俳句の鑑賞《滝の音・滝音・滝》

    

Click here to see “Bashō's haiku in Japanese and English" (Translation by L. P. Lovee)

  

ほろほろと山吹ちるか瀧の音

       芭蕉)

  

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冒頭の写真はカラー図説日本大歳時記の「滝」や「山吹」のページの一部です。

画面をクリック・拡大すれば解説記事をご覧になれます。

 

「滝の俳句」といえば、後藤夜半の代表句「滝の上に水現れて落ちにけり」を思い出します。

   

           

   

掲句「ほろほろとをWEB検索すると、目についた限り全て「山吹が散る情景を詠んだ俳句」と解釈しています。

 

そうであれば、芭蕉は「ほろほろと山吹ちるや滝の音」と「や」(強調・詠嘆を表す助詞)を用いたのではないでしょうか? 

 

「山吹ちるか」と「か」(疑問を表す助詞)を用いたのは、滝音を聞いて、「山吹も滝の響きで散ることだろう」と、その轟音を詠嘆したものでしょう。

この句は、従来の俳諧が「滝・清流に山吹」など、絵画や和歌の題材として「視覚」で捉えていたものを「音・聴覚に焦点を当て、「不易流行」を具現する新しい感覚の俳句にしたものでしょう。

  

歳時記(俳誌のサロン)から「滝音」を詠んだ俳句を気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。詳細は青色文字の季語をクリックしてご覧下さい。

      

滝1

水楢の林の深し滝の音 

        (三澤福泉)

  

滝2

滝音の正面にゐてしづかなり 

       (藤井みち子)

  

滝3

白糸の世にも閑けき滝の音 

       (渡邊誓不)

  

滝4

滝の音轟き闘志甦る 

        (泰江安仁)

  

滝5

華厳の滝音に聞きしが霧隠れ 

       (奥村鷹尾)

  

滝6

滝となる前のしづけさ藤映す 

       (鷲谷七菜子)

   

滝7

滝茶屋に滝の谺を聞きゐたり 

      (大久保久枝)

  

滝8

滝までは行けず水音に耳澄ます

        (鈴木圭子

  

滝9

瀧宿の瀧の聞こえてくる電話

        (八田木枯)

   

10

庭下駄のまま滝音にいざなはれ 

       (齋藤朋子

   

11

東山音羽の滝の静寂かな 

       (三枝邦光

   

12

詩仙堂の庭の静寂や滝の音 

       (中川すみ子

   

13

落人の拓きし道や滝の音 

        (岩田洋子

  

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