俳句鑑賞 《蛍・ほたる・ほうたる》

         

 大蛍()ゆらりゆらりと通りけり 

        (小林一茶

一茶の俳句にはおおらかな句が多いですね。

   

学問は 尻から抜ける ほたる哉 

       (与謝蕪村

 

ほうたるや耳学問の老の日々

        (薫風士)

  

(青色の文字をクリックして解説記事をご覧下さい。)

   

草の葉を落るより飛蛍哉  

       (松尾芭蕉

    

手のうへにかなしく消る螢かな 

       (向井去来

   

蛍火の今宵の闇の美しき   

       (高浜虚子

   

かたまるや散るや蛍の川の上 

       (夏目漱石

 

NPOホタルの会「ホタルと日本人・蛍狩りのサイト「蛍の文化史」に様々な俳句や短歌が紹介されています。 

   

手から手へ思ひを伝へ初蛍

掲句は蛍狩りでチュヌの主人(薫風士)が初蛍を捕らえ、仲間に順に見せその喜びを伝えたことを詠んだ俳句です。チュヌの主人にとっては蛍狩りは童心に返る楽しいものです。単に「喜び」とせず、少しロマンチックな表現にして俳句会で高得点を得た俳句です。  

蛍の鑑賞スポットをインターネットで検索すると、死ぬまでには見ておきたい!関東の美しすぎる『ほたる鑑賞』スポット7選というサイトなどがありました。 

   

インターネット歳時記には季語が「蛍・ほたる・ほうたる」の俳句が2000句余り掲載されています。気の向くままに下記に抜粋します。 

季語「蛍」などをクリックして俳句の詳細をご覧下さい。

  

蛍1

人殺す我かも知らず飛ぶ蛍  

       (前田普羅 

  

蛍2

浮島にいのち継ぐ火や姫螢  

        (岡田貞峰)

  

蛍3

かこひたる掌にふれずして舞ふ

        (赤座典子)

  

蛍4

螢火を見に來し宿で醉ひつぶれ 

        (片岡祥子)

  

蛍5

蛍の闇にふれたる手のぬくみ 

        (大森美恵)

  

蛍6

手の螢見せて匂ひぬ人の妻  

        (竹貫示虹)

   

蛍7

ゆるやかに着て人と逢ふ蛍の夜 

         (桂信子

   

蛍8

無人駅夜は蛍火の銀座なる  

        (延江金児)

   

9

湯の町の旅の一夜や蛍狩   

        (松元末則)

   

蛍10

蛍より多きギャラリー渓の径 

       (金山藤之助)

   

蛍11

死なうかと囁かれしは蛍の夜

       (鈴木真砂女

   

蛍12

蛍火の明滅滅の深かりき

       (細見綾子

   

蛍13

螢獲て少年の指みどりなり

       (山口誓子

  

蛍14) 

放たれし一夜仮設の蛍かな  

        (松本秀子)

   

蛍15

峡の湯の熱りを冷ます蛍狩  

      (升田ヤス子) 

   

ほたる

朝がきて虫となりたるほたるか

        (和田瑞子)

   

ほうたる

ほうたるの匂ひ幼き日の匂ひ  

       (細野みさを)

    

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