(2024.9.29 更新)
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地震に耐ゆ祭太鼓の心意気
(nai-ni-tayu matsuridaiko-no kokoroiki)
enduring the sufferings of earthquake,
people with guts beat
Japanese drums for the summer festival
恐竜の吠ゆる駅前祭り唄
フェニックスてふ祭大会福井駅
コンコース祭音頭の溢れをり
祭り見て立ち寄り迷ふ土産店
さとまつり売切れしたる缶ビ-ル
抽選に子等小躍りや里祭
コロナ禍の自粛解けたる夏祭
(薫風士) 女房は下町育ち祭好き (高浜年尾)
高浜年尾の掲句について、清水哲男氏は「増殖する俳句歳時記」において次のように述べています(抜粋)。
「なんとも挨拶に困ってしまう句だ。作者が虚子の息子だからというのではない。下町育ちは祭好き。……か、どうかは一概にいえないから困るのである。…(中略)… この句のように『そうなんだから、そうなんだ』という類の句は、見回してみるとけっこう多い。(以下省略)」
しかし、「そう決めつけられては困るよ。」と作者(高浜年尾)はあの世で言っているかも知れません。作者は妻が祭り好きなことを理屈抜きで俳句に詠んだに過ぎないでしょう。
俳句は散文と異なり所詮片言ですから、読み手次第で解釈が異なることが多いですね。
合本現代俳句歳時記(角川春樹編)の季語「祭」の項には傍題が次のとおり12あります。
「夏祭」「祭礼」「宵祭」「夜宮」「神輿」「山車」「祭囃子」「祭太鼓」「祭笛」「祭衣」「祭提灯」「祭髪」
インターネット歳時記(「俳誌のsalon」)の「祭」の各ページから気の向くままに2句抜粋させて頂きます。
(祭1)
復興の町に景気の祭山車 (稲畑汀子)
子が手綱引いてやさしき祭馬 (野沢しの武)
(祭2) 賀茂祭馬耐へがたく尿放つ
(西田もとつぐ) 父の手を振り切つてはや祭の子 (品川鈴子) (祭3) 故郷の祭を恋ひて母逝きぬ 点滴のベッドへ遠き祭笛 (辰巳比呂史) (祭4) この村が好きで老いたり祭笛 (梅原富子) 教え子の祭化粧を見つめおり (小林玲子) (祭5) 水打つて祭日和となりにけり (柴田英彰) ふるさとに海の幸あり祭鮨 (斉藤静枝) (祭6) 祭ある地球によくぞ生まれける (鷹羽狩行) 落語家の芸賑々し祭船 (名取袿子) (祭7) 町並に古色戻りぬ祭あと
(藤村美津子)
獅子の尾を振る役たまふ祭かな (浅田光代)
(祭8)
神田川祭の中をながれけり
(久保田万太郎)
阪神の帽子で神田祭の子 (大久保白村)
(祭9)
下町に祭気分の漲(みなぎ)れり (稲畑廣太郎)
てのひらを味見の皿に夏祭 (小城綾子)
(祭10)
祭くる百八歳の大往生 (大坪景章)
軽トラに稚児乗せ団地祭かな (中川すみ子)
(祭11)
駅を出て神田祭に揉まれけり (内藤静)
抜路地を流れ遠音の祭笛 (中野さき江)
(祭12)
星空に鼓動の余韻夏祭 (宮崎薫風)
祭ずし嫁へ言ひつぐかくし味 (白神知恵子)
(祭13)
祭太鼓腹にひびくや總踊り
背伸びして募金する児の祭髪 (石田きよし)
(祭14)
働きし手を見せ合うて祭かな (小嶋恵美)
祭牛を宥めすかして御田掻く (大橋晄)
(祭15)
昔の名坂に残りて祭町 (今井千鶴子)
人違ひしたりされたり鉾祭 (山野美賛子)
「俳句祭り」などを開催して町の活性化を図っている地方自治体が増えているようです。
俳句を世界無形文化遺産に登録しようという運動も推進されています。
コーラスやゲートボールなど様々な趣味がありますが、俳句は楽しくて健康に良いばかりでなく、前EU大統領の言のごとく、人心を世界平和へ導くことにも貢献できそうです。
それにしても、言葉の壁・言語の壁を破り「俳句」の国際化を促進して俳句の世界無形文化遺産登録を実現することは至難でしょうね。
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