安倍総理はNHK日曜討論などで、「どういうことでなければ武力行使しないとの政策的中身をさらすことにもなりますから、そんなことをいちいちすべて述べている海外のリーダーはほとんどいないということは申し上げておきたい」と言って、「丁寧に説明しない」ことを当然としている。
だが、これは言い逃れに過ぎない。戦略や戦術の中身を曝すことなく、憲法上認められる自衛のための武器使用の範囲を具体的に例示し説明することは可能である。
平和憲法下の日本は外国の場合とは事情が異なることを安倍総理は無視している。
肝心なことは、「自衛のためにのみ武力行使をする」ことが分かるように具体的に例示・説明し、それを明確に法律に規定することである。
そうしなければ、法律の名称に「平和」の冠を付けても飾りに過ぎず、「抑止力」にならず、「誘引力」になるだろう。
安倍総理は軍歌「露営の歌」の歌詞に「東洋平和のためならば なんの命が惜しかろう」とあるのをご存知でしょうね。
安倍総理の発言や考え方から判断すると、「戦後レジームからの脱却=戦前回帰」となり、何でも「特定秘密保護法」の対象にされそうで心配である。
自民党は安保法制関連法案について党議拘束をしているが、マニフェストにない法案の議決に党議拘束をするのは不当である。米英仏独など自民党のような党議拘束はしていない。
安倍総理は上記のように「つまみ食い」して海外の例を言い逃れに使うのではなく、民主的な良識のある海外の例にならって党議拘束をはずすべきである。
政治談議(1)において述べたように、TV Asahiの世論調査によると、安全保障関連法案について「反対45%、わからない31%、賛成24%」である。「反対」と「わからない」の合計は「憲法改正」や「法律案の衆議院優越可決権」に必要な比率:「3分の2」を上回る76%である。
共同通信社の世論調査によると、安全保障関連法案が「憲法に違反していると思う」は56・7%、「違反しているとは思わない」は29・2%である。
このような世論を無視して、党議拘束をして安全保障関連法案を強行採決することは真に数の暴力であり、安倍総理が真剣に国民のためを思って民意を尊重しているとは到底考えられない暴挙である。
口先だけでない真の「痛切な反省」をして、暴挙を止めてほしい。