俳句の鑑賞《祭り》

 

(2024.9.29 更新)
Click here to see “Haiku of Bashō” in English.

 

地震に耐ゆ祭太鼓の心意気
(nai-ni-tayu matsuridaiko-no kokoroiki)

 


enduring the sufferings of earthquake,
people with guts beat
Japanese drums for the summer festival

 


恐竜の吠ゆる駅前祭り唄
フェニックスてふ祭大会福井駅
コンコース祭音頭の溢れをり
祭り見て立ち寄り迷ふ土産店
さとまつり売切れしたる缶ビ-ル
抽選に子等小躍りや里祭
コロナ禍の自粛解けたる夏祭

       (薫風士)

 


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冒頭の写真は福井駅の傍で祭踊りの出番を待っている人々の情景で、二つ目の写真は、福井新聞の記事(「福井フェニックス祭り」)の切り抜きです。

 

 

(2021.5.6の記事)

女房は下町育ち祭好き 

        (高浜年尾)

 高浜年尾の掲句について、清水哲男氏は「増殖する俳句歳時記」において次のように述べています(抜粋)。

「なんとも挨拶に困ってしまう句だ。作者が虚子の息子だからというのではない。下町育ちは祭好き。……か、どうかは一概にいえないから困るのである。…(中略)… この句のように『そうなんだから、そうなんだ』という類の句は、見回してみるとけっこう多い。(以下省略)」  

しかし、「そう決めつけられては困るよ。」と作者(高浜年尾)はあの世で言っているかも知れません。作者は妻が祭り好きなことを理屈抜きで俳句に詠んだに過ぎないでしょう。
俳句は散文と異なり所詮片言ですから、読み手次第で解釈が異なることが多いですね。

(青色文字をクリックして作者の紹介記事や俳句の詳細をご覧下さい。)

  

合本現代俳句歳時記(角川春樹編)の季語「祭」の項には傍題が次のとおり12あります。
「夏祭」「祭礼」「宵祭」「夜宮」「神輿」「山車」「祭囃子」「祭太鼓」「祭笛」「祭衣」「祭提灯」「祭髪」

 

インターネット歳時記(「俳誌のsalon」)の「祭」の各ページから気の向くままに2句抜粋させて頂きます。

  

祭1

復興の町に景気の祭山車   

       (稲畑汀子)

 

子が手綱引いてやさしき祭馬 

      (野沢しの武)

 

  

祭2

賀茂祭馬耐へがたく尿放つ

      (西田もとつぐ)

 

父の手を振り切つてはや祭の子

        (品川鈴子)

  

祭3

故郷の祭を恋ひて母逝きぬ
       (藤村美津子)

 

点滴のベッドへ遠き祭笛   

      (辰巳比呂史)

  

祭4

この村が好きで老いたり祭笛

        (梅原富子)

 

教え子の祭化粧を見つめおり 

       (小林玲子)

 

祭5

水打つて祭日和となりにけり 

        (柴田英彰)

 

ふるさとに海の幸あり祭鮨 

        (斉藤静枝)

 

祭6

祭ある地球によくぞ生まれける 

        (鷹羽狩行)

 

落語家の芸賑々し祭船 

        (名取袿子)

 

祭7

町並に古色戻りぬ祭あと

     (小泉三枝)

 

獅子の尾を振る役たまふ祭かな 

        (浅田光代)

  

祭8

神田川祭の中をながれけり
      (久保田万太郎)

 

阪神の帽子で神田祭の子  

       (大久保白村)

  

祭9

下町に祭気分の漲(みなぎ)れり 

       (稲畑廣太郎)

 

てのひらを味見の皿に夏祭  

      (小城綾子)

  

祭10

祭くる百八歳の大往生  

      (大坪景章)

 

軽トラに稚児乗せ団地祭かな 

      (中川すみ子)

  

祭11

駅を出て神田祭に揉まれけり 

      (内藤静)

 

抜路地を流れ遠音の祭笛   

       (中野さき江)

  

祭12

星空に鼓動の余韻夏祭   

      (宮崎薫風)

 

祭ずし嫁へ言ひつぐかくし味 

      (白神知恵子)

 

祭13

祭太鼓腹にひびくや總踊り

      (井沢ミサ子)

 

背伸びして募金する児の祭髪 

       (石田きよし)

 

祭14

働きし手を見せ合うて祭かな 

      (小嶋恵美)

 

祭牛を宥めすかして御田掻く 

       (大橋晄

  

祭15

昔の名坂に残りて祭町   

     (今井千鶴子)

 

人違ひしたりされたり鉾祭

      (山野美賛子)

   

俳句祭り」などを開催して町の活性化を図っている地方自治体が増えているようです。
俳句を世界無形文化遺産に登録しようという運動も推進されています。
コーラスやゲートボールなど様々な趣味がありますが、俳句は楽しくて健康に良いばかりでなく、前EU大統領の言のごとく、人心を世界平和へ導くことにも貢献できそうです。
それにしても、言葉の壁・言語の壁を破り「俳句」の国際化を促進して俳句の世界無形文化遺産登録を実現することは至難でしょうね。

 

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青色文字をタップすると、最新の「俳句(和文)」や「英語俳句」の記事をご覧頂けます。


2024年10月21日 (月)

暮の秋朝の門前飛ばざる蛾

   

大阪・関西万博の期間延長を!《亀の夏至の呟き》」をご覧の上、その思いをシェアして頂ければ幸いです。

    

晩秋や朝の門先飛ばざる蛾

秋の蛾や木片の如うずくまり

秋の蛾や指で弾けば動きだし

塵出しの門に木片秋の蛾ぞ

      薫風士

  

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タイトルと掲句はブログ用の拙句(「まんぽ俳句」)です。 

今朝ゴミ出しに門を出ると、足元に木の小片のような蛾がうずくまっていました。

秋の蝶の保護色・変態に勝る蛾の変態ぶりに驚きました。

秋蝶・秋の蝶 (写真と俳句)」をご覧下さい。

写真をタップ拡大してご覧下さい。

掲句は、「暮」と「朝」を対比させるなど、面白さを出したつもりです。

「蛾」は夏の季語なので「季重なり」ですが、実態に合わせて秋の季語を用いました。

秋の暮」の「暮」は文字通り「夕方」の意味ですが、「暮の秋」は「晩秋」の意味です。

「門前」は「門先」と同じく、「かどさき」と読んで下さい。

   

2024年10月18日 (金)

秋の吟行《一茶記念館》

   

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冒頭の写真は、一茶記念館のパンフレットです。

ここをクリック(タップ)して、「一茶記念館」のホームページをご覧下さい

  

   

2024106日に京都の無鄰菴で開催された英語俳句の俳画教室を見学したところ、一茶の俳句「かたつむりそろそろ登れ富士の山」の誤訳に気付いて英語俳句の添削についてアドバイスをしました。

そこで、思い立って、長野県にある一茶記念館を1013日に見学・吟行しました。

写真を逐次掲載し、一茶の俳句の英訳も随時進めますのでフォローして頂けると幸いです。

  

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2024年10月10日 (木)

俳句《寒露》

  

温暖化寒露にやっと涼新た

駅前の寒露の雨後の整地かな

寒露とて昼餉は今日も冷し酒

寒露の日秋桜手折り香り愛ず

爽やかな秋桜折りし香りかな

金柑やあるかなきかの実が一つ

金柑や米粒大に寒露の日

愛でたきもの寒露に生れし初金柑

寒露過ぎ蜜蜂蝶の飛び交ひて

まんぽ道寒露過ぎにも蜘蛛の糸

       (薫風士

   

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに「寒露」の例句を抜粋掲載させて頂きます。

例句の詳細は青色文字(季語)をタップしてご覧下さい。

  

鶏鳴のひびきわたれる寒露かな

      (南うみを)

  

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最初の二つの写真は、寒露の日(10月8日)に最寄りの駅前の整地工事の風景や小さな金柑の実を撮ったものです。

   

三つ目の写真は、4日後(10月12日)に実の大きさがミニトマトの小粒位までになった金柑の小木です。

この金柑の実が無事完熟するまでには、ウクライナやパレスチナなどの戦争が終わることを祈っています。

 

最後の写真は、寒露の日に散歩していて、赤レンガの邸宅の庭に蜘蛛の糸が見えたのでスマホで撮りながら駄句を口遊みましたが「蜘蛛」や「蜘蛛の糸」は夏の季語ですから、「季重なり」はダメという俳人も居るでしょう。

 

季語を二つ用いる場合は、その効果を考えて推敲すべきですが、「季語が二つあるのはダメ句」と単純に考えるの初心者の発想で、「俳句の楽しみ」や「俳句の面白さ」を阻害しています。

   

拙句の「寒露に生れし」の中七を「あれし」と定型に読むか、「うまれし」と字余りに読むか、好き好きでしょう

 

いずれにせよ、まんぽ俳句を口遊み健康長寿を全うしたいものです

 

ちなみに、同音異義語の「甘露忌」といえば、秋元不死男の忌日(7月25日)で、夏の季語です。

 

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

    

2024年10月 7日 (月)

秋の吟行《無鄰菴・英語俳画教室》

  

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2023年9月30日に京都市左京区の南禅寺界隈を吟行した記事「秋の蹴上・無鄰菴吟行(俳句と写真)」を多くの方ご覧頂いたと思いますが、今年(2024年)も句友に誘われて10月6日に無鄰菴を訪ねたところ、一茶の俳句の英訳を使用した俳画教室が開催されていました。

  

詳細は、ここをクリック(タップ)して、「日本の風」の「お知らせ」をご覧下さい。

  

俳画教室の主催者は芸大出身の方なので一茶の俳句の英訳の適正さの是非は不問にされているようでしたが、英語俳句の翻訳の専門的立場から気になる英訳について即興的に下記のようにコメントしたところ、富山土産などのお茶のおもてなしをして頂き恐縮しました(写真参照)

  

かたつむりそろそろ登れ富士の山

   

俳句の解釈や英訳は色々出来ますが、この俳句は次のように英訳する方が適切だと思います。

 

Climb Mt.Fuji,

slowly, slowly_

snail !

  

または、次のように英訳すると、更に原句の面白さ(かろみ)が感じられて良いと思います。

   

Snail !

Climb slowly and slowly_

Mt. Fuji

  

色紙の英訳は次のとおり、不定冠詞があるため、明瞭な命令形になっていないので不適切だと思います。

  

A snail_

climb Mt.Fuji

but slowly, slowly

  

俳句では助詞や切れ字、語順などが大切ですが、英語の俳句や英訳においても冠詞や前置詞、語順などが大切です。

  

「英語の俳句は単語を並べて置けば良い」という人がいますが、このセリフは、奥の深い俳句への入門の敷居を低くするための初心に対する言葉ですから、誤解しないで下さいね

 

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この写真は、蹴上の観光スポットである「ねじりまんぽ」です。

 

  

   

ここをクリック(タップ)して、「折々の《まんぽ俳句》(No.6)虚子の「去年今年」(夏井先生vs薫風士)」をご覧下さい。

  

国際俳句協会への薫風士の投稿「英語でわかる芭蕉の俳句」や俳句HAIKUの「文芸翻訳」の記事をフォローして頂けると幸いですが、英語俳句誤訳集《言葉の壁》」や「まんぽ俳句を楽しもう!」をご一読下さい。

(青色文字をタップすると、リンク記事が表示されます。)

  

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2024年10月 3日 (木)

虚子記念文学館と谷崎潤一郎記念館

 

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10 月2日に俳句仲間と芦屋市にある虚子記念文学館と谷崎潤一郎記念館を訪ねて吟行をし、近くのカフェ・ド・ルポで昼食後ミニ句会をしました。

  

冒頭の写真は、虚子記念文学館芦屋市谷崎潤一郎記念館の入場券です。

  

文学館さゆるる萩に迎へられ

虚子館や黄葉なり初む大桂

小鳥来る玄関前の大桂

前庭の旱を忍ぶ龍の髭

秋の雲ゆるり流るや文学館

露けしや三世代の句碑となりて

  

爽やかな玄関戸の桟ホトトギス

(ドアの写真をタップ拡大して見ると、映っている桂の枝で見分けにくいですが、薫風士の頭上にホトトギスの文字の形をしている桟があります。桂は、最初に植えられた木なので虚子記念文学館のシンボルになっているそうです。)

  

俳磚の庭の片隅彼岸花

露けしや俳磚の壁虚子の庭

爽やかや俳磚の白青き文字

 

小鳥来る谷崎邸の黒松に

池に映ゆ色変へぬ松青き空

   

ばったんこ谷崎邸の時刻む

見えずとも音を愛でたる鹿威し

金の鯉悠然として添水の音

        (薫風士

    

「ばったんこ」「鹿威(ししおどし)」「添水(そうず)」は、ほぼ同じ「猪おどし」の意味の秋の季語です。

   

次の最初の写真は、虚子記念文学館で頂いたパンフレットの一部分ですが、写真をタップ拡大して地図を見ると、両記念館の位置が分かります。

  

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一人連句《俳句と川柳》

    

大阪・関西万博の期間延長を!《亀の夏至の呟き》」をご覧下さい。

    

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冒頭の写真は、NHK-TV 画面の一部分です。

リフアアト・アライ-ルさんの平和を切望する思い「If I must die」をシェアしましょう!

 

血に染むなドニエプルてふ春の川

  

折に触れて、連歌ならぬ一人連句を口ずみ、健康長寿を目指しています

  

青色文字のタイトルをタップ(クリック)して、連句の記事をご覧下さい。

  

まんぽ俳句を楽しもう

  

まんぽ俳句」《ゴルフ特集》(季語と自然

  

雨上がり昼餉の窓辺黄蝶来

      

俳句《寒露

  

俳句《暮早し・短日・日短・日の短か

  

秋蝶・秋の蝶 (写真と俳句

  

秋晴れの灘・酒蔵吟行(写真と俳句

     

若葉・楠若葉《大阪・梅田界隈吟行の写真俳句

     

俳句《新涼・涼新た

  

俳句《コスモス・秋桜

   

ハイク・俳句・はいく・HAIKU

    

虚子記念文学館と谷崎潤一郎記念館

  

平成の果てて令和の花見酒

    

夏祭り最後を飾る揚げ花火 《俳句XXX

   

俳句《花は葉に》OB会

  

敬老会《俳句と写真

   

重陽》まんぽ俳句と写真

     

人と船往来のどか隅田川

  

麗かやスカイツリーを撮り漫歩

 

初秋の吟行《萩の寺・東光院

  

芒種」の手塚治虫記念館吟行 (写真と俳句)

  

秋の蹴上・無鄰菴吟行(俳句と写真

  

福住の町並み・「住之江の庭」秋の吟行

  

風薫る寺苑に座してミニ句会 (俳句と写真

  

三田独活小屋・有馬富士公園吟行(春の俳句と写真

   

大暑の名古屋場所《元気

   

コロナ禍に外堀埋める法改正(コロナ川柳

  

コロナ・マイナンバー川柳 《誤解すな コロナとCOCOA 愛車にも

  

俳句と川柳)「夜長」《新総裁へのエール

  

京都・秋の旅《落柿舎と去来墓

    

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

  

2024年10月 1日 (火)

神無月の俳句

   

コスモスの盛り過ぎるや神無月

神無月石破内閣発足す

神無月にわとりの声牛の声

             (薫風士)

  

上記「牛の声」の拙句は、「俳句の深読み《龍の玉》」で紹介した句集「踏青」(岡西宣江著)の俳句「踏青や鶏のこゑ牛のこゑ」の本歌取りですが、拙句を深読みすると、何かの比喩に取れるでしょう

  

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この写真はNHK NEWS WEBのテレビ画面の一部分です。

この青色文字をタップすると、NHK NEWS WEB の速報記事をご覧になれます。

      

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この写真は、吾庭のコスモスです。

コスモスの写真をタップ拡大すると、蝶がコスモスの花の蜜を吸っているのが見えます

 

20241001_11161320241001_110331この写真は、日本伝統俳句協会10月のカレンダー(上半分と下半分)です。

このカレンダーは旧暦の呼称を新暦に当てはめているので実態的季節感などとズレが生じますが、便宜的にそのまま拙句に利用しました。

   

          

ここをクリック(タップ)して、「俳句雑感(5):『西瓜』(秋の季語)と『西瓜割』(夏の季語)について」をご覧下さい。

       

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この写真は、カラー図説 日本大歳時記の神無月などの解説頁です。

この写真やカレンダーの写真をタップ拡大して、掲載句をご覧下さい。

   

        

歳時記(俳誌のサロン)から、「神無月」の例句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

例句の詳細は、青色文字(季語)をタップしてご覧下さい。

  

神無月1

はかりごとよりはじまりぬ神無月

       (稲畑汀子)

   

神無月2

神無月連れ添ふものに電子辞書

       (田中藤穂)

  

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

   

2024年9月25日 (水)

「花鳥諷詠と客観写生」について

   

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2023年10月に俳句HAIKUの記事「客観写生』と『花鳥諷詠』の違い」を書いて以来、このテーマに興味をもっていましたが、第56回三田市民文化祭俳句大会入賞句(冒頭の写真参照)を見て、改めてこのテ-マについて思案しました。

  

事前募集句の応募は849句が全国から寄せられたとのことですが、入賞句は全て花鳥諷詠の俳句であり、客観写生と言える俳句は無いと思いました。

  

当日投句は、選者の投句も含めて約120句ありましたが、純粋に客観写生と言える投句は殆ど見当たらず、何らかの意味で花鳥諷詠だと思いました。  

  

ちなみに、締め切り1時間ほど前に掲示された二つの席題(「椅子」と「流星(星流る)」)のうち季語(星流る)を使って、最近思っていることを詠んで投句した一句「混沌は宇宙の摂理星流る」は、若森京子前会長の並選に入ったようです。

  

この拙句は、現代の異常気象や世相を詠んだつもりですが、「混沌てふ宇宙の秩序星流る」とした方が面白い句になったかも知れません。

いずれにせよ、後の祭りですが、混沌から新しい宇宙時代に相応しい平和な時代が生まれることを夢見ています

     

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俳句大会の講演では、片山由美子「香雨」主宰が「俳句にしひがし」というテーマで、俳句のリズム・韻を落語や音楽と関連付けてユニークな解説をされ、興味深く拝聴しました。

  

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

   

2024年9月22日 (日)

秋彼岸まんぽ日記を読み返す

    

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この青色文字「日記」などをタップ(クリック)し、俳句HAIKUの記事「翔平の結婚祝す二月尽」や(秋彼岸の俳句)夏井いつき先生の添削を添削する(特集)」など、「まんぽ俳句」の記事をご覧頂けると幸いです。

  

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

2024年9月17日 (火)

敬老会《俳句と写真》

   

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2016年9月に書いた『敬老の日』『子規忌・糸瓜忌・獺祭忌』に思うこと」を多くの方にご覧頂きましたが、今日は2024年9月16日に最寄りの敬老会に参加して詠んだ拙句(まんぽ俳句)と写真をご覧頂けると幸いです。 

        

敬老の園児のビデオ和やかに

敬老の弁当の箸折鶴に

冷茶汲み鎮めし猛暑敬老会

敬老会亡きチュヌのこと隣人と

まんぽ俳句敬老会の話題にす

オカリナの音に癒されし敬老日

敬老会坂本九の歌で締め

思出のスキヤキ・ソング敬老日

敬老会我が青春が甦り

敬老会我が誕生に思ひ馳せ

        (薫風士)

 

敬老会の主催者や参加者のご厚意とご配慮のお陰で、胃の無い老躯ながら、おもてなしの弁当を残さず頂きつつ、オカリナの演奏などを拝聴しました‼️

関係者の皆さん、ありがとうございました‼️

   

(P.S. 2024.9.20)

今朝、自治会のふれあい・バス旅行の申込にコミセンに行ったら、昨日1時間ほどで申込人数が70人に達したとのことで、残念ながら受付は終了していました。

  

ちなみに、2022年のバス旅行の記事「秋の天橋立《バス旅行の写真と俳句》」や2016年のバス旅行の記事「鳥取砂丘と『砂の美術館』などの写真と俳句」をご覧下さい。     

    

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

  

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2024年9月14日 (土)

俳句《酔芙蓉・紅芙蓉・白芙蓉》

     

朝夕の色の変化や酔芙蓉

まん歩して色確かめし酔芙蓉

まん歩すや白紅の芙蓉道

花芙蓉行き交ふ人も様々に

しとやかな花の一日や酔芙蓉

       (薫風士)

  

芙蓉の例句を歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに抜粋・掲載させて頂きます。

例句の詳細は青色文字をタップしてご覧下さい。

  

爽涼の日々あらたなる花芙蓉

      (倭文ヒサ子)

  

門口に子供自転車紅芙蓉

       (丑久保勲)

   

朝の日に目覚めて白し酔芙蓉

       (石井邦子)

  

違はずに夕べ紅さす酔芙蓉

      (相沢有理子)

  

夜明け前まだ真つ白き酔芙蓉

       (秋川泉)

   

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冒頭の二つの写真は、9月14日の夕方の風景です。

   

  

   

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この酔芙蓉の写真は、9月15日の朝6時過ぎの白色と午後2時頃のピンク色になった色の変化を示しています。

  

   

最後にまんぽ道の朝•昼•夕の風景やジョギングなどをしている人々などの写真を掲載しますが、最後の写真をタップ拡大すると、青空に蜘蛛が見えます。          

  

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

   

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2024年9月10日 (火)

手作りの句集「入院35日」

   

9月の初めに俳句HAIKUの記事「俳句の深よみ《龍の玉》」で、句集「踏青」(岡西宣江著 ふらんす堂2011.9.7発行)を紹介しましたが、9月9日「重陽」の日に、句友がほっこりと心の温まる手作りの句集「入院35日」を送って呉れました。

   

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楽しい句集の一例として、その一端を写真で紹介させて頂きますが、遊び心のアイデアが楽しい俳句があります。

  

「雑草のエース目指すや仏の座」は、深読みすると二通りの解釈が出来ます。

   

(青色の文字をタップすると、リンクした記事が表示されます。記事をご覧になり、お楽しみ頂ければ幸いです。)    

      

作者は「仏の座が雑草のエースを目指している」と詠んだのかも知れませんが、「作者自身を仏の座に喩えた比喩である」と解釈することが出来ます。

   

「エ-スを目指す」ではなく、「エ-ス目指すや」と、助詞「や」を使っているので、遊び心の比喩の俳句を詠まれたものと解釈するのが妥当でしょう。

    

俳句HAIKUの記事「初秋の吟行《萩の寺・東光院》」において、高浜虚子の俳句「おもひおもひに座りこそすれ萩の縁」が掛詞であることを紹介していますのでご覧下さい。

  

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「退院日告ぐる医師なり涼新た」は医師への謝辞を詠んだ存問の俳句でしょうが、自分の喜びを表現するとすれば、「退院日医師に告げられ涼新た」とすると良いのでは?

 

作者(典子さん)は、背もたれの無い⁉️椅子の浅掛けで転んで骨折された由ですが、無事に退院されて何よりでした。

  

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この写真の松の生花は、今年の干支「辰」にちなんだ「龍」の造形です。

  

お寺の「ご新さん」(住職夫人)としてお経を読まれるばかりでなく、多くの方々に生花を教えてこられ、「俳句的生活」をエンジョイされているので、お弟子さんや檀家の方々など若い世代の俳句愛好家が増えることを期待しています。

  

俳句HAIKUの記事「まんぽ俳句を楽しもう!」や「本との出会い《俳句的生活》」、「句集『良夜』と『芭蕉句碑・文学碑紀行集』」などをご覧頂けると幸いですが、歳時記(俳誌のサロン)の「仏の座」の例句は、ここをクリック(タップ)すると、ご覧になれます。

         (薫風士)

 

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

 

   

《重陽》まんぽ俳句と写真

   

歳時記(俳誌のサロン)の「重陽」の例句は、ここをタップしてご覧下さい

 

9月9日は重陽の節句で、「菊の節句」とも言れますが、今年の重陽は真夏日でした。

沸くような猛暑の昼間は外出を避けて夕方に買い物を兼ねてまん歩し、駄句を口ずさみました。

  

母偲ぶ重陽暑し「沸くよう」に

重陽や句集あれこれ読み返す

重陽に輪廻思ひつ庭手入れ

重陽の吾庭に舞ひ来大揚羽

重陽やマロニエ並木立ち枯れし

重陽の暑き夕暮れジョガ-行く

重陽の入り日の光るまんぽ道

重陽の犬連れ多き暮れまん歩

気遣ひし重陽の暮れ老二人

重陽の三日月仰ぐまんぽ道

重陽に安酒求め帰路に汗

重陽の往年偲ぶマスカット

重陽や吾庭の西瓜デザートに

重陽に寝汗のにじむ熱帯夜

         (薫風士)

   

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2024年9月 8日 (日)

俳句《良夜》

  

歳時記(俳誌のサロン)から「良夜」の例句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

例句の詳細は青色文字(季語)をタップしてご覧下さい。

   

良夜1

村中の田圃が見えて良夜かな

        (村田近子)

   

良夜2

よき相の犬連れて出る良夜かな

       (山崎辰見)

   

良夜3

天平の甍波打つ良夜かな

       (磯野たか)

   

寺の鴟尾彫深くなる良夜かな

       (渡辺淳子)

   

良夜4

先を行く人に歩合はす良夜かな

        (松山直美)

   

良夜5

シースルーエレベーターの良夜かな

       (田岡千章)

    

良夜6

芝居はね銀座通りをゆく良夜

       (木村瑞枝)

  

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2024年9月 7日 (土)

俳句《白露》

 

9月7日は白露ですが、天気予報によると当地は来週も真夏日が続き、全国では猛暑日になる地域もあります。

そこで、まんぽ俳句を1句口ずさみました。

   

真夏日や白露の今日も来週も

        (薫風士)

    

歳時記(俳誌のサロン)の「白露」の例句を気の向くままに抜粋掲載させて頂きます。

例句の詳細は青色文字(季語)をタップしてご覧下さい。

  

白露1

快晴の白露の一日授かりぬ

       (稲畑汀子)

 

白露2

思ひ出は消ゆることなく白露かな

      (玉手のり子)

   

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俳句《萩》

   

歳時記(俳誌のサロン)から気の向くままに「萩」の例句を抜粋掲載させて頂きます。

青色文字(季語)をタップすると、例句の詳細をご覧になれます。

    

萩1

萩寺の萩刈られある広さかな

      (湯淺苔巌)

  

萩2

押分けて行けば行かるる萩の原

     (正岡子規)

   

萩3)  

こぼれ萩見下してゐる鬼瓦

       (栢森定男)

  

萩4

新は深なり子規偲ぶ萩の寺

      (稲畑廣太郎)

  

萩5

句碑生れてここ萩の寺萩の縁

      (稲畑廣太郎)

  

萩6

若がえる体操しすぎこぼれ萩

      (池田久恵)

  

萩7

子規庵に「江戸しぼり」てふ萩咲けり

      (中村洋子)

   

萩8

萩の園ベンチで叩く電子辞書

      (渡辺倫子)

  

萩9

また一人加はる忌日萩の露

      (安原葉)

   

萩10

一株のありてわが家も萩月夜

      (鷹羽狩行)

  

萩11

余生なほ託す夢あり萩の花

      (大島みよし)

  

萩12

白萩を分け子規の碑を覗きけり

      (西村節子)

  

萩13

さりげなき別れの言葉風の萩

      (布村松景)

  

萩14

立ち漕ぎで走る自転車萩の坂

      (瀬島洒望)

  

萩15

青萩のトンネルを抜け園眩し

      (神谷さうび)

 

萩16

次もまた通過電車やこぼれ萩

      (会田三和子)

  

萩17

皆が詠む萩に隠るる百度石

      (後藤比奈夫)

 

萩18

あともどりできぬ歳月萩の風

       (森清信子)

  

この青色文字(「俳句」や「HAIKU」)をタップすると、「俳句HAIKU」の最新の俳句や英語俳句の記事をご覧になれます。

  

2024年9月 5日 (木)

初秋の吟行《萩の寺・東光院》

     

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冒頭の写真は、東光院のパンフレットですが、写真をタップ拡大すると、令和4年の「子規忌へちま供養」の入選句(特選5句・佳作20句)をご覧になれます。

             

歳時記(俳誌のサロン)の「萩」の例句は、この青色文字をタップしてご覧下さい

   

ここをクリック(タップ)して、「『敬老の日』子規忌・糸瓜忌・獺祭忌に思うこと」をご覧下さい。

      

_142814_2阪急宝塚線「曽根駅」の近くにある萩の寺「東光院」を2024年9月4日に句友と吟行しましたが、残念ながら萩の花は幾つか咲き初めたばかりで、ほとんどの萩はまだ青々と繁っていました。 

    

    

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当日は快晴の真夏日で、寺苑を一巡すると汗が出る状態で、昼餉の喫茶店「タンネ」の冷房生ビールで秋の汗を鎮めました。 

   

萩の寺「東光院」を紹介する拙句(まんぽ俳句)を掲載します。

  

萩の寺東光院の苑吟行

仲良しと一日を惜しむ萩の寺

延命橋銀杏落ちて踏まれけり

延命とふ地蔵拜すや黄葉降る

秋の空映ゆる本殿ガラス張り

萩の花探し寺苑をぐるぐると

虚子の句碑見落としたるや萩の寺

門前に虚子の句碑あり竹の春

稚児抱く水子地蔵や紅芙蓉

二つ三つ咲き初む萩や東光院

子規の句碑覆ひし萩の花未だ

萩囲む雨月主宰の親子句碑

観音像木漏れ日に座す萩の寺

祈りては秋水かける大観音

東光院苑を巡りて秋の汗

苦吟しつピザとビールの昼餉愛づ

秋暑き吟行したる句座楽し

吟行の疲れ癒すや冷酒

           (薫風士)

  

東光院の萩の苑などの写真を最後に掲載しますが、拙句と合せてご笑覧頂けると幸いです。

    

おもひおもひに座りこそすれ萩の縁

我のみの菊日和とはゆめ思はじ

       (高浜虚子)

   

虚子の上記「萩の縁」の俳句を深読みすると、「萩の見える縁側」の意味と「萩の寺のもたらす縁」と、二通りの解釈が出来ます。

  

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高浜虚子も東光院を訪ねたことがあるとのことなので、萩の花の盛りに訪ねて改めて吟行をしたいと思います

  

   

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2024年9月 4日 (水)

俳句と写真《八朔の風景》

   

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写真は日本伝統俳句協会のカレンダー(一部分)ですが、令和6年9月3日は八朔です。

    

「八朔」の気象を詠んだ例句を歳時記(俳誌のサロン)から2句抜粋掲載させて頂きます。

  

八朔の遠雷ひびき雲早し

       (福盛悦子)

  

八朔や煙のごとき雨が降る

      (高倉和子)

  

八朔や豊作祈り駄句を詠む

      (薫風士)

  

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昨年は熊が町に出没し、カメムシが沢山居た年だったので、10月に芭蕉の足跡を辿り東北地方を吟行したときのバスガイドさんが何度も亀虫に注意するよう促してくれたことを思い出しました

   

今年は猛暑が続いて八朔になっても米不足は解消していません。

カメムシが多い年は豊作になると有難いのですが……
  

八朔のフロアに小さき亀虫來

八朔や雲無き空に月も無し

八朔の風に乗り來し電車音

虫の音にハノンピアノやまんぽ道

八朔や真夏日なほも続きをり

八朔や台風予報相次ぎて

八朔や総裁選のあれこれと

       (薫風士)

  

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最後の写真は、まんぽ道の風景やNHK-TV 画面ですが、最新の俳句や英語俳句の記事は、青色文字の「俳句」や「HAIKU」をタップしてご覧下さい。

  

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2024年9月 1日 (日)

俳句の深よみ《龍の玉》

    

「龍の玉」といえば、高浜虚子の俳句「龍の玉深く蔵すといふことを」が先ず浮かびますが、最近句友から拝借した句集「踏青」(岡西宣江著)に深読みすると面白い傑作がありました。

 

俳句HAIKUの記事「芭蕉や虚子の面白い俳句をまとめましたで紹介したのとは異なる面白さがありますので、句集の抜粋頁(跋)や表紙の帯などの写真で紹介させて頂きます。

 

何が面白いのか、最後の写真をタップ拡大してご一読頂き、考えて頂けると幸いですが、ヒントは次の踏青の句の鶏と牛の鳴き声のオノマトぺです

  

さやうかと白眉うなづく龍の玉

踏青や鶏のこゑ牛のこゑ

     (岡西宣江)

  

余談ですが、「踏青」(春の季語)の同音異議語に「桃青」があり、「桃青忌」と言えば、「時雨忌」と共に「芭蕉の忌日」を差し、冬の季語です。

   

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2024年8月28日 (水)

俳句《故郷の風景・稲穂風》

 

故郷の浸る思い出稲穂風

丹波路や思い出多き稲穂風

         (薫風士)

   

堪へがたし稲穂しづまるゆふぐれは

                          (山口誓子

   

「ゆふぐれは」は「耐へがたし」を視覚的に強調し、省略した「耐へがたい」対象を考えさせる為に「夕暮れは」と漢字を使用しなかったのではないでしょうか?

省略された言葉は「稲穂の匂い」ではなく、有機肥料などの「田畑の匂い」でしょう。

この俳句の句意は稲田に囲まれた田園生活の体験の無い方には理解できないでしょう。

      

歳時記(俳誌のサロン)から「稲穂風」の例句を2句抜粋掲載させて頂きます。

 

山ひとつ越えれば湖国稲穂風

        (仲井多美江)

  

遅速なく刻む水車や稲穂風

        (黒滝志麻子)

   

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