俳句の鑑賞《木枯・凩・こがらし・木がらし》

         

2023.11.11 更新

今日は近畿地方で木枯らし1号が吹き、北海道で初雪が降り、本格的な冬が始まりました。

  

2017.11.14の記事

「凩」は「冬の季語」とされていますが、2017年は10月30日に木枯し1号が東京や近畿地方で吹きました。

NHK NEWS WEBによると、「去年と比べて、東京で10日早く、近畿で1日遅くなっている」とのことです。

 

凩やチュヌと駆けゆく老の日々   

         (薫風士) 

   

俳誌のサロン」の歳時記から気の向くままに「木枯し」の俳句を引用させて頂きます。

   

木枯1

木枯や野菜づくしの喪の煮炊き 

       (久崎富美子)

  

木枯2

木枯やたばこを吸ひに外へ出て 

        (山田六甲)

 

木枯3

木枯しに大見得をきる古木かな 

        (吉澤利治)

  

木枯4

木枯を背に鍵穴を探りをり 

         (加藤克)

  

木枯5

木枯や水なき空を吹き尽す 

       (河東碧梧桐)

   

凩1

一号と呼ばれ凩吹いてをり 

       (斉藤美奈子)

 

凩2

凩の止みて下弦の月静か 

       (松村美智子)

  

凩3

胸中の凩咳となりにけり

       (芥川龍之介)

   

こがらし

こがらしの樫をとらへしひびきかな 

       (大野林火)

      

「増殖する俳句歳時記」の「季語が凩の句」などには、「木がらしや目刺にのこる海のいろ」と「凩」「木枯」などの漢字でなく「木がらし」と表記されています。芥川龍之介が「木がらし」(「かな漢字混じり」)や「のこる」など、「ひらがな」で表記しているのは「目刺し」と「海の色」の対比を目立たせて強調する意図的な技法だろうと思います。

  

特攻隊のことを詠んだといわれる山口誓子の俳句「海に出て木枯帰るところなし」についても、この記事はふれています。

      

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