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2019年10月 4日 (金)

芭蕉300句の英訳チャレンジ (31~40)

   

(青色の文字をクリックすると、リンクした解説記事をご覧になれます。)

   

(31)  有難や雪をかほらす南谷 

  (arigata-ya yuki-o-kaorasu minami-dani)

  

how grateful!

the scent of snow,

Minamidani

  

  (注)

俳句の「切字」や「切れ」を翻訳するには、句意を考慮して「_」や「:」「!」などを使うのが良いと思いますが、この俳句や次の俳句の助詞「や」は詠嘆的切れ字なので感嘆符「!」で表現しています。

なお、芭蕉がこの句を作った背景の解説は、次の記事にあります。

芭蕉が見た風景 羽黒山」、羽黒観光スポット 南谷

   

    

(32)  涼しさやほの三か月の羽黒山 

 (suzushisa-ya hono-mikazuki-no haguroyama)

 

what a coolness!

the dim crescent moon

above Mt. Haguro

   

   

(33)  ほととぎす大竹藪をもる月夜 

(hototogisu ōtakebayashi moru tsukiyo)

  

a cuckoo_

through the large bomboo grove,

the moon light

    

   

(34)  涼しさを我宿にしてねまる也

 (suzushisa-o waga-yado-ni-shite nemaru-nari)

   

(A)

making the cool

my dwelling,

I relax myself

     

(B) 

the cool

relaxes me

as if in my dwelling

    

(注)

(A) は文字通りの英訳です。(B) は意訳です。

奥の細道尾花沢」の記事によると、この俳句は野宿を詠んだものではなく、山形県尾花沢市鈴木清風宅宿泊の持て成しを詠んだ挨拶句とのことです。清風が「お持て成しは何もできませんが・・・」などと謙遜して言ったことを受けて、芭蕉はこの俳句を詠んだのではないでしょうか? 芭蕉は俳句が片言であることを認識して、この句を紀行文入れたのでしょう。

     

     

(35)  粽結ふかた手にはさむ額髪

 (chimaki-yuu kata-te-ni hasamu hitai-gami)

 

wrapping a chimaki,

another hand backing

the hair falling over the brow

 

(注)

「粽」は、対応する英語がないので、そのまま“chimaki”とします。

このように、日本固有のものは無理に英訳せず、注記することにより俳句の簡潔さを優先すれば良いと思っています。

    

      

(36)  道のべの槿は馬にくはれけり 

 (michinobe-no mukuge-wa uma-ni kuware-keri)

  

a rose of Sharon on the wayside_

eaten

by my riding horse

    

  (注)

「くはれけり」は「was eaten」とすると句意が明瞭になりますが、散文的になりますので敢えて「be動詞」を省略しました。

     

      

(37)  野を横に馬牽むけよほととぎす

 (no-o yoko-ni uma hiki-mukeyo hototogisu)

  

(A)

Lead the horse sideways

across the field_

a cuckoo

  

(B)

Cuckoo!

Lead my horse sideways

across the field

  

  (注)

(A) は「ほととぎすが鳴いているぞ」と「馬子に呼び掛けている」と解釈して英訳したものです。

(B) は「鳴いている時鳥に呼び掛けている」と解釈して英訳しています。

「牽きむけよ」という表現からすると(A)の方が妥当ですが、俳諧味を狙った比喩的表現だとすれば(B)かも知れません。

芭蕉は何れの解釈も可としてこの句を作ったのではないでしょうか?

なお、HAIKUは散文ではないので、行の初めを大文字にしないのが普通ですが、この俳句は命令文を含んでいるので大文字にしています。

      

      

(38)  秣負ふ人を枝折の夏野哉 

 (magusa-ou-hito-o shiori-no natsuno-kana)

  

a man with fodder on his back:

the guidepost of

the summer field

   

     

(39)  闇の夜や巣をまどはしてなく衛

 (yaminoyo-ya su-o-madowashite naku-chidori)

   

dark night_

disguising the nest,

the crying plover

    

(注)

「衛」は「千鳥」のことです。このような漢字の違いによるニュアンスの違い・原句の面白さは英語に訳出できませんので英語版では注記します。

   

      

(40)  いかめしき音や霰の檜木笠

 (ikameshiki oto-ya arare-no hinoki-gasa)

   

stern sound_

hails

beating my cypress hat

   

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