俳句の文法《助詞「や」と「か」》
ほろほろと山吹ちるか瀧の音
(芭蕉)
この俳句の解説をインターネットで検索すると、目についた限り全て「山吹が散っている情景を見て詠んだ俳句」として解説しています。
芭蕉は、山吹が散るのを見て詠んだのであれば、「ほろほろと山吹ちるや滝の音」と、「切れ字」ではなく「強調・詠嘆」の「や」を用いたのではないでしょうか?
しかし、「山吹ちるか」と「か」(疑問を表す助詞)を用いています。
従って、滝の轟く音を聞いて、「山吹も滝の響きで散ることだろう」と瀧音の強さを詠嘆した俳句であると解釈すべきではないでしょうか?
この句は、従来の俳諧が「滝・清流に山吹」など、絵画や和歌の題材として視覚的に親しまれていたものを音に焦点を当て新しい感覚で俳句に詠んだものでしょう。
芭蕉の俳句といえば、「古池や蛙飛びこむ水の音」が有名ですが、従来の俳諧では「清流の蛙(かじか)の鳴き声と山吹の取り合わせ」などが重んじられたのに対して、「古池と蛙の水音の取り合わせ」を詠んだ蕉風俳諧に通じるものがあると思います。
歳時記によると、「山吹」は春の季語、「滝」は夏の季語です。一般に、季語が二つあるのは良くないとされていますが、俳句の内容次第で効果があれば良いと思っています。
寺田虎彦が「俳諧の本質的概論」で俳句における「てにをは」の重要性を強調しています。
我田引水ですが、助詞「や」の有無で高浜虚子の俳句「初空や大悪人虚子の頭上に」の句意も異なるとして新解釈を試みました。
興味があれば、「俳句談義(3):虚子の句「初空や」の新解釈《大悪人は誰か?》」をご覧下さい。
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2024.12.14 更新
投稿: | 2024年12月14日 (土) 08時19分
俳句の比喩と掛詞《白鳥》
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投稿: | 2023年2月 4日 (土) 08時42分
「猿回し」《季語とは何か》
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/12/post-63ec.html
をご覧下さい。 (薫風士)
投稿: | 2022年12月26日 (月) 20時22分
「言葉の力《俳句は癒し》」
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「俳句《涼し》死の話」
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をご覧下さい。 (薫風士)
投稿: | 2022年7月21日 (木) 00時54分
早春や命の限り句を口に (本との出会い)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2022/02/post-e18a.html
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投稿: | 2022年6月 1日 (水) 01時11分
「プレバト夏井先生の添削を添削する」
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「プレバト俳句 梅沢富美男氏の「木の葉髪」の推敲を考える」
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をご覧下さい。
(薫風士)
投稿: | 2021年12月28日 (火) 22時30分
<提言>「平和の俳句」月間(「俳句の日」から「子規忌」)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/09/post-153d.html
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川柳と俳句(先輩の句集を拝読して思うこと)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/09/post-1e86.html
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(薫風士)
投稿: | 2021年10月 3日 (日) 23時23分
8月19日は「俳句の日」とされています。
正岡子規の命日は9月19日ですから、8月19日からの1か月を「俳句月間」として俳句・教育関係者により俳句を通じて子供たちに日本文化の啓蒙活動をして頂いたら如何でしょうか?
俳句の教育はもう既に実践されているのでしょうが、コロナ禍の自粛生活で子供たちが無意味なwebゲームに夢中になっているのは親泣かせです。
俳句は、個性を発揮する芸術の一つであり、好き好きです。プレバトのような一方的な査定やランク付けはしないで教育すべきでしょう。
大人のための俳句の面白さの啓蒙の一助になれば幸いですが、
8月15日の終戦記念日の俳句を特集しましたので
俳句ブログ:終戦記念日 <「戦争と平和」特集>
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/08/post-452c.html
をご一読下さい。
(薫風士)
投稿: | 2021年8月26日 (木) 15時47分
俳句の鑑賞:「昼寝」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-fe4e.html
や
「父の日」の俳句鑑賞
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-a463.html
をご覧下さい。
薫風士
投稿: | 2021年6月27日 (日) 18時09分
コロナ禍や酒無き昼餉梅雨の灘
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-e024.html
や
コロナ禍の俳句の鑑賞:「汗」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/06/post-ae3e.html
をご覧下さい。
(薫風士)
投稿: | 2021年6月22日 (火) 22時30分
(コロナ禍の不急の五輪開催の是非)
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2021/04/post-44d5.html
をご一読下さい。
(薫風士)
投稿: | 2021年4月28日 (水) 19時27分
新型コロナウイルスの感染拡大を懸念して、2月の節分から「コロナ俳句」をブログ「俳句HAIKU」に書いてきました。
コロナ感染拡大の第三波が大きく、遂に全国的に「Go Toトラベル」のキャンペーンが年末年始は中止されることになりました。
来年のコロナ禍の経済対策としては、
「Go Toトラベル」や「Go Toイート」を中止して、
「新型コロナウイルス感染防止の対策マニュアル」を整備し、
適合するホテルやレストラン、居酒屋、喫茶店などを認定し、
認定基準適合の準備に要したコストの一部を補助し、
「コロナ対策三ツ星店」とか、「三密防止対策三ツ星店」など、
適切な呼称でコロナ対策を奨励する方が良いでしょう。
「認定基準」は一般に公表し、店の客が自然にチェックしてくれるように工夫するとか、公式のチェック体制も整備すると、
ごまかす店も無くなり、真面目に営業している店が繁盛することになり、経済効果も上がるでしょう。
この思いを皆さんがシェアして、
政府や自治体の関係者を動かしてくれるとありがたいです。
ちなみに、「ミシュランの三つ星」を獲得したスペインの著名なレストランがコロナの影響で廃業に追い込まれたそうです。
(薫風士)
投稿: | 2020年12月15日 (火) 11時06分
9月19日は正岡子規の忌日「獺祭忌」です。
「芭蕉・子規・虚子の俳句、まんぽ写真・俳句などを楽しもう!(WEB特集)」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2020/09/web-1bc9.html
をご一読下さい。
「俳句の面白さ・奥の深さ」が分かりますよ。
(薫風士)
投稿: | 2020年9月18日 (金) 22時35分
「俳人の文法力」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2019/12/post-64c4.html
をご覧下さい。
高浜虚子の俳句「神にませばまこと美はし那智の滝」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2017/10/post-1b46.html
の面白い解釈をご覧になれます。
(薫風士)
投稿: | 2019年12月 4日 (水) 08時49分
漫歩・万歩・SNSで楽しむ
「まんぽ俳句会」を始めました。
ご投稿をお待ちしています。
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2019/11/post-d2ef-1.html
をご覧下さい。
(薫風士)
投稿: | 2019年11月16日 (土) 06時49分
「俳句の助詞:『の』と『を』」
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/2019/08/post-4824.html
も、興味があれば、ご覧下さい。
投稿: | 2019年8月31日 (土) 09時14分
芭蕉の俳句300句の英訳を始めました。
http://knt73.blog.enjoy.jp/blog/generaltranslation/
をご覧下さい。
投稿: 木下 聰 | 2019年5月22日 (水) 08時53分