんの解説の抜粋である。)

    

Frog Poem」の冒頭にある英訳は、

The old pond;

A frog jumps in —

The sound of the water.    

(Robert Aitken)

である。

この英訳では、1行目を「The old pond;」とし、2行目にA frog jumps in」と言って、3行目を「The sound of the water」としているから、古池を目の前にして蛙が飛び込むのを見て、その水音に感動していることになるのではないか?

語順などを変えて、

A sound of a frog

jumping into water -

the old pond

とすれば、A sound of a frog」を聞いて、「the old pond」を思い浮かべていることになり、櫂さんの解釈を反映する英訳になるではないか?

俳句を理解している外国人(native speaker)の意見を伺いたいものである。コメントが頂けると幸いです。

 

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