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2017年5月23日 (火)

高浜虚子の俳句「壺すみれ」をHAIKU(英語俳句)に翻訳する

          

高浜虚子の俳句に「その中に小さき神や壺すみれ」があります。

(青色文字をクリックすると関連の記事がご覧になれます。)

原句は壺菫を見て詠んだ俳句でしょうから、次の通り英訳してみます。

(試訳A

a Japanese violet_

a little god

in it

(試訳B

a Japanese violet_

there must be

a little god in it

(試訳C)

a Japanese violet_

therein

a little god

「その中に」は「therein」と英訳することができます。

上記3案の英訳の中では「試訳C]が最適でしょう。日本語と英語では文法的に構文が異なりますので、俳句の「切れ」を英語として訳出するには構文的に語順を逆にすると良いと思います。俳句の英訳をするにはその作者が句を詠んだ背景を考え、原句の句意を訳出する必要がありますが、至難ですね。

この俳句の英訳の参考情報を得ようとして、インターネット検索をすると、下記の英訳がありましたが、誤訳です。

In the middle of it

A little god:

A violet in the vase

(出典)

One Hundred and One Exceptional Haiku Poems by Kyoshi Takahama

The Hiyoshi Review of English Studies (慶應義塾大学日吉紀要 英語英米文学), 51, pp.85 - 112 , 2007  Translated by Katsuya Hiromoto     

上記の英訳は「壺すみれ」を「violet in the vase」と翻訳していますが、「つぼすみれ」は菫の一種の名称ですから誤訳です。

ちなみに、ウイキペディアには次の解説があります(抜粋)

「Viola verecunda スミレ科スミレ属の植物。ニョイスミレとも呼ばれる。全体に小柄で、茎はよく伸びて往々にして地表を這い、花はあまり高く出ないので、あまり目立たない植物である。」

また、Weblio辞書によると、「学名はviola verecunda、英名はJapanese violet」とあります。

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高浜虚子の俳句「壺すみれ」をHAIKU(英語俳句)に翻訳するを参照しているブログ:

コメント

上記のとおりKatsuya Hiromoto氏の英訳は「壺菫」を誤訳しているばかりでなく、
最初の行に「it」とあり、「it」(それ)とは何を指しているのか、
2行目の「A little god」か、3行目の「A violet 」かが不明瞭です。
この点でも英語の俳句(HAIKU)として不適切でしょう。

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