芭蕉300句:言葉の壁を破る英訳チャレンジ (4)

Basho’s Haiku in English  (5/300)

  

・菜畠に花見顔なる雀哉 

 nabatakeni hanamigaonaru suzumekana  

  

(A) Translation by John White & Kemmyo Taira Sato

  in a field of rape

  with flower viewing faces

  a flock of sparrows

 

(B) Translation by L.P. Lovee

  a plot of rape field,

  with a look of flower viewing

  one of the sparrows

  

日本語には単数・複数の区別が無く、俳句を詠んだ背景が分からない場合は英訳に苦労します。(A)では「群れ雀の全てが花見顔をしている」と解釈していますが、雀は地面にいるときは何かを啄ばんでいるのが普通ですから、「群れ雀の一羽が恰も花見をしているように見えた面白さを俳句にしたもの」と解釈して英訳しました。しかし、一羽だけ雀が居る様子を詠んだものと解釈すると、「one of the sparrows」は「a sparrow」に替えることになりますが、この方が俳句らしい翻訳になります。日本の畠は欧米に比べて規模が小さいので「a plot of」を補足して翻訳しました。蛇足ですが、上記の「rape」は、「強姦」ではなく、「アブラナ」です。

  

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